ディースリー・パブリッシャーより2021年3月18日に発売されるPS4/Nintendo Switch用ソフト「MAGLAM LORD/マグラムロード」のインプレッション記事をお届けします。
「MAGLAM LORD/マグラムロード」は、絶滅危惧種に指定されてしまった魔王が“コンカツ”で仲間と絆を深めつつ戦うアクションRPG。
主人公である魔王のキルリザークは、最初に男女のどちらかを選択することが可能ですが、デートをするコンカツ相手に違いはないので好きなほうを選んでOK。なお、性別によって外見と声優が違うほか、リアクションも異なるため2周目では違うほうを選んでプレイする楽しみもあります。
そんなキルリザークは神や魔王を問答無用に切り捨てることができる“魔剣(マグラム)”を生み出せる“刃の魔王”だったことから“世界の敵(ハーザデス)”として“神魔連合”に討伐されそうになっていました。
部下である“鉄(くろがね)の魔王”の協力で危機から脱したものの、ボロボロに疲弊したキルリザークは力を回復させるために長き眠りにつくことになります。
その後、キルリザークが目覚めると、そこは政府によって管理された平和な時代に。世界で唯一の魔王になってしまった彼は政府によって絶滅危惧種に指定され、保護対象にされてしまいます。
かつての力を取り戻すべく、キルリザークは自身を“魔剣(マグラム)”に変えられるという特性を生かして、パートナーと共に魔獣と戦うことで魔力を蓄える作戦を考える………というのがストーリーのプロローグになっています。
パートナーとなるのはキルリザークのように絶滅危惧種に指定されている“勇者の一族”のダリスとシャルム、科学と魔術のハイブリッドである“魔道工学(アルスマギナ)”の技術で創造された機械人形のモーヴ、冒険アイドルのジュレット、そして謎の青年アクラオ。個性的なキャラクターが多数登場します。
設定や外見だけでも魅力的で惹かれますが、実際にゲームをプレイすると、キルリザークとの交流の描き方が丁寧で、その人物のことが本当に好きになります。最初はどちらの性別を選んでも、全員と“コンカツ”できることに戸惑いもありましたが、その設定で正解だったと思います。自分は男性主人公を選びましたが、普通に男性パートナーもひとりのキャラクターとして好きになり、交流したくなります。
たとえば、未熟な少年だと思っていたダリスはとあるハンデを背負っていることがわかり応援してあげたくなりますし、ちょっとなにを考えているかわからなかった機械人形のモーヴも心優しいキャラクターであることがわかってきます。
もちろん女性キャラクターも、しっかりしたお姉さんだと思っていたシャムルがじつは不器用な部分があることがわかって、より親しみがもてるようになります。
本作のシナリオを手掛けるのは実力派の都月景さんですが、魅力的なキャラクターの描き方はさすがだなと思いました。
また、本作の見どころのひとつとなるのが“コンカツ”。“コンカツ”というと“婚活”を思い浮かべると思いますが、本作では“魂飢(こんかつ)”を解消するための行動のことになります。
魂飢とは魂の飢えのこと。魂の伴侶となる相手を見つけて魂飢を解消し、魔王がさらなる力を身に着ける――それがコンカツです。
仲間たちはリクエストのパートナーに選択したり、好感度が上がる選択肢を選ぶことで絆を深めることが可能ですが、その絆を深めることで“コンカツ道場”でデートも出来るようになります。
デートはボウリング場や遊園地、水族館など、現代的な施設が多いため、シチュエーションに感情移入しやすいです。まぁ、鎧を着た勇者が遊園地にいるのは少し違和感がありますが、そのギャップもおもしろいですね(笑)。
戦闘はサイドビューのアクション。3Dで自由に動き回れるゲームが多いなか、この内容は少しシンプルかな、と最初は思いながらプレイしていたのですが、プレイを進めていくと、そのシンプルなゲーム性のなかに面白さが濃縮されていることに気付きました。
戦闘の基本は剣、槍、斧からモンスターの弱点に合わせた武器を選択してダメージを与えていくというもの。モンスターにはそれぞれ固有の攻撃アクションがあるため、相手の動きをよく見て、攻撃をかわしたり防御したりしながら有効な武器でダメージを与えていくことになります。
システム自体は斬新ではないのですが、バランスがよく練られていておもしろい! 多少レベルが低くても相性などを見極めれば勝利できるようになっています。
バトルで連続攻撃を決めていくと、DG(デモニックゲージ)が上昇。一定まで貯まると、キルリザークが本来の姿に戻って戦うことができるようになります。これも逆転できる要素になっていてバトルを楽しくしてくれています。このDGはコンボ攻撃やため攻撃を使うと比較的貯まりやすいので、そこまで温存せずに積極的に使えるのもありがたいです。
使用する武器に関しては、“魔剣鍛造”で制作することができ、その素材は、フィールドの探索やモンスターのドロップで入手できます。
種類自体も豊富で、それぞれの武器にレアリティも複数用意されているため、コンプリートのしがいがあります。
また、魔剣はデコレーションパーツをつけることができ、自分好みにカスタマイズすることが可能。特殊効果を付け加えたり、外見を変更したりとこだわることができます。
キャラクターは、武器や防具で強化できるほか、スキルポイントを消費することでスキルを習得できます。キャラクターによって得意とする属性のスキルが違いますし、覚えるスキルの順番によっても立ち回りと性能が変わってくるので、戦略の幅は広いです。
もちろん、成長要素のあるRPGなのでレベルを上げれば誰でもクリアできるような難易度になっていますが、一方でプレイヤーがしっかり戦略を考えることで攻略がラクになる仕組みにもなっています。ゲームを進めていくなかでバランスが崩れることもないので、つねに緊張感のあるバトルを楽しむことができました。
モンスターはアイテムだけでなく、おまけで見られるグラフィックや音楽の開放権をレアドロップすることもあり、やり込みがいがあります。キャラクターがメインのゲームが好きな人はもちろん、チマチマとレベルを上げたりアイテムを集めたりするのが好きな人にもオススメの作品になっています。記事を読んで気になった人はぜひチェックしてみてください。