コーエーテクモゲームスが2017年3月30日に発売を予定しているPS4/PS Vita用ソフト「無双☆スターズ」。人気アクションゲーム「無双」シリーズの最新作でもある本作を発売に先駆けてプレイする機会を得たので、そのインプレッションをお届けしていく。
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滅亡の危機に瀕した世界を救うため、さまざまな世界から英雄たちが集結
「真・三國無双」シリーズ、「戦国無双」シリーズ、「アトリエ」シリーズ、「DEAD OR ALIVE」シリーズなど、コーエーテクモゲームスが誇るさまざまな人気タイトルから多数のキャラクター達が参戦し、夢の共演を果たすことが特徴となっている本作。無双シリーズの特徴であるシンプルな操作性で大量の敵をなぎ倒す「一騎当千」の爽快感はそのままに、多くの新要素が盛り込まれている。
同じく「無双」シリーズ内で夢の共演を実現させた「無双OROCHI」シリーズと通じるものは多いが、あくまでも「無双」シリーズの世界観の中に各作品のキャラクター達がゲスト参戦していたという印象が強い「無双OROCHI」と異なり、元作品のモデリングに近い姿で登場するため、様々な作品が共演するオールスター感をより味わえるようになっている。
特にアニメタッチな「アトリエ」シリーズや、「よるのないくに」のキャラクターと、リアルタッチな3Dモデルのキャラクター達が同じ画面で並ぶというのは、他のタイトルではなかなか見ることができない貴重な光景となっており、ゲームファンなら一見の価値ありだ。ストーリー面でも覗き魔と勘違いされて桜花に襲われる趙雲や、意気投合するホロウとプラフタなど、納得のものからツッコミを入れたくなること必至のものまで、バリエーション豊かなキャラクター同士の共演を堪能できる。
ゲーム全体の流れに沿って解説していくと、プレイヤーはゲームの開始時に難易度と最初に操作するキャラクターを選択することになる。初期状態で選択可能となっていたのは「趙雲」「真田幸村」「有馬一」「織田のぶニャが」「桜花」「かすみ」「レグリナ」「リュウ・ハヤブサ」「ウィリアム」「ソフィー」「アーナス」「リオ」と、それぞれの作品の主人公格である12人。
本作の舞台となるのは、ある不思議な力をもつ泉の力によって繁栄を遂げるも、その力を制御していた王を失ったことで滅亡の危機に貧している世界。世界を救うため、様々な世界から本作のオリジナルキャラクター「環」に呼び出された英雄達は、召喚の暴走により各地に散り散りとなってしまう。さまざまな英雄たちを集めながら、世界を救う方法を探る……のが主なストーリーの流れだ。
今回の筆者のプレイでは、周倉と共に見知らぬ世界へと飛ばされた趙雲が、呂布、王元姫ら同じ「真・三國無双」出身の面々と遭遇。その場ではなし崩し的に戦うことになるのだが、戦闘後には心強い味方となり、その後のイベントをこなしていくことで「桜花」や「ソフィー」、「ホロウ」などさまざまなキャラクターが加入していった。このように選んだキャラクターによってストーリーや加入するキャラクターの順番は細かに変化し、同シリーズ作品のキャラクターは早期に加入しやすい傾向がある様子。迷った際には、使用したいキャラクターが多い作品の主人公を選ぶのが良いかもしれない。
プレイヤーの拠点となる聖域では、キャラクターの強化のほか、英雄たちから依頼が発生することも
ストーリーモードの拠点として最初に立ち寄ることになるのが「聖域」と呼ばれる場所。聖域にはさまざまな施設が立ち並んでおり、その中の一つである「精錬所」では、「ヒーローカード」と呼ばれるアイテムの強化や売却が行えるようになっている。
ヒーローカードはそれぞれのキャラクターが1枚装備できるアイテムで、キャラクターの攻撃力を上昇させたり、攻撃に属性を付与させることができる。またカードによっては「自動で受け身を取るようになる」、「背後からの攻撃をガード可能になる」など、様々なカード効果が設定されているものもあり、精錬所ではステージをクリアした際などに獲得できる素材を使ってカード効果を付与したり、属性の効果を強化することができるようになっている。
今回プレイできた序盤の範囲では大きな恩恵は実感しにくかったが、ヒーローカードは従来でいう「武器」に相当する要素でもあるため、今後のやりこみ要素としてかなり重要となってくることが予想される。
