スクウェア・エニックスがPS4/PC向けにサービス中の「ファイナルファンタジーXIV」。5月15日に開催された「デジタルファンフェスティバル 2021」のステージイベント「直樹の部屋」の模様をお届けする。
「直樹の部屋」は、「FFXIV」に縁のあるゲストを招き、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏と対談を行うコーナーだ。今回のゲストは俳優の神木隆之介さん。「今日はいちユーザーの気持ちで来てしまっているので緊張していますが、よろしくお願いします」と挨拶をした。
室内俊夫氏に「FFXIV」との出会いを聞かれると、2年ほど前に親友に誘われて始めたと回答。「当時はPCの環境が整っていなかったので、二人で漫画喫茶に通っていました。夕方から次の日の朝までずっと、操作方法やバトルのシムテムなどを教えてもらいながらプレイしていました」と当時の状況を振り返りつつ、「夕方から朝の時間帯だとちょっと疲れてたりもするんですけど、親友と協力して何かを成し遂げる時間っていうのが、本当に素敵だなって、感動して……朝帰りが多かったんですけど、すごくいい朝帰りでした(笑)」と笑いを誘った。
吉田氏は、「神木さんが『FFXIV』をプレイしていることは、東京ゲームショウの際に親友の方に教えていただいて知った」と明かした。「それで、『近々オーケストラコンサートがありますので、よろしければ』ってチケットをお送りしたら、本当に来てくれて。実は楽屋に神木君に渡す用のグッズをたくさん用意していたんだけど、オケコン終了後に挨拶に来てくれた神木君を見たら、グッズめちゃくちゃ買ってたんですよ」と、神木さんが生粋の“ヒカセン”であるエピソードを披露した。
トークテーマに沿って神木さんの“ヒカセン”っぷりを余すところなくお届け!
メインジョブ
最初のトークテーマはメインジョブ。神木さんは「方向指定とか難しくてまだ全然慣れてはいないんですけど」とコメントしつつも、モンクがメインジョブであると回答。その経緯として、「魔法に憧れがあって、元々は黒魔道士をやってたんですけど、詠唱がキャンセルになってしまうことが多くて、自分が戦力になれないことが悔しくて……『だったら動きながら戦えるジョブないかな』と思っていたら、親友が『竜騎士とかモンクがいいよ』と言ってくれて」と語る。
吉田氏に「モンクを使うときに心がけてること」を聞かれると、「ヒラさんに迷惑かけたくないなって思うので、ちゃんと予習して、敵の攻撃がどこで、どっちから来るのか、逃げやすい位置はどこか把握した上で動くようにしています」と答えた。
バトルでのこだわり
他に何かこだわりはあるか問われると、「火力が出ないので……ヘイト順位が最下位でも落ち込まない」と苦笑する神木さん。とにかく攻撃して、少しでもPTの力になれれば、というスタンスで臨むようにしているとのこと。「だからもうちょっとだけそこが改善できたらいいんですけど」と続け、火力が出ない理由はスキル回しなのか、装備なのかと吉田氏に問いかけた。
吉田氏は「装備は揃っていてマテリアもはまっている、であれば一緒に木人を殴ってトレーニングしましょう」と提案。「お願いします」と即答した神木さんは続けて、「ユーザーの皆さんも、(火力を出したいなら)これがいいよ、みたいなのがあったら教えてほしいです」とコメントした。
希望の園エデン
続いてのテーマはレイドコンテンツ「希望の園エデン」。ノーマルは攻略済みであるが、零式に至っては「マクロ」と呼ばれるユーザー間の“暗黙の了解”が理解できず、覚醒編の2層で「心が折れました」と語った。1層はギリギリでクリアできたものの、2層はノーマルと零式でギミックがかなり違うため、自分が今どういう状況になっているのかが把握できず、毎回あともう少しというところで戦闘不能になってしまったそうだ。
「それはまだまだ、勉強が足りてないからで」と冷静に分析する神木さん。それでも装備は強くしたいので、奇譚装備をコツコツ交換する路線にシフトしたのだという。
吉田氏に「零式にチャレンジしようという意欲はまだあるんですか?」と問われると、意欲はあるものの、覚醒編4層のボスであるタイタンは「ノーマルでも難しいのに」と、「改めて絶望を知りました」とコメントした。
自分がFFXIVのP/Dなら
こちらのテーマについては、敵の攻撃にランダム要素を多くしたらどうなるのか見てみたいと回答。吉田氏は「やっぱりプレイヤーさんだなと思いますね。それはユーザーの間でよく出る話題なんですよ」と語る。
