スクウェア・エニックスから2024年2月29日に発売予定のPS5用ソフト「ファイナルファンタジーVII リバース」(以下、「FFVII リバース」)のレビューをお届けする。

目次
  1. 敢えてメインだけをひたすら突き進む旅へ
  2. メインストーリーだけでクリア時間は、約40時間強
  3. バトルが苦手な人ほど、”キャラクターの切り替え”を意識してみよう
  4. 気になるデートのお相手は……!?
  5. 各所にミニゲームが満載!メインストーリーにもクイーンズ・ブラッドが登場
  6. コンピレーション作品の履修は必須ではないが……
  7. 運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とは

本作は、2020年4月10日にPS4にて発売された「ファイナルファンタジーVII リメイク」(以下、「FFVII リメイク」)から、約4年を経ての続編。そして、1997年にPlayStationで発売された、「ファイナルファンタジー」シリーズの7作目「ファイナルファンタジーVII」(以下、「FFVII」)リメイクプロジェクトの第2作目となる。

今回は、製品版を最初からクリアまでプレイしてのレビューとなる。物語を楽しむための重要なネタバレには触れていないものの、オリジナル版「FFVII」に登場した一部の要素には触れているので、念のため閲覧にはご注意願いたい。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

また、カームからミスリルマインに突入する寸前までのプレビューで、本作を構成する”要素”については既にその大半を記している。なので今回は下記記事に含む内容をほぼカットするのでご了承願いたい。

敢えてメインだけをひたすら突き進む旅へ

前述の通り、本作は広大なワールドマップを探索しながら進んでいく物語である。探索を進めれば進めるほど、ファストトラベル先が増えて、便利になっていく。その寄り道の量については、プレビュー記事を参考にしてもらいたい。

ちなみにこのプレビューの記事の時、筆者はグラスランドエリアだけで何時間も何時間もこもって、プレイしていた。それでも全然探索しきれず、この世界はなんと広いのだろうと感動した。

その一方で感じたのは、探索だけで仮に1エリア10時間強かかるとして……それだけ他のことをやっていると「メインストーリーを終わらせるのに何時間かかるんだろう?」ということへの不安だった。

「FFVII リメイク」ではほぼ寄り道要素がなくメインストーリーだけを辿っていく旅で、なんでも屋クエストを含めても30時間強ほどのプレイ時間で終えることができた。しかし、今回はカームで5年前のニブルヘイムの物語を辿り、そこから先へと進んだらグラスランドエリアの広大な地が待ち受ける。そこで10時間も寄り道をしてようやくミスリルマインへ向かうために湿地帯を進む……という段階で、思った。「このゲーム、終わらないのでは?」。

5年前のニブルヘイムだけでなかなかのボリュームがあることは、体験版で体験した人も多いだろう。
5年前のニブルヘイムだけでなかなかのボリュームがあることは、体験版で体験した人も多いだろう。

もちろん、そんな想いは幻想である。終わりはいつか必ず訪れるはずだ。ただ、ぼんやりと「終われないのでは?」と感じるほどのボリュームがあった。特に半ば無限コンテンツとも言えるカードゲーム「クイーンズ・ブラッド」がある。

また、もうひとつ不安に感じたことは、「寄り道要素はめちゃくちゃ充実しているけれど、メインだけだと意外とあっさりしているのでは?」ということだ。

なので、これら諸々の不安を払拭すべく、筆者は今回【メインストーリー以外の寄り道を一切しない】というルートをあえて取ることにした。

前置きが非常に長くなってしまったが、今回のプレイでは通信塔も最初のチュートリアルで解放する一本しか解放していないし、それ以外の寄り道は全部無視した(チョコボの捕獲クエストだけはプレイしている)。なんでも屋クエストはひとつも受けていない。大好きなクイーンズ・ブラッドも全無視だ。