なおヒーローカードはステージクリア後に戦闘に参加したメンバーに対応したものがランダムで獲得できるのだが、メンバーを固定していると、自然と使用しないカードが大量に出てくる。このカードはなかなかの金額で売却できるため、余ったカードを売却するのはゲーム序盤の金策としてかなり有効だと感じられた。
カードには、長く装備していくことで上昇する「愛着度」というステータスもあり、 長く使い込めば使い込むほど、より性能も強力なものになっていく。 強力なカードを入手できた場合、現行の愛着度の高いものとどちらを優先するか、頭を悩ませることになりそうだ。 |
カード3枚を組み合わせて、まったく新しいカードを作成することも可能。 ギャンブル要素は強いが、強力なカードが欲しければこちらに賭けるのも手だ。 |
さらに聖域内には、「酒場」「宿舎」などの施設で仲間にしたキャラクター達が過ごしており、意外な一面やキャラクター同士の会話を見られるという楽しみも存在する。聖域で過ごすキャラクターに話しかけると、稀に選択肢が発生することもあり、正しい選択肢を選べれば、「友好度」と呼ばれる数値が上昇する。これはネオロマンスシリーズで採用されていたシステムをオマージュしたもののようだ。
友好度は、仲間として加入する全てのキャラクター同士で設定されており、台詞の変化や会話イベントが発生するストーリー的な要素だけではなく、ステータスの上昇などの効果を得られる「友情アビリティ」の開放条件にも関わっている。友情アビリティはかなりの種類が容易されており、多くのキャラクターとの友好度を上げれば上げるほど、そのキャラクター自身も強化されていくようになる。
仲間となったキャラクターから「1ステージで一定数敵を撃破」などの依頼が提示されることもあり、それらをこなすことでも友好度は上昇する。依頼を達成すると、報酬としてかなり強力な性能のヒーローカードも入手できるようになっていたため、使用頻度が高いキャラクターの依頼は優先的にこなしていくのが良いだろう。
聖域の外に広がる、ワールドマップの探索も新しい要素だ。ワールドマップ上には、新たな仲間が加入する「ヒーローバトル」、一撃でも攻撃を受けるとゲームオーバーとなる「デスマッチ」など高難度の「チャレンジバトル」、キャラクターたちの特別な競演を描く「ドラマティックバトル」などのさまざまなバトルが配置されている。聖域から遠く離れた場所は薄暗く表示され選ぶことができないのだが、フィールド上に配置されたバトルをクリアしていくことで、徐々に探索できる領域が広がっていく。
カーソルで向かう場所を選択するというシンプルな方式ながら、制限時間内に選択しなければ消えてしまう突発的なイベントが発生したり、宝箱の発見や仲間のキャラクターがアイテムを見つけてきてくれるといったランダムイベントも豊富に用意されているため、RPGでワールドマップを歩いている時のような感覚で探索できる。
バトルの中には、特定のキャラクターの加入や別のバトルのクリアが発生条件となっているものもあり、その条件も確認できるため「このバトルを開放するには、このキャラクターを仲間にしてからバトルをクリアして……」といったように、逆算しながら計画を立てていくのも楽しい。
条件の中には「あるバトルをクリアしない」というストーリー分岐的な要素もあり、どのバトルを優先してクリアしたかによって結末が変化するマルチエンディング方式が採用されている。その分1回のエンディングを迎えるまでプレイ時間はやや短めで、サクサクと周回プレイができるようになっており、思わず全てのエンディングを確認したくなるような作りとなっていた。
夢の共闘を実感できる個性的な新要素により、戦闘システムは大きく進化
聖域の外に出ると、さまざまなシチュエーションでの戦闘がプレイヤーを待ち受けることに。本作の戦闘は、広大なフィールドに存在する敵を倒しながら拠点を制圧し、敵の総大将の撃破を目指すという「無双」シリーズお馴染みの流れを踏襲しているが、新たに追加された新要素も非常に豊富。
もっともゲームプレイに大きな影響を与えているのが、「ブレイブ」と呼ばれる、通常のレベルとは別に存在するシステム。これは10段階に分けられた、一回の戦闘中でのみ有効なレベルとでも言うべきもので、プレイヤーだけではなく、戦場に存在するボス級のキャラクターにも設定されている。
