ソニー・インタラクティブエンタテインメントが発売を予定しているPS4用ソフト「グランツーリスモSPORT」。アメリカ・ロサンゼルスにて開催中の「E3 2017」において、山内一典氏によるプレゼンテーションの模様を紹介する。
リアルドライビングシミュレーターと銘打たれた「グランツーリスモSPORT」は、圧倒的な描画力と緻密に設計されたディテールによって、本当にリアルな車を描き出し、“車を運転する楽しさ”をゲームで再現。今回のプレゼンテーションでは、本作のプロデューサーを務める山内一典氏が登壇し、本作における徹底的に追求した車の表現力を語ってくれた。
冒頭、山内氏は自然界には明るさの違い、ダイナミックレンジが存在すると説明。本作では、まず自然界に溢れる光のすべてをデータキャプチャーして、その後にレンダリングなどのアウトプット作業が行われると語った。また、これらすべての工程がHDRのワークフローで行われている。
「グランツーリスモ」の魂とも呼べる部分――それは“車そのもの”だと思われがちだが、山内氏はずっと以前から変わらずに“光”であると言い切った。光の当たり方による物の見え方や明暗の差、そういった部分をよりリアルにするために、これまでさまざま努力と技術を積み重ねてきたという。なので、このHDRの技術に真っ先に山内氏が飛びついたのは、半ば自然なことであると語った。
例えば本来のフェラーリの赤色というのは、普及しているカラービットの外にあるのだという。デジタルカメラやPCのディスプレイ、あるいはテレビの液晶などでは、この“本来のフェラーリの赤”というのは再現することができなかった。しかし、本作とHDRの性能を組み合わせることによって、現実に最も近いフェラーリの色を再現することが可能になったそうだ。
そんな「グランツーリスモSPORT」を、筆者は今回実際に会場で試遊してみた。しかも、ただのコントローラーではなく、ハンドル型の専用コントローラーで、だ。
会場に用意された試遊台は、実際の車のようにハンドルを切って操作することができ、アクセルやブレーキも完備。さらに、ドライビングシートも前後に動かすことができた。もう、機能だけみればほとんど実車と変わらないだろう。
山内氏が語ってくれたように、確かに、光の表現に注力した本作のリアリティはほかのゲームの表現力と一線を画すものがあると感じた。それは車の表現だけはない。光に注力するということは、空の明るさや道路の照り返し、つまり視界に映るあらゆるものの描写がよりリアルに感じられるのだ。
本作をプレイして、描画以外に特にこだわりを感じた部分がもう一つある。車の出す“音”だ。加速する際のエンジンの唸り声や、タイヤが地面をする僅かな音が、描画力と合わさってプレイヤーの臨場感をさらに掻き立ててくれていた。
最後に山内氏は、本作が掲げる“SPORT”という言葉について、氏の考えを明らかにしてくれた。まず前提として「e-Sportsを意識して付けたわけではない」と前置き、「僕が元々考えていた“SPORT”には、2つのアクセプトがあります。一つは、NBAやウィンブルドン、あるいはオリンピックのような人生のすべてを捧げて戦うトップ オブ トップのスポーツの世界。一方で、例えばジョギングやストリートバスケのような、それをすることでちょっとだけ自分の人生が豊かにしてくれるようなスポーツが、この『グランツーリスモSPORT』には入っているのです」とコメントした。
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