アソビモがリリース予定の「Against War」を先行レビュー。世界中のプレイヤーを相手に1対1で戦うリアルタイムストラテジー。シンプルなシステムながら深い戦略性を持つ本作の魅力を紹介する。
「Against War」は、アソビモが4月27日にリリース予定のスマートフォン向け対戦型RTS(リアルタイムストラテジー)。スマートフォン向けの対戦型RTSといえば、数カ月程度の時間をかけて多人数で楽しむMMOタイプが多い。そんな中本作は、1対1で短時間に集中して勝敗を競うという形式。しかも、カードでユニットを召喚するスタイルになっている。対戦ゲーム好きでカードバトルゲーム好きな筆者として、これは無視できない一作だ。今回はそんな本作をリリースに先がけプレイさせてもらえるという幸運に恵まれたので、その模様をこのレビューでお届けしたい。
士気をくじくか?敵将を打ち取るか?シンプルながら奥深いゲームシステム
本作のバトルで描いているのは、剣と魔法のファンタジー世界を舞台にした攻城戦。歩兵や騎兵、投石機といったユニットがカード化されており、プレイヤーはこれらのカードを組み合わせてデッキを編成。バトルではカードを使用することでフィールドにユニットを召喚し、勝利を目指す。
システムそのものは非常にシンプルにまとまっている。プレイヤーがやることは、召喚したいユニットのカードをフィールドへプレイするだけ。画面下にデッキ内からドローされたカードが4枚並んでおり、この中から使いたいカードを選んで召喚したい場所までフリックすれば召喚完了。カードが魔法カードであれば即座に効果が発動、兵士カードであれば召喚されたユニットがそれぞれのアルゴリズムに基づき自動的に敵城へと向かってくれる。
ユニットには有利不利の相性が設定されている。本作における相性は基本的に射程として表現されており、剣よりは槍が、槍よりは弓が強い。つまり、より射程の大きな方が有利というのが基本。ただし、射程は短いものの防御力の高い盾兵は弓兵に対して有効となっている。
ここまでのルールからパッとイメージするのは、ディフェンスゲームではないだろうか。どのユニットが有利かを考えて召喚するというシンプルな構成は、確かにディフェンスゲームに近い。しかし本作の戦略は、一般的なディフェンスゲームよりもかなり深いものになっている。
本作の戦略性を深めている要素が、勝利条件だ。本作の勝利条件は2つあり、ひとつは敵城に君臨する敵将を討ち取ること。そのためには敵の中央城壁を破壊するか、城壁を登って城内へ入り込んで直接討ち取るかたちになる。もちろん、逆にこちらの将を倒された場合には、敗北してしまう。
ふたつめの勝利条件は敵の士気をゼロにすること。敵ユニットを倒したり敵の城壁を破壊したりすることで敵の士気は低下していき、ゼロになるとこちらの勝利が確定。これも当然ながら、こちらの士気がゼロにされた場合はこちらの敗北となる。
本作のバトルがおもしろいのは、、この2つの勝利条件をめぐって駆け引きが発生するところ。たとえば、敵城を攻略しようとしてユニットを大量に召喚すると、こちらの弱点を突く相性のユニットによって士気を削られ敗北…などといったケースが起こり得る。
では、相手の士気をゼロにすることを狙って相手の召喚を待ち、常に後攻的にユニット召喚する方が強いのか…というと、この戦い方にも弱点がある。ユニット召喚後にはクールタイムが発生するため、基本的には先に召喚する側のユニットの方が多くなる。そしてユニットによっては盤面のユニット数によって士気をアップさせるものも存在。このため、弱点を突こうとしたこちら側が士気不足に陥ってしまうということもあり得るのだ。
つまり本作のバトルには、ユニットの相性以前に「戦い方の相性」というものが存在している。これがなんとも奥深い。絶対に有利という戦い方はなく、いかに相手の狙いに気づき、敵の戦い方の弱点を突くか…。非常にアツい読み合いが発生するのだ。
単なる育成じゃない!戦略的にカードを揃える育成システム
本作のようにカードでデッキを組むタイプのゲームでは、バトルもさることながら、カードを充実させてより強力なデッキを構築するという部分も醍醐味だ。ただこの点も本作は、独特なシステムを導入することでより奥深い楽しさを実現している。
カード収集型のゲームではたいてい、カードの獲得にあたってガチャやルートボックス、あるいはカードパックなどの仕組みを取り入れている。つまり、ランダムでカードを獲得するという形式だ。本作もカードの獲得そのものは「募兵」という機能によってランダムに獲得する形なのだが、この「募兵」機能が城内の施設のひとつという位置づけになっているのがユニークだ。
城内には「募兵」以外に「魔法研究所」や「司令部」、「城壁」や「守備兵」といった施設が存在し、それぞれ素材アイテムを使用することで強化が可能。「募兵」を強化すれば新たな兵士カードがアンロックされるし、「城壁」や「守備兵」を強化すればバトル時の自分の城が強化される…というかたちになっている。
このシステムは一見、MMO戦略ゲームの内政システムのように見える。しかし本質的には、プレイヤー毎の戦略に個性を出すための機能といえるだろう。素材アイテムの量には限りがあるので、プレイヤーはどの施設を強化するのか選ばなければならない。この結果、兵士カードが強いだとか、城壁まわりが強いだとかいったプレイヤーごとの差が生まれる。そしてこの差が、バトル時にはプレイヤー毎の戦い方の差を生む。たとえば「城壁」や「守備兵」を充分強化しているのであれば、その分攻め重視の戦い方ができる…といった具合に。
今後の環境変化にも期待大!リリース後にやりこみたい一作
今回は先行プレイということで、筆者も「満足いくデッキが組めた!」と思えるほどの深いプレイはしていない。まだまだ戦い方を模索している段階だ。デッキの組み方次第で、いくらでも強い戦い方ができるだろうし、そうした強力な戦い方を潰すための戦い方…いわゆる「メタる」ため戦い方も存在するだろう。
本作のような対戦型ゲームでは、ゲームシステムそのもののおもしろさ以上に、こうした「戦い方」の移り変わりがおもしろい。環境的に強いと言われるカードや戦い方をくじくためにはどんなデッキでどう戦えばいいのか?これを各プレイヤーが必死で考え、日々新たな戦い方が生まれていく…という状況がめちゃくちゃおもしろいのだ。対戦型ゲームのプレイヤーであれば頷いてくれると思う。
では、本作はそれだけのアツい状況が作れる作品なのか?…今回、先行プレイした感触として、筆者は「イエス」だと思う。シンプルなシステムでありながら2つの勝利条件がもたらす駆け引き、素材アイテムをどの施設強化へ投じるかによって生まれるプレイヤー間の差といった要素によって、本作は多彩な戦い方ができる奥深いゲームとなっている。リリース後、どんな戦い方が生まれていくのかが今から楽しみでならない。リリースされたら確実にやりこむと思う。どんなデッキを育てようか、筆者は今からあれこれ考えている次第だ。