2024年8月9日よりPS5/Xbox Series X|S/PC(Steam/GOG/Epic Games Store)で配信されている「Deathbound」のレビューをお届けしよう。

目次
  1. さまざまな境遇の者がひとつに集まり、真実を求めて戦う
  2. 最大4つのエッセンスを切り替えて戦うバトルシステム
  3. スキルを割り振りエッセンスたちを強化

さまざまな境遇の者がひとつに集まり、真実を求めて戦う

本作の舞台となるのは、女神への信仰と人の積み上げてきた科学、それぞれの主義を信じる勢力が対峙している世界。女神・デスを信奉する「死の教団」の一員であるセローンは上官の命令を受け、教団の重要人物であるソウロン・レジョネスを捕縛するべく行動する、というのが物語のあらすじだ。

「Deathbound」をレビュー!4人のキャラクターを切り替えながら戦うユニークな高難度アクションゲームの画像
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中世と現代が融合したかのような世界観が印象的で、死の教団に所属しているセローンたちは、甲冑に剣や盾を装備した中世的な見た目をしているが、敵対する教団にはモニターや車があったりと、現代と変わらない施設・技術が存在している。異なる時代が融合しているようで印象深い反面、どうみても中世の騎士であるセローンが、現代の施設をふつうに探索しているのは良い意味で浮いていて、本作の世界観を象徴しているようだった。

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ストーリー面では「エッセンス」も欠かせない要素だ。本作のエッセンスとはキャラクターそのものを指し、各ステージ内で特定のイベントをこなしていくと、セローンは自分の身に複数のエッセンスを宿すことが可能。セローンが所属する死の教団によって追い立てられたアンナ、ソウロンに近しいハオダイ、女神・デスを信奉しながらセローンとは相容れないイウリアなど、出自や経歴もさまざまなエッセンスたちが登場する。

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現実に顕現できるエッセンスは、プレイヤーが操作することなるキャラクター1名のみだが、会話だけなら自由に交わせる。道中ではストーリーの展開に応じてエッセンス同士の会話も頻繁に起こり、セローンとアンナが口喧嘩をしたり、ハオダイの分析が聞けたりする。所属している勢力や自分の主義主張に応じて、エッセンス同士でも仲間意識や敵対心があるため、そうした関係を踏まえて聞く会話は、彼らの出自や過去、本作のストーリーを理解するうえでとても役立った。

セローンを除いて、出てくるエッセンスたちはいずれも死者。エッセンスとはなんなのか、なぜセローンは自身に複数のエッセンスを宿せるのかなど、謎は多い。
セローンを除いて、出てくるエッセンスたちはいずれも死者。エッセンスとはなんなのか、なぜセローンは自身に複数のエッセンスを宿せるのかなど、謎は多い。

さらに、エッセンスたちの過去が深掘りされているのも特徴だろう。各エッセンスたちが初めて登場する際は、必ず本人の過去を垣間見られるイベントが挿入され、それぞれをより深く理解できるようになっている。さらにステージ内にある特定のオブジェクトに触れると、対応するエッセンスがその場所でかつて何をしていたかも分かる。本作は「ソウルライク」を謳っているが、フレーバーテキストに留めて明確なストーリー描写を避けることが多い同ジャンルの作品としては、それなりにわかりやすい部類に入ると言える。

最大4つのエッセンスを切り替えて戦うバトルシステム

出は速いが威力の低い「高速攻撃」と、反対に出は遅いが威力が高い「重攻撃」を軸にコンボをつなげつつ、必要があれば防御や回避をくり出す。それが本作のアクションだ。アクションゲームとしてはよくあるシステムだが、本作には、4つのエッセンスを自由に切り替えて戦うシステムがさらに搭載されている。作中で見つけられるエッセンス全6体のうち4つを装備するのだが、プレイ中はこのエッセンスたちをいつでも交代し、操作キャラクターを選ぶことができる。

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エッセンスたちはそれぞれでできることが違う。初期から操作可能なセローンは、直剣を使った攻撃や、盾を使った防御に加えて、相手の攻撃を受け流せる。受け流しが成功すると相手は一定時間無防備になり、そのあいだにこちらから強烈な一撃をくり出せる。

いっぽうのアンナは短剣とクロスボウを使った攻撃が特徴で、防御はできないものの、短剣によるすばやい連撃とクロスボウによる遠距離攻撃が可能。ハオダイは魔術めいた技で遠距離攻撃を行うほか、イウリアは槍を使った接近戦に秀でる。さらに両手足を用いて格闘戦を仕掛けるマムディレもおり、エッセンスごとのバトルスタイルはじつに多彩だ。

エッセンスによって戦い方はまったく違うため、相手の行動に応じて柔軟に対応できるのも強みと言える。遠距離攻撃をくり出す敵にはアンナのクロスボウで対抗できるし、接近戦になった際はセローンやイウリア、マムディレといった近接向けのエッセンスに即座に切り替えればいい。相手の武器や特性、そのときの状況を見てから、こちらに有利なエッセンスを後出しで選べるため、戦いでは基本的にこちらが有利となる。今回のレビューでプレイした範囲に限って言えば、ボス戦に至るまでの道中ではほとんど死ぬことはなかった。