……という大前提で、以下を読んでもらえると幸いだ。

メインストーリーだけでクリア時間は、約40時間強

いきなり結論から述べてしまうが、今回本当にクリアまで一切わき目もふらずに突き進んだ結果、スタッフロールが流れるまでにかかった時間は42時間ほどだった。途中多少道に迷ったり敵の倒し方がわからず手間取ったりした部分もあるが、ほぼ「物語だけ遊ぶとクリアまで約40時間」という事前情報の通りのタイムとなった。

今回はワールドマップという広い世界を行き来するだけあって、メインだけを突き進むと言っても移動に時間がかかりそう……と思いがちだが、メインで行く場所は初回のみ自分で道を切り開く必要があるだけで、2回目からはほぼファストトラベルで行ける地ばかりである。なので移動のストレスは全くないに等しかった。

メインだけを追っていくと、前作の「FFVII リメイク」とほぼ同様のプレイ感で遊ぶことができる。テンポよく進んでいくメインストーリーにどっぷりと浸れる。

「FFVII リバース」からは、ついにユフィも登場!
「FFVII リバース」からは、ついにユフィも登場!

ちなみにサイドコンテンツを一切プレイしていないことで気になるのがクラウドたちパーティメンバーのレベルとボスバトルの難易度だが、意外や意外、サイドコンテンツを一切やらずとも、極端に苦戦したバトルは極々一部のボス戦程度だったと言っても過言ではない。それもレベルが足りないというよりは、倒し方にちょっとしたコツが必要なボスだったりするだけだった。どうやらメインを追うだけで、充分な経験値は入るようになっているようだ。なお、いわゆる雑魚戦は「遭遇した敵は倒す」程度でプレイしている。

前述のプレビューではひたすらサイドコンテンツをこなした後にミドガルズオルム戦を戦ってなかなか苦戦したので、てっきりレベルが足りなくなるかと思ったのだが、そんな心配は全くの無用だったと言っていいだろう。

途中からは「サイドクエストをひとつもやっていない」ということへの不安を一切忘れてしまうほど、バトルは余裕を持ってこなすことができた。もちろんバトル全般は難易度でも変わってくるので、最初からメインストーリー以外一切プレイしないという気持ちで挑むのであれば、難易度「EASY」や「CLASSIC」を選んでおくのもひとつの道だろう。

得られる経験値については、恐らくすごく丁寧に調整されているのだと予想できる。神調整と言っても過言ではない。
得られる経験値については、恐らくすごく丁寧に調整されているのだと予想できる。神調整と言っても過言ではない。

バトルが苦手な人ほど、”キャラクターの切り替え”を意識してみよう

筆者はアクションが下手な部類に入るのだが、先日行った浜口氏へのインタビューで「今作ではバトル時の操作キャラクターをこまめに切り替えたほうが良い」とのアドバイスを受け、強敵を相手にするときは操作キャラクターをこまめに変えてはATBが溜まったらアビリティや魔法を使い、連携アビリティを出すことを意識した。

5年前のニブルヘイムでもセフィロスとクラウドの連携アビリティを使用することができた。
5年前のニブルヘイムでもセフィロスとクラウドの連携アビリティを使用することができた。

キャラクターの成長要素となるスキルツリーでも、とにかく様々なキャラクターで連携アビリティを中心に取得していった。すると前回のプレビュー時には連携アビリティを全く使いこなせていなかった筆者だったが(これは下手が故にほぼクラウドしか操作しないためである)、どんどん連携アビリティを繰り出すことができるようになった。

この連携アビリティがプレビュー時にはわからなかったが、思っていた以上に強い。体感的にはほぼリミット技と同じくらいの威力がある。確かにこれは、アクションが不得手な人ほど、強力な切り札になりそうだと感じた。

しかし、だ。アクションが下手な人間の代表として言わせてもらうと、アクションが下手だとキャラクターの切り替えすら難しいと思う。だから筆者はプレビュー時、ほぼクラウド操作から切り替えることができず、連携アビリティをまともに撃つことができなかった。

