カプコンは1月22日、東京・時事通信ホールにて「バイオハザード RE:2」の発売記念スペシャル公開生放送を開催した。
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本イベントは、PS4/Xbox One/PC用ソフト「バイオハザード RE:2」が1月25日に発売を迎えることを記念して行われたもの。会場では開発陣による実機プレイをはじめ、ゲストにタレントの最上もがさんを招いてのトークショー、最新情報の発表コーナーといった催しが行われた。
また、イベント終了後には参加した開発陣に「1-Shot Demo」の感触をはじめ、短い時間ながらゲームについて聞くこともできたので、その内容もお届けする。
3分で分かる!「バイオハザード RE:2」
イベントではまず、プロデューサーの平林良章氏と神田 剛氏が登壇。これまで発売に向けてさまざまな情報が公開されてきた「バイオハザード RE:2」だが、両プロデューサー自らが“3分で分かる!”というテーマのもと、ゲームの主なポイントが紹介された。
本作は1998年に発売された「バイオハザード2」を原作としているが、ゲームシステムやストーリー、ビジュアルなどを一から作り直しているのが特徴。そのためリメイク作品ではあるものの、「バイオハザード7」に続く最新作として楽しめるように開発されたタイトルとなっている。
開発に際しては、シリーズの特徴であるゾンビについて“何が怖いのか”を考えた結果、人が人を食べてしまうことが怖さの原点ではと振り返ったようだ。その怖さを表現するため、“噛む”というモチーフをもとにゾンビが仕上げられている。さらにビハインドビュー(三人称視点)のカメラを採用することで、噛まれる恐怖や臨場感を演出しているという。
また、恐怖だけでなく魅力的なキャラクターや物語の存在も、シリーズが愛され続けているポイントではないかと考えたという。ゾンビに襲われる恐怖感だけでなく、そのなかにしっかりとしたヒューマンドラマを含むことで、没入感も持たせたとのこと。
コーナーの締めには映像でもゲームのおさらいとして、1月31日まで配信中の30分限り、一度だけ挑戦できる体験版「1-Shot Demo」のPVが上映された。
この体験版は現在300万ダウンロードを超えるほどの盛況で、クリア率は26%ほどだという。クリアすると専用の映像が視聴できるのだが、会場ではその映像も公開となった。真面目路線かと思いきや、オチには原作でもおなじみの要素が使われていたりと、短いながらも見どころが詰まった内容になっていたので、未プレイの方は挑戦してみてほしい。なお、「1-Shot Demo」と連動したSNSキャンペーンも配信期間に合わせて実施中だ。
最上もがさんが実機プレイに挑戦!何度もワニに食べられる
続くコーナーは、ディレクターの門井一憲氏と安保康弘氏に加え、公式サイトで“「バイオハザード RE:2」に挑戦!”企画に出演している、タレントの最上もがさんも加わっての進行となった。
発売直前のため、最上さんが会場でもゲームに挑戦する形で、実機の内容が公開されることに。最初にプレイしたのは地下水道で、巨大なワニに襲われるところ。狭い地下水道だが、そのなかでもワニは左右どちらかに狙いをつけて噛みついてくるため、動きを見極めて回避していくシーンだ。
恐怖心からプレイに必死な最上さんは、ワニの動きに注目する余裕もなく、再挑戦を繰り返しては何度も食べられる結果に。しかし少しずつ進み、最後はうまく逃げ切った!と思ったあとにまた食べられてしまう。「これ見てて楽しいですか!?」と叫ぶ最上さんを、開発陣と来場者たちがニヤニヤと見守る一幕となった。
また別のシーンでは、G第2形態との戦いもあった。強力なGを倒すためには、弱点を攻撃して動きを止めている間にクレーンを動作させるといったギミックが用意されていた。最初はGから逃げることに必死だった最上さんだが、クレーンの仕組みを理解すると苦戦しつつもGの撃退に成功。本作ではこうした、周りの環境を使った戦いも重要となるようだ。
