「ラストクラウディア」は、ドット絵キャラクターが3D空間を駆け回るアクション性を持ったRPG。爽快な戦闘、引き込まれる物語、奥の深い育成といった本作の魅力について本記事で紹介したい。
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「ラストクラウディア」は、アイディスが4月15日にリリースしたiOS/Android向けRPG。ドット絵で描かれたキャラクターが3Dで描かれた空間を動き回るアクション性を持ったRPGになっている。これまで「ガーディアンズ」や「グランドサマナーズ」といったスマホRPGに携わっていたアイディスの新作ということで、期待していたRPGファンも少なくないだろう。そこでこの記事で、本作の内容について詳しくお伝えしたい。
フィールドをリアルタイムに駆け回り戦うバトルシステム
本作は、マップ上からクエストを選んでバトルをこなしていくという、スマホRPGとしては標準的なスタイル。クエストによってはバトルのないタイプのものもあり、ここでストーリーが語られていく。
バトルは、サポートを含むパーティーメンバー4人と、敵キャラクターとがバトルフィールド上をリアルタイムに移動しながら戦うという、アクション性を含んだものになっている。とはいえ、アクションゲームのような高度な操作テクニックが要求されるものではない。
操作の基本は、画面中央にある「攻撃」ボタンのタップ。このボタンをタップすると、操作キャラクターがターゲティング中の敵を攻撃してくれる。キャラクターは基本的にオートで敵を追ってくれる。なので、プレイヤーは「攻撃」ボタンをタップしていればOKだ。一応、敵の攻撃もオートで行ってくれるのだが、プレイヤーが操作した場合と比べて若干攻撃ペースが落ちるため、基本的には「攻撃」ボタンをタップした方がいい。
また、各キャラクターは通常攻撃以外に「魔法」や「特技」、「超必殺技」を繰り出すことができる。「魔法」はMPを消費して発動可能、「特技」と「超必殺技」はいずれもバトル中時間経過によって発動可能だ。「特技」は比較的早く貯まるため、通常攻撃に組み合わせてガンガン使っていくイメージ。
一方「超必殺技」は発動可能になるまで時間がかかるため、切り札的な用途が主になる。「超必殺技」は、威力、グラフィックのド派手さ、いずれも切り札として相応しいものになっている。
非常にド派手な「超必殺技」だが、「超必殺技」を使わずとも本作のバトルはド派手だ。敵味方のキャラクターが入り乱れて縦横無尽に駆け回り、リアルタイムに技を繰り出す。さらにはボスとして巨大なキャラクターも登場する。まるでアクションゲームのようにド派手で爽快なプレイ感なのだ。
感情を揺さぶる秀逸なストーリー演出!人によっては懐かしさも感じるハズ
ド派手なバトルを特徴としている本作だが、プレイしていて筆者が本作ならではの強い魅力として感じたのは、実はストーリー部分。王道のファンタジーなのだが、ストーリー演出が秀逸で、こちらの感情を揺さぶってくれる。
本作の舞台はグランゼリア。かつて破神ログシウスにより支配されていたが、英雄アデルと女神リラハによって破神が封印されて以来、人と魔獣がともに暮らせる平和が訪れた世界だ。しかし、謎の魔獣による被害が報告され始め、主人公である帝国の騎士カイルと魔獣レイにとある指令が下る。その指令とは、魔獣を操る組織「ブレイズ」にさらわれた少女・ティリアの救出任務だった。この任務中、強大な魔獣の襲撃を受けたことから、物語は思わぬ方向へ展開していく。
ファンタジーの王道といっていい、いかにもRPGらしい物語。ともすると「ありきたり」に感じてしまう人もいるかもしれない。しかし、本作は決してありきたりな作品ではない。というのも、ストーリー演出が丁寧だからだ。
ストーリー演出の中でもパッと見でわかりやすいのが、各シーンの美しさだろう。夕日に照らされた海岸、船の中から見る海。ビジュアル的に美しいだけでなく、背景が3Dであることを活かし、立体的にカメラが動くのだ。絵的な美しさと秀逸なカメラテクニックによって、シーンにしっかり引き込む力が生まれていると感じた。
また、登場人物のエピソードの入れ方が上手い。たとえば、本作のテーマ「人と魔獣の絆」に繋がる重要な関係と言えるのが、主人公であるカイルとレイとの関係。2人の関係性は、どのようなシーンでもセリフを通して見えてくるようになっているのだが、それ以外に序盤で挿入される過去エピソードや、ティリアとレイの食事シーンといった形でも繰り返し積み重ねられていく。こうした積み重ねがあるからこそ、カイルとレイの関係に思わずクスっと笑ったり、熱くなったり…と感情が揺さぶられるのだ。
それと、筆者のようにスーファミ~初代プレステの時期に青春時代を送ったものにとっては、本作の中に描かれる「JRPG的王道シーン」が心に響くのではないだろうか。「JRPG的王道シーン」というのはたとえば、「ここはオレに任せてお前たちは先に行け!」的な自己犠牲シーンだったり、冒険の途中で一時的にシーンが切り替わり「一方そのころ…」という形で敵の幹部揃い踏みで陰謀を話すシーンが挿入されたり…といったものだ。スーファミ~初代プレステの時期にRPGをプレイした人なら、これらのシーンに「あるある!」と共感するように思う。本作はこうしたシーンがとても上手く挿入されている。だから、プレイしていて、どこか懐かしさも感じさせてくれるのだ。
自分の好きなキャラクターのスキルをカスタマイズ!ユニークな育成要素
また、RPGの醍醐味ともいえる育成要素も、本作はユニーク。キャラクターは経験値によってレベルアップしていくのだが、さらに「アーク」と呼ばれる装備品によって、スキルの習得ができる。「アーク」毎によって習得できるスキルが異なるので、スキルを習得したら装備する「アーク」を切り替れば、キャラクターに好みのスキルを覚えさせることができる。つまり、「スキル」によるキャラクターカスタマイズができるのだ。
キャラクターカスタマイズができるといっても、当然ながら、好きなキャラクターがカスタマイズできなければ仕方がない。好きなキャラクターの基本能力が使えない性能だと、キャラクターカスタマイズの意欲も減退してしまう。本作はこの辺も上手く作られており、キャラクターにレア度が設定されていない。どのキャラクターでも好みのキャラクターをカスタマイズできる仕様になっているのだ。この点はスマホRPGとしてはとても珍しい。
スマホRPGファンからかつてのコンシューマRPGファンまでオススメできる作品
爽快な戦闘、感情を揺さぶられるストーリー、ユニークでやり込み甲斐のある育成…と、本作はスマホRPGとして高いクオリティを持っている。なので、スマホRPGファンならオススメできる作品なのだが、個人的には、それ以上に筆者と同じ経験をした人たち…スーファミ~初代プレステの時期に夢中でRPGをプレイした人達にオススメしたい作品だ。自分の中で美化された思い出が、最高の形で再現されるだろう。