ここに関してはもう「慣れ」としか言い様がないのだが、とにかく最初のうちからキャラクターを切り替えていくことを癖にするしかない。そうするとゲーム後半になればなるほど、キャラクターの切り替えも自然とできるようになっていき、連携アビリティをバンバン撃てるようになるはずだ。

さらに連携アビリティは、派手な演出が入るのもカッコいい。色々なキャラクターの組み合わせでどんな演出になっているのかを試してみるのも、面白いのだ。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像
「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

一方で、プレビュー時はやたらと連発していた連携アクションは、キャラクターの切り替えとATB消費でいっぱいいっぱいで、全く使いこなせなかった。ただ連携アクションはどちらかというとコンボの繋ぎのように入れていく感じがあったので、やはり浜口氏のアドバイス通りアクションが苦手な人ほど強力な連携アビリティをどっかんどっかん撃っていくのが楽しそうだ。

他にアクションが苦手な人間として全くやらなかったことに、3つまで登録できるパーティの切り替えを全く行わなかった、というのがある。筆者の鉄壁パーティはクラウド、ユフィ(愛)、エアリス(回復・魔法担)で、基本このパーティから切り替えることが全くなかった。

(バトルとは全く関係ないが)見よ、ユフィちゃんのこの笑顔!
(バトルとは全く関係ないが)見よ、ユフィちゃんのこの笑顔!

そんな筆者のようなずぼらなプレイヤーが続出すると、見抜かれていたのだろうか。本作では、さまざまな箇所で各キャラクターが分かれて進行するシーンがあるのだ。例えばクラウド、ティファ、バレットの3名固定で進む場面があったり、エアリス、ユフィ、レッドXIIIとで進んでいく場面があったりする。そのため、万遍なく色々なキャラクターを使えるようになっていた。

どんな場面で誰を操作することになるのかは実際のプレイを楽しみにしていてほしいところだが、クリアした後になって「あのキャラクターあまり操作しなかったな……」と思い残すことがないような作りになっている。「せっかく作った全キャラクターをプレイヤー全員に楽しんでほしい」という、開発陣の気概のようなものが感じられた。

なお、マテリアの付け方についても、今回のプレイでは大分ずぼらだった。一応クラウド、ユフィ、エアリスの3人には四属性(ファイア、ブリザド、サンダー、エアロ)のマテリアは意識してつけていたが、メンバーが固定されるところも多く、全ての場面でバトルメンバーが四属性の魔法を使える状況だったわけではない。だが実際のところ「クリアするだけならばそれくらいズボラでも問題なかった」と言っても、差し支えないだろう。更に言うなれば、「少なくともメインストーリー上では、ヘルハウスのような極悪ボスはいなかった」とも書ける(なお筆者は「FFVII リメイク」の初見プレイ時、ヘルハウスと30分の激闘を繰り広げた)。

恐らくバトルレポートなどをしっかり進めていこうとするとこんなプレイでは通用しないと思うが、ぜひ参考にしてほしい。

言うまでもないがチャドリーのVRチャレンジも全く行っていないため、召喚マテリアはチョコボ&モーグリ、シヴァ、イフリートの3つしか所持しないままラストまで突き進んだが、これも問題なかった。さまざまなやり込み要素を全部無視してもいいバランスを保てているのは、非常に有り難い。どういうプレイスタイルを取るかはプレイヤーに委ねられているのだ。

気になるデートのお相手は……!?

