フジテレビ“+Ultra”ほか各局にて放送中のTVアニメ「エスタブライフ グレイトエスケープ」。これまで放送された3話までを視聴しての感想をお届けします。

目次
  1. 第1話「学業から逃げられない」
  2. 第2話「思い出から逃げられない」
  3. 第3話「水族館から逃げられない」

谷口悟朗氏(代表作:「コードギアス 反逆のルルーシュ」)によるオリジナル企画「エスタブライフ」では、魔改造された「東京」を舞台に、異なる時間軸の物語がそれぞれのメディアで展開。スクウェア・エニックスよりスマートフォンゲーム「エスタブライフ ユニティメモリーズ」もリリース予定となっています。

プロジェクトの中で先陣を切って展開しているのが、フジテレビ“+Ultra”ほか各局にて放送中のTVアニメ「エスタブライフ グレイトエスケープ」です。監督に橋本裕之氏(代表作:「ご注文はうさぎですか?」)、シリーズ構成・脚本に賀東招二氏(代表作:「フルメタル・パニック」)が参加し、アニメーション制作をポリゴン・ピクチュアズ(代表作:「シドニアの騎士」など)が手掛ける注目作です。

本作ではずっと先の未来が舞台になっていますが、この時代では東京の街はAIが管理していて、上野、秋葉原、池袋などの私たちが普段から認識している場所は、高い壁に囲まれた「クラスタ」として認識されています。クラスタに暮らす人々は基本的に自由な行き来をしておらず、クラスタでの常識をもとに価値観が形成されていくのです。

とはいえ、もちろん自分が暮らすクラスタに適応できない人たちもいます。そんな人々を別のクラスタへと逃がすために暗躍しているのが、本作に登場する「逃し屋」と呼ばれる5人です。本作では、少なくとも3話までは各話完結のエピソードとして描かれていて、さまざまなクラスタで逃げたい人からの依頼を受け、あらゆる方法を駆使してほかのクラスタへと移動させるまでの顛末を楽しめます。

もう一点、本作では世界人口の減少を止めるべく、種の繁栄を目的として、AIによる遺伝子改造が施されています。つまり、本作に登場する人は常人・獣人・魔族などの多様な人種が生み出されていて、それも物語を楽しむ上でのアクセントになっています。

実際に3話までを見ていると、「逃し屋」としての活動を軸に置きつつも、クラスタという閉鎖的な環境が生み出す多様な文化と価値観を垣間見ることに。ちょっとクスッとしてしまうユーモアと、その中に含まれたメッセージがすっと入ってきます。各話のエピソードに関する感想を紹介しつつ、その魅力に触れていきます。

第1話「学業から逃げられない」

1話の冒頭では逃し屋としての活動を見せつつ、その後は御茶ノ水大学園都市の学生として過ごす主人公・エクア(CV:嶺内ともみ)たちの姿を描きます。さらに、最初のエピソードということもあり、逃し屋として依頼を受けてから解決するまでの流れを確認できます。

1話のポイントとして挙げられるのは、スライム人間であるマルテ―ス(CV:長縄まりあ)が銃弾を受けるシーンでしょうか。眼前で一瞬スローモーションになった後のシーンとして我々が普段イメージするのは超人的な力で避けたり弾いたりといったものでしょうが、なんとそのまま銃弾を受けて顔が弾け飛んでしまうのです。しかしながらそこはスライム人間、ということで周囲に液状の物体が弾け飛ぶというコミカルなシーンに仕上がっています。

今回の依頼主は彼女たちの通う学校の教師。教壇に立ち続けることに疲れて死ぬことも考えたものの、実行するのは怖いという彼に対して、「だったら逃げるのが一番です」と話すエクアのあり方が物語の大きな軸足になってきそうです。

そして、各話の見どころとして注目したいのが逃がすシーンです。基本的にはモデレーターと呼ばれるAIに見つからずに逃げることが目的となるのですが、その道中にもさまざまな障害が待ち受けます。それらを乗り越えて実際に逃がすシーンは意外とあっさり(?)としていますが、それは逃げることより、逃げた後の新たな生活にこそ意味があると示しているように感じました。

第2話「思い出から逃げられない」

1話が逃し屋としての全体像を見せてくれるものだとしたら、2話からはクラスタの多様性と、逃し屋のキャラクターたちのバックボーンが少しずつ描かれていきます。

2話の舞台となるのは新宿のヤクザ街です。三大ヤクザの一つ関八州連合の大親分であるトイチからの依頼を受けるのですが、その理由がまさかの……というところが大きな見どころです。定められた生き方から脱却したいというのはクラスタから逃げる大きな動機になるようですが、それにしても意外性がありすぎて、驚きを隠せませんでした。

また、新宿は逃がし家の一味であるフェレス(CV:高橋李依)の出身地でもあります。魔族である彼女は、ヤクザ街でも用心棒として一目置かれていた早撃ちガンウィザードということで、実はそこにもトイチが新宿から脱出したい理由があります。

エピソードの終盤、跡目の継承式を行う流れで脱出を図ることになりますが、そこでもう一つドラマが用意されています。フェレスの活躍にもぜひ注目してもらえればと思います。

第3話「水族館から逃げられない」

3話の舞台である池袋は電車で東西に分断されていて、東池袋は共産主義、西池袋は資本主義をそれぞれ掲げています。東側に所属する水中バレエ団ペン人たちが、表現の自由を求めて西側に逃げたいと依頼してきます。

ペン人はその見た目通り、ペンギンの容姿をした人たちです。彼らは決してふざけてはいないのですが、そのやり取りはどこかシュールで面白いです。サンシャイン曲技団を率いるミハイル(CV:山口勝平)、警察のミールペン(CV:草尾毅)とのペン人同士の対比関係も注目ポイントになっています。

ミハイルを逃がす過程で囚われの身となってしまうエクア。ミールペンからの尋問では、謎多きエクアの一端が垣間見えます。そんな彼女を救い出そうとする逃し屋一行の活躍はもちろんですが、今後の物語に向けた期待も高まるところです。

自由を求めるために脱出を果たすミハイルと水中バレエ団ペン人ですが、その後に用意されているオチにも注目。脱出することが決して上手く転がるわけではないことを感じさせるエピソードでした。


そのほかにも、オジサン臭いAIロボットのアルガ(CV:速水奨)や、狼の獣人で「わん」としか口に出せないウルラ(CV:三木眞一郎)など逃し屋には個性的な面々が登場。彼らのエピソードにも期待したいところです。

TVアニメ「エスタブライフ グレイトエスケープ」は、フジテレビ“+Ultra”ほか各局にて放送中。FODでも先行独占配信されていて、毎週1週間限定で無料見逃し配信も可能となっています。この機会にぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

TVアニメ「エスタブライフ グレイトエスケープ」公式サイト
https://establife.tokyo/

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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