ブレイブをもつキャラクター同士の戦闘には、かなり強力な補正が掛かるようになっており、例えば自分がブレイブ1の状態でブレイブ5のボスキャラクターに戦いを挑む場合、こちらの攻撃はほぼ通らず、敵からの攻撃は大ダメージという、圧倒的不利な状況で戦わざるを得なくなる。特に総大将はブレイブが高めに設定されているため、従来の「無双」シリーズでしばしばあった、戦闘が始まったら即単機で敵陣に突入して、総大将だけを倒して速攻でクリアしてしまう……といったプレイは難しくなった。
とはいえブレイブは、多くの敵を倒す、拠点の制圧、戦闘中に発生するサブミッションを成功させるなどさまざまな行動で上昇していくようになっており、筆者が普通にプレイした限りでは、ステージ終盤には最大値である10前後になっていることが多く、ブレイブを上げるために回り道を強制させられているような煩雑さは感じなかった。この状態となると、ブレイブが低い敵に対しては、例えボスキャラクターであろうと一瞬で倒せてしまうほど攻撃力も高くなるため、まさに爽快感抜群の「無双」感を味わえるようになる。
道中の兵士達を倒したり、拠点を制圧していくことの重要性がかなり上がった一方、ボスを放置していると味方に甚大な被害が出てしまうため、どこまでブレイブを上げた状態でボスに挑むかという駆け引きが熱い。自分よりも高いブレイブのボスと遭遇してしまった場合、一度撤退してブレイブを上げてから改めて挑んだほうが結果的に短時間で倒せるということも多く、プレイヤーの判断力が問われるシステムだと感じた。
本作ならではの、英雄たちの共闘感を体験できるシステムも多数追加されている。
まず本作では、自分が操作するキャラクターであるリーダーに加えて、そのサポートを行う4人のメンバーを選択し、一つのチームとして出撃することになるのだが、その際にリーダー以外の4人が使用できるのが「ヒーロースキル」と呼ばれる特殊能力。
本作のキャラクターには、一人一人異なるヒーロースキルが設定されており、その効果は直積攻撃を行うものから能力の強化、回復、アイテムの出現とさまざま。一度使用したらしばらくの間は再使用できなくなるものの、ヒーロースキルは自分がどんな状態でも発動することができるのが強みで、攻撃を受けている最中にヒーロースキルを使用して仲間を呼び出し、攻撃を止めてもらうという使い方が特に効果的だと感じられた。
中でも自分に一定時間無敵状態を付与する桜花のヒーロースキル「天岩戸」は、攻撃を確実に防ぐことができるため抜群に使いやすく、一回の被弾が命取りとなる高難度のステージ攻略に役立ってくれそうだ。
ヒーロースキルには特定のキャラクター同士を組み合わせることで使用できるようになる「合体スキル」も用意されており、桜花の「天岩戸」なら、王元姫の「慈愛の言」との合体スキル「慈愛・天岩戸」(無敵状態になると同時にHPが回復)が使用できる。二人分のヒーロースキルを同時に使用してしまうリスクはあるものの、その分効果はどれも非常に強力なものとなっている。個々のスキルの使い勝手を優先するか、合体スキルを使えるコンビを選ぶのか、チームとして最適の組み合わせを考えるのに頭を悩ませることになるかもしれない。
またヒーロースキルは、戦闘中にブレイブが一定数に達すると、自動的に覚醒スキルへと変化し、その効果がパワーアップする。覚醒に必要なブレイブ数もキャラクターによって異なっており、例えば呂布であれば覚醒にブレイブが8必要な代わりに(5がもっともオードソックスな値)、効果も非常に強力。キャラクター一人につき、通常・覚醒・合体と、3種類のスキル効果が設定されているので、例えリーダーが同じでも、選んだメンバーの組み合わせにより戦い方はガラリと変化する。
□ボタンでの通常攻撃と、△ボタンによる強攻撃の組み合わせたシンプルな操作で、さまざまな攻撃を繰り出せるのも従来の「無双」シリーズと同様。加えて本作では、「ヒーローコンボ」と呼ばれる攻撃が新たに追加された。
このヒーローコンボは、4~6回目の強攻撃の最中に通常攻撃ボタンを押すことで、チームメンバーが現れ、自身と一緒に攻撃を行ってくれるというもの。連続使用ができないヒーロースキルとは異なり、ヒーローコンボは何回でも使用できる上にデメリットが存在しない。実質的に攻撃回数が1回増えるようなもので、これを連発しているだけでもあっという間に敵を倒していくことができるほど強力で、とにかく使っていて気持ちいい。
残る新要素である「ヒーローチェイン」は、一定時間、リーダーからメンバーに操作を移すことができるというシステムで、「無双OROCHI」シリーズのキャラクターチェンジに時間制限がついたものを想像してもらえばわかりやすい。ただし、ただ制限がついただけではなく、ヒーローチェインを使用すると、それまで自分が操作していたキャラクターが真横に張り付くように追従して行動し、操作キャラクターと同時に攻撃を行ってくれるようになるという特徴がある。