この、メイン以外一切やらないプレイで気になるのは、ゴールドソーサーでのデートイベントで誰が現れたかだろう。ちなみに本作では、頭上のアイコンで好感度が大体見えるようになっている。

バレットとティファの頭上にアイコンが見えるが、これが好感度である。
バレットとティファの頭上にアイコンが見えるが、これが好感度である。

デートイベントの寸前、好感度はエアリスとティファが同じアイコンで、ユフィ、バレット、レッドXIIIがこれよりも少し下くらい、という状態だった。エアリスとティファがほぼ同じ(ように見える)ならば、エアリスがくるんだろうか……? と思ったのだが、デートイベントで現れたのはティファだった。

詳しいデートの内容については実際にプレイヤー自身の眼で見てほしいので一切語らないが、誰か狙っているキャラクターがいるのであれば好感度だけは調節をしたほうがいいかもしれない。

デートイベントの寸前では「好感度のやり残しはないか」というような確認ダイアログが開くので、安心してほしい。デートイベントの前に以前の地へと戻って、なんでも屋クエストなどをこなすことができる。

サイドコンテンツを一切やらずとも、好感度に関わるような選択肢が出てくる場面はあちこちである。新しい町に来たら、町に散らばって自由行動をしている仲間をひと通り探して話しかける、くらいはしておいたほうがいいだろう。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

狙っているキャラクターがいるならば誰にでも良い顔をしないほうがいいように見えるが、前述の浜口氏・北瀬氏へのインタビューで、浜口氏が「ゲームをクリアすると一定以上の好感度になっているキャラクターの中から、次のデート相手を誰にするかというのがオプション的に選べるようなボーナス機能が付く」と語っている。

全員のデートを見たいとかであれば、とにかく相手が気に入りそうな選択肢を選び続け、2周目のオプション機能でデートイベントを回収するのが良さそうである。

各所にミニゲームが満載!メインストーリーにもクイーンズ・ブラッドが登場

「FFVII リバース」ではカームから忘らるる都までが描かれるが、この範囲の中で一番のミニゲームといえば、ルーファウス歓迎式典を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。このルーファウス歓迎式典はもちろん、本作でも健在。クラウドたちが神羅兵に扮して歓迎式典に混ざり、ミニゲームをこなして視聴率を稼いでいく。

神羅兵の兵装を身にまとったティファとエアリス
神羅兵の兵装を身にまとったティファとエアリス
ルーファウス
ルーファウス

ルーファウス歓迎式典のミニゲームは、「FFVII リメイク」の時の蜜蜂の館で行われたダンスと似ており、画面に出てくるノーツにあわせて対応したボタンを押していく。

歓迎式典のミニゲーム
歓迎式典のミニゲーム

入力に成功した分だけ視聴率は上がり、失敗するとその分視聴率が下がってしまうというベースはオリジナル版そのままに、現代風のミニゲームとなって生まれ変わった。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

ルーファウスに直接会えるという社長賞を狙って、ミニゲームで高得点をたたき出してほしい(ちなみに筆者は入力に多少ミスったくらいでも普通に社長賞をもらえた)。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

なお、ルーファウス歓迎式典以外にも、細かいミニゲームは非常にたくさん盛り込まれている。むしろプレイ時間からイベントシーンを除いた残りの時間の半分くらいは、ミニゲームをプレイしていたんじゃないかと思うくらいである(さすがに実際にはそこまでのボリュームはないと思うが)。

ジュノンからコスタ・デル・ソルへと渡る船は、運搬船から豪華客船へと様変わり。その船内では新カードゲーム「クイーンズ・ブラッド」の大会が開催されており、クラウドはメインストーリー上でもカードバウターとして戦うこととなる。大会にはティファやエアリスらパーティメンバーはもちろんのこと、ウォールマーケットの重鎮であるマムやアニヤンも参加しているので、この機会にぜひバウトを楽しんでほしい。

なお周回を重ねないと参加者全員とバウトすることはできないので、カードに負けた時のティファの反応、エアリスの反応など全部を見てみたい人は、周回プレイを重ねて頑張ろう。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像
「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像
「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

メインストーリー上でのカードバウトということもあり、カードが苦手な人はリタイアもできる。負けてもリトライも何回でもできるので、どうしても勝ちたい人は納得いくまで戦おう。

