「STEINS;GATE」初のフルオーケストラコンサート「STEINS;GATE 因果旋律のシンフォニー」が5月31日に森のホール21で開催された。ここではその模様をレポートしていく。
志倉千代丸氏の企画・原作による、99%の科学と1%のファンタジーをコンセプトに、現実に存在する科学的事象を物語の骨格として組み込んだSFサスペンス「科学アドベンチャーシリーズ」の第2弾として、2009年10月に発売されたゲーム「STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)」。
シリーズ累計400万本超の売り上げを誇る本作は、テレビアニメ化や劇場アニメ化に加えて、舞台化、コミカライズ、ノベライズなど多彩なメディア化がおこなわれてきた作品で、2026年8月20日にはグラフィックのリファイン&ボイスをすべて再収録したリメイク作「STEINS;GATE RE:BOOT(シュタインズ・ゲート リブート)」の発売を控えている。
そんな「STEINS;GATE」初のフルオーケストラコンサート「STEINS;GATE 因果旋律のシンフォニー」が松戸市文化会館の森のホール21で昼の部と夜の部の2公演で開催された。ここでは昼の部であるβ公演の模様をレポートしていく。

なお、コンサート当日はチケットを持っていない人でも入場可能な展示会が「レセプションホール」にて開催されていた。大型モニュメントの「タイムマシン」や主人公・岡部のスマホモニター「アマデウス」や今回の公演のために描きおろされたイラストのスタンディパネルも展示されており、ファンは写真撮影を楽しんでいた。


会場内にはコンサートのオリジナル公式グッズの販売や「STEINS;GATE RE:BOOT」の予約受付も実施。同作を予約している人には非売品店頭販促用B2ポスターを先着でプレゼントするキャンペーンも行われていた。



今回のオーケストラコンサートは昼の部がβ公演、夜の部がα公演というタイトルで、前半は同じセトリであるものの、後半はまったく違うものに。タイトルからも分かるとおり、昼の公演はβ世界線を舞台にした「STEINS;GATE 0(シュタインズ・ゲート ゼロ)」を題材にしたもので、夜の公演はゲーム内用語の“シュタインズ・ゲート”に至るまでを題材にしたものになっていた。「STEINS;GATE 0」は主人公・岡部倫太郎が数々の苦難、悲哀を乗り越えた果てに“彼女”を救うことをあきらめてしまった世界線を描く物語。TVアニメの再放送時に「STEINS;GATE 0」の展開に分岐したことに驚かされたが、今回のコンサートも世界線が分岐するというギミックが施されていたわけだ。
β&α共通プログラムであった第1部はゲームのプロローグから、椎名まゆりも牧瀬紅莉栖も死なない第三の世界線である“シュタインズ・ゲート”へ至るための作戦である“オペレーション・スクルド”を目指すまでが描かれる。舞台のスクリーンにはゲーム画面が表示されており、まるでゲームを進めているような雰囲気が楽しめるのが特徴であった。
ゲーム音楽……とりわけノベルゲームに関してはプレイヤーを物語や世界に集中させるために“主張しすぎない”ことが重要になってくる。しかし、今回はオーケストラコンサートということで、ゲーム音楽こそが主役だ。「STEINS;GATE」の音楽はKID時代から現在に至るまでMAGES.作品の音楽を手がけ続けている阿保剛氏が手がけているが、そんな阿保氏による本作の楽曲がどれだけ素晴らしいものであるか浮き彫りになる形となった。
もともとピアノの旋律が心に残る阿保氏のサウンドであるが、今回はオーケストラとしてアレンジ。東京日本橋交響楽団によるヴァイオリンやフルート、トランペット、打楽器などの多彩な楽器によって幅が広がりつつも、しっかり元の曲のコアとなる部分を残しているのが特徴。指揮者である志村健一氏が“メディア芸術”に特化した「GAME SYMPHONY JAPAN」「ANIMATION SYMPHONY JAPAN」をプロデュースしていたり、東京日本橋交響楽団もクラシック音楽だけでなくゲームやアニメを題材にしたコンサートにも力を入れているので、ファンが“追体験”を求めていることが分かっているのであろう。

公演はゲームの最初に流れる「GATE OF STEINER -Main theme-」からはじまり、紅莉栖との出会いのシーンが描かれることに。「Quiet air」でまゆりとのおだやかな日々を表現しつつ、「The universe」や「Explanation」、「Self affirmation」といった曲によって日常のなかの違和感や物語のはじまりが表現されていく。
一転して次の「Laboratory」からは楽しいラボでのやり取りや個性豊かなラボメンの紹介のようなパートになっていくが、筆者にとってはこの中盤のパートがいちばん新鮮で楽しかった。というのも、多彩なメディア展開がおこなわれている「STEINS;GATE」ではオープニングの曲やクライマックスの曲はさまざまな場面で使われ、とても耳に残っている。一方でこういった日常の曲がアレンジされたりすることは少ないので、今回オーケストラで聴けたことに感動した。
「STEINS;GATE」はこういった日常シーンの積み重ねがあるからこそ仲間の大切さが分かっていき、そんな仲間たちの思いを仕方なく断ち切ってラストの展開へと向かっていくのが醍醐味。今回のオーケストラで素晴らしいアレンジになっていた「Laboratory」や「Noisy times」といった日常曲を聴いて、よりラボメンたちとの楽しい日々に胸が躍るような主人公・岡部の気持ちにシンクロすることができた。
そんな日常が反転するのが「Assailant」から。萌郁たちラウンダーがラボを襲撃する展開はゲームでも一気に緊張感が増す場面であるが、オーケストラの迫力によってさらに盛り上がる演出となっていた。
その後は「hesitative consideration」や「OPERATION SKULD」で岡部の葛藤を描き、15分の休憩をはさんで第2部へと移った。
昼の部の第2部は「STEINS;GATE 0」のβ世界線ということでいとうかなこさんの歌唱する「アマデウス」からのスタートとなった。オーケストラで披露される「STEINS;GATE 0」のオープニング「アマデウス」の旋律にいとうさんが生で歌唱を合わせていく形。とても難度が高いことだと察するが、見事に歌い上げるいとうさんはさすがの一言だ。