ランダム要素を増やせば面白くなるという側面ももちろんあるだろうが、8人でそれを行うと難易度がとても高くなってしまう。また、例えば比較的避けやすい技ばかりが連続で使用された場合、“ラッキー”でクリアできてしまう場合が発生するし、逆に難しい技ばかりが使用されることもあり得る。コンテンツ全体のバランスをとるために、できるだけ避けているのだと解説。
しかしながら、「モンスターハンター:ワールド」とのコラボレーションコンテンツである「リオレウス狩猟戦」など、実験的にランダム要素を入れているコンテンツも存在すると付け加えた。
吉田P/Dから聞きたいこと
続いては吉田氏から神木さんへの質問「演技をする上で一番重要だと思うこと」。神木さんは「目はすごく意識します」と答えた。考え事をしているときや動揺したときなど、無意識の目線の動きをどう演技に落とし込んでリアリティを出すか、ということを重要視しているそうだ。もちろん、覚えたセリフを“言うだけ”にならないよう、演じる人物が本気で“そう思うから言う”ように意識もしているとのこと。
また、演技はちょっとした仕草でも印象が変わる。さきほどの目線の話で言えば、動揺を隠す性格の人物であれば、視線は逸らさず相手の目を見続けるだろう。そういった動きのパターンは何通りもあると、神木さんは語る。
それに対し、役作りは台本を読んだ段階で決めてしまうのか、現場に入ってから決めるのか、と吉田氏の質問。
神木さんは「僕は台本をいただいたら、自分の役の第一印象を日常生活からクセづけておきます」と返答。自身の演技は相手役の芝居によって変わるものなので、あとは現場で臨機応変にやるようにしているそう。ただ、日常で役のクセをつけておけば、咄嗟のアドリブなどにも素に戻ることなく対応できるのだそうだ。
吉田氏は「RPGを作るとき、ゲームに関係なくても、そのキャラクターの一生を作っちゃうんですよね」と話す。カットシーンはその部分だけを作っているのではなく、キャラクターの一生のうちの一部分を“切り取って”作っているという認識だ。その際、よりよい物語をプレイヤーに提供したいと思うと、芝居から得られるものは大事だと思うので質問したのだと言う。
それに対し神木さんは、芝居も同じ認識であること、「FFXIV」にはストーリーをかき乱すためのキャラクターがいるが、それだけのキャラクターではないのが「素敵だなと思いました」とコメントした。そして「このために出てきたキャラだなっていうのは、伝わりますからね」という話題に。
吉田氏も「プレイヤーの皆さんに『このキャラ、この役のために出てきたな』って言われると、制約があるので仕方ない点はありつつも、彼の背負ってきたものとか生い立ちまで表現しきれてないんだなって思う」とコメント。しかしながら、MMORPGの利点は物語をずっと続けていけるところなので、描き足りなかったのであれば今後、今日聞いた話も参考に作り込んでいこうと思うと決意を顕にした。
吉田P/Dに聞きたいこと
最後の話題は、神木さんから吉田氏へ聞きたいこと。「ストーリーがどう進んで、こういう結末にしようって、どういうきっかけで思い浮かぶんですか?」との質問に、吉田氏は「僕のタイプは、という意味だと」と前置きし、まず達成したいことを決めるのだと語る。「FFXIV」において吉田氏は「こういうことだったのか!」という驚きを提供したいと考えるため、結末で驚いてもらうためにはどうやるべきか? という視点をもって、物語の終わりから間を埋めるようにストーリーを決めていくのだという。
説明を終えると、神木さんへ「お話を作りたいっていうのはあるんですか?」と質問。神木さんは「いやいや、まだ全然スキルがないですし……作品を作ってみたい想いはありますけど、構築の仕方や問題への対処法を知らないので、勉強してからだなって」と謙虚に回答した。
それを聞いた吉田氏は「今のだけでも本当に真摯なのが分かるよね」とコメント。「そういうところが一緒に仕事をしたいと思わせるんだよ。すぐ好きになっちゃう。おじさんキラーだよね」と続けた。
褒められた(?)神木さん、ここで唐突に「ちょっと軽く聞いてもいいですか? モンクの疾風迅雷はなんで消えたんですか?」と笑顔で質問。突然の「物申す」にストリーミング放送のコメント欄もステージも笑いに包まれた。
