ケイブより2018年春に配信予定のiOS/Android向けアプリ「三極ジャスティス」。ここでは、現在実施中のクローズドβテストのインプレッションをお届けする。
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芝村裕吏氏&数々のケイブの名作を手がけたスタッフによる強力タッグ!
「怒首領蜂」で弾幕シューティングというジャンルを確立させ、「デススマイルズ」や「虫姫さま」といった人気タイトルを数多く送り出してきたことで知られるケイブ。近年では「ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~(ゴ魔乙)」など、スマートフォン向けアプリでもヒット作を輩出しているが、そんなケイブが送り出す最新作が「三極ジャスティス」だ。
アートディレクターに井上淳哉氏(「BTOOOM!」、「デススマイルズ」)、サウンドディレクターに並木学氏(「怒首領蜂 大往生」、「デススマイルズ」)、総監督に池田恒基氏(「怒首領蜂 大往生」、「ゴ魔乙」)といった、数々のケイブのヒット作を手がけた面々に加えて、「高機動幻想ガンパレード・マーチ」、「マージナル・オペレーションシリーズ」で知られる芝村裕吏氏が世界観監修・シナリオを担当するという、ゲームファンならまず期待せずにはいられないスタッフ陣によって制作されている。
そんな「三極ジャスティス」の世界観は非常に独特。舞台となる2040年の日本は、人口減少に歯止めをかけるため、「ライフサイエンス」と呼ばれる人工人間による労働力の補充を実施。これを契機に、国内の反政府勢力の活発化、官僚によるクーデターなどが重なり、「支配」、「自由」、「金欲」という三つの正義を掲げた勢力が争う内戦状態へと突入する。
プレイヤーは、この三つの勢力(「カスミガセキ」、「ヤオヨロズ」、「ダクシス」)の内いずれか一つの勢力に所属し、「要塞機(フォートレス・メック)」と呼ばれる人型兵器の指揮官(フロアマネージャー)として戦場に身を投じていくことになる……というのが主なストーリーだ。
チュートリアルでは、「ダクシス」の副官的なポジションにあるローズメードが、自身の置かれた状況や基本的な戦い方をレクチャーしてくれる。初出撃の場面では、カスミガセキのリーダーである京極晴也と遭遇し、一度は撤退を余儀なくされるも、ダクシスのリーダー・破滅の人形の力を借りることで無事撃退に成功した。
弾幕シューティングの魅力を落とし込んだ、爽快感抜群のアクションバトル
プレイ時間の内でも大きな割合を占めることになると思われるのが、本作の目玉ともいえる他勢力とのバトルだ。本作のバトルシステムは、要塞機を操作して行うロボットアクションバトルと、プレイヤー同士が拠点を奪い合う陣取り合戦を組み合わせたような個性的なシステムとなっている。
まずアクションバトルの方から説明すると、戦闘中は自機を中心としたサークルが表示され、範囲内に存在する目標に対して自動で攻撃を行う。移動は画面をタップした方向に移動する直感的なもので、アクションゲームが苦手というプレイヤーも馴染みやすい。
ただしその分、敵の攻撃はかなり激しく、プレイヤーの操作は「敵の攻撃を回避する」ことがメインとなる。このあたりは、ケイブの代名詞とも言える弾幕シューティングをプレイしている時の感覚に近く、そのノウハウが存分に生かされている。
弾幕シューティングではちょっとした操作ミスが命取りとなるため、細かい操作がしにくいタッチスクリーンでの操作と相性が悪いのではと思われるプレイヤーもいるかもしれない。本作にはそれを補う救済措置として、いわゆる緊急回避に相当するアクションが用意されている。
画面右端に表示されているactionボタンをタップすると、短時間の間無敵状態となりながらタップした方向に向かって高速移動を行う。一度使用するとしばらくの間クールタイムが必要となるが、それほど長時間ではない上に回数制限も存在しないため、「ヤバイ!」とおもったら躊躇わずに活用していける。
このアクションのおかげで、個人的に弾幕シューティングのウリだと思っている「華麗に敵の攻撃を避けつつ反撃する快感」をカジュアルに楽しめるようになっており、今まで弾幕シューティングを遊んだことがないというプレイヤーでも、その爽快感を体験することができるだろう。
