スクウェア・エニックスが2018年9月27日に発売を予定しているNintendo Switch用ソフト「すばらしきこのせかい -Final Remix-」のプレイインプレッションをお届けする。
「すばらしきこのせかい -Final Remix-」は、2007年にニンテンドーDSで発売された「すばらしきこのせかい」をベースにしつつ、今まで語られることのなかった新シナリオも収録した作品だ。またNintendo SwitchのJoy-Con操作にも対応しており、原作をプレイした人ももう一度楽しめる遊びが随所に盛り込まれている。
スクウェア・エニックスのRPGといえば「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」、あるいは「キングダム ハーツ」が有名で、「すばらしきこのせかい」はどうしても影に隠れがちな存在だった。その一方で発売から11年が経った今でも熱狂的なファンは数多く、今回のSwitch版は待望の新展開と言えるだろう。本稿ではそんな本作の基本的なシステムをおさらいするとともに、Switchならではの操作方法にも触れていこうと思う。
リアルだけど少し違う渋谷で、死神のゲームが幕を開ける
本作の主人公となるのは他人との関わりを嫌う少年・ネク。ネクはある日、突如目の前に現れた少女・シキとともに、制限時間内にミッションをクリアしなければ世界から消えてしまうという死神のゲームに巻き込まれてしまう。プレイヤーはネクたちを操作して渋谷の街を回り、死神のゲームからの解放に挑む。
物語の舞台となる渋谷の地形は2000年代の渋谷を再現しており、店名などは多少変わっているものの、道の構造はそのままのところも多い。渋谷の土地勘がある人なら、スムーズにゲームの世界に入れるのではなかろうか。
また物語にも渋谷のスポットが密接に関わってくる。ハチ公像やセンター街、スクランブル交差点、スペイン坂などなど、東京に住んでいなくても名前は知っているであろう場所が度々登場する。そんなスポットの数々を舞台に、死神のゲームは繰り広げられる。
ネクたちとプレイヤーを苦しめる死神のゲームだが、課せられる具体的なミッションはさまざまで、抽象的な内容も多い。そこで役立つのが、人々の思考の断片を読み取ることができる特殊な能力、サイキックスキャニングだ。断片のほとんどはたわいのないものだが、中にはミッションクリアのヒントもあり、それが次の行動に繋がるという流れになっている。スキャン中には断片だけではなく、ノイズも街中に漂っている。このノイズをタッチするのが、本作における敵とのエンカウントというわけだ。
タッチパネル、Joy-Conにすべてが集約されたプレイスタイル
Switch版におけるプレイスタイルは2種類が存在し、携帯モードのときはタッチパネルを使った操作、テーブルモードやモニターに繋いだTVモードのときはJoy-Conによるポインター操作となる。
バトルシステムとしては事前に装備したバッジが持つ多彩な攻撃を、いずれかの操作で繰り出しながら戦っていく。バッジには空間とタッチすることで弾を飛ばしたり、こすって炎を発生させたりとさまざま。バッジアイコンをタッチすると回復するバッジなど補助系も用意されており、それらを最大6種類組み合わせて戦う。
また、各バッジは使い続けるとクールタイムに突入し、しばらく使えなくなってしまうことも頭に入れておきたい。強力なバッジは得てしてリブートにかかる時間が長かったりするので、絶え間なく攻撃できるよう、バランスの良い6種類を選ぶのが大切だ。
タッチパネルによる操作はかつてのDS版とほとんど同じなので、過去にプレイした人は違和感なく操作できるはず。上述のようにタッチ、フリック、円を描くなどのアクションを行えば、自然と攻撃がつながっていく。未体験の人からすれば最初は忙しい印象を受けると思うが、難しく考えず、“なんとなく”アクションを繰り出すだけで充分に戦っていける。
ひとつ違うのは、DS版だと下画面で主人公キャラクター、上画面でパートナーが戦っていたところを、1つの画面に集約している点だ。DS版の両画面を股にかけたバトルは格別の爽快感があったが、Switch版はすべての情報が瞬時に分かるので、これはこれで魅力的と言えよう。なお、パートナーはストーリーの進行によって入れ替わり、攻撃方法も変わってくる。主人公の攻撃とパートナーの攻撃が連続でヒットするとシンクロ率が上がり、100%以上になるとサイキック・マッシュアップで大ダメージを与えられるのも、覚えておきたいテクニックだ。
もうひとつのJoy-Con操作も、タッチがポインターに変化するだけなのでシステム面で迷うことはないはず。Joy-Con操作時は画面上にポインターが表示されるので、それを目印にスラッシュなどを行う。タッチ操作に関しては、ポインターを標的に合わせてボタンを押すことで再現できる。
Joy-Conでの操作は左右どちらか1つだけでできるようになっており、その手軽さも大きな魅力だ。操作感覚も左右どちらでも違いはほとんど感じられないので、スティックとボタンの配置など、違和感のないほうを選んでほしい。
今回はタッチ操作とJoy-Con操作の両方を体験してみたが、どちらも直感的で、甲乙つけがたい仕上がりになっている。筆者はDS版をプレイ済みということもあってJoy-Conによる操作に戸惑いを覚えることもあったが、それもすぐに解消され、むしろスムーズに攻撃を繋げられるようになった。
付け加えるとJoy-Conの場合、TVモニターでもプレイができるので、これ自体が大きな利点となり得る。本作は多数の敵味方が入り乱れ、リアルタイムでバトルを行うため、状況を瞬時に把握するのが難しい局面もある。それが大画面だとひと目で判断できるというわけだ。もちろん人によって理想のプレイスタイルがあると思うが、まずは食わず嫌いせず、どちらも試してほしいところ。
最後に、本作で新たに追加される新シナリオも少しだけプレイすることができたので、その内容にも触れておきたい。新シナリオは、ゲーム本編である条件を満たすと解放され、ネクたちの戦いのその後が体験できる。登場する敵はより強力なものになり、歯ごたえのあるバトルが楽しめる。また、渋谷の様子もどこかおかしいようだが…そのあたりは実際にプレイして確かめてほしい。
今から約11年前に誕生した「すばらしきこのせかい」は、DSの2画面やタッチパネルといったハードの特性を存分に活かした作品だった。それから時が経ち、Switchで生まれ変わった「Final Remix」でもその理念は変わっていない。魅力的な物語やキャラクター、バトルシステムに加え、「Switchでこんなこともできるのか!」という驚きまで提供してくれる本作。9月27日の発売を心待ちにしたい。