ほぼ初期のデッキでも(アイテム屋で買えるカードは購入済)、優勝は可能になっている。ハイレベルな戦いになるほど、どうしても配られるカードの運頼りになるところもあるが、筆者はそれも含めてクイーンズ・ブラッドが大好きだ。今回は「寄り道をしない」という目標だったため、クイーンズ・ブラッドを思う存分楽しめたのはこの場面だけだった。

クイーンズ・ブラッドをやり始めるとそれこそ時間がいくらあっても足りなくなるほど面白いカードゲームなので、時間がある人はじっくりクイーンズ・ブラッドと向き合ってほしい。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

そして無事コスタ・デル・ソルへと到着すると、クラウド、ティファ、エアリスのリゾートウェアを入手するためのミニゲームがてんこ盛り。コスタではウィリーに乗ることもできて、しばし旅の疲れを忘れることができる。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

リゾートウェアは各キャラクターに2着ずつ用意されているので、さまざまなミニゲームをクリアして、リゾートウェアを全部入手してから、お気に入りのウェアに着替えよう。

ホテルでティファのピアノリサイタル! ピアノ演奏はなかなか難しく、筆者は大苦戦。
ホテルでティファのピアノリサイタル! ピアノ演奏はなかなか難しく、筆者は大苦戦。
筆者はクラウドもティファもエアリスも、あえてしっかりめの水着に。ウェアをクラウドと同じテイストでそろえたキャラクターは、好感度があがるようだ。
筆者はクラウドもティファもエアリスも、あえてしっかりめの水着に。ウェアをクラウドと同じテイストでそろえたキャラクターは、好感度があがるようだ。
ユフィもリゾートウェアにお着替え!
ユフィもリゾートウェアにお着替え!

他にも各所でさまざまなミニゲームが発生するので、どのようなゲームがどのようにシナリオに絡んでくるのか、ぜひ楽しみにしていてほしい。

トロッコに乗ってバレットとユフィで周囲の神羅ボックスを壊していくトロッコシューティングなど、1チャプターに1つはミニゲームがあるのではないかというくらい充実している。常に新鮮な気持ちでゲームに臨める。
トロッコに乗ってバレットとユフィで周囲の神羅ボックスを壊していくトロッコシューティングなど、1チャプターに1つはミニゲームがあるのではないかというくらい充実している。常に新鮮な気持ちでゲームに臨める。

コンピレーション作品の履修は必須ではないが……

「FFVII リメイク」を知らない人でも、「FFVII リバース」から楽しめるような物語になっている、という事前情報だったが、実際最後までプレイしてみて確かに作りとしては「FFVII リバース」からでも充分に楽しめそうだ、という感じではあった。ただ何分、筆者はもうオリジナル版の全台詞・シーン展開を暗記してしまっているので、全く知らない人の眼で見ることは不可能だ。

「FFVII リバース」ではしばしば、「これはどういうことなのだろう?」と解釈に頭を悩ませるシーンが登場する。オリジナル版を知っていると比較が容易なのだが、オリジナル版を知らない場合、「ここは(オリジナル版を知らない人に)通じているのだろうか?」と感じる場面があったのは事実である。

DLCとして配信された「FFVII リメイク インターグレード」も、やはりプレイしておくに越したことはない。もしも「インターグレード」はプレイしていないという人がいたら、発売までの1週間の間にさくっとプレイをしておくと、「FFVII リバース」への理解が一層深まることだろう。

今から「FFVII」に関連する全てのコンピレーション作品を急いで履修しておいてほしいと言ってもさすがに無理だとわかっているので言わないが、個人的には「アドベントチルドレン」から最新作のスマートフォン向けタイトル「FFVII エバークライシス」、果ては小説版までどれだけ多くのコンピレーション作品を履修しているかによって、本作に覚える感情も変わってくるのではないかと思う。

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運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とは

本稿で最後の最後まで、あえて語ってこなかったことがある。それはもちろん、メインストーリーの軸たるメインストーリーそのものについてだ。

無粋なネタバレはしたくないので、メインストーリーのプレイを終えたからと言って、語れることは、とても少ない。その中で、今語れることを少しだけ語りたい。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