「Deathbound」をレビュー!4人のキャラクターを切り替えながら戦うユニークな高難度アクションゲームの画像
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さらにエッセンスたちはHPとスタミナが別々に用意されている。攻撃を始めとする各アクションにはスタミナが不可欠だが、スタミナが尽きる前に別のエッセンスに交代すれば、そのままコンボをつなげることも可能だ。まずセローンで攻撃した後、アンナに切り替えてコンボを継続、アンナのスタミナが尽きそうになったらハオダイやイウリアと交代する、こうした流れを利用すれば、通常では不可能な長いコンボも成立させられる。行動中にエッセンスを切り替えることを「モーフィング」といい、このモーフィングが本作のバトルの核と言える。

HPやスタミナが別々に用意されているのもそうだが、本作ではエッセンスを切り替えるモーフィングが前提・推奨されていると言っていい。敵に攻撃を当てたり、ギリギリで相手の攻撃を避けたりすると「シンクゲージ」が溜まるのだが、このシンクゲージがある程度溜まっている状態でモーフィングを行うと、シンクゲージを消費して「モーフストライク」が発動し、直前に選んだエッセンスが登場しつつ専用の攻撃をくり出す。シンクゲージが最大の状態でモーフストライクを使うと「ウルトラモーフストライク」になり、より強力な大技や発動。使うまでに時間はかかるが、代わりに敵へ大ダメージを与えられるというわけだ。

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スタミナが切れるまえにエッセンスを交代、連続攻撃でシンクゲージを溜めていき、モーフストライクやウルトラモーフストライクを活用する。これができるようになると、ザコでもボスでも積極的に攻めていけるようになる。モーフストライクなどを意識せずとも、4人のエッセンスを順次切り替えて攻撃するだけでもコンボは成立するうえ、つぎつぎとキャラクターを変えて攻撃すること自体見栄えが良いのも、個人的には印象的だった。

とはいえ、エッセンスを切り替えるモーフィングを駆使した戦闘は、どちらかと言うとボス戦向き。道中のザコは数発攻撃を当てれば倒せるため、エッセンスたちを駆使した攻撃はあまり必要ない。ザコはすぐ倒せてボスが強いというのは、死んで覚える試行錯誤を前提とした「ソウルライク」としてはバランスが取れているものの、モーフィングをあまり多用できない点で、やや味気無さも感じた。

装備しているエッセンスのうちひとりでもやられるとゲームオーバーになる
装備しているエッセンスのうちひとりでもやられるとゲームオーバーになる

いっぽう、ボス戦ではモーフストライクやウルトラモーフストライクが大いに活躍する。とくに考えず、ただエッセンスを切り替えてモーフィングを駆使しているうち、相手の体力を半分以上削れているということも。もちろんエッセンスを限定して戦うのもいいが、モーフィング系の技を使うことのメリットははるかに大きいので、ボス戦ではどんどん活用したいところ。

本作には「ライフスティール」という要素があり、敵にダメージを与えるたびに、操作対象ではないほかのエッセンスのHPが徐々に回復していく。モーフィングを使った戦闘は、なにかと得られる恩恵が多い
本作には「ライフスティール」という要素があり、敵にダメージを与えるたびに、操作対象ではないほかのエッセンスのHPが徐々に回復していく。モーフィングを使った戦闘は、なにかと得られる恩恵が多い

スキルを割り振りエッセンスたちを強化

本作では敵を倒して得た経験値を使い、「フィラクテリー」という装置を通してエッセンスたちのスキルを習得強化できる。スキルは基本的にステータスを伸ばすものが多く、HPやスタミナの上限値、攻撃力や防御力などを上げられる。

「Deathbound」をレビュー!4人のキャラクターを切り替えながら戦うユニークな高難度アクションゲームの画像

さらに、スキルの効果はすべてのエッセンスに及ぶ。一部のスキルは特定のエッセンスを手に入れると解放されるのだが、例えばハオダイの枠にあるスキルを習得しても、セローンやアンナたちすべてのエッセンスが恩恵を受けられるため、エッセンスごとに異なる育成をえる必要がないのはありがたい。確定させる前であれば、習得した直後のスキルはいつでも振り直しも可能なので、ひとまずスキルを覚えてみて、実際にエッセンスたちのステータスがどれほど伸びるのかを確認しながら随時調整できるのも親切だ。

フィラクテリーは各ステージにいくつか存在する。チェックポイントの機能もあり、ゲームオーバーになると最後に利用したフィラクテリーまで戻される
フィラクテリーは各ステージにいくつか存在する。チェックポイントの機能もあり、ゲームオーバーになると最後に利用したフィラクテリーまで戻される

また、フィラクテリーに触れればそれまでに倒したほぼすべての敵が復活するので、スキルに必要な経験値はいくらでも稼げる。本作は敵から受けるダメージが多いほか、特徴の異なるエッセンスたちを切り替えて戦う都合上、モーフィングを使うのと瞬時に戦法も変えなくてはならず、プレイヤーに求められるハードルは高い。倒せないボスなどがいたら、経験値を稼いで少しでも多くのスキルを覚え、基礎的なステータスを伸ばして対処するのも良さそうだ。

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中世と現代が融合したような独特の世界観のもと、さまざまな出自のエッセンスたちが登場するストーリーや、彼らを切り替えつつ戦うバトルシステム、敵の一撃が生死を分ける高難度の戦闘が楽しめる本作。やり応えのあるアクションゲームを求める人には、とくにオススメできる1作だ。

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