「これぞ!」という女性向けコンテンツについて語っていく連載企画「おとめげ!」。第12回ではPS Vita用ソフト「蝶々事件ラブソディック」についてお届けします!

「おとめげ!」は、イケメンと可愛い女の子をこよなく愛するライターが、さまざまな乙女コンテンツをご紹介する連載企画です。今回は講談社のコミック雑誌「ARIA」とアイディアファクトリーの女性向けゲームブランド「オトメイト」、さらにレッド・エンタテインメントがコラボレーションした「蝶々事件ラブソディック」についてお届けします!
「蝶々事件ラブソディック」ここがポイント!
- 耽美な世界を舞台に描かれる、ミステリー要素も内包した物語
- 多くの謎を秘めた登場人物たちと、それが明かされていく過程
- 素敵な男性との恋愛はもちろん、女学校での姉妹関係も楽しめる!
「蝶々事件ラブソディック」とは?
講談社のコミック雑誌「ARIA」とオトメイト、さらにレッド・エンタテインメントの3社がコラボレーションし、2017年11月30日に発売された作品。昭和五年、一人の少女が横濱を訪れたことをきっかけに起きる怪奇事件の真相に迫っていく。
メイン攻略キャラクターは狐射堂 遙(CV:村瀬 歩)、神藤将成(CV:小野友樹)、シドニー・ワトキンス(CV:諏訪部順一)、源イ織(CV:松岡禎丞)、神藤理智(CV:浪川大輔)。キャラクターデザインを担当した硝音あや氏が先行して「月刊ARIA」でコミックを執筆し、ゲームとは異なる展開を描いている。
少女を巡る怪奇事件の真相を追う
本作の舞台は、昭和五年の異国情緒溢れる横濱。金沢で暮らす身寄りのない少女・香月えれなの元へ、名門と名高い「イエーヴァ女学校」からの編入案内が届きます。希望を胸に横濱を訪れ、穏やかな日々を送っていたのも束の間。人ではない存在「非徒(あらず)」によるものと噂される女学生の惨殺死体が見つかり、否応なしにこの怪事件へ巻き込まれることに。それは、えれな自身も知らない彼女のもつ“香り”が深く関係していたのでした……。
そんな中、少女と運命的な出会いを果たす5人の青年。彼らとの交流を重ねていくうちに事件の黒幕や亡くなった両親の過去、非徒の真相など、横濱という地でうごめく多くの謎に迫っていくこととなります。攻略対象キャラクターを一人クリアしていくごとに少しずつ全体像が明かされていくので、一気に読み進めたくなりました。伏線も張り巡らされているので、ちょっとした言動にも気を配るとより楽しめます!
また、横濱という地が異国のような雰囲気で描かれており、どことなく妖しげで幻想的な空気が漂うのも本作の魅力。女学校での秘められた姉妹関係「エス」や、洋館で行われる煌びやかなパーティ、数々の宝を狙う怪盗騒ぎなど、事件以外にも非日常的な展開が待っていて、しっかりと作り込まれた世界観にもついのめり込んでしまいました。もちろん、男性たちとのロマンスもちゃんと用意されていますので、お楽しみに!
さまざまな“秘密”を抱える登場人物をチェック
それでは、登場するキャラクターについてご紹介していきましょう。主人公の香月えれな(名前変更可/ボイスなし)は異国の血が入った少女で、瞳や髪の色のせいで好奇の目に晒されてきました。序盤から「色々と大変だったんだろうな……苦労もあって辛かったんだろうな……」とひしひしと感じられるのですが、それでも真っ直ぐ過ぎるほど素直で良い子だなと思える場面があって、攻略キャラクターでなくともそのいじらしさにキュンとしてしまいました!
そんな彼女が出会うのは、これまた一筋縄ではいかないような男性ばかり。何かを隠しているような空気や近寄りがたい雰囲気、近づいてみて初めて気づく違和感など、手を伸ばしていいのか迷うようなタイプが揃っています。攻略ルートとそれ以外ではかなり印象の異なる相手もいたので、繰り返しになりますがしっかり全員遊んでみてください!
攻略キャラクターの一人、狐射堂 遙とはイエーヴァ女学校で出会います。凛とした美しさと華やかさを備えた横浜歌劇団のトップスタアで、学園のマドンナ的存在として周囲から羨望の的となっていました。主人公は寮で同室になったことをきっかけに疑似的な姉妹関係「エス」となり、遙を姉と慕います。ちなみにこれは「sister」の頭文字をとったものと言われ、現実の女学校にも実際にあった文化。「エス」を題材にした文学も多数ありますよ。
そんな遙の正体は平安時代から続く陰陽師の一族・狐射堂家の当主で、性別や身分を隠しながら独自に非徒を追っています。やがて主人公をめぐり、軍と協力することになりますが……。彼が女装をしているのにも深い事情があり、少しずつ明らかになる事実にはかなり驚かされました。詳しくは是非、本編をご覧ください!
それはそれとして、遙は女性の姿と男性の姿では全く雰囲気が変わりますが、どちらも村瀬さんが好演しています。何も知らなければ本当に女性が演じていると信じていたと思うような、繊細な演技は本当に素晴らしい! 正体が明らかになるにつれてカッコイイ感じのボイスが多くなりますが、序盤に多い女性的なボイスはスキップが勿体なくて何度プレイしても聞いてしまいます。
海軍のエリートである神藤将成はその立場や時代背景もあってか、かなり女性に対して高圧的。主人公でなくとも「ちょっと怖い!」と思わずにはいられませんが、そんな態度が少しずつほぐれていく過程が見どころです。自分にも他人も厳しい人物ですが、それもひとえに軍人として日本という国を大切に思っているからこそ。そんな強い想いが主人公にも向けられた時は、かなりグっとくること間違いなしです!
彼も特務機関として非徒を追い、遙とも協力しながら事件の解決を目指します。しかし主人公を大切にする遙と、事件解決を最優先とする将成では意見がなかなか合わずに喧嘩も絶えません。そんな2人が協力するまでも見ものですし、何よりポイントとなるのは、主人公と将成にはもともと“ある繋がり”があったことです。これはストーリー序盤に発覚しますが、硬い態度を崩さない将成がだいぶ驚いた表情をみせたのがとても印象に残っています。実は結構可愛いところも多い将成なので、怖がらずに攻略してみてください。
シドニー・ワトキンスは英国人のジャーナリストで、非徒に襲われたところを助けてくれた恩人として出会います。とはいえ、いきなり逢引きに見せかけるのはどうかと思いますけどね……! 彼のスマートなフェミニストっぷりは「シドにときめかないプレイヤーはいるのか!? いないだろ!」と思うくらい、凄まじいものがあります。存在するだけでカッコイイって、本当にずるいですね。
そんな彼の存在が主人公の中で大きくなっていくにつれ、ジャーナリストだけではないさまざまが顔も見えてきて……。遙とは少し違いますが、色々なビジュアルを楽しめるのもポイントです。その分、本当の姿や気持ちはどこにあるんだろうと主人公と一緒になって悩んでしまいますが、最後まで信じ抜きましょう! なお彼のルートに登場する、息を吐くように口説いてくるサブキャラクターのユアン・カーゾン(CV:天﨑滉平)も注目です!
日本有数の財閥の一つ、源一族の人間で、イエーヴァ女学校を創立した学園長でもある源イ織。一見主人公よりも年下に見えますが、実は将成の兄・理智と同級生の24歳だというのですから驚きます。正直なところ出会いの印象はお世辞にも良いとは言えず、他のルートを攻略している時は「イ織の気持ちが全然分からないけど、大丈夫かな……?」と少々不安も覚えました。
でも彼のルートに入ってこれまで見えなかった部分が見えたら、それまでの印象が大きく変わりました。すべてを肯定することはできませんでしたが、きちんとイ織に向き合うことができる、向き合いたいと思えるような……そんなルートという印象です。色々と翻弄されることの多い人物でしたが、そんなところも魅力ですよ。いわゆる“籠の鳥”みたいな展開が好みの方にオススメです!
帝大の生物学助教授で、華族・神藤家の長男である理智。弟の将成とはまったく異なる穏やかな雰囲気で、横濱に着いたばかりで右も左も分からない主人公にも優しく接してくれます。彼のルートは必ず最後になるのですが、他のルートの裏側ともいえる部分もあって非常に興味深かったです。
他の4人のルートでも登場するものの、理智はそこまで印象に残りません。そのため、どんなルートになるかあまり予想がつかないまま始めたら……衝撃的な事実のオンパレード! 思い返せばそんな言動もあったといえばあったのですが「そうくるか!」という感じで、どんどん「彼のことが知りたい!」と深みにハマっていってしまうのが悔しいくらいです。
個人的に一番思い出深いのは主人公と理智のデートのような一幕で、乙女ゲーム定番のイベントくらいに思っていたのですが、後々さらっと言われた事実に「そういう理由でアレを選んだの……」と変な声が出そうになりました。ギャップ萌え、みたいなジャンルとはちょっと違う気もしますが、二面性を持ったキャラクターが好きな方にはぜひ体感してほしいですね。
細部まで練り込まれたストーリーが展開する「蝶々事件ラブソディック」。ARIAの公式サイトではゲームとはまた違う流れのコミック版の試し読みもできるので、こちらもぜひチェックしてみてください!
(C)2017 IDEA FACTORY/RED/講談社
※画面は開発中のものです。
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