クラウドは、セフィロスを“追っている”のか。“追わされている”のか。

クラウドの中にある感情は、衝動は、本当に自らの裡から生じたものなのか。

実は全てが嘘で塗り固められた、全部全部それっぽく見せかけただけの、空っぽの人形がクラウドではないのか――

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

オリジナル版をプレイした時に誰もが覚えたはずの、クラウドへの違和感。当時はまだ文字でしか表現できなかった部分は、声の演技が加わることで、より自然な表現へと生まれ変わった。

だからこそ、クラウドが恐ろしくなった。これまでオリジナル版を数えきれないほどプレイしてきて、「FFVII リメイク」でもクラウドのその演技に感動したが、クラウドを「恐ろしい」と感じたことはなかった。

だが本作は違う。素直に、クラウドが怖くなった。こんなことは、初めてだった。

壊れかけのクラウド、壊れたクラウド。プレイヤーが目の当たりにする光景は歪で、クラウドの中の不安、そこから発生する不穏な空気を敏感に感じ取ることができる。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

ああ、すごい。このゲームはすごいな、と感嘆した。

――広大なワールドマップ、豊富なやり込み要素、全部すっ飛ばしてしまったけれども。
――ベースの物語は暗記しているくらい、やり込んでいるけれども。

なのに、メインストーリーだけでこんなにも震えることができるのかと、感動した。

もちろん、感情の機微を繊細な演技で表現しきったのは、クラウドに限ったことではない。本作ではティファ、エアリス、バレット、レッドXIII、ユフィ、ケット・シーなどさまざまなキャラクターの心に試練が訪れる。

ひとりひとり、実に丁寧な演技で己の心に潜む薄ら暗い闇を表現しきってくれた。もちろん、喜びだとか楽しい場面もたくさんあり、色んな気持ちが混ざり合って感情がぐちゃぐちゃになりつつ、涙を押し殺す場面も多々あった。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

暗記するほどやり込んだ物語で、まだ泣けるのだ。そんな自分に驚いてしまう。それもこれも、全ては感情移入しやすいよう、ストーリーへの没入感を高める作りになっているからに他ならない。

「ここを作り込むならこうなるだろうな」という部分はもちろんのこと、「この場面がこんなに丁寧に描かれるのか」というのは「FFVII リメイク」の時にも既に目にしたプレイヤーが多いと思うが、「FFVII」という偉大なオリジナル版がまだこんなにも進化の余地を残していることにオリジナル版をプレイした人ならば素直に驚くだろうし、オリジナル版をプレイしていない人にとっても、AAAタイトルとしてのスクウェア・エニックスの本気を見せられていると感じるだろう。

「FFVII リバース」レビュー:運命を切り開かんとする者たちに待ち受ける運命とはの画像

オリジナル版というベースの物語がありながらも、気付けば前のめりになってプレイする自分がいた。「FFVII」最大の運命、と言われてきた本作のラストに向けて、眼球がテレビ画面に張り付いてしまうくらい、夢中になってプレイした。

オリジナル版から27年――新しく生まれ変わった作品で、一行を迎え撃つ終焉。黒く塗り潰された運命のその先を、見届けてほしい。

人生のうちの40年以上をゲームと共に生きる、人生の大半をゲームに捧げた、北の大地に住むライター。JRPGが主食。スクウェア・エニックス、トライエース、フロム・ソフトウェア、カプコン、アトラス、任天堂、ファルコム、タイプムーンあたりに目がない、ソシャゲも山のように嗜む雑食ゲーマー。ゲーム音楽やコラボカフェ、2.5次元なども大好物。北の大地に移り住む前は数多くのイベントに通い詰めた、イベント大好き人間です。

note:https://note.com/rinaasami/n/nb31a2e54c31f

※画面は開発中のものです。

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