東京・六本木にて、2018年3月23日に発売となる「二ノ国II レヴァナントキングダム」(以下「二ノ国II」)の完成披露会が開催されたので、その模様をお届けする。
改めて「二ノ国II」という作品とは?
ステージには、レベルファイブ代表取締役社長の日野晃博氏が登場。日野氏は「開発に四年以上の時間をかけて作った、超大作と呼べる作品となりました」と感慨深げに述べた。
「二ノ国」シリーズは、これまでに「漆黒の魔導士」、「白き聖灰の女王」、など、シリーズで国内外累計190万本以上を出荷を達成している。特に海外で高い評価を受け、前作の「白き聖灰の女王」では、北米・欧州で150以上のノミネート、69の賞を受賞している。
それを受けて今作は、全世界同時発売を決定。発売前にも関わらず、海外で28の賞にノミネート、21の賞を受賞している。また、海外のレビューサイトの発売前レビューで、多数の高得点を獲得している。
「二ノ国」とは、この世界とは別の場所に存在するもうひとつの世界が舞台で、「二ノ国II」は陰謀により国を追われた幼き王「エバン」が、大切な存在との別れを経て、自らの王国を作ることを決意し、少年が偉大な王となって巨悪を討つまでを記したストーリーとなる。これまで数々の大作を作り上げてきたレベルファイブが培ってきたRPG制作のノウハウを結集して作り上げたとのことだ。
「二ノ国」シリーズは制作陣の豪華さでも有名だが、「二ノ国II」でもキャラクターデザインはスタジオジブリでも数多くの名作を排出している百瀬義行氏を起用。そして音楽も、前作と同様に久石譲氏を起用した。ゲーム音楽というよりは、映画のように感じられる楽曲になっているそうだ。
百瀬氏と久石氏が、この完成披露会に寄せたメッセージは、こちら。
百瀬氏:さまざまな作品に携わってきましたが、二ノ国は今まで描いてきたキャラクターデザインの枠を大きく超えて想像する余地があり、その振れ幅の大きさが非常に面白かったです。キャラクターに感情移入しながら、ゲームを楽しんでもらえると、より二ノ国という世界観を面白く体験できると思います。
久石氏:前作と比べ、本作では音楽的なレベルを上げたアプローチで制作に臨みました。そのためオーケストラはかなり難易度の高いものとなったのですが、東京フィルハーモニー交響楽団のみなさんに一生懸命演奏して頂き、とても良い収録ができたと思います。ゲームの音楽は繰り返して聞くものになるので、ゲームにハマってもらい二ノ国IIの音楽に浸ってもらえると嬉しいです。
豪華キャスト陣がステージに登場。収録の秘話やキャラクターへの思い入れを語った!
さらにこだわったのは、はたまたまるで映画のような、豪華なキャスト陣。主人公のエバンを演じるのは、女優の志田未来さん。そしてもうひとりの主人公となるロウランを演じるのは、俳優の西島秀俊さん。他、シャーティ役には門脇麦さん、シャリア役は木村文乃さん、セシリウス役は山崎育三郎さん、ラティエ役は吉谷彩子さん、ガット―役は吉田鋼太郎さんなど、実力派俳優陣が集結した。
「二ノ国」というシリーズがこれまでも豪華なキャスト陣で作成してきたこともあるものの、ちゃんとキャラクターに合った人を選ばなければならないというのは一番意識しており、キャスティングについてはとても苦労したそうだ。
日野氏自らが作成したキャラクターであるからこそ、そこで妥協はしたくないという心づもりで選んだキャスト陣なので大変満足している、と日野氏は語った。
なお、キャスティングにあたっては、単純な声質だけではなく、その人がどのような演技をするのかを知るために、たくさんのドラマや映画などを見て決めているのだという。
そしてステージには、志田未来さん、西島秀俊さん、門脇麦さん、木村文乃さん、山崎育三郎さんが登場。今回声優初挑戦となることが多いキャスト陣たちが、ゲームのキャラクターに声を入れる難しさや自身のキャラクターなどを語ってくれた。
志田さんは、全世界に多くのファンがいる「二ノ国」という作品で主人公を演じられるという喜びを、笑顔で述べた。エバンは「心優しく、少し内にこもった性格」。幼いながらも国を想う、大変優しい子で、まわりのひとがエバンの熱い想いを受け止めて仲間になっていってくれるが、志田さんはエバンとは真逆の「ついていっていいですか?」とまわりに引っ張ってもらうタイプだそう。
日野氏曰く、志田さんの透明感のある声がエバンのイメージにぴったりだったいう。エバンは最初は周りを引っ張るような性格ではなく、周りのおかげでどんどん成長していくが、志田さんの演技ではまさにその成長を感じられるとのこと。
西島さんは、自分が演じる人物をしっかり作りあげるために現場ではビシビシ言ってくださいとお願いをして収録したそうで、日野氏が「西島さんは、自分が演じるキャラクター像をかなり丁寧に確認していた」と、その演技への姿勢の素晴らしさを明かした。
