VALOFEから配信されたスマートフォン向けシミュレーションRPG「ファンタジーウォータクティクスR」をレビュー。爽快なタクティカルバトルをはじめとした本作の魅力について紹介する。

目次
  1. サクサク快適の操作性!ハイテンポで爽快なタクティカルバトル
  2. 悪党か?救世主か?凸凹メンバーのコミカルな世界征服
  3. テンポよく爽快なバトルとコミカルなストーリーがマッチした良作SRPG

「ファンタジーウォータクティクスR」は、スマートフォン向けのファンタジー・シミュレーションRPG。かつてネクソンから配信されていた同名タイトルのリニューアル版となっている。マス目で区切られたフィールドでターン毎にユニットを動かすという、ターン制タクティカルバトルを筆頭に、ゲームの基本的なつくりはオーソドックス。しかし、プレイすると、本作独自の魅力に気づかされる。

サクサク快適の操作性!ハイテンポで爽快なタクティカルバトル

ゲームの流れは、ステージ一覧から挑戦するステージを選び、タクティカルバトルをこなしていくというスマートフォンRPGとして標準的な形。タクティカルバトルは、ターン制コマンド選択型。おおまかにプレイヤー側のターンと敵側のターンに分かれており、ターン内でユニットを順番に動かしていく。

ターン内にできることは、移動とスキルの使用。通常攻撃もスキルという形に落とし込まれている。もちろん、何も行動せず次のユニットへ順番を回してもOK。ターン制コマンド選択型のタクティカルバトルとして、よくいえば王道のスタイル。ただ、人によっては古いと感じる人もいるかもしれない。しかし、プレイしてみるとまったく古さは感じないだろう。

なぜ古さを感じないのかというと、バトルのテンポが速いからだ。本作のコマンド入力は、移動先のマスを選んでも、攻撃対象としたい敵を選んでも、使用したいスキルを選んでもOKというものになっている。どれから選んでもいい。移動先を選ぶとその場所に移動し、攻撃対象としたい敵を選べば自動的に攻撃範囲内のマスまで移動する。使用したいスキルを選んだ場合、そのスキルの範囲内にいる敵の隣まで移動してくれるといった形で非常に融通が利く。だから、サクサク選べる。スマホゲームのタッチパネル操作といえば、家庭用ゲームと比べて操作性に劣る印象が強かったが、本作はむしろタッチパネル操作だからこその快適さだ。

また、この操作性を支えているのが本作の難易度設定だ。シミュレーションRPGとして本作はかなり簡単な部類に入ると思う。一応、グー・チョキ・パーというジャンケンの手に基づく相性設定や、攻撃方向の概念、仲間ユニットとの連携攻撃といったものも存在。こうした要素を考慮して戦えば効率よくプレイできるのだが、考慮せずとも問題なくプレイできる。シミュレーションRPGに、詰将棋のような戦術性を求める人にとっては物足りなく感じるだろう。だが、本作に関してはこの難易度が魅力に繋がっている。

サクサク快適な操作性と、力押しでもOKな難易度が組み合わさることで、本作のバトルテンポは非常に速い。もはや、爽快感すら感じるレベルだ。これには、ド派手で滑らかなアニメーションや、痛快な効果音も影響している。プレイしていて、とても気持ちいい。

タクティカルバトルというと、戦術を考える楽しさが中心となることが多い。なので、本作のように爽快なタクティカルバトルというのはなかなかないように思う。この爽快なバトルは単独でも魅力的だが、本作ポップでコミカルな世界観と繋がることで、本作の魅力をより高めている。

悪党か?救世主か?凸凹メンバーのコミカルな世界征服

プレイヤー=本作の主人公・ロードは、世界征服を目指す天才魔法師だ。なので、本作は一種のダークヒーローものといえる…のだが、テイストがコミカルなので、「ダーク」な感じは一切ない。世界征服にしても、主人公が征服に乗り出したところで、「世界征服機関」によって征服された後だった…というオチがつく。

「オチ」と書いたが、本作の巧みなところはこのコミカルな「オチ」と、「先の展開への興味喚起」を同時に行っている点だ。世界征服しようとしたら既に征服されていました…というのはギャグ的な「オチ」であるとともに、では世界を征服した「世界征服機関」とは何者で、何をしようとしているのか?先の展開への興味が湧いてくる。

本作はこの、「ギャグ的なオチと同時に、ストーリー上の重要な情報を出す」手法をシナリオ上の様々な部分で細かく行っており、それがストーリーの没入感を生んでいる。このため、プレイしているとコメディ的な展開に笑いながら、自然と「この先どうなるんだろう?」と興味をひかれてしまうのだ。

また、意思疎通できているんだかできてないんだかわからない、キャラクター同士の凸凹した掛け合いも絶妙だ。確かに天才魔法師というだけの力は備えているが、自己評価が高すぎて厨二病感のある主人公、ロード。ロードに付き従うが、何かというとすぐ対象を殺そうとするヒロイン的存在、クリス。常識人…いや、常識猫猫だが、そのためにロードやクリスに振り回されるイアンなどなど、本作の登場人物は全員クセが強く、キャラが濃い。なので、そもそも会話がかみ合わないのだが、ストーリーが展開すると、それがかみ合うようになっていく。

序盤で見られる代表的な例が、世界政府をめぐる見解だろう。あくまで世界征服をしたいロード。クリスはロードに対して絶対服従。一方、常識猫であるクリスは、悪事に手を染めたくない。しかし「世界征服機関」によって世界が征服された状態となると、必ずしも世界征服=悪事とはいえなくなる。「世界征服機関」の支配から元の世界を取り戻すという風に捉えられなくもないからだ。キャラ達の立場が二転三転していく内にそれぞれの利害が一致していく展開は、シナリオとして秀逸で、非常におもしろい。

テンポよく爽快なバトルとコミカルなストーリーがマッチした良作SRPG

テンポよく爽快なタクティカルバトル、そして、コミカルで引き込まれるストーリー。この2つの要素が本作の大きな魅力であることは間違いない。それぞれ単体としても魅力的だが、相乗効果でひとつの大きな魅力を作り出している。

というのも、コミカルでポップなストーリーと、ハイテンポなタクティカルバトルとの相性がいいのだ。ストーリーのコミカルさでクスっとし、先への展開に引き込まれた状態でサクサク快適なバトルで爽快感を味わう。バトルが終わるとまたコミカルなストーリー…という繰り返しが、非常に心地いい。ズルズル遊んでしまう。

本作は新作タイトルではなく、過去リリースされていたタイトルのリニューアル作品だ。運営終了したものの、リニューアル前の本作も好評を博していたという。残念ながら筆者はリニューアル前の本作をプレイしたことはないが、今回プレイしてみて、好評という理由が理解できた。本作はしっかりおもしろい。だから、「好評」という言葉は決して社交辞令や、宣伝のための上っ面の言葉じゃないだろう。

過去作のファンはもちろん、はじめてプレイするという人も、是非本作に触れてみてほしい。戦術や戦略といった部分よりも、ライトでコミカルなファンタジーノリを楽しむという前提でプレイすると、本作の楽しさを最大限味わえるだろう。

ファンタジーウォータクティクスR

VALOFE

iOSアプリiOS

  • 配信日:2021年3月24日
  • 価格:基本無料

    ファンタジーウォータクティクスR

    VALOFE

    AndroidアプリAndroid

    • 配信日:2021年3月24日
    • 価格:基本無料

      ※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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