「御簾納直彦ミステリィ 篝火ノ屋敷」第12回は、1999年にプレイステーションで発売されたカプコンの「ディノクライシス」を紹介します。

「御簾納直彦ミステリィ 篝火ノ屋敷」12回目となる今回は、1999年にプレイステーションで発売された「ディノクライシス」を紹介しよう。「バイオハザード」において、サバイバルホラーというジャンルを確立させたカプコンが続いて放ったのは、「恐竜」をテーマにしたパニックホラーだった。

今でこそ恐竜と戦う3Dアクションゲームはそう珍しくないが、当時としては斬新で、ハリウッド映画ばりに恐竜と死闘を繰り広げる本作は、ユーザーに少なからず衝撃を与えたものだ。

基本的なシステムは初期の「バイオハザード」を踏襲しているため、当時は比較されることもあったが、実はこの2タイトル、似て非なるものだったりする。初代バイオが「静」とするならこちらは「動」。基本的な操作性やゲームデザインこそ「バイオ」だが、アプローチとしてはまったく異なるのだ。何せ相手は恐竜だ。ゾンビとは違い、動きはかなり俊敏。そのうえ、柵の向こう側に逃げても飛び越えて追いかけてくるし、ドアすらぶち破って追いかけてくる。「バイオ」の常識は、「ディノ」には一切通用しない。プレイヤーはプレイ開始から数分で、その脅威を思い知ることになるだろう。

初期バイオの特徴でもあった、いわゆるラジコン操作を搭載している本作は、操作に慣れるまで時間がかかる。不自由な操作感で、獰猛かつ俊敏なデカいトカゲどもを相手にしなければならないのだ。

バイオで例えるなら、ハンターやケルベロスを常に相手にしている……といったところであろうか。当然、その脅威はゾンビの比ではない。バイオで初めてゾンビと遭遇した時の衝撃はすさまじいものがあったが、ディノで初めてラプトルと出会った時の衝撃も、これまた筆舌に尽くしがたい。筆者は原稿執筆のため、数年ぶりにディノをプレイしたのだが、初めてラプトルと遭遇した時は、初見でないにもかかわらずヒヤっとした。まさに「パニックホラー」の名に恥じない内容である。

ストーリーは、主人公のレジーナが所属する政府直属のスパイチームが、とある軍事施設のある孤島へ向かうシーンから始まる。そんな彼女たちが施設内で見たのは、先に向かった仲間たちの惨殺死体や、至るところに刻まれた何者かの鋭い爪あと。果たして、ここで何が起こったのか。調査を続けていくうちに、レジーナは一匹の恐竜と遭遇する……。物語は終始シリアスな感じで、ギャグはほぼ皆無。レジーナの乾いたセリフが、プレイヤーのシニカルな笑いを誘う程度だ。筆者はこの手の作品には徹底した恐怖や絶望を望むタイプなので、作風は非常に好みだった。

ちなみに余談だが、主人公のレジーナは、PS2用ソフト「ナムコ クロス カプコン」にもゲスト参戦している。こちらは英語音声から日本語音声に吹き替えられており、キャラクタービジュアルも、ゲームに合わせたアニメ風のデザインに変更されている。原作とは違ったレジーナの魅力を見ることができるので、ディノファンなら、思わずニヤリとしてしまうこと請け合いだ。気になる人は、ディノと併せてチェックしてほしい。

シリーズとしてはその後、PSにて「2」、Xbox(初代)にて「3」、PS2で「ガンサバイバー3 ディノクライシス」という外伝作品をリリース。初代ディノが、どちらかというと、恐竜との対峙を避けつつ進んでいくというゲームデザインだったのに対し、「2」は、銃をブッパなしまくりのアクティブな方向へとチェンジ。当時はこの方向転換に戸惑いもあったが、万人に勧められるのは「2」だろう。初代に比べて難易度もグッと抑えられているため、クリアまで到達しやすい。ここだけの話、筆者は、初代ディノは発売当時はクリアできず、一度挫折している。2をクリアしたのち、再チャレンジしてようやく初代をクリアしたのである。

さらにディノと言えば、地味に外せないのが「3」だ。こちらは、なんと舞台が宇宙になっており、恐竜の出で立ちもどこかエイリアン的。「えっ、これディノ!?」と、当時は驚いたものだ。さらに、ジャンプやホバーを利用した高速移動の搭載など、「2」までと比べてアクションの幅が広くなっている部分も注目すべき点だろう。しかしながら、Xboxオンリーという限られた環境のため、プレイした人はもちろん、その存在を知らなかったという人も少なくない。筆者も購入はしたものの、まだ未クリアなので、押し入れからXboxを取り出して「3」を再びプレイしてみようかとも思っている。こちらは、タイミングがあれば、ぜひ本連載で取り上げてみたい。

宇宙が舞台の「ディノクライシス3」。

「ディノクライシス」は現在目立った展開がないため、若いユーザーの中には、存在を知らないという人もいるかもしれない。また、当時は「バイオハザード」とシステムが似ている部分もあったため、影に隠れてしまっている感は否めない。しかし、人間と恐竜の戦いをテーマにした3Dアクションゲームは当時極めて珍しかったし、設定やキャラクターも個人的には好きだった。このまま埋もれさせておくのはちともったいない。「ディノクライシス」と「ディノクライシス2」はゲームアーカイブスでの配信も行われているので、そちらで購入してみるのもいいかと思う。

筆者のディノクライシスコレクション。実は初代ディノには、ドリームキャストも存在したりする。

「ディノクライシス」(PlayStation Store)
https://store.playstation.com/#!/ja-jp/%e3%82%b2%e3%83%bc%e3%83%a0/dino-crisis/cid=JP0102-NPJJ00009_00-COMBINE000000001?EMCID=jGMsepad-gpsaw-br_0010328

「ディノクライシス2」(PlayStation Store)
https://store.playstation.com/#!/ja-jp/%e3%82%b2%e3%83%bc%e3%83%a0/dino-crisis/cid=JP0102-NPJJ00009_00-COMBINE000000001?EMCID=jGMsepad-gpsaw-br_0010328

ディノクライシス

カプコン

PSパッケージ

  • 発売日:1999年7月1日

    ディノクライシス

    カプコン

    DCパッケージ

    • 発売日:2000年9月6日

      ※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

      コメントを投稿する

      この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

      ディノクライシス公式サイト