神木さん、「FFXIV」公式アンバサダーに就任
最後に吉田氏から神木さんへお願いとして、「FFXIV」の公式アンバサダーに就任して、その良さを発信してほしい旨が伝えられた。すると神木さんは「諸先輩方が画面の向こうにいらっしゃるのに、逆に僕でいいんですか?」と発言。ストリーミング放送は「なんの問題もない」「逃がすな! 囲い込め!」という歓迎のコメントで溢れた。
その場で任命式も実施。吉田氏が任命書を読み上げ、盛大な拍手の中、神木さんへ任命書が手渡された。神木さんは任命書を掲げると「家宝です」と笑顔でコメント。続けて、「プレイヤースキルを上げ、迷惑をかけないように努め、堂々と“ヒカセン”と名乗れるくらい頑張って努力していきたいと思います。『FFXIV』は、もうひとつの生きる世界に出会った作品なので嬉しいです。がんばります!」と、アンバサダーの肩書に恥じないコメントをしてくれた。
また、締めとして「緊張してましたけど、吉田さんのお話も伺えましたし、いちユーザーとして伝えたいことも聞きたいことも、自分の想いも言えて、ユーザーのみなさんのコメントも見れてましたし、みんなが繋がっている素敵な作品だなと思っています。この作品に、普通に生活してて出会えて良かったと思っております。本当に楽しかったです。幸せです。ありがとうございました」と語った。
吉田氏は最後に、「『FFXIV』って不思議なゲームでして、今日みたいに俳優さんが来てくれると、普通「プロモーションなのかな?」ってなるところなんですが、一生懸命ゲームを作ってきて、世界中でサービスをしていたら、たまたまプレイヤーとして神木君がいてくれて、一緒に遊びましょうよって言ってくれる。そういう面白いことが起こるのが『FFXIV』というゲームです。暁月のフィナーレ発売に向けて、もっと盛り上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくおねがいします」と締めくくった。
神木さんが一つだけ魔法を使えるとしたら……?
ステージ終了後、神木さんと吉田氏によるトークセッションが行われた。ここからは、その模様をお届けしよう。
――まずは吉田さんに質問です。神木さんをアンバサダーに選んだ理由を教えてください。
吉田氏:不思議ではあるのですが、そもそもプレイヤーとしてお仕事ではないところで神木くんとは出会いました。国民的な大俳優ですから、せっかくの機会だからこそ一緒に仕事ができるタイミングがあれば是非! ということで、「暁月のフィナーレ」を光の戦士として盛り上げてもらえませんか、というお話がきっかけになっています。
――続いて神木さんに質問です。オフィシャルアンバサダーに就任した今の気持ちを教えてください。
神木さん:言葉で表すことができない気持ちです。嬉しいとか幸せという言葉では足りないくらい、信じられない気持ちでいっぱいです。本当に趣味として日常で遊んでいたので、今この場でマイクを持ってお話をさせてもらっているなんて想像もしていませんでした。先ほどのステージでは配信中に皆さんのコメントを拝見させてもらっていたのですが、温かく迎えてもらえていたのが嬉しくて、良かった……! という気持ちになりました。
――「FFXIV」をプレイすることになったきっかけを教えてください。
神木さん:親友から「『FFXIV』っていうゲームにに復帰しようと思っているんだけど、隆さん興味ある?」と誘われたのがきっかけです。「やってみたい」「じゃあ一緒にやろうと」と話が進み、金曜の夜に朝まで一緒にプレイしたりして、どんどんとハマっていきました。
――神木さんはゲームが得意とのことですが、逆に苦手なことはありますか?
神木さん:ゲームが得意なんておこがましいです。苦手なものは、……水ですね。泳げないんです。……あれ、これ大丈夫ですか?
吉田氏:「FFXIV」でも泳げないキャラ結構いるから大丈夫だよ(笑)。
神木さん:息継ぎが上手くできなくて泳げないんですよね。小っちゃいころから水にも潜れなかったし、水が顔にはねてくることさえ恐怖だったので。なので、未だに泳げないですし、上手く泳ごうという気力がないです(笑)。
吉田氏:きっかけはあったの?
神木さん:目に水が入ると痛くてほぼ全ての情報がシャットアウトされる恐怖心と、潜った時に目と耳と鼻がまったく機能しなくなるというのが恐怖でした。一回お父さんと潜ったことがあるんですけど、それがきっかけですかね。今は潜れますよ?
