「NieR New Project」の発表から1年、「NieR:Automata」という正式タイトルや発売時期も明かされて期待感も高まる中、「E3 2016」会場にて齊藤陽介氏、ヨコオタロウ氏、田浦貴久氏へのインタビューを行った。
「E3 2016」で2017年初頭の発売が発表された「NieR:Automata」。発売時期と同時に、戦闘シーンやレジスタンスキャンプのシーンなどが新たに明かされた。
本稿ではそのバトルを中心に本作のさまざまな要素を紹介すると同時に、プロデューサーの齊藤陽介氏、ディレクターのヨコオタロウ氏、そしてゲームデザイナーの田浦貴久氏(プラチナゲームズ)の3人に、本作のアクションについて伺った。
「NieR:Automata」のバトルシステムを始めとした各要素を紹介
これまでバトルシーンが主に紹介されてきた「NieR:Automata」だが、今回の「E3 2016」ではレジスタンスキャンプという、一般的なRPGでいう“村・町”の役割を果たす場所が公開された。
ここではアイテムの売買や武器の入手・強化、サブクエストの受注が可能だ。前作にあったRPG的要素はほぼすべて搭載されているという。
移動中、自動的にサイドビューに変更される仕組みも入っており、前作でのゲームギミックは一通り揃っている。ヨコオ氏は、田浦氏を始めとしたプラチナゲームズの若いクリエイターがとても前作を大事にしてくれていると話していた。
レジスタンスキャンプの外に出ると、荒廃した都市が広がっている。ここが本作のメインフィールドだ。フィールド内には起伏のある場所が多く、ストーリーに関係のない場所にもさまざまなものが隠れている。中に入れる建物もあり、移動可能な範囲はかなり広い。
このフィールドには機械生命体と呼ばれる敵が存在し、エンカウントすると画面遷移なくそのままバトルに突入する。
主人公・2Bは2つの武器を装備しており、□ボタンと△ボタンで攻撃を繰り出す。また武器は複数セット装備し、十字キーで切り替えることが可能だ。これまで2Bの武器は2本の刀のみ公開されていたが、今回新たにグローブ型の格闘武器があることも明らかになった。武器の種類で技も変わるので、状況に応じて変更するのが重要だ。
アクションが苦手な人のために、2Bの周囲に浮かぶポッドによるロックオン銃撃も用意されている。このポッドに掴まって移動したり、攻撃したりすることも可能だ。前作の「白の書」と同じと考えればいいだろう。
ダッシュ・回避はR2ボタンで行う。左スティックと組み合わせて任意の方向に回避できるだけでなく、空中で行うこともできる。グイッと曲がることもできるので、コンボ中に組み込んで敵の側面を突くことも。また敵の攻撃に合わせて回避するとジャスト回避が発動し、その間に攻撃ボタンを入力すると技が繰り出される。
都市からさらに外に向かうと、砂漠エリアに出る。フィールドはかなり遠くまで広がっているが、ローディングすることなくシームレスに移動できるのが本作の魅力のひとつだ。
砂漠では砂の中から敵が登場する演出も。また敵はエリアに即した格好をしており、砂漠ではマントを身にまとった敵が出現していた。
敵の中には槍などの武器を持っているものもおり、装備している武器で敵のアクションも変わる。また前作にもいた、弾幕を放つ敵も存在する。弾幕は一見避けるのが難しく見えるが、回避を使えば簡単に近づいて攻撃することが可能だ。このほか、装甲をはがしながらダメージを与えていく、サイズの大きな敵も出現する。
筆者も実際にバトルシーンをプレイさせてもらった。決してアクションゲームは得意な方ではないが、とにかく簡単にスタイリッシュなコンボを繰り出せるのが印象的で、とても気持ちがいい。2Bのモーションも多彩で、見ていて飽きることもない。美しい世界で美しく戦える気持ちよさが感じられた。
「NieR」らしさはイクラ弾?3名へのインタビューを掲載
――初めて本作をプレイさせてもらいましたが、本当に気持ちのいいバトルになっていますね。
ヨコオ氏:触るといろいろわかるところがあると思います。
田浦氏:2Bは激しく動くのですが、敵の方は比較的ゆっくりにしているので、捉えやすいと思います。
齊藤氏:ジャスト回避もあまりきつい調整はしていません。多少距離があっても発動するようになっていますね。プラチナゲームズさんはモーションのつなぎ、ブレンドが上手です。
ヨコオ氏:普通のゲームなら動きに制限があったりもするのですが、このゲームのこのキャラクター(2B)に関しては全部OKにしているようです。
田浦氏:とにかく速くてどんな操作にも耐えられるキャラクターにしたいという思いが僕の中にあります。それが今回の主人公はアンドロイドということでかなり合致していると感じたので、ちょっと無理を言わせてもらいました。
齊藤氏:あまりにもスタイリッシュに動くので、自分には無理なんじゃないかと思われるのが逆に心配です。プレイしてみて、あまりアクションが上手くなくてもこんなに動けるんだということを皆さんに知っていただきたいですね。
――バトルシーンで一番重視していることは何ですか?
田浦氏:アンドロイドが主人公なので、人間にはできないスピード感で軽快に戦うことを表現したいと思っています。
齊藤氏:「NieR」はヨコオさんの世界観が好きなファンが多く、アクションゲーム慣れしていない方もいらっしゃいます。そういう人たちでもなるべくテンポよく、気持ちよく戦えるバトルをプラチナゲームズさんにお願いしました。そこはとてもがんばっていただいています。
田浦氏:そういったこともあって、あまり複雑なコンボルートや、ギリギリでの回避など、反射神経が求められる操作は入れていません。
――お気に入りのモーションなどはありますか?
