フジゲームスが2019年7月30日にリリース予定のiOS/Android向けアプリ「アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実」。著名なクリエイターが参加した本作の先行プレイレビューを掲載する。
「アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実」は、“破壊”と“創造”をテーマとした群像劇RPG。原作・メインキャラクターデザインに河野純子氏、原作・企画原案に小牟田修氏、メインテーマに山根ミチル氏、バトルBGMに古代祐三氏、シナリオBGMに柳川剛氏、シナリオ協力に実弥島巧氏といった、コンシューマーゲームを中心に活躍してきたクリエイターが多数参加していることでも話題を呼んでいる。
Gamerでは、いよいよ配信日が7月30日に決定した本作を一足先にプレイ。実際に触ってみて感じたポイントを中心に、ゲームの魅力を紹介していく。
7つの世界を巡るストーリーを、群像劇ならではの視点で描く
まずは本作の世界観とストーリーについて触れておこう。ゲームの舞台となるのは、それぞれが何らかの問題を抱えている7つの世界。各世界に召喚される“破壊者”と呼ばれるキャラクターが主人公となり、自身の召喚された世界を正しく終わらせるまでを描いていく。
7つの世界は「黄昏編」「漆黒編」「凍土編」「灼熱編」「東方編」「降灰編」「輪廻編」というかたちでそれぞれのストーリーが独立。最初にプレイできる黄昏編をクリアすると漆黒編がプレイ可能になるといったように、RPGらしいひとつの大きな流れに沿って遊んでいくことになる。
今回の先行プレイでは「黄昏編」を一通り進めたが、圧政、そして“人間狩り”の続くセレネイア帝国に対して、破壊者として召喚された主人公のクロウ(CV:赤羽根健治)が、数多くの仲間とともに立ち向かっていく、“権力の破壊”というテーマに紐付いたストーリーが展開する。
群像劇RPGと銘打つ通り、異なる立場のキャラクターが各々の目的に沿って行動していくため、大きな流れの中でも多面的な視点で物語を楽しめるのが特徴。また、7つの世界はそれぞれつながっており、ほかの世界で、同じキャラクターが別の立場となり登場することなど、それぞれの世界での変化を楽しめるのも本作ならではだろう。
また、コンシューマー向けのタイトルと同様に、各エピソードにエンディングが用意されていることにも、ストーリーを見せる上でのこだわりが見て取れる。BGMはもちろん、各世界で破壊者を召喚する役割を担うクレイ・シスから生まれた声優ヴォーカルユニット「Kleissis」による歌も効果的に挿入され、RPGならではのストーリーの盛り上がりが生まれている。
バトルはオート進行ながら、プレイヤーが介入する要素も
本作のバトルは、最大6人のパーティー編成によるオート進行となっている。スマートフォンのゲームの場合、カメラは固定、もしくは自動で切り替わるような印象だが、本作においてはカメラ360度を切り替えることができ、さまざまな視点でバトルをチェックできる。この点も群像劇であることを意識したものになっているようだ。
バトル中にプレイヤーができるのは、ゲージの溜まったキャラクターのアクションスキル、そして特定のキャラクター同士で繰り出す絆スキルを発動すること。どちらもタイミングが重要になってくる要素ではあるが、サクッと進めたいという人は最大3倍まで可能な倍速モードとともに、オート発動も設定できるので、併せて活用するといいだろう。
バトル中の進行はもとより、パーティー編成も重要な要素になっている。キャラクターには“物理攻撃”“魔法攻撃”“防御”“支援”“回復”というロール(役割)が設定されており、偏った編成にするとバランスが悪くなり、戦況にも大きく影響することになる。
例えば、防御のキャラクターを配置しておかないと敵の攻撃を受けきれずにパーティーが総崩れになったり、攻撃に適したキャラクターがいないと相手に効果的なダメージを与えることができず、制限時間内に撃破できないといったこともあり得る。
また、編成においては関連するキャラクターがいると特殊ボイスが流れるなどの細かな遊びが盛り込まれているのもポイント。ちなみに先述の絆スキルは編成時に設定できるのだが、絆スキルを発動できるキャラクター同士の組み合わせでも、絆スキルを選択しておかないとバトル中では発動しないので、予め注意しておこう。
さらに、ゲームを進行していくと、部隊を引き連れての大規模な戦いを繰り広げる「戦争」が楽しめる。こちらは先ほどのロールに代わって、“騎馬兵”“歩兵”“弓兵”“魔法兵”の兵種がキャラクターごとに設定されている。前衛と後衛それぞれに配置できる兵種が決まっているため、通常のバトルとはまた違う編成が求められる。
また、戦争における戦場は、時間とともに“カルマ”が変化する。キャラクターには兵種だけでなく属性が設定されており、そのカルマと同じ属性の部隊が強化されるのだ。そのステージごとにカルマは異なるので、こちらも編成時にあらかじめチェックしておく必要があるだろう。
そして、ゲージが貯まると発動できる“大号令”は、一度発動すると士気が高まり全能力がアップし、戦況を大きく変えることのできる要素となっている。こちらもオートで進行する分、ちょっとした気の緩みで劣勢になってしまうこともあるので、各キャラクターのスキルとともに積極的に活用していこう。
もちろん、レベルアップや装備品によるランクアップ、スキルや武器の強化、そして覚醒などの成長要素も多彩。また、それらを効率よく進めるためのバトルコンテンツも用意されている。昨今のスマートフォン向けRPGのトレンドを取り入れつつも、随所に群像劇RPGとしての魅力を備えた作りになっているので、そのあたりを実際のプレイからも感じられるのではないだろうか。
方舟でのコミュニケーション要素
もう一つ、群像劇RPGを表現する上で欠かせないシステムが「方舟」と呼ばれる拠点システムだ。ここにはプレイヤーがガチャなどを通じて入手したキャラクターたちが集う場所で、会話を楽しんだり、食事をともにしたりなど、各キャラクターとの関係を深めることができる。また、ゲーム本編では描かれなかったキャラクターの一面を楽しめる「仲間ストーリー」も、キャラクターを育成していくと解放される。まさに仲間との絆を確かめることのできる場所となっている。
方舟内は自由に探索可能で、仲間がアイテムを拾っていたり、育成に役立つアイテムを生成してくれる場所もあるため、適度に探索しておくと、ゲームプレイに役立ってくれることだろう。もちろん、特定の場所にショートカットで移動したり、アイテムを一括で入手することも可能だ。
また方舟内にはいくつかの施設が用意されており、ゲーム進行に伴い解放されていく。こちらもメニューから選択できるのだが、あえてその施設まで足を運び、会話を挟んでから各メニューへと移行する、昔ながらのRPG形式でも楽めるので、お好みのプレイスタイルで楽しんでみてはいかがだろう。
ガチャができる「星見の楼閣」も方舟の施設の一つ。 チュートリアルガチャでは、最高レアリティのキャラクターを何度でも引くことが可能だ。 |
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クレイ・シスの7名がいる「ラプラスの間」では、本作のBGMやKleissisの楽曲も聴くことができる。 |
方舟を触ってみて面白かったのが、スマートフォンならではの利便性を意識したUIを採用しつつも、あえてコンシューマーライクな、プレイヤー自身がキャラクターを操作している感覚も同時に取り入れていることだ。昔コンシューマー向けのRPGを遊んでいた人は懐かしさを、普段からスマートフォン向けのRPGを遊んでいる人には新鮮さを味わえるのではないだろうか。
ゲームの各要素にフォーカスして紹介してきたが、全てに共通しているのは、制作側がいかに群像劇RPGとして表現するかを考えたものになっているという点だ。これは触ってみてこそ感じられる部分なので、リリースされた際にはぜひプレイしてもらえればと思う。