ゲームエイジ総研は、同社が運用するマーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」をもとに、年末年始にユーザー数を伸ばしたタイトルのデータを公開した。
年末年始の長期休暇でテレビを見る機会が増えるというユーザーも多く、この期間に合わせて多数のモバイルゲームのTVCMが放映された。今回はその中から「LINE:ディズニー ツムツム」「ウマ娘 プリティーダービー」「ヘブンバーンズレッド」の3タイトルがピックアップされている。
以下、発表情報をそのまま掲載しています
データの概要
利用データ:iGageデータ
iGageデータ:2022年12月1日~2023年1月8日の期間のデータ
幅広いユーザーを獲得した「ディズニーツムツム」
はじめに「LINE:ディズニーツムツム」をみてみます。「ディズニーツムツム」は2014年1月19日にサービスが開始されたパズルゲームです。「ツム」と呼ばれる、デフォルメされたディズニーのキャラクターが特徴的なこのアプリは、日本のモバイルゲームのなかで最もアクティブユーザー数が多いタイトルとして長年にわたりトップの座を守り続けており、特に40代から50代の女性に人気の高いアプリです。
12月26日から、9周年と年末年始を記念したイベントが行われており、様々なゲーム内限定アイテムなどがもらえる内容となっています。また、12月26日からは「乃木坂46」の山下美月、与田祐希、賀喜遥香、お笑いタレントのフワちゃんら4名が出演する新CMが放映開始されており、年末年始と周年を盛大に盛り上げています。
iGageのデータを見ると、その施策の影響は明確に確認できます。12月26日以降、どの年代でもアクティブユーザーが増加していますが、特にもともとはユーザーの割合が少なかった10代と20代に関しては、倍近くユーザーが増加しています。【グラフ1】
「LINE:ディズニーツムツム」のCMはゲーム内のキャラクターなどを全面に押し出すのではなく、人気の高いアイドルやタレントを起用し魅力を語ってもらうことで、ユーザーの目を引きつけています。特に今回のTVCMにより、もともとユーザー数の多かった40代から50代のユーザーのほかに、幅広い層に人気の高いアイドルや、若者に人気の高いタレントを起用したことで、比較的ユーザー数の少なかった10代から20代の今までプレイをしていなかった新しいユーザー層にリーチできたことがわかります。
「ウマ娘」はメインユーザー層が倍増
次に「ウマ娘 プリティーダービー」をみてみます。「ウマ娘 プリティーダービー」は、2021年2月24日に配信が開始された、擬人化された競走馬の育成を行うシミュレーションゲームです。アニメ、マンガ、舞台など様々なメディアミックスが行われている作品であり、特に20代から30代の男性を中心に人気の高いアプリです。
「ウマ娘 プリティーダービー」では12月29日から年末年始を記念したイベントが開始され、正月をイメージした衣装を着たキャラクターの実装や、大規模なログインボーナスキャンペーン、1日1回10連ガチャ無料キャンペーンなどが行われました。また12月29日からは、新しく実装された正月衣装に身を包んだ「キタサンブラック」と「サトノダイヤモンド」が登場する新規TVCMの放映も開始されていました。
iGageのデータを見ると、12月29日からアクティブユーザー数が増加しており、10代から30代の増加が目立っています。その中でも特に20代のユーザーは40万人レベルから70~80万人レベルへと2倍近く拡大しています。【グラフ➁】
「ウマ娘」は、ユーザー規模が最も大きい20代のユーザーが更に増加した点が注目されます。人気の高いキャラクターに新しい衣装を実装しCMにも起用することで、同世代ユーザーの中で、プレイ経験のなかったユーザーや、一旦離脱してしまったユーザーが復帰しプレイし始めたということが考えられます。
長期間にわたりユーザーを獲得した「ヘブンバーンズレッド」
最後に「ヘブンバーンズレッド」をみていきます。「ヘブンバーンズレッド」は2022年2月10日に配信が開始されたドラマチックなストーリーを全面に押し出したRPGゲームです。「AIR」や「CLANNAD」を手掛けたKeyの麻枝准氏が原案・メインシナリオを担当していることもあり、そのストーリーは20代から30代を中心に人気となっています。
「ヘブンバーンズレッド」は12月16日からクリスマスイベントを開始し、同時にログインボーナスキャンペーンなどが行われました。また、12月16日からは新CMの放映が開始されました。CMではお笑いタレントのマヂカルラブリー野田クリスタルと、女優の内田理央が出演しており、高いストーリー性を訴求した内容となっていました。12月30日からは年末年始を記念したイベントが開始されています。
iGageのデータ見ると、CMの放映が開始された16日以降から徐々に10代から40代のユーザーの増加がみられ、12月上旬から見ると、12月末では10代から40代では、それぞれ2万人ほどユーザー数が増加しています。【グラフ3】
「ヘブンバーンズレッド」は、ゲームストーリーの良さを前面に押し出した内容でしたが、CMではゲームキャラクターを利用して訴求する内容ではなく、タレントや女優などに魅力を伝えてもらうことで、「ディズニーツムツム」と同じく、幅広いユーザーの獲得に成功したと考えられます。
今回は12月中旬から年末年始にかけて新しいTVCMを放映した「ヘブンバーンズレッド」、年末年始時期に新しいTVCMを放映した「ディズニーツムツム」と「ウマ娘」をとりあげましたが、いずれもアクティブユーザー数を伸ばしていることがわかります。
テレビ媒体によるCMはターゲティングが比較的明確なWeb広告とは違い、狙ったユーザーに確実に視聴させることは難しくなっています。しかし、年末年始は長期休暇が続くことにより家族団らんの場が増え、普段よりもテレビを見る機会が増加することが考えられます。
そのような期間だからこそ、受動的媒体ではあるものの大規模で視聴者からの信頼を得やすいTVCMでの訴求を中心とし、インターネット上の様々なチャネルを活用するデジタルアドと戦略的に組み合わせたことで、ユーザーへのリーチが効果的に行われたのではないでしょうか。