Cygamesより6月28日に発売されたPS4/Nintendo Switch/PC用ソフト「リトル ノア 楽園の後継者」のインプレッションをお届けする。
6月28日の“Nintendo Direct mini”で発表され、同日にPS4/Nintendo Switch/PC用のダウンロード専売タイトルとして発売された「リトルノア 楽園の後継者」。
「リトル ノア」は2015年の5月から2019年1月までスマートフォン向けのゲームとして配信されていたタイトルなので、その新作がコンシューマとPCで発売されることに驚いた人も多いだろう。なお、ストーリーは前作「リトル ノア」の前日譚になっており、ゲームのジャンルも異なるため「リトル ノア」を遊んでいなくても問題なく楽しめる。
「リトル ノア」の前日譚が描かれるストーリー
ストーリーは父親を捜して冒険しているノアがしゃべるネコのジッパーと出会い、彼とともに遺跡を冒険していくというもの。ノアとジッパー、そして遺跡の力を狙うダイアンという男の3人を中心に話が展開する。
個人的に注目なのはノアとジッパーのやり取り。純粋なノアと意地っ張りなジッパーは性格が大きく異なるが、だからこそいいコンビとなっている。また、冒険を続けることで絆を育んでいくふたりを見るのも微笑ましい。本作はストーリーのパートが多いわけではないが、しっかりキャラクターたちの魅力を掘り下げてくれている。
また、メインストーリーとは別にノアとジッパーのちょっとした会話が楽しめる“魔女の日誌”を見つけるという要素もゲームには存在。
ノアの声は「リトル ノア」と同様に竹達彩奈さんが演じているので、当時アプリをプレイしていた人であれば懐かしい気分になれるハズだ。
アストラルを呼び出してコンボを決めるのが気持ちいい
ゲーム部分について。「リトル ノア」はシミュレーションゲームだったが、本作「リトルノア 楽園の後継者」はローグライトアクションに。ランダム生成されるステージを進んでいくという内容で、負けると拠点に戻されて手に入れたアイテムなどをすべて失ってしまうものの、これらはマナポイントに変換されて拠点の強化に使用できる。能力を底上げして再挑戦できるので、やられてしまってもモチベーションが下がりづらい。
難易度も3段階用意されており、自分のスタイルにあったものを選ぶことが可能だ。
本作の大きな特徴としてノアの武器“アストラル”がある。ローグライトというジャンルにそこまで思い入れのない筆者が本作に一気にハマった理由も、このアストラルという独自のシステムにある。ノアはアストラルという仲間を編成して戦うことになるが、ボタンを押すだけで次々にアストラルが攻撃をしていき、手軽にコンボを繰り出すことができる。
アストラルはステージの開始時に基本となる3種類を獲得でき、その後はバトルの報酬や宝箱から入手していくことになる。そのため、どのアストラルが仲間になるかはランダムで、ゲームに挑むごとに毎回違うアクションで戦うことになるので、新鮮にプレイすることが可能。また、アストラルたちは普段は小さい姿でチョロチョロとノアのあとを付いてくるが、その姿がかわいらしいので見ているだけで癒される。
手に入れたアストラルはアタックスロットに割り当てることができ、攻撃ボタンを押すことで次々に攻撃を繰り出す。また、アタックスロット以外にスキルのスロットがあり、このスロットに割り当てたアストラルはアタックとは別ボタンで強力なスキルを使用できる。アストラルの攻撃は突進して攻撃するものや相手を打ち上げるもの、魔法で遠距離攻撃するものなど多彩なものが存在するため、自分だけのコンボを考えるのが楽しい。強力だがコンボが繋がらずに使いづらかったり、逆に威力は低くても使いやすい技があったりするので、割り当てる順番なども重要だ。
