2019年4月1日配信予定の「ワンダーグラビティ~ピノと重力使い~」について、配信前バージョンをレビュー。クローズドβから追加・強化された点を中心に、その魅力を紹介する。
目次
セガゲームスとf4samuraiが2019年4月1日に配信予定のiOS/Android用RPG「ワンダーグラビティ~ピノと重力使い~」。本作は、事前登録件数が11万件を突破するという人気ぶりを見せている。それもそのはず、本作の開発を手がけているf4samuraiは、「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」や「オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-」といった人気作品を開発したデベロッパー。さらに、アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」、「進撃の巨人」といった作品のシリーズ構成・メインライターである小林靖子氏が脚本原案を担当するなど、期待するなという方が難しい豪華スタッフによって開発された作品なのだ。
筆者は昨年5月に本作のクローズドβテストに参加し、その内容を事前レビュー。少年マンガを思わせる王道の冒険ストーリーに引き込まれ、その内容が十分期待に応えてくれるものだと実感。本作のリリースを楽しみにしていた。
今回、そんな本作を再びレビューする機会に恵まれた。配信を控えたバージョンとのことで、クローズドβテストからブラッシュアップが施され、要素が追加されているバージョンだ。そこでこの記事では、配信前バージョンを元に、改めて本作の魅力を紹介する。
戦術性の高いターンバトルシステムをメインにした王道スマホRPG
今回、クローズドβテストの段階から手を入れられた部分は、大きく分けると演出周り、アーカイブ要素、ギルド要素という3つ。基本的なゲームシステムはクローズドβテストから大きく変わってはいない。ただ、クローズドβテストのレビューから1年近くが経過していることもあるので、改めて本作のゲームシステムを紹介しよう。
本作のゲームの流れは、スマホRPGとして標準的なスタイル。クエストを選びストーリーとともにバトルを楽しんでいくというものだ。バトルを重ねることで育成に必要なリソースが貯まっていく。
バトルシステムは、ターン制。そのターンに攻撃させたいキャラクターを3体選択することで、敵へ攻撃を行う。この時、キャラクターの選び方によって発生する効果が変化。同じキャラクターを3体選ぶと連続攻撃「オーバードライブ」が発生し、最後の攻撃がクリティカルヒットになる。また、異なるキャラクターを3体選ぶと合体攻撃「シンクロドライブ」が発生。こちらは通常攻撃に加えてコンビネーション攻撃が行われる。
キャラクター選択に関わるもう一つの要素が「ドライブレーン」。これはバトルでキャラクターを選ぶ際、パネルに登録していくことでパネルに書かれた効果が付与されるというもの。たとえば、有利属性に大ダメージを与えられる「属性ダメージ」や、回復しながら攻撃が可能な「回復」といったものがある。単にキャラクターを選ぶだけでなく、どのキャラクターにどのパネルを割り振るか?という点も戦術に関わってくるわけだ。
さらにバトルには、各キャラクターが有するスキルや、バーストゲージが貯まることで発動可能な「バースト」といった要素が関わってくる。強敵とのバトルでは毎ターンじっくり戦術を練る楽しさが味わえるバトルだ。
よりストーリーを深く体験させることを重視した強化・追加ポイント
さて、基本的なゲームシステムに触れた上で、いよいよ今回、クローズドβテストから強化・追加されたポイントについて触れたい。まずは演出周り。ゲームを開始してすぐに展開するプロローグ周りの2D/3D演出が強化されており、よりストーリーに入りやすくなっている。前回のレビューでも書いた通り、本作においてストーリーは強烈な魅力。「重力使い」に憧れ、冒険家だった父を追う主人公・ヒューゴが困難にぶつかり、なんとかその困難を乗り越えていく姿は、冒険モノならではのハラハラドキドキ感を与えてくれる。今回、演出周りが強化されたことで、前回より感情移入しやすくなり、さらにハラハラドキドキ感も強く感じられた。
クローズドβテストから追加されたポイントの2つめ「アーカイブ要素」を見ても、開発スタッフが本作のストーリーを大切にしていることがわかる。アーカイブというのは、いわゆる辞書的なコンテンツ。一度見たストーリーを読み返したり、ゲーム内で登場したキャラクターや、設定の解説を読んだりといったことができる。
肝心のストーリーの出来がイマイチなら、ただ設定だけ並べられても読む気は起きないが、本作はストーリーも世界観もよくできているので、設定を読むことがおもしろい。設定を読むことでより世界を深く理解でき、さらにストーリーが楽しめるようになる。ノベルゲームスで観られるTIPSのように、ゲーム内でより深く世界を楽しめる仕掛けが用意されているわけだ。
また、本作のバトルキャラクターであり、人間とは異なる種族「ピノ」については、単なる解説に留まらず、専用シナリオが用意されている。通常のクエストと同様に、ストーリーパートとバトルパートが用意された本格的なシナリオだ。たとえば、主人公の相棒であるニールについては、主人公の出会う前の物語がシナリオ化されており、プレイすることで、キャラクター達のつながりを一層深く理解できる。
ストーリーに絡んだ追加では、フィルムについても追加が行われていた。フィルムとはキャラクター達の1シーンを描いたイラストレーションで、ピノの装備の一種だ。フィルムもピノと同様、レア度が設定されており、今回追加された★3や★4といったレア度の高いフィルムについては、ストーリーに絡んだシーンが描かれていた。装備ひとつとっても、ストーリーを思い起こす仕掛けが施されているのだ。
世界観にあったスポーツ形式のギルドバトルとギルドシステム
クローズドβテストから追加されたポイントの最後である「ギルド」については、ギルド同士のバトルである「アストロボール」と、ギルドシステムである「クラブ」が用意されていた。
ギルド同士のバトル…GvGといえば、大規模なバトルを想像するが、本作のGvGは「アストロボール」という最大10人VS10人で戦うスポーツ形式。とはいえ、やることは基本的にバトル。敵クラブ(=ギルド)のメンバーとバトルを行った結果がポイントに換算され、制限時間内のポイントの獲得量によって勝敗が決まるという形だ。勝利することで「アストロメダル」というアイテムを獲得できる。「アストロメダル」を貯めると、豪華なアイテムと交換できる仕組みとなっている。
「アストロボール」は、スポーツ形式になっていることで本作の世界観とよく馴染んでいると感じた。ギルドである「クラブ」の見せ方もいい。クラブ専用のルームが用意されており、実際にスポーツのクラブチームのような見せ方をしている。ルーム内は自由に移動することができるので、臨場感も抜群。リリース後に「クラブ」を作った際にはチャットが盛り上がりそうだ。
ストーリーや世界観を大切に作られた作品!物語へ純粋に入り込める
クローズドβテスト、そして今回の配信前バージョンと二回にわたりプレイしてみて、筆者は本作が世界観やストーリーをとても大切にしている作品だと感じた。主人公であるヒューゴに感情移入し、次々押し寄せる困難にハラハラドキドキし、突破できたことを純粋に喜ぶことができる。RPGに求めるものってこれだよね!という印象だ。4月1日のリリースを楽しみに待ちたい。