吉田氏:今は大丈夫なんだ。
神木さん:ただ息継ぎはできないです。
吉田氏:撮影でそういうシーンもあるよね?
神木さん:潜ったり沈んだりするシーンは……、もうやるしかないですよね。
吉田氏:じゃあそれを見た僕らは、「神木くんはスゲー戦っているんだ……!」って思ってみた方がいいってこと?
神木さん:本当に覚悟してやっているんだって見てもらえると嬉しいですね(笑)。
――「FFXIV」で登場するキャラクターの中で最も好きなキャラクターと、その理由を教えてください。
神木さん:ティターニアです! 敵キャラクターではあるのですが、音楽や世界観もそうですし、全部好きです。
吉田氏:かなり食い気味だったもんね。曲も好き?
神木さん:大好きなんですよ。それこそラジオに出演させていただいた時に、「自分で好きな曲をリクエストしていいよ」と言ってもらえて、放送でちゃんといいましたから。「『FFXIV』より『目覚めの御使い ~ティターニア討滅戦~』」って。多分あのラジオの中で「討滅戦」という言葉を言ったのは僕くらいなんじゃないかと思います。
吉田氏:「FFXIV」は音楽にもこだわって作っているので、そこを評価してもらえたのは嬉しいです。
――改めて「FFXIV」の楽しさはどのような点ですか?
神木さん:国などの境目も何もなく、ゲームの世界で生きることができるんですよね。そして戦闘の中で必ず役割があり、全てのプレイヤーにやることがあってその通りに攻略できないとクリアできないんです。同じ敵を倒していく“仲間”を感じますし、皆が同じ方向を向いているので助け合ったり、励まし合ったりということがあって。もう一つの世界があるんだなということを感じます。
――友人を誘うとしたらどのような点をプッシュしますか?
神木さん:「現実でなかなか体験できないことを日常的に体験しにいこう」と誘います。日常で感動が大きく動くことって意外とそんなにないと思うんですよね。それがゲームだと当たり前のように体験できてしまう。そして現実世界で起きたときと同じ心の揺れ動き方で体験できるんです。そこには仲間たちの友情があって、コミュニティがあって……、本当に現実世界と変わらないんですよね。そこが凄く素敵だなと思いますし、そこをプッシュします。
吉田氏:それはゲームを作っている僕らからすると最高の褒め言葉です。ありがとうございます。
――「FFXIV」の中のスキルや魔法、召喚獣など1つだけ使えるとしたら何を使いますか?
神木さん:難しいですね……。黒魔導士のファイジャとかは夢があるんですけど……現実世界で攻撃することも無いので使いどころに悩むな、と。
吉田氏:あれを現実世界で使ったら大変なことになるからね。
神木さん:そうですよね(笑)。でもやっぱりカッコいいですし、最初は黒魔導士に憧れていたのでファイジャかなぁ。回復系もいいんですけどね。
吉田氏:でもこれだけ忙しいならテレポとかさ。
神木さん:え、そこもアリですか。……テレポいいですね。
吉田氏:ウチのテレポは一回行かなきゃダメだけどね。
神木さん:でも確かにテレポいいですね、テレポいいです。テレポがいいです!
――それでは最後の質問です。神木さんの人生においてゲームはどのような意味があるものでしょうか?
神木さん:大したことは言えませんが、今のところ僕の中でのゲームは“繋がり”ですね。この言葉が合っているかもわからないのですが、色々な人と現実世界を超えることができるんです。例えばここにいる吉田さんも吉田プロデューサーと呼ばれる方ですが、ゲームの中では一人の黒魔導士なんですよ。そして同じ目的をもって一緒に進んでいくことができます。立場なども関係なくみんな一緒で、仲間たちと苦労を共にして、同じ話題で盛り上がれるし、もっともっとその人を知ることもできるし知ってもらうこともできる。そしてどんどん仲間が増えていくというのが僕にとって大きいなと感じています。
吉田氏:僕もゲーマーなのでその気持ちは凄くわかります。現実から逃げたいとかでは無く、1人のゲーマーとして、その世界の中で仲間を見つけて、色々なことと繋がれるというのが刺激だと思うし、やすらぎでもあると思います。そういう意味では“繋がり”という言葉がしっくりくるのだと思います。
――ありがとうございました。