しかも一度発動したヒーローチェインの時間が終了する前に、再度ヒーローチェインを使い別のキャラクターに操作を移せば制限時間が回復し、数珠つなぎにその人数が増えていくようになっており、4回分操作を切り替えれば、最終的にリーダーを含めた5人のキャラクターが横並びで同時攻撃を行ってくれるようになる。
攻撃速度が遅めだったり、大量の敵を相手にするのがやや苦手というリーダーには不向きなキャラクターも、ヒーローチェインでボス戦の切り札として運用することもできるので、キャラクターの個性を活かすための自由度が大きく広がった。ただ、同キャラクターのヒーローチェインとヒーロースキルはクールタイムが共通のため同時使用ができないので、どちらを優先して使用するべきか、戦況に応じたプレイヤーの判断力が問われることになるだろう。
フィーバースターと呼ばれるアイテムを所持していると使用できるようになる「無双フィーバー」は、使用すると一定時間の間無敵状態となることができる、本作最大・最強の必殺技。ボス戦で使うのはもちろんだが、フィーバー中は周囲に大量の敵が出現し、撃破数を一気に稼げるため、主にブレイブを上昇させるのに役立ってくれる。
また面白いのが、フィーバー中は画面下にチームメンバーとして選んだキャラクターたちが表示され、操作キャラクターに対して声援や攻撃で支援を行ってくれる点だ。様々なキャラクター達が自分の活躍を褒めたたえてくれるのは純粋に気持ちいいのに加え、映像的にも非常にコミカルで、思わず笑ってしまうような楽しさがあり、従来の「無双」にはないお祭り感を味わうことができる。
ただし使用中は背景が暗くなり、大量のキャラクターが表示される分、やや画面が見づらくなってしまうので、ボス戦で使用する時には注視カメラを活用し、できるだけ敵を見失わないようにするのが重要になってくるとも感じられた。
プレイヤーにとってありがたいのが、戦闘中ゲームオーバーとなってしまった場合に、そのステージ内に設けられたチェックポイントからやり直せるようになったという点(シリーズでは「ゼルダ無双」などでも採用されていた)。
1ステージのプレイ時間が長めの「無双」シリーズでは、ステージ終盤に総大将などがやられてしまい、1からやり直すのに心が折れそうになる……という経験をしたプレイヤーも少なくないと思うが、本作ではメインミッションが進んだポイントからやり直せるようになったので一安心。高難度では一回のミスで即死してしまうということも珍しくないだけに、再挑戦が容易となったのは嬉しい変更点だろう。
そんな数多くの新要素の中の筆者のお気に入りは「ヒーローコンボ」。面白いのは、ヒーローコンボを発動させても操作キャラクターが繰り出した攻撃はそのまま継続され、モーション中の任意の発動タイミングで仲間たちを出現させられるという点。同時にダメージを与えるだけではなく、わざと発動を遅めにし、強攻撃で撃ちもらした敵へのフォローをしてもらう……といったテクニカルなプレイも可能になっており、プレイヤーの使い込み次第でさまざまな活用法が生まれそうな要素だと感じられた。
ヒーローコンボが優秀すぎるあまり、強攻撃の1~3の使用頻度が低めになってしまいがちなのはやや残念なところだが、ヒーローコンボの恩恵をフルに受けるには、キャラクターのレベルを上げて5~6段階目の攻撃技を開放する必要があるため、育成を進める際のモチベーションとしても役立つ要素だと感じられた。
従来からは雰囲気は大きく異なっているものの、「無双」シリーズの最大のウリである「一騎当千」の爽快感は本作でも健在。細かい部分でも、攻撃モーションがボタン一つでキャンセルできるようになっていたり、馬がいなくなった代わりにダッシュへ移行する時間が短くなるなど、痒いところに手が届くような改善も加えられており、「無双」シリーズのファンなら楽しめることは間違いない。
一方でそれ以外のプレイヤーにも、本作では一部を除いたほとんどのキャラクター同士が初対面ということもあり、事前知識が必要ない分、ストーリー面では従来よりも取っ付きやすくなっている。「歴史にあまり詳しくないから……」などの理由で「無双」シリーズを敬遠していたという読者(特に「無双」シリーズ以外のコーエーテクモ作品のファン)には、是非とも本作をプレイして、その抜群の爽快感を体験してみて欲しい。