「これぞ!」という女性向けコンテンツについて語っていく連載企画「おとめげ!」。第21回は2021年3月18日に発売したNintendo Switch用ソフト「ジャックジャンヌ」についてお届けします!

目次
  1. 「ジャックジャンヌ」ここがポイント!
  2. 「ジャックジャンヌ」とは?
  3. 個性の強い仲間と絆を深め、周囲の心を震わせる“歯車”に
  4. 最初の目標は「新人公演」のクリア
  5. サブキャラクターまで魅力たっぷり!
  6. 舞台を通じて多彩な物語を楽しめる

「おとめげ!」は、イケメンと可愛い女の子をこよなく愛するライターが、さまざまな乙女コンテンツをご紹介する連載企画です。今回はブロッコリーと「東京喰種トーキョーグール」を手掛けた漫画家・石田スイ氏がタッグを組んだNintendo Switch向け少年歌劇シミュレーションゲーム「ジャックジャンヌ」についてお届けします!

「ジャックジャンヌ」ここがポイント!

・キャラクターと劇中の役、それぞれで迫真の演技をみせる声優陣
・メインのストーリーをはじめ、展開が気になる豊富な劇中劇
・まるで本物のような舞台づくりを一から体感できるゲームシステム

「ジャックジャンヌ」とは?

舞台は、男性のみで構成された劇団「玉阪座」の役者を育成するための学校「ユニヴェール歌劇学校」。演劇の道を諦めていた少女「立花希佐」は、とある出来事をきっかけに女性であることを隠したまま入学。入学の条件である最終公演で主演を勝ち取るため、仲間たちと絆を育みながら役者として成長していきます。

メインキャラクターは高科更文(CV:近藤孝行)、睦実 介(CV:笠間 淳)、根地黒門(CV:岸尾だいすけ)、白田美ツ騎(CV:梶原岳人)、織巻寿々(CV:内田雄馬)、世長創司郎(CV:佐藤 元)の6人。石田スイ氏はキャラクターデザイン、世界観設定、ゲーム内のイラスト全般、劇中劇の歌詞や脚本なども担当。ゲームシナリオは「東京喰種」や「NARUTO」のノベライズ著者である十和田シン氏と石田スイ氏による共同制作となっている。

個性の強い仲間と絆を深め、周囲の心を震わせる“歯車”に

本作について語る前に言いたいのは「ちょっとでも気になったら体験版をプレイして。そこで面白いと思ったら、すぐ製品版を買って!」に尽きます。この「少年歌劇シミュレーションゲーム」で待っているのは自分自身が選択し、その結果を直接受け止められるゲームだからこその体験。1人でも多くの人に、作品へ触れてほしいと思わずにはいられない……そんな魅力がこれでもかと詰まったタイトルが、この「ジャックジャンヌ」です。

それでは、本作について紹介していきましょう。主人公の立花希佐(CV:寺崎裕香/苗字固定/ボイスのオンオフ可)は、校長である中座秋吏(CV:子安武人)の計らいで男性しか入学できないユニヴェール歌劇学校の生徒として入学することになります。一年の締めくくりとなる最終公演で主役になること、女性を隠し通すことを条件に、才能の原石たちが集まるクラス「クォーツ」の仲間たちと絆を深めながら切磋琢磨していきます。

4クラス/3年制のユニヴェール歌劇学校では、1年の間に5つの公演を行います。主人公はさまざまなレッスンに励みつつ、最終公演で主役を勝ち取るため各公演で結果を出さなくてはなりません。また、ここは男性のみという環境のため女性の役も男性が演じ、男性役は「ジャック」、女性役は「ジャンヌ」、それぞれで主役を演じるトップは「ジャックエース」「アルジャンヌ」と呼ばれています。主人公はジャック/ジャンヌどちらも演じられる可能性を秘めているので、各公演でどちらを演じるのかも気になるポイントですよ。

メインストーリーでは主人公をはじめ、各公演に向けて努力を重ねる仲間たちの姿が描かれます。入学してすぐの新人公演はがむしゃらに突き進むしかありませんでしたが、やがて優れた才能をもつ他クラスの同期や先輩たちの実力を目の当たりにし、自身の演技や託された役割に思い悩む事態もしばしば。どうにか厳しい状態を乗り越えてレベルアップしても、それが結果的に足枷になってしまう……など、彼らは何度も終わりのない“演じる”という壁にぶつかります。ここに主人公特有の「女性であることを隠しとおす」という条件も重なり、物語の深みが増していく一方「どうして皆、こんなに辛い目に合ったり、傷ついたりしなきゃいけないんだろう……」と目を逸らしたくなったのも一度や二度ではありませんでした。

とはいえ、どれだけ苦しもうとも本番は待ってくれません。彼らは考えに考えて悩みぬき、逃げることなくステージに立ちます。そこで見せてくれる、たった一度きりの舞台はまさに“奇跡”そのもの。まるで現実の舞台のように、生の人間が本番中に生み出す熱量を感じられて強く心を打たれました。実際に観劇の経験がある人はなおのことですが、観劇をしたことがない人も「舞台って、すごい!」と思えるような構成になっています。

最初の目標は「新人公演」のクリア

続いて、ゲーム全体の進め方について触れていきます。ゲーム内は大きく分けて、レッスンを行ってパラメーターをアップさせたり、生徒と交流して親密度をアップさせる「日常パート」と、ダンス・歌のリズムゲームをこなして好成績を目指す「公演パート」に分かれます。学校へ通っているようなイメージで、平日に「ランニング」「座学」「歌唱」「舞踏」「役作り」「エチュード」のうち1つを選んでレッスンを行い、土・日曜の休日には特定の相手を選んで会話を行うのが基本的な流れ。レッスンを行うと体力を消費するので、適度な休息も欠かせません。

メインキャラクターとのイベントを発生させるには、特定のパラメーターが必要です。例えば世長創司郎は「座学」をこなしてレベルを上げておくと、休日の「おでかけ」でイベントが発生。主人公の幼馴染であり、かつて主人公の兄と共に演劇にのめり込んだ幼い日の思い出を今も大切にしているのが伺える……という一幕も。ほかのキャラクターも主人公と心を通わせる出来事があったり、過去が判明したりと、さまざまなイベントが待っています。メニューの「キャラクター」で状態をこまめに確認しておくと、見逃しを防げますよ。

レッスンを続けていくと物語が進み、特定の日数が経過すると公演日を迎えます。ここでは実際にキャラクターたちが役者として舞台に立ち、ゲームで遊んでいるあなたも希佐として、舞台に立ちます。幕間では、リアルな舞台裏でのやりとりや、幕間に励まし合い、奮い立つ役者たちの会話も見ることができます。

舞台上のストーリーが進んでいくと、タイミングに合わせてキーやボタン、画面のタップといった操作を行う「歌唱リズムアクション」と「ダンスリズムアクション」をプレイすることになります。このリズムゲームの結果により、クラスや個人の順位が決定。リズムゲームには難易度が設定されていますが、難易度が高くなければ好成績を残せないわけではありません。どれを選んでも結果として好成績を残せばOKなので、得意な人は難易度を高めに、確実に好成績を残したい人は難易度を低めに選ぶといいでしょう。

稽古中にも歌やダンスのリズムゲームは入りますが、ボーカルが入ったミュージックビデオ付きの歌唱パートや、公演の衣装で踊る3Dモデルのキャラクターを楽しめるのは本番ならでは。曲もダンスも各公演ごとにすごく素敵なものばかりでつい見入ってしまいますが、しっかり作り込まれているので「今まさに、一発勝負の本番中なんだ!」という緊張感も漂います。そのため、ミスをした際には「自分(主人公)のミスのせいでクラス優勝できなくなる……!」と、思った以上にのめり込んでしまっていたことにびっくりしました。

シミュレーションゲームに慣れていない人は少し複雑に感じるかもしれませんが、体験版では最初の公演までプレイできます。ゲームの流れをひととおり体感できるので、ちょっとでも気になった人はまず体験版を遊んでみてください!

サブキャラクターまで魅力たっぷり!

本作の中心となるキャラクターは、全部で6人。華やかなダンスで惹きつけるクォーツのアルジャンヌ「高科更文(CV:近藤孝行)」、そのアルジャンヌをしっかりと支えるジャックエース「睦実 介(CV:笠間 淳)」、演出から脚本まで何でもこなす天才の組長「根地黒門(CV:岸尾だいすけ)」、芝居やダンスへの熱意は薄いものの高い歌唱力をもつ「白田美ツ騎(CV:梶原岳人)」、明るく前向きなムードメーカー「織巻寿々(CV:内田雄馬)」、舞台への造詣は深いもののうまく表に出せない主人公の幼馴染「世長創司郎(CV:佐藤 元)」で、彼らと共に各公演を作り上げていきます。その影には、主人公の兄で伝説的なジャックエースである「立花継希」の存在も……!

左から睦実 介、高科更文、根地黒門、立花希佐、世長創司郎、白田美ツ騎、織巻寿々

一見、確かな実力を誇る3年生のアルジャンヌ&ジャックエースのペアがいて、あらゆる面で才能を発揮する組長がいて、ジャンヌの中でも歌唱に秀でた「トレゾール」もいて……と安泰に思えるクォーツですが、ダンスに力を入れたジャック中心の「オニキス」、突出した歌唱を備えたジャンヌ中心の「ロードナイト」、異次元の才能をもつ「田中右宙為(CV:神尾晋一郎)」を筆頭に奇才が集う「アンバー」という強力なライバル・クラスが控えています。彼らと対等に渡り合うべく自分自身はもちろん、クォーツというクラスのため奮闘するのが見どころのひとつですが、個人的にはメイン以外のキャラクターたちも見逃せません!

とくに注目したいのは、各クラスにいる主人公の同期たち。オニキスの「加斎 中(CV:小野将夢)」は天性のセンスでさっそく頭角を現している1年で、主人公たちがクラス優勝を目指すうえで手ごわい相手に。ロードナイトのアルジャンヌ「忍成 司(CV:山下大輝)」の弟「忍成 稀(CV:草野太一)」は女子高生そのものといった軽い雰囲気で、重い空気を和ませてくれます。アンバーにも、田中右宙為を妄信する「紙屋 写(CV:村瀬 歩)」、底が見えない「百無客人(CV:花江夏樹)」という同期が。主人公に注目する田中右宙為の影響もあり、何かと因縁の深い関係になります。

その中でも一番プッシュしたいのが、クォーツの1年生「鳳 京士(CV:室 元気)」です。クセの強い役を振られても自分の仕事をきっちりこなす確かな実力はありますが周囲を頼ろうとせず、同期で何かと目立つ主人公たちへ稽古中の嫌味は日常茶飯事。はっきり言って典型的な“嫌な奴”なんですが、メインのストーリーだけでなくキャラのイベントなどで垣間見える部分が非常に人間くさく、ちょっと嫌な態度も含めて絶対に自分を曲げないところが清々しいんですよね。とくに根地黒門のキャラクタールートでの彼が気に入っています。

このほか同クラスやペアというわけではありませんが、田中右宙為と同学年の白田美ツ騎をはじめ「御法川基絃(CV:鈴木崚汰)」「菅知聖治(CV:植木慎英)」を含めた77期も非常にアツいんです。海外からも高い評価を受ける天才・田中右宙為と同期という、どうにもならない環境で舞台に立ち続ける彼らの関係性を白田美ツ騎のキャラルートを中心に堪能してください。

舞台を通じて多彩な物語を楽しめる

本作では主人公がクォーツで過ごすメインストーリーの合間に、各キャラクターにフォーカスしたキャラルートのイベントも楽しめます。メインストーリーでふとした瞬間に見せる「今の間は何だろう?」とか「あの反応、そういう意味だったんだ!」と気になる部分の答えや、主人公に特別な感情を抱く過程がキャラルートに詰まっているので全員分をしっかり見てほしいですね。個人的なオススメのプレイ順は織巻寿々→高科更文→睦実 介→白田美ツ騎→世長創司郎→根地黒門と進め、本作の集大成ともいえる立花希佐ルートを最後の締めくくりとしてほしいです。

また、公演の演目としての物語も見どころのひとつ。新人公演は眠れなくなってしまった王をどうにか眠らせようとする少女とのファンタジー作品「不眠王(ねむらずおう)」、次の夏公演ではサラリーマンとダンス講師の社交ダンスを通した心の変化を描く「ウィークエンド・レッスン」を演じます。もちろんメインストーリーでは脚本の本読みからスタートし、演出も交えて練習していきますから内容はほぼ事前に分かります。

「あらかじめ中身が分かっているなら、ワクワクできないのでは?」と思われるかもしれませんが、むしろ演出の意図や役者がどんな感情をこめて演技しているかなどの情報をしっかり把握した上で観劇できるので、内容がものすごく頭に入ってきます。感覚的には「面白くて何度も見た舞台が、いよいよ千秋楽を迎える」に近いかもしれません。それに肝心のクライマックスは練習ではっきりと語られず、よく“舞台は生き物”と言われるように当日どうなるかはお楽しみ……といった内容になっているので、観客目線で「この物語はどうなるんだろう?」とワクワクできますよ。無事公演をクリアすると、別途読み物として脚本も読めちゃいます!

とくにクォーツの肝となるのが、公演の脚本を組長の根地黒門が手掛けているという点です。既存の物語ではないので、まさにクォーツを取り巻く現状や演者たちにぴったりの配役に。まったく違う世界なのに不思議とクォーツにリンクしていて、役自体も含めたキャラクターたちの苦悩が分かっているからこそ、しっかり乗り越える本番でのカタルシスが凄まじいんです。この感覚を味わいたくて、次の公演の準備のためにゲームを進める……というサイクルにすっかりハマってしまいました。

冒頭の繰り返しとなりますが、これは1人でも多くの人に遊んでほしいタイトルです。本当は「このキャラクターのこのセリフで泣いた」「この展開がキツすぎて寝込みそうになった」「この歌のムービーと歌詞が最高!」「声優さんたちの歌うコーラスが美しすぎてリズムゲーム間違えた」「この演技への解釈、すごく分かる」などなどネタバレ込みで話したいのをぐっとこらえていますので、ぜひゲームを手に取って、この打ち震えるような感動を味わってください。

最近「ジャックジャンヌ」を知ったという人も、さまざまな特典が含まれた「限定ユニヴェールコレクション」が6月上旬を目途に再販売されます。もっと世界を深掘りしたいファンのために設定集や小説も発売され、公式サイトではメインキャストのロングインタビュー動画も公開中と、今から追いかけても十分間に合いますのでチェックしてみてくださいね!

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