ヨコオ氏:大剣の溜め斬りが好きですね。通常は右から斬るのですが、溜め斬りでは溜める際に剣を持ち替えて左から斬るんです。ちょっと変わったモーションなのですが、実際にやっているのはボタンを押しているだけです。難しいことはしていないのに難しそうなモーションが出てくるところに、プラチナゲームズさんのパワーを感じます。
齊藤氏:アイドリング時に2Bたちが可愛らしい仕草をするんですよ。いる場所によってその仕草も変わって、例えば水場にいたら靴の水を払ったりします。
ヨコオ氏:これは僕が知らないうちに入っていました(笑)。
田浦氏:攻撃をキャンセルできるのであまり見ることはないのですが、攻撃後に放っておくと武器を直すモーションもありますね。
――オープンワールドになっていますが、ゲーム序盤から好きなところに行けますか?
田浦氏:ストーリー進行上、重要な場所には制限がかかりますが、ストーリーと関係のない場所にも行くことができます。ただ、それなりに強い敵に見舞われる場合もあります。
ヨコオ氏:前作と構造的には同じと思っていただければと思います。最初から完全なオープンワールドではなく、シナリオが進むにつれて徐々に広がっていく仕組みです。
――レジスタンスキャンプにいるNPCはアンドロイドですか?
ヨコオ氏:アンドロイドです。彼らは地上で戦っているアンドロイドたちで、主人公たちヨルハ部隊は新たに派遣された特殊部隊という区分けがあります。とはいえ、双方ともアンドロイド軍として機械生命体と戦っている同志です。
――レジスタンスキャンプは1ヶ所だけなのでしょうか?
ヨコオ氏:レジスタンスキャンプと呼ばれているのはあの場所だけです。これ以外に村のような場所は存在します。
――キャラクターやアートワークに退廃的な美しさを感じたのですが、世界観を作る上で大事にしていることはありますか?
ヨコオ氏:主人公たちが黒い装いで目隠しをしているのは、ゲーム全体のテーマに関わっていて、シナリオのある特定の内容を暗示しています。背景や敵キャラクターはあまりメカメカしい感じにせず、機械だけど可愛く、味わいが出るデザインに着地させられたらと思っています。
――前作とのストーリー上の関係性はありますか?
ヨコオ氏:同じ世界、同じ時間軸です。物語は別のもので、前作をやっていないと楽しめないわけではありません。新しく入った方が一から始めても楽しめるものを目指しています。
齊藤氏:前作を遊んだことがある人が、出てくるキャラクターに見覚えがあってニヤリとできるくらいです。新しい人を置いてけぼりにすることはないので、そこは安心していただければと思います。
――新しい要素にフォーカスして開発しているということでしょうか?
齊藤氏:私が客観的に見る限り、もっとプラチナゲームズさんらしくなっていくのかと思いきや、初めてプレイしたときにものすごい“NieR感”を覚えました。ここまで「NieR」にしなくてもいいのではと思うほど「NieR」でした(笑)。
プラチナゲームズの若手スタッフが「NieR」を好きで、その良さをわかってくれた上でおもしろいアイディアを重ねてくださっています。もともとの「NieR」の良さを大事にしながら新しいことにチャレンジしてくださっているのは、とてもうれしいです。
――プラチナゲームズさんが大事にした「NieR」らしさはどんなところですか?
田浦氏:イクラ弾です(一同笑)。
※イクラ弾:敵が弾幕のように放ってくる玉
ヨコオ氏:イクラ弾は最初プラチナゲームズさんの中でも反対があったのですが、僕が強引に押し通しました(笑)。
齊藤氏:以前はメモリがなかったので、こんなにアニメーションしませんでしたね。
――かなり綺麗になっていますよね。
田浦氏:まだ絵もできていないようなプロト版を作っていたときに、とにかく早く玉を出してみようと思って出してみたら、それでもう「NieR」になりました(笑)。
――アクションRPGですが、いろんなジャンルのゲーム性が内包されていますよね。
齊藤氏:ヨコオさんはいろんな具材が入った定食を作りたいと話していますね。
――定食という意味では、「NieR」は音楽もかなり高い評価を得ています。本作でもサウンド面のこだわりはありますか?
ヨコオ氏:音楽はゲームにとってすごく大事なので、工夫して使いたいと思っています。そのひとつとして、BGMに合わせたボスバトルの映像が今回公開されたので、ぜひ見ていただきたいです。そういうチャレンジはいろいろ行っています。
齊藤氏:新曲もかなり評判が良いですね。それと同時に、やはり以前の「NieR」の世界観や曲が好きな人にも喜んでもらいたいと思い、ヨコオさんと岡部さん(岡部啓一氏:サウンドコンポーザー)に相談して、前作に出ていた曲をアレンジして使ってほしいとまさに話をしているところです。
――最後に、国内外で発売を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
齊藤氏:秋の東京ゲームショウ、あるいはその前に何か発表ができるかもしれませんが、まだまだお伝えしたい「NieR」の魅力はいっぱいありますので、ぜひ期待していただきたいです。アクションがカッコよすぎるので難しそうに見えてしまいますが、実際はアクションがあまり上手じゃない人でもスタイリッシュに動けるので、そこはぜひ期待していてください。
ヨコオ氏:僕の担当パートには期待しないでください。
田浦氏:ヨコオさんの担当パートに期待してください(一同笑)。
制作中の2Bの彩色前フィギュア原型も紹介!
(C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
※画面は開発中のものです。
コメントを投稿する
この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー