「刀剣乱舞-ONLINE-」と「モンスターストライク」のプロデューサーが、ゲーム作りやプロデュース業について大いに語る

「刀剣乱舞-ONLINE-」と「モンスターストライク」のプロデューサーが、ゲーム作りやプロデュース業について大いに語る

担当:

DMM GAMESとXFLAGは2018年2月1日、東京・六本木にてゲームプランナー向けのコラボイベント「【DMM GAMES×XFLAG】ゲームプロデューサーが描く、これから。」を開催した。

DMM.comグループはさまざまなテーマを題材に登壇者、参加者がともに学び、楽しめるイベント「DMM meetup」を開催している。今回は「ゲームプロデューサー」をテーマにDMM GAMESとXFLAG スタジオがコラボ。DMM GAMESエグゼクティブプロデューサーの花澤雄太氏と株式会社ミクシィ取締役 XFLAG スタジオ モンスト事業本部長の多留幸祐氏が対談を行った。

「刀剣乱舞-ONLINE-」、「Lord of Walkure(ロードオブワルキューレ)」などを手がけてきたDMMきっての「エバンジェリスト」と紹介された花澤雄太氏。もっとも当人は「エバンジェリスト」という単語の意味を分かっておらず、多留幸祐氏が解説するところからトークが開始された。ちなみに、「エバンジェリスト」とはキリスト教における伝道師のことで、ここでは「ゲームの魅力を単にPRするというよりも、深い意味まで広く発信・紹介していく人」というような意味合いになる。

そんな花澤氏だがマジシャンをしていたこともあるという異色の経歴の持ち主で、かつて家庭用ゲームの企画・開発に携わるかたわら、レストラン等でマジックを披露していたこともあったそうだ。一方の多留氏もバンド活動をしていたというユニークなキャリアを経ており、その後はインターネット事業やスマートフォンアプリの制作などに従事。ゲーム制作に携わるようになったのは「モンスターストライク(以下、モンスト)」からで、現在は「モンスト」に関わる全部門を統括している。

会場は六本木グランドタワーのDMM グループセミナールームで、多くのゲーム関係者が来場した。

それではイベントの模様を紹介していこう。まずはDMM GAMESとXFLAG スタジオのこれからの目標をそれぞれ簡単に説明。花澤氏はIPの内製強化を第一の目標に掲げ、同時に「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」を中心としたeSportsのイベントにも力を入れていきたいと表明した。また、アジアをはじめとする海外展開にも注力していきたいとのことだ。

多留氏も花澤氏のコメントに同意を示す一方で、改めて語ったのは「モンスト」に関する事業。「ただのスマートフォンのゲームで終わらせるのではなく、IPとしてもっと大きく育てていきたい」と更にチャレンジし続けるとの決意を新たにした。また、ゲームに留まらない体験を提供すべく、リアルイベントやマーチャンダイジング、アニメなど、エンタテインメントコンテンツ全般で勝負していきたいと意気込みを語った。

即断即決のDMM、渾身のホームランを狙っていくXFLAG
DMM GAMESの花澤雄太氏。

次のテーマは新規案件立ち上げのフローについて。花澤氏が強調したのがDMM GAMESの決断の早さで、2週間に1回くらいの割合で役員会があり、そこでプレゼンを行っているのだが、早ければ3分で案件にOKが出るそうだ。というのも、会社のトップがチェックするのは、どの制作会社と協力するか、予算はどのくらいか、どの市場に向けていくのかなどの実現性の部分で、ここがしっかりしていればゲームの内容はさほど問われないのだという。ゲームの内容に関してはプロデューサーにほぼ任せてくれるので、その分責任は大きいが「プロデューサー冥利に尽きる」と花澤氏は語っていた。

つまり、会社としての縛りは「ビジネスとして成功する」ということだけで、どう成功させるかは、それぞれの部やプロデューサーに委ねられているというわけだ。企画の進め方や方向性なども部署によって異なっていて、自分に合わないという場合は別の部署に移ることも可能だという。ゲーム部からアニメ部に移るなどの社内転職も可能で、そういう幅の広さがあるとも花澤氏は説明した。

一方、XFLAGの場合は「みんなで一緒に楽しめるゲームしか作らない」というスタジオとしてのコンセプトがあると多留氏は述べる。つまり、フェイス・トゥ・フェイスのマルチプレイが中心となるゲーム以外は作らない、ソロプレイオンリーのゲームは絶対に却下されるのだという。これは「モンスト」で蓄積したナレッジを自社の強みとして勝負していくというビジネス上の戦略で、このコンセプトを実現できるものであれば、企画における自由度は高い。

XFLAG スタジオの多留幸祐氏

経営会議ではα版、β版、リリース直前の3段階の承認を得ることが必要で、β版まで作りながらリリースしなかったというものもある。厳しい審査が重ねられているという印象だが、パッケージゲームと違って運営型のゲームはリリースしてからが本当の戦いで、運営中のゲームにリソースを集中する必要がある。そのため、少しでも迷いのあるものは出さないという判断を下す必要もあると多留氏は説明した。

さらに、多留氏は「ボクらはホームランしか狙わない」、「ヒットは狙わず、すべてフルスイングでやっていく」とスタジオとしての方針を表明。マルチゲームの開発は大変で、なかなかすぐに実績を上げられるものではない。だからこそ渾身の一発を狙っていくことが必要で、次にホームランが打てるのは10年先かもしれないが、無難なヒットは狙わず、フルスイングであれば三振も恐れない。その方が最終的に市場において勝てる確率が高いと考えているとのことだ。また、開発側との意思の疎通も重視していて、XFLAGでは業務委託パートナーのメンバーにも同じ社屋に常駐してもらい、社員と席を並べて仕事をしてもらうことでXFLAG スタジオの戦略コンセプトを共有するようにしていると述べた。

花澤氏の場合は外部の開発会社と組むとき、他社の強みをいかに活かすかという部分に心を砕いているそうで、たとえば3D制作の強い会社に任せる場合は3Dのゲームを提案するなど、「この会社と組むならこれだよね」というコンセプトの決め方をしていることが多いという。また、そういう機会がきたとき「御社と組むなら、いい企画があります」と言えるように、部の者には常にいろいろな企画を提案してもらっていて、また自分自身もアンテナを張っているとも話していた。

続いて「ゲーム以外の展開」が話題に。「モンスト」ではたこ焼きチェーン「銀だこ」とのコラボ(※)などが話題になったが、こうした仕掛けは非常に重要だと多留氏は説明する。このような施策について多留氏は、「ゲームをプレイすることで“リアルの生活”でもいいことが起きるように仕掛けていきたい」と語る。また、リテンション効果もあり、ユーザーの復帰にも繋がっているとのこと。つまり、難しいクエストではなく「誰でもいつでも帰ってこられるイベント」の位置づけであり、これらのコラボをきっかけに「周囲の友達とまた一緒に遊ぶ」流れで、ユーザー数も非常に多くなる施策になっていると話す。

※期間限定のクエストでのみ入手できるモンスター「銀だこオラゴン」を運極にすると、「銀だこ」のたこ焼と無料で引き換えられるギフト券が99%の確率で当たる抽選にチャレンジできるというもの。

XFLAG スタジオの会社のロゴにある「B.B.Q.」はバーベキューのことだとか。
バーベキューは肉の質に関係なく、その場にいること自体が楽しい。
集まっている空間そのものが重要で、そういう場を創っていこうというXFLAG スタジオの戦略コンセプトを表しているのだという。

花澤氏は「刀剣乱舞-ONLINE-」の2.5次元ミュージカルに言及。初めは花澤氏もよく知らないジャンルで、これをやる意味があるのかと疑問に思う部分もあったというが、実際に舞台のクオリティの高さや来場者の熱を感じ、これは大きくなっていくと確信。同時に、ゲームの枠を超えたエンタテインメントプロデューサーになっていかないといけない、そのためには自分自身も新しいことに対応できるように幅を広げていかなければいけないと痛感したそうだ。

この点には多留氏も同意で、いろいろチャレンジしていかないと変わらない。チャレンジし続けることで新しい価値が創造できるし、文化も変えていける可能性があることはとてもやりがいがあるとコメント。花澤氏も未知のことへの挑戦が成長に繋がる、成長がないと同じところを守り続けるだけで先細りしていくと持論を述べた。

コンセプトを立て、人を集めて、適所に配する

海外展開もテーマに上がった。昔は日本産のゲームを海外に、海外でウケたゲームを日本にというのが基本だったが、最近は日本向けのゲームを中国の開発会社が手がけるなどシームレスになってきていると花澤氏は説明。そうした会社と協力しながら日本と世界の両方にウケるもの、あるいは一部の機能を変えるだけで日本向け・海外向けにシフトできるものなど、市場を広く見ながら作っていく必要があると述べた。

ことに中国の市場はとてつもなく大きく、ちょっとしたゲームでもユーザー数が数万に達したりするなど日本とはケタが違うと花澤氏も多留氏も語る。とはいえ、1億人のユーザーをさばくのはサーバー技術ひとつとっても、やはり容易ではなく、実際に動かしてみないと分からない部分が多いだけに「恐ろしいな」と思うこともあるという。また、日本の場合はできるだけ長く続けることを考えるが、中国では短期で終わってもいいから一気に回収しようとすることが多いなど、ゲームビジネスへのスタンスが異なっている部分もあり、決して簡単ではないそうだ。

「モンスト」の北米や中国での展開も話題に上がった。多留氏らは文化の差はときに困難な一面もあるとしながらも、「モンスト」のコンセプトを重視して「各国地域や文化に応じたローカライズはするがカルチャライズはしない」「ゲームの核となる部分の魅力で勝負する」というスタンスで臨んでいるそうだ。はじめはそれで成功しなかったとしても、いずれ「モンスト」のようなゲームを受け入れる文化を海外でも創れる可能性がある。だから、何年かかったとしてもやり続ける、僕らはこの戦い方にこだわっていくと多留氏は強調していた。

最後のテーマはプロデューサーという仕事について。花澤氏がプロデューサーとして意識しているのは適材適所で、適しているところに適した人を置くのが成功確率を上げると思っているのだという。ただ、やりたいこととやれることは違うのも事実で、自分も今ではマネジメントの仕事を面白いと思っているが、当初はこちらの方に進みたいと考えてはいなかったそうだ。そうした自分の経験を踏まえ、まずはやりたいことをやってもらう、なんなら違う部署に移ってくれてもいい。そうして、いつか適所にハマってくれればと理想を語った。

多留氏はプロデューサーとはコンセプトやビジョンを決められる人で、そのコンセプトを誰よりも理解し、どのような対策を講じてでも実現しようとするマインドのある人だと定義。その上で、メディアミックスやミュージカルなど、コンセプトの魅力を広めるために、いろいろなことをイメージできる、固定概念に捉われることなく考えられる人が向いているのではないかと述べた。

花澤氏もエンタテインメントビジネスとして成功することが必要で、方法論は無限なので広い視野で見られることがプロデューサーは大事と説明。そして、それらを得意とする人たちを集めて、協力してもらうのが成功の一番の近道で、そのためには自分が思い描いていることを伝える説明能力が重要だと強調した。

多留氏も同様の意見を述べつつ、XFLAGの特徴として新規案件を立ち上げる際には予めチームメンバーをアサインするのではなく、プロデューサー自身にコアメンバーを集めさせるという流れで進めているのだという。つまり、プロデューサーが自らコンセプトを説明し、その魅力に付いてくるメンバーを集める。そうしてチームのコアメンバーが最初からコンセプトに共感できていれば、無駄な議論をせずにスムーズに進められるというわけだ。

DMM GAMESも似たことを考えていて、年に1回DMM社内で企画コンテストを開催していたのだが、花澤氏によると今年からエンジニアやデザイナーなども加えた3人ぐらいのチームで、モック(試作)的なものを作って出場する形になったそうだ。

そもそも企画というのは人に見せなきゃダメというのが花澤氏の持論で、たとえイラストひとつでも「○○さんに協力してもらった」ものなら、企画を実際に見せて人を動かすことができたということになる。つまり、ゲームだけを見るのではなく人を、ビジネスを見られるということで、そうした能力が重要だと花澤氏は言う。また、そうした能力が最終的には、「この人はここだよね」という適材適所につながると多留氏も考えているとのことだ。

結局、ゲーム制作はチームで行うもので、プロ野球でいうならチームで優勝を目指すようなもの。それには、それぞれが一番力を発揮できるところで活躍することが大事で、結果的に優勝したら全員の年俸や、個人の評価も上がる。逆に、優勝できなければホームラン打者であったとしてもあまり評価はされない。だから、適材適所が重要で、自分が一番向いているところで活躍する人を、物理的に評価することが必要になると多留氏は語った。

もちろん、人生は1回きりなので適性は別にして好きなことをやるというのも全然アリだと花澤・多留両氏。その場合は「ウチのチームではプレイできないね」ということもありうるとしつつ、人生はそれぞれの人のものだからと改めて理解を示した。

そうしたチームにおいてプロデューサーは監督というべきものだが、優勝しても(売りあがっても)それは選手(チームメンバー)の活躍のお陰という思いが強く、また、別チームのトラブルシューティング等に意識が向くので優勝しても喜ぶタイミングがあまりないそうだ。一方で負けたときの責任は大きく、企画が失敗してプロジェクトが閉じたときのダメージははかり知れない。それだけにプロデューサーは「心が折れないことが大事」で、責任は重く受け止めつつ、それを成長の糧にして優勝を目指そうと言える心の強さが必要と花澤氏は述べた。その上で、どれだけ優秀なスタッフが揃っていても、監督がいないと優勝はできないと多留氏はコメント。プロデューサーの重要性に改めて言及し、イベントのまとめとした。

  • 「リディー&スールのアトリエ」特設サイト
  • 軌跡シリーズ特設サイト

タグ検索

ジャンル

RPG
アクション
シミュレーション
スポーツ
テーブル
パズル
ノンジャンル

テーマ

アプリ

ハード

システム

その他

ニュース

外出中でもスマホで
最新ゲーム情報をチェック!

ゲーム総合情報サイト Gamer QRコード

お気に入りとして登録!

SNSでシェアする!

ゲームショウ

トップへ戻る