ちょっとした裏話も飛び出したトークコーナー
最上さんと「バイオハザード RE:2」の関係
2018年にテレビ番組の取材で最上さんがカプコン本社を訪問し、そこで両プロデューサーに出会ったことがきっかけ。番組取材では音響ブースやCGクリエイターの作業現場を訪れたほか、周囲をカメラで囲まれたフェイシャルキャプチャーを行うための部屋での撮影などを行ったという。そこでの撮影データをもとに最上さんのゾンビも作られたのだとか。
「RE:2」制作のきっかけ
グローバルで根強い原作ファンが多く、リメイクの要望が非常に多かったため、もともとその思いに応えたいという気持ちがあったという。そんな中、「バイオハザード7」で使用した開発エンジンの存在もあり、開発環境が整ってきたことで、近年になって自信を持って作品を届けられる確信が持てたとのこと。開発内でも「バイオハザード2」のリメイクはいつかやりたいという声があったところに、ある種ファンからきっかけをもらった感じだったようだ。
開発陣の注目ポイント
ビジュアルやカメラワークなどパワーアップさせた点は多くあるが、原作はサバイバルホラーのアドベンチャー要素が強かったため、原点となるその部分をしっかりと「RE:2」でも表現しようと思ったという。
また、余談として「デビル メイ クライ5」のプロデューサーであるマシュー・ウォーカー氏が本作にゾンビとして登場していることも明かされた。開発内では「マシューゾンビ」と呼んでおり「1-Shot Demo」でも確認できるとのこと。
門井ディレクターによる「The 4th Survivor」チャレンジ
「バイオハザード RE:2」では、ゲーム本編クリア後にエクストラモードの「The 豆腐 Survivor」と「The 4th Survivor」がプレイできる。会場ではこのうち、高難易度モードともいえる「The 4th Survivor」の実機プレイが披露されることに。
プレイするのはディレクターの門井氏で、平林氏からは「クリアするか1回死ぬまで止めません」と、いけるところまで見せてしまうジャッジが下される。当の門井氏も最初は「えっ、見せちゃうんですか?」と渋る様子かと思いきや、実機を前に「まあ余裕ですよ」と自信を見せ、意外とノリノリでプレイスタート。
「The 4th Survivor」はアンブレラ特殊工作隊隊員のハンクが主人公となるため、最初から武器やアイテムなどを所持した状態で始まる。しかし出現するゾンビなどの数が非常に多いため、丁寧にすべてを倒していると、途中で弾薬などが尽きてしまう。そのため、どれを倒してどれを倒さないか、どの敵をどの武器で倒すかといった判断が非常に重要となる。
門井氏はゾンビの足を狙って進行ルートを確保したり、緊急回避用の手榴弾をゾンビには使わずリッカーに使うなど、持ちうる火力の配分も考え、さすがに慣れた様子を見せる。途中で強敵のタイラントも現れたが、余計な攻撃をせずに避けて進む。しかしこれがのちに痛手を招くことに。
回復アイテムまで使って本気でプレイしていたが、見せる予定ではなかったものが映ったようで「やばいものが見えた!」と、進行ルートを変更。しかし狭い場所でタイラントにつかまりゲームオーバーに。どうやら敵を無視しすぎても、その後の展開でピンチを招くことにつながるケースもあるようだ。
「The 豆腐 Survivor」のほうについては、ぜひ自身でどんな豆腐体験が待っているか確かめてほしいとしていた。ちなみに、今回はフェイシャルキャプチャのように実際の豆腐をスキャンしたようで、神田プロデューサーは「プルプル感がすごい」とアピールしていた。
情報告知コーナー
イベントの最後は、現在実施中の施策をはじめ、ここで初公開となるものを含めた情報コーナーとなった。
オリジナルデザインのプレイステーション ストアカード
ソフト発売と同日の1月25日より、「バイオハザード RE:2」オリジナルのプレイステーションカードが数量限定で発売となる。本カードにはゲーム内で使用できる原作コスチューム「レオン・'98」と「クレア・'98」がダウンロードできるプロダクトコードが付属する。この衣装は3月22日以降に無料配信される予定だが、それを一足先に入手できるというものだ。