アストラルは40種類もあり、組み合わせは膨大。アタックに使うのかスキルに使うのかでもアストラルのアクションは変わってくるのでいろいろな戦略を考えながらプレイできる。なお、スキルは強力だが、クールタイムがあるため連続使用はできない。とはいえ、アタックをしながらスキルを発動することもできるため、とても便利。ボス戦などで一気に攻めたいときに役立つ。
アストラルは近距離が得意な火、遠距離が得意な氷、バーストゲージが溜まりやすい風、さらに属性をもたない4種類が存在。能力を強化するアクセサリやクリスタルは特定の属性のみを強化するものが多いので、属性を考えながらパーティを組むのが重要だ。
また、アストラル以外の攻撃として“エーテルスラスト”が存在。任意の方向に一瞬で移動して攻撃を行うというものだが、コンボ攻撃の間に挟んだり、敵を倒したあとに次の敵の場所に移動したりと役立つ。このエーテルスラストが搭載されているおかげで、ただでさえ爽快な本作の爽快感がさらに増している。
ステージはランダムで、トラップが敷き詰められた部屋や追加報酬が得られるチャレンジが発生する部屋、ノアの能力がアップするクリスタルのある部屋、アイテムやアストラルを購入できるショップ部屋などが存在する。
ノアは、さまざまな能力を持つアクセサリ、ノア自身のHPやダメージを強化するクリスタル、そして攻撃手段となるアストラルを入手しながら次々とステージを進んでいくことになる。
ゲームを進めていくと中ボスが立ち塞がるステージが登場するが、この中ボス戦もおもしろい。ボスは複数の攻撃パターンを持っており、その攻撃をかわしながらわずかに生まれたスキをついてダメージを与えていくことになる。ある程度のダメージを与えると攻撃パターンが変わるので最後まで油断ができない。どちらかとうと爽快に敵を蹴散らしていくザコ戦と異なり、緊張感がある戦いを楽しめるのでゲームにメリハリがある。また、登場する中ボスはランダムなので、どの敵が登場するのかドキドキさせられる。
なお、鋼のキングや剣のクイーンといった中ボスのキャラクターは彼らを倒したあと、後述する拠点の強化でアストラルとして仲間にできるようになる。苦しめられた強敵を仲間にできるのは、なかなかうれしい。
ノアの見た目が変化する“アニマ”も必見
敵にやられて戻ったあとはマナポイントを使って拠点を強化できる。ノアやアストラルの基礎能力を上げたり、回復のポーションが使えるようにしたりと、冒険で役立つ要素をアンロックさせることが可能。それぞれの要素はツリー形式で、後半にいくほど必要なマナポイントは高くなるが、それだけ効果も大きくなる。能力を上げると序盤の中ボスはノーダメージであっさり倒せるようになり、強くなったことを実感できる。本作は何回も力尽きてそのたびにやり直すのが前提のデザインだが、それが苦にならないようになっている。
また、条件を満たすことで“アニマ”が開放。このアニマはノアの見た目が変化するほか、特定の属性や特定の場所にセットしたアストラルを強化する能力を持っている。
さらに、それぞれが異なる必殺技“アニマバースト”を持っており、バーストゲージが最大になると発動可能だ。“アニマバースト”は迫力のカットインもあるのでそちらも必見。本作のキャラクターデザインはアプリ版から引き続き、吉田明彦さんが担当しているが、ゲームのキャラクターも吉田さんのテイストが再現されている。どの衣装もかわいいのでコンプリートしたくなる楽しみがある。なお、DLCで「プリンセスコネクト! Re:Dive」や「ウマ娘 プリティーダービー」とのコラボも配信予定だ。
普通にプレイすればエンディングまで10時間ぐらいで到達することができるが、魔女の日誌やアニマの開放などやり込み要素も多く長く遊べる。本作は1,500円(税込)というロープライスだが、ゲームの作り込みや最終的なボリュームを考えると安すぎると感じるぐらいだ。ゲームのテンポもよく、カジュアルに楽しめるので多くの人に手に取ってもらいたい1本だ。