第2部に関しても第1部のようにストーリーを追っていく形。「STEINS;GATE 0」は“彼女”を救うことを諦めてしまった岡部のストーリーということでダークなイメージがあるが、オーケストラで振り返ってみて明るく楽しいシーンも多かったことが思い出された。
比屋定真帆やアマデウスとの出会いといったシーンの「Isolation」や「Amadeus」はオーケストラによる優しい音色で表現され、クリスマスパーティのような賑やかなシーンで流れる「Fellowship」などは、より楽しい雰囲気に。
第1部と同様に途中から緊張感のある流れに変わっていき、椎名かがりの衝撃シーンがモニターに映し出されるとともに「First leap」が流れるシーンは迫力の演奏も合わさり、思わず息を呑んでしまった。
後半はまゆりと子どものかがりによる家族愛のシーンや、岡部が鳳凰院凶真として復活するシーンなどを感動的に表現。迫力のあるオーケストラと物語性のあるセットリストの組み合わせにより、会場のファンを「STEINS;GATE」と「STEINS;GATE 0」の世界へと誘っていった。
そして、クライマックスにはZweiのAyumuさんが登壇し、オーケストラの音色とともに「STEINS;GATE 0」のエンディングテーマである「ライア」を歌唱。まるで本当にゲームをクリアしたときのような感動を与えてくれた。

アンコールでは再びいとうさんが登場し、「STEINS;GATE」のオープニングである「スカイクラッドの観測者」を披露することに。主題歌メドレーの演奏をはさみ、今井麻美さんがテレビアニメ「シュタインズ・ゲート ゼロ」の後期エンディングテーマである「World-Line」を歌い上げた。

最後はゲームのタイトルにて流れる曲「GATE OF STEINER」が壮大に演奏され、昼の部は大盛況のまま幕を閉じた。前述の通り、昼の公演と夜の公演はまったく異なる内容となる。6月7日までアーカイブが配信されているのでぜひチェックしてみて欲しい。
セットリスト
【第1部】β&α共通プログラム
GATE OF STEINER -Main theme- (short ver.)
The universe
Quiet air
Explanation
Self affirmation
Laboratory
Suspicious eyes
Noisy times
Walking on sleeping
Assailant
hesitative consideration
OPERATION SKULD
【第2部】βプログラム(昼)
アマデウス
Messenger -main theme-
Isolation
Amadeus
Fellowship
First leap
星の奏でる歌
Re-awake
ライア
・アンコール
スカイクラッドの観測者
主題歌メドレー(宇宙エンジニア、La*La*Laラボリューション、禁断無敵のだーりん、COSMIC LOOPER、非線形ジェニアック、邂逅のフェタリテート、フェノグラム)
World-Line
GATE OF STEINER -Main theme-
【第2部】αプログラム(夜)
Hacking to the Gate
Select of sorrow
The Limit
Crossroads
Urd
Believe me
Another Heaven
・アンコール
スカイクラッドの観測者
主題歌メドレー(宇宙エンジニア、La*La*Laラボリューション、禁断無敵のだーりん、COSMIC LOOPER、非線形ジェニアック、邂逅のフェタリテート、フェノグラム)
ライア
World-Line
GATE OF STEINER -Main theme-
オーケストラコンサートの模様は、イープラスにてアーカイブ配信中!
配信サイト:Streaming+(イープラス)
販売期間:2026年6月7日(日)20:00まで
アーカイブ期間:2026年6月7日(日)23:59まで
イープラス
https://eplus.jp/steinsgate/
「STEINS;GATE 因果旋律のシンフォニー」名古屋公演追加開催!
日時:2026年7月5日(日) 開場14:00/開演15:00
会場:愛知県芸術劇場 コンサートホール
公式サイト
https://steinsgate-orchestra2026.com/nagoya/
チケット発売中 イープラス
https://eplus.jp/steinsgate/
【関連リンク】
「STEINS;GATE 因果旋律のシンフォニー」
特設サイト
https://steinsgate-orchestra2026.com/
公式X
https://x.com/SG_orchestra
公式グッズ
https://mono-mo.com/collections/steinsgate-orchestra
(C)MAGES./NITRO PLUS (C)MAGES./Chiyo St. Inc. (C)MAGES./NITRO PLUS
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