“コスチューム”と言いつつも、これを適用するとキャラクターのモデリングが丸ごと当時の「バイオハザード2」のものに差し替わるのが特徴。原作のテクスチャをそのまま持ってきているようで、現代のクオリティで作られた空間のなかに、ポリゴン然としたキャラクターがいるという、アンバランス感が楽しめる。カットシーンでも、当然このキャラモデルのままとなる。
男前豆腐とのコラボレーション
本作に「The 豆腐 Survivor」が収録されていることもあり、男前豆腐店とのコラボが実現。オリジナルパッケージのコラボ豆腐がイベント会場限定品として来場者にプレゼントされた。
追加ゲームモード「THE GHOST SURVIVORS」
原作にはなかった内容として、追加ゲームモード「THE GHOST SURVIVORS」(ザ ゴースト サバイバーズ)が無料で配信されることが明かされた。このモードは本編で登場したサブキャラクターの、“もし彼らがこうだったら”というIFのサイドストーリーが楽しめるというもの。
登場キャラクターは市長の娘、ロバート・ケンド、ハンクのチームの一員である謎のU.S.S.隊員の3人で、このモード専用の敵も登場するという。なお、配信については後日発表とのこと。
発表済み情報をおさらい
すでに実施中の施策として、東京・秋葉原の「Bar Rhythm」とのコラボレーションバーが2月28日まで開催されている。このコラボではオリジナルのフードやドリンクが用意されており、会場では2月1日から新登場となるコラボ後半のメニュー一覧が公開となった。
「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS MOBILE」(PUBG MOBILE)とのコラボでは、2月から「PUBG MOBILE」のゲーム内で「RE:2」とのコラボによる新しいゲームモードが実装される、予告ビジュアルが公開された。
「RE:2」発売日の1月25日には、東京と大阪にて発売記念イベントが行われる。ゲーム購入者向けの抽選会のほか、誰でも参加できるSNS投稿キャンペーンが実施となる。東京会場には神田氏が、大阪会場には安保氏と門井氏が参加することも発表となっている。
イベントを終えた開発陣へのショートインタビュー
――「1-Shot Demo」は30分一度限りの体験版ということでインパクトがありました。この制作、配信のきっかけを教えてください。
神田氏:当初体験版に関しては、社内でもやるべきかやらないべきか意見が分かれていました。最初に「RE:2」を出展したE3 2018では、触ってもらった人の声が非常にポジティブで、我々の期待を上回る声が聞こえたこともあり、体験版をどこかで有効活用したいと模索していました。
ただ、「バイオハザード」というゲームは初プレイのインパクトが大切なので、どういう形なら限られた中での貴重な体験価値を最大限に提供できるか。それを考えて行き着いた答えが、30分一度限りの制限を設けた形での体験版でした。あとはタイミングですね。発売から2週間前に配信を始めていますが、そのタイミングで体験していただくことによって、もっとやりたいという気持ちを持っていただけると思い「1-Shot Demo」の配信を決めました。
――「1-Shot Demo」はクリア率が26%ほどとのことですが、想定と比べていかがですか?
門井氏:もうちょっと行くかなと思っていました。ただ、死んだ数が少ないので、そこは狙い通りかなと。探索したら時間が切れてしまうので、その分楽しんでいただけたかなと思います。
――「1-Shot Demo」を触ったりして、ゲームが苦手な方でも興味を持った方は多いと思います。イベントでの実機プレイではゾンビの足を狙っていて「なるほど」と思ったのですが、プレイに自信がない方へのアドバイスはありますか?
