台湾・台北市の台北世界貿易センターにて開催中の「台北国際ゲームショウ 2015」にて、本日1月29日にSCEJA デピュティプレジデント(アジア統括) 織田博之氏とSCET 総経理(プレジデント) 江口達雄氏へインタビューを行った。
「台北国際ゲームショウ 2015」の会場で、有名クリエイターや豪華なゲストを招いたステージを多く実施するソニー・コンピュータエンタテインメント台湾。会場で、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA) デピュティプレジデント(アジア統括)の織田博之氏、ソニー・コンピュータエンタテインメント台湾(SCET) 総経理(プレジデント)の江口達雄氏に合同インタビューを行うことができたのでお届けする。
――今回の“史上最強の遊園地”というキャッチコピーの意図は?
江口氏:2005年から連続して台北ゲームショウにPlayStationブースを出展しています。年々規模を拡大していまして、今年も去年に比べて1.5倍となる大規模なブースを展開し、今回は100台以上の試遊台を設置しています。発売前のタイトルを試遊していただくという点を中心に据えてやっています。そういう意味でゲームファンの方が楽しめるという意味がひとつ。
また、ステージイベントがとても充実しています。沢山のクリエイターの方に来て頂いて、一方的な情報発信をするだけではなくて、ユーザーさんとコミュニケーションするようなインタラクティブな演出をしているという意味で遊園地と表現しています。
――オープニングセレモニーのコスチュームは台湾流のおもてなしだったのでしょうか?
織田氏:私のキャリアで初めてのコスプレだったんです(笑)。昨年、台湾ゲームショウのプランを彼(江口氏)と話し合った時に、何をやったら楽しんでいただけるかを考え、「コスプレをやる」と言ったんです。
江口氏:大反対でした(笑)。普段はスーツとジャケットで堅い話が多いので、提案を受けた時は衝撃を受けました。我々がやって喜んでいただけるのかと最初は反対しましたが、やってしまいました。台湾のメディアの方に喜んで頂けたようです。
織田氏:まずは楽しさをどうすれば伝わるだろうと考えました。販売台数といった話はビジネスとしては大切なことですが、我々自身が楽しんでいることを象徴的にやろうと思い、あのような格好をしたのですが、笑いが起こり、ちょっと心が折れかけました(笑)。
――「The Order 1886」のコスチュームを選んだ理由は?
織田氏:今回、ファーストパーティから出すのが「The Order 1886」と「Bloodborne」になり、両方とも期待のタイトルです。「Bloodborne」のコスチュームだと顔があまり見えないというのもあり、顔の見える「The Order 1886」にしました。
――今回、多くのクリエイターを招いた意図は?
織田氏:アジアのビジネスで言語ローカライズに占めるインパクトが非常に大きくなっています。数年前から特に中国語へのローカライズを積極的に進めており、アジアで中国語にしたものが確実に売れるという実績がでてきています。
熱心なファンのために憧れるクリエイターに来てもらうことと、ビジネスとしてアジアがすごく盛り上がっていてうまくいっていることを、クリエイターやライセンシーの方に感じていただきたいという2つの目的で来て頂いています。
そのためにステージも広くしました。通常ステージは通路に向けて設置するのですが、通路では収容できないだろうと思いステージをブースの中央に設置し、みんなで楽しめるようにしました。
江口氏:今回たくさんの素晴らしい方にお越しいただくことを発表する前から、台湾のファンが熱狂するとわかっていたので、通路の限られたスペースではなく、しっかりとしたスペースを作りました。650名くらいがステージ前に立って見れるスペースになっているのですが、さっそく初回のイベントから1000人を超えるお客様にお越しいただきました。
――今回、会場に初めて見るキャラクターがいたのですが。
江口氏:小藍(AI-chan)ですね。SCETでPlayStationの楽しさを伝えるアルバイトをしている女の子という設定なんです。台湾はFacebookの普及率が世界一でみんな使っています。SCETの公式Facebookも20万人の会員がいて、ただ登録しているだけでなく、頻繁にシェアしてくれたりコメントしてくれたりと濃いファンがいます。そこに彼女が登場して「こんな新作が出るよ」「こんなキャンペーンがあるよ」といったことを紹介してくれます。台湾のイラストレーターのVOFANさんに描いていただきました。
――台湾でのPS4の手応えは?
江口氏:一昨年の12月18日に台湾でPS4を発売しました。非常に評判がよく、発売日に行った発売イベントに台北で200人、台中で100人、高雄で100人、合計400人の方に並んでいただきました。第1号の方は7日前から並んでいただき、新聞で記事になるなど話題になったんです。その時点でかなり手応えは感じていましたし、期待を超える立ち上がりでした。
台湾は世界でも有数のIT立国で、PS4のシェアプレイといった新しい遊び方に非常に価値を見出して、積極的に利用いただいています。
――台湾デベロッパーのタイトルで動きはありますか?
江口氏:台湾のデベロッパーサポートは早い段階で取り組んできました。その成果もあって10社くらいPlayStation向けのタイトルを出して頂いています。ただ、ディスクになったのは1タイトルだけでそれ以外はPSNの配信専用で展開しています。代表的なところでは、PlayStation Awardsの特別賞を受賞した「Cytus」を開発したRayarkもインディーとは呼べないほど(大きな会社)になっています。そういったところがPS Vita向けにソフトを作ってくれている状態で、結果がようやくでてきたかなと思います。RayarkはPS Vita向けに「Deemo」を開発中で今回も会場で試遊台を設置しています。
――台湾のゲーム市場の傾向は?
江口氏:基本的に日本のゲームが大好きです。ただし、良い作品であれば、欧米のタイトルも偏見なく遊びます。ジャンルで言うと日本のRPGが一番人気で、アクションや、FPS、格闘がすごく好きな人もいますし、バランスがとれています。去年のPS4立ち上げの時期は、欧米系のタイトルが多かったのですが、皆さんに十分楽しんでいただき、PS4の普及を引っ張ってくれました。そして、いよいよこれから日本のタイトルがPS4で出てくるので、まだ、PS4を買っていない人もPS4の世界に来てくれるのではないかと考えています。
PS Vitaは日本とほぼ同時の2011年に発売しています。モデルチェンジしたタイミングで価格が手頃になったことと、カラーバリエーションがかわいいということで、普及に加速がつき現在まで順調に売れています。また、中文版に力を入れはじめた頃と重なったこともあり、継続的に拡大しています。
織田氏:日本タイトルにも欧米タイトルにもそれぞれにファンがいて、可能性を感じる市場だと思います。アジアは国によって多少特徴もあります。台湾はサッカーワールドカップがあまり盛り上がらず、野球とバスケットボールが人気です。フィリピンではバスケットボールが人気で、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムはサッカーです。
台湾のユーザーはアニメとゲームで日本語を覚える方が非常に多く、両方を結びつけて演出すると非常に沢山のお客さんに喜んでいただけるんです。国によっては少し嗜好性が異なるので、考えながらマーケティングを行っています。
――e-sportsのような展開は?
江口氏:去年、台湾でFacom jdk BANDのコンサートを主催しました。ただ、ゲームを売るだけでなく、ゲームを通じていろんな体験をお客さんに届けたい、そして一緒に遊びたい。そいういう活動を来年度も継続してやっていこうと思っています。コンサートかもしれませんし、e-sportsかもしれません。
今日、「NBA2k15」のオンライントーナメントのファイナルをステージで行っています。そこのユーザーの皆さんの反応などもしっかりとチェックしたいと思っています。
――ありがとうございました。