「正義感が強く、極めて常識人」なロウランを演じた西島さんは、48歳のロウランと、20歳のロウランをゲーム内で行き来することとなり、演じ分けるのがなかなか大変だったそうだ。
門脇さんは、今作が初めての声優経験だったが、感情を声だけで表すというのには苦労し、先に志田さんが吹き込んだ声があったので、それを聞きながら演じたそうだたそうだ。声を吹き込みながら、「二ノ国II」の物語の厚みを、とても深く感じたという。
そんな門脇さんの話に、「収録する順番の都合上もあって、既に他の人の声があったりするとそこそこやりやすかったりするんですが、入っていない状態だと難しいと思います」と日野氏がコメントすると、出演者は全員大きく頷いていた。
門脇さんが演じるシャーティは「とても明るく活発な空賊の娘」。門脇さんは日頃大人しめの役が多いものの、子供のころはとても天真爛漫だったそうで、自分の子供のころの声を思い出しながら演じたとのことだ。日野氏はシャーティの配役にはかなり自信があるそうで、シャーティの持つ独特な雰囲気は門脇さんだからこそ出せたという。
木村さんは声優の仕事にずっと憧れていたもののこれまでチャンスがなく、今回ようやくこういう機会に恵まれたことが本当に嬉しい、と満面の笑顔で語った。しかし、いざ収録という時に先に録音されていた山崎さんの声を聞いて、発声の仕方から何からまるで違う、と山崎さんの演技の凄さに驚いたという。
それを聞いた山崎さんが、「いや、僕も(声優は)初めてなんですけど」と、照れながら返す場面も見られた。「天才エンジニア」であるシャリアを演じた木村さんだが、シャリアは自分が信じると決めた人はとことん信じ、人を想うということがどういうことなのかを知っているキャラクターで、シャリアを見習いたいと思うことが収録中に何度もあったそうだ。
山崎さんも声優の仕事は初めてで、最初は戸惑うことだらけだった上に、世界中で注目されている作品ということで緊張もしたが、楽しくやらせてもらったという。また、ゲームというプラットフォームのため、バトルボイスなどでたくさんの叫び声を収録することもあって、収録後は声が枯れてしまうこともあったと、その熱演ぶりをうかがわせる発言も飛び出した。
「恐ろしく頭が切れる冷徹な女王の側近」であるセシリウスを演じた山崎さんは、日頃からメガネをかけている男性キャラクターが好きだそうで、自身が演じたキャラクターもメガネをかけていて嬉しかった、と述べ、檀上の出演者の笑いを誘うシーンもあった。
また、会場には、今日は残念ながらステージにくることが出来なかった、ラティエ役の吉谷彩子さんと、ガット―役の吉田綱太郎さんからのビデオメッセージも流れた。
ラティエはエバンが偉大な王になる重要なきっかけを作るキャラクターだそうで、どのように登場するかはゲーム本編を楽しみにしていてほしいそうだ。
ガット―について吉田さんは、情に厚く男気のあふれるキャラクターで、子分や娘のことを大事にしているいいオヤジだと感じたという。物語の序盤でエバンを助けてエバンと一緒に旅をすることになるため、旅の中でも長く一緒にいることになるだろうキャラクターとのことなので、楽しみにしていたい。
最後には西島さんのバースデーサプライズが! 「二ノ国II」ケーキが登場!
ロウラン役の西島さんが3月29日に誕生日を迎えるということで、最後にサプライズバースデーケーキがステージに登場。
ロウランを中央に、他のキャラクターたちがロウランを祝うように配置されており、思わぬ形でゲームから飛び出てきたキャラクターたちの姿に、登壇者全員から驚きの声が上がっていた。
最後に、西島さんは「僕が演じるロウランは、48歳の大統領がいきなり20歳になって冒険するということで、遊んでいる皆さんに一番近いキャラクターかなと思います。今回、自分がロウランを演じて、いくつになっても夢とか冒険とかすごくたのしいものなのだと感じました。ぜひ皆さんにこの夢と冒険の世界に飛び込んで、この時間を共有していただけたら幸いです」と、この作品への想いを語った。
そして主人公エバンを演じた志田さんは、「まるで映画をみているかのような素敵な映像と音楽のなかで、魔法やスキル、武器を駆使しながら巨大な敵と戦っていきますが、とても壮大なスケールで描いているゲームだと思いますので、みなさんもエバンと共に素敵な思い出を築いていただけると嬉しいです」と述べ、日野氏は「前作を大幅に進化させて作ろうということで、四年以上の長い月日をかけて数百人のスタッフが力を注いで作った超大作となっています。そして出演者の皆さんも妥協せず演じていただいて、本当に素晴らしい作品になったと自負しております。3月23日、全世界同時発売となっていますので、皆さんぜひご注目していただき、遊んでいただけたらと思います」と深々を頭を下げ、ステージは幕を下ろした。