門井氏:足を狙うのは何回も訪れないところならいいのですが、往復するようなところは足を撃っても倒れた状態でこちらを掴んできます。ここは倒そうとか、ここは放っておこうとか、そういうのは何度もプレイしていると分かるようになってくると思います。手を撃つとドアから入ってこなくなるといったこともあるので、いろいろ試してみていただくのがいいかと思います。
安保氏:本作では敵を倒しても弾が出ないので、探索してアイテムを集めてもらう必要があります。その分、マップの使い勝手をよくしていますので、マップをうまく利用してもらうと取り忘れたアイテムを拾えたりします。
門井氏:あとは「1-Shot Demo」でもありますが、難易度スタンダードで始めても、死んだタイミングでアシステッドモードに切り替えられるようになっています。このモードでは頭などの部位を狙いやすくなったり、体力も瀕死から戻るぐらい回復したりといったアシスト機能が付いているので、どうしても苦手な方はそちらで楽しんでいただけたと思います。
平林氏:アドバイス方面ではないですが、門井はナイフクリアをしたみたいで。
門井氏:何本も落ちているのでナイフだけでクリアも可能と言えば可能です。何カ所かはその場にあるものを使わないとダメなところもありますが、一発も銃を撃たずにクリアすることはできます。ただ、難しい難易度ではまだやってないので、ぜひどなたかクリアしてください(笑)。
――開発の中で特に大変だったことはありますか?
平林氏:一番はやっぱりゲームシステムとゾンビの組み合わせですね。ゾンビという単体と、ゲームシステムという単体、それぞれを独立して積み上げたわけではなく、同時に積み上げる形になるので、そのバランスやさじ加減が見えるまでが大変でした。
門井氏:「このゾンビはこれでいける!」というところまでたどり着くのが大変でしたね。
安保氏:ルートもコロコロ変えて、何度もいろんなルートを試して。
――それは配置とか攻撃方法などの話と、地形の組み合わせでしょうか?
安保氏:攻略ルートを決めるまでにも何度も作り直しをしました。
平林氏:一本道に近いゲームシステムだと少しずつ詰めていけたり、途中からでもある程度計画を立てられますが、一度行ったところに戻ることを想定する必要がありますし、さらにゾンビがドアをまたぐので……(笑)。
安保氏:自由度を重視したので、いろんなルートから遊んでも破たんせずに遊べるように試行錯誤しました。
平林氏:昔だったら部屋の中の難易度をゾンビの数でコントロールできたんですが、ゾンビがドアをまたいで移動するのでユーザーによっては数が違ってくるんですね。
門井氏:そこのバランスを取るのが大変でしたね。自分で何回もプレイして、ちょっとずつ直してを繰り返しやっていました。
――オリジナル版を特にリスペクトした点はどこでしょうか?
門井氏:やっぱり「ファンだったら絶対覚えてるよね」というところです。ワニですとか、タイラント、リッカーとか、誰でも印象に残ってる場面はできる限り再現して、しかも驚きをもって遊んでもらえるように意識しました。
安保氏:あとは同じストーリー体験をしてほしいので、ストーリーも核の部分は極力変えないようにしています。ただ、表現方法は今風にしようということもあり、ディティールをアップさせたり、リアリティを増したりといったことを心がけました。
――タイラントにAIを導入しているとのことですが、どのような影響があるのでしょうか。
門井氏:今回は隣の部屋の音などを聞いて、プレイヤーがそこにいるというのを検知して追いかけてくる仕組みを作っています。耳や目のセンサーでこちらの存在を感知しますので、実は物陰に隠れて静かにしているとやり過ごすこともできるんですが、走ったら見つかってしまうといった形です。
平林氏:そもそも出待ちしているわけではないんです。タイラントはタイラントで、本当にプレイヤーを探しながら徘徊して、たまたまこちらが行動しているところと出会ったら、視認したり音がしたということで追いかけてくるんです。
安保氏:プレイヤーを見失ったら、徘徊して警察署のなかをウロウロしていますよ。なので次にいつ出会うかはタイミング次第で、無理やりに空間をジャンプさせたりしていなくて、リアルに徘徊しています。