ステージをクリアした際には、プレイ内容に応じてスコアが換算されるが、この時のスコアによってドロップで獲得できるアイテムの枠が大きく変わる。そのため、できるだけダメージを抑えつつ、迅速なクリアを目指す必要があるのだが、ここで難しいのが攻撃を連続で当てた際に発生する「コンボ」の存在だ。
コンボは一定時間の間攻撃を当てられないでいると途切れてしまうのだが、また、敵と距離を取るようにすれば安全にクリアできるのだが、それではクリアまでの時間がかかってしまう上に、コンボが途切れてスコアが低くなってしまうことが多い。
本作には、ダメージを受けた時に無敵判定が発生しないので、至近距離で敵の攻撃を連続して受けると、ほぼ一瞬で撃破されてしまうシビアな面も。緊急回避アクションを使えば、低リスクで敵との距離を詰めることができるが、接近にアクションを消費した場合、咄嗟に離脱することができないので、反撃を受ける危険性は高まる。
このあたりのメリットとデメリットのバランスはで、大ダメージのリスクを負ってでもコンボを維持して高スコアを目指して距離を詰めるか、ダメージを受けないことを優先して距離を置くか……プレイヤーの目指すところによって、大きくプレイスタイルが変わっているのも面白いポイントだ。
ただ、一つのマップはいくつかのエリアごとに区切られており、それぞれのエリアの敵は離れた位置に配置されているため、少しでも移動に手間取るとコンボが途切れてしまう。本作は平坦なものだけではなく、高さの異なる足場を移動する複雑なステージもあり、ステージの作りによってコンボの継続が難しくなるということも珍しくない。次に向かうべきおおまかな方向は、エリア制圧後にマーカーで表示されるようになっているのだが、個人的には画面上にミニマップのような表示も欲しいと感じられた。
他のプレイヤーと協力して領地を獲得
多数のプレイヤーが入り乱れ、陣取り合戦を行うことになるのが「戦場」マップ。本作のバトルは3つの勢力が入り乱れるチーム戦となっており、もっとも多くの領地を獲得したチームの勝利となる。戦場には、いくつもの「拠点」と呼ばれる自軍の基地を設置できる場所が存在しており、3つの拠点を△のような形でつなげて配置することで一つの領地を獲得できる。
この拠点を3勢力で奪い合うのが主な流れで、敵勢力の拠点に攻め込むと、上記で説明したアクションバトルが発生。拠点内のエリアを全て制圧すると、敵の拠点にダメージを与えることができ、耐久力を0にするとその拠点を破壊でき、最大20分の制限時間の間に、もっとも多くの領地を獲得した陣営が勝利となる。
所属する陣営が勝利した場合は、敗北した際の倍以上の戦功を獲得できるのに加え、その日の累計でもっとも高いポイントを獲得した陣営のプレイヤーは、全員にボーナスアイテムが配布されるなどのメリットを得られる。
また拠点にダメージを与えたり、拠点を設置するなどチームに貢献する活躍をすると、「SP」と呼ばれるポイントを獲得できる。SPを消費すると、味方に自身が攻撃しようとする地点を仲間に知らせることができたり、拠点の耐久度を回復させる、増援を送って警戒度を高めるといた戦術を使用可能となる。SPはなかなか早い速度で溜まっていくので、惜しまずさまざまな戦術を使って自軍に貢献できるのが楽しい。
また面白いのは、この戦場マップに設置できる拠点は、その内容をプレイヤーがカスタマイズできるという点。拠点内の戦闘はプレイヤーではなく、NPCが相手となる。最初から用意されているNPCはさほど強くないが、その代わりに自分が所持しているキャラクターを拠点の防衛部隊として配置することができる。この防衛部隊には、キャラクターのレベルなどのステータスも反映されるため、育成したキャラクターが多いプレイヤーほど有利となる。キャラクターはそれぞれのコストが設定されており、その最大値も決まっているため、コストが低めの低レアのキャラクターにも存在価値がしっかりと存在しているのが嬉しい
ガチャでキャラクターを入手し、要塞機や武器を開発
今回のβテストでは、キャラクターの入手は、N~SRまでのキャラクターが排出される「名声ガチャ」と、R~SSRまでのキャラクターが排出される「ゴールドガチャ」の3種類。前者は戦闘を繰り返すことで獲得できる名声ポイントを使用した無料ガチャ、後者が課金アイテムとして販売されるゴールドを消費する有償ガチャにあたる(今回のβでは、ゴールドは主にログインボーナスとして配布されていた)。
なおゴールドも名声も、ガチャ以外の使い道としてBPや拠点を回復するアイテムへの交換も可能となっており、使い道が多い。ついついガチャにばかり目が行きがちだが、戦いの勝敗に直結する割合はこれらのアイテムのほうが高い。ある程度兵士が揃ってきたらガチャではなく交換をメインにしていくのもアリだと感じられた。
キャラクターとは別に、プレイヤー自身の成長要素も用意されており、レベルが上がった際に獲得できるTLP(タレントポイント)を使用することで、タレントツリーを開放していくことができる。このタレントの開放はかなり重要で、より高い耐久をもつ拠点を設置する、敵の警戒度を下げるなどのSPを消費して行う戦術を使用可能にする際にも必要となる。どの項目を開放したかによって、戦場で貢献できる方向性ががらりと変わり、プレイヤーごとの個性がはっきりと出る部分だ。
また後述する要塞機や武器の開発の際に必要となる「開発レベル」を上昇させる際にもTLPは必要で、獲得機会がレベルアップしかないため、どの方向性を伸ばしていくのかなかなか悩ましいポイントになる。
戦闘に使用する要塞機や武器を開発し、戦力を高めていくという要素も。開発には一定の開発レベルと、要塞機の設計図などのドロップ素材が必要になる。基本的に、要塞機は自身の勢力で採用されている機体を開発していくことになるが、低確率で敵勢力の機体の設計図がドロップするというお楽しみ要素もあるようだ。
要塞機には、サブマシンガン、拳銃、二丁拳銃、機関砲などの武器を装備できる。要塞機自身にも軽装型と重装型があり、機種によって装備可能な武器が異なる。要塞機には、それぞれ得意不利な属性も設定されているので、さまざまな状況に対応できるように多くの機体・武器を開発しておきたくなる。
初心者でも共闘の醍醐味を味わえる、敷居の低いマルチプレイ
全体のプレイを通してもっとも筆者が感じたのは、オンラインチーム対戦ならではの共闘の楽しさを、うまく敷居を下げる形で導入したタイトルだということ。
繰り返しになるが、本作はオンラインでのチーム対戦という形式が取られているが、プレイヤーが直接操作するバトルの相手はNPCのみで、プレイヤー同士の直接戦闘は発生しない(※クローズドβテストの段階では)。
そのため、いきなり熟練のプレイヤーに一方的に倒されてしまうという、オンライン対戦でありがちな苦い経験を味わうこともなく、きちんと警戒度の低い拠点を狙うようにすれば初心者でも十分拠点攻撃を成功させられる。初心者にありがちな「味方の足を引っ張ってしまいそう」という尻込みをする必要がないということだ。
それでいて、他のプレイヤーと共に戦っているという共闘感はしっかりと味わうことができる、味方との連携がうまくハマり、快勝できた際の喜びといったら格別だ。
元々弾幕シューティングというジャンルは操作性がシンプルなこともあり、スマートフォンでの操作も違和感がない。こちらの意図した通りにキビキビと動いてくれる要塞機のアクションはかなり爽快で、少し触るだけでもアクション面の完成度の高さを感じ取ることができた。
一方で好みが分かれそうだと感じたのが、最大約20分までの時間制限。この時間自体は絶妙で、1戦が終わってもついもう1戦プレイしてしまう中毒性があるのだが、参戦して以降はその戦場の戦いが終わるまでの間、常にゲームをプレイし続けることになる。そのため、別の作業を行う傍ら、いわゆる「ながらプレイ」をするのには不向き。
そのため、どちらかというとコンシューマゲームなどでオンライン対戦をプレイしている時に近く、いい意味でも悪い意味でもソーシャルゲームらしくない作りとなっている。ソーシャルゲームを普段あまり遊ばないというプレイヤーにこそ、体験してみて欲しいタイトルだ。
芝村氏による個性的な世界観も大きな魅力。非常に強力な戦力なのだが、運用面に大きな問題を抱えている 「要塞機」の設定は「ガンパレード・マーチ」の士魂号を彷彿とさせる。 この要塞機の稼働時間の短さが、そのままバトルでの制限時間となっているのもなかなかニクい。 |
そんな多くの魅力が詰まっている「三極ジャスティス」。現段階でも、即リリースしても問題ないのではと思える楽しいゲームに仕上がっているのだが、正式サービス開始時にはβテストでのプレイヤーの意見を反映さえ、よりよい形でリリースが行われると思われる。今後の続報に期待して欲しい。