「サイバーコネクトツー展 in 東京」レポート:“好き”と“情熱”が詰まった30年の軌跡を展示とトークイベントで振り返る松山氏が「殺意の波動に目覚めそうになった」と話した新里氏とのエピソードも

発表会・イベント取材
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2026年6月27日・28日に、西武渋谷店 A館7Fにて開催された“サイバーコネクトツー展 –「好き」と「情熱」を込めたエンターテインメント-”のレポートをお届けする。

サイバーコネクトツーは、代表作「.hack」シリーズをはじめ、「テイルコンチェルト」「Solatorobo それからCODAへ」「アスラズ ラース」「戦場のフーガ」シリーズなどを展開するゲーム制作会社だ。独自の世界観と強い物語性を持つタイトルでファンを魅了し、近年はゲームだけでなく漫画やアニメ、映像分野へも活動を広げている。

設立30周年を記念して全国47都道府県を巡る本展では、催事名にも冠されたように、同社の“好き”と“情熱”が込められたエンターテインメントの世界に浸れるのが魅力だ。今回は「サイバーコネクトツー展 in 東京」初日における取材内容や、サイバーコネクトツーの松山洋氏・新里裕人氏によるトークショーの様子についてお伝えしたい。

サイバーコネクトツーが歩んだ30年の軌跡を網羅した展示

西武渋谷店で開催された「サイバーコネクトツー展 in 東京」は、同社の設立30周年を記念した展示イベントだ。会場には会社の歴史を振り返る年表や制作資料、歴代タイトルのパッケージ、立体展示、体験型フォトスポットなどが並び、作品だけでなく会社自体の歩みや世界観を多角的に楽しめる空間が広がっていた。

「サイバーコネクトツー展 in 東京」レポート:“好き”と“情熱”が詰まった30年の軌跡を展示とトークイベントで振り返るの画像

なかでも印象的だったのは、サイバーコネクトツーが時代ごとの課題や転機を乗り越えながら発展を遂げてきたことが、一連の展示を通じて伝わってくる点だ。展示は「1996-2005」「2006-2015」「2016-2026」などの年代ごとに区切られ、それぞれの時代に掲げたテーマや取り組みが紹介されている。30年にわたるクリエイターたちの挑戦と積み重ねを感じられる構成となっていた。

冒頭を飾る「まだ何者でもない我々 1996-2005」の章では、まず記念すべき処女作「テイルコンチェルト」が展示。こちらは雲海に浮かぶ浮遊大陸を舞台に、イヌヒトの警察官「ワッフル」が暴走する黒猫団を追う3Dアクションアドベンチャーだ。ブースには当時のパッケージや公式ガイドブック、初期の設定画・美術ラフが展示され、現在に続くサイバーコネクトツーによる、ケモノ世界観「リトルテイルブロンクス」の原点が見て取れた。

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本章のハイライトは初代「.hack」。架空のMMORPG「The World」を舞台に、ゲーム・アニメ・小説・漫画を横断するメディアミックスを行った代表作だ。カイト、ブラックローズ、オルカなど貞本義行氏による貴重なキャラクター資料が展示され、ゲームの象徴的な能力・データドレインを再現した体験型フォトスポットでは、多くのファンが手を掲げて写真を撮影していた。

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続く「飛躍と拡大 2006-2015」の章における「.hack//G.U.」コーナーでは、主人公ハセヲとアバター「スケィス」、ヒロインのアトリと「イニス」といったキャラクターの緻密な設定画が並び、作中の名セリフ「俺たちはここにいる!」の巨大パネルやハセヲのスタンディを活用したフォトスポットが展開された。さらにシリーズ続編「.hack//Link」の紹介も加わり、「.hack」シリーズが紡いだ歴史が集結していたのが印象深い。

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ニンテンドーDS向けにリリースされた「リトルテイルブロンクス」系譜の「Solatorobo それからCODAへ」は、イヌヒトの主人公レッド・サハランがロボを駆るアクションアドベンチャーとして、構想10年・設定資料1,000点以上を誇る力作。会場では公式設定資料集、コンプリートガイド、公式小冊子「ソラシド♪」などの作品にまつわるコレクションが並べられファン歓喜の空間だった。

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また、サイバーコネクトツーを語る上で忘れてはならないのは、少年マンガIPの系譜だ。「NARUTO -ナルト-」を題材とした「ナルティメット」シリーズは初代作から最新作「NARUTO X BORUTO ナルティメットストームコネクションズ」までが並び、「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」など、漫画やアニメの描写を3Dへと落とし込んだ同社の大きな魅力「超アニメ表現」の歴史もあわせてうかがえた。

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3つ目のブロック「可能性と多様性を拡げる挑戦 2016-2026」の章では、自社パブリッシングプロジェクト第1弾「戦場のフーガ」シリーズが堂々登場。星樹氏の5周年記念描き下ろしイラストが華やかな一方で、「あなたの魂を、みんなに捧げて――」と書かれた案内板と透明な椅子がぽつんと置かれた一角は、同作のダークなシステムを再現しており異彩を放っていた。

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本エリアではオリジナルIPの展開も目立ち、例えば「チェイサーゲーム」コーナーでは、サイバーコネクトツーメンバーと一緒に写真が撮れる「ゲーム制作はチーム制作 大切なのはコミュニケーションだ」という撮影パネルや、掲載原稿とネームの比較を通じて漫画制作の裏側を公開。ドラマ・映画版の関連グッズも並び、ゲーム以外のエンターテイメントに対する情熱も肌で感じられた。

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なお、年表の最後には「.hack」シリーズ最新作「.hack//Z.E.R.O.」に関する展示も用意されていたが撮影禁止。詳細については、今後も各地で開催予定の「サイバーコネクトツー展」に足を運び、自らの目で確かめてほしい。

松山洋氏・新里裕人氏が創業からの歴史を語る

右から松山洋氏、新里裕人氏
右から松山洋氏、新里裕人氏

取材に訪れた6月27日14時からは、サイバーコネクトツー代表取締役社長・松山洋氏と、創業メンバーで「.hack」シリーズのチームリーダーを歴任した新里裕人氏によるトークイベントが開催された。冒頭、松山氏は「台風で足元の悪い中、お集まりいただきありがとうございます」と来場者へ感謝を述べ、30年の歩みを振り返るトークをスタート。新里氏も「サイバーコネクトツーの創業メンバーとしてゲーム開発に携わっています」と挨拶し、終始和やかな雰囲気でイベントは進行した。

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「今からちょうど30年前、サイバーコネクトという会社が福岡で誕生しました。わずか10人でのスタートでした」と語った松山氏は、大学時代の友人からの誘いで会社へ参加。処女作アクションアドベンチャー「テイルコンチェルト」開発時は、新里氏がプランナーを1人で担当し、企画1人、アーティスト6人、プログラマーとサウンド担当が各1人という少人数体制だったという。「吐きながら作っていました」と笑いながら当時を振り返った松山氏は、「今考えたらイカれてたよね。ブラックを通り越したダークマター企業だった」と語る一方、「誰からも強制されたわけではなく、好きだから作っていた」と強調。会社に寝泊まりし、持ち込んだ炊飯器で米を炊きながら開発を続けたという、創業当時ならではのエピソードを披露した。

初期の印象的な出来事として紹介されたのが、1999年6月の福岡豪雨だ。当時のオフィスが浸水したため、スタッフ全員がパソコンを抱えて自宅へ持ち帰り、後からデータを統合して開発を続行。「今思えば早すぎるリモートワークだった」と笑いを誘った。さらに前身会社「サイバーコネクト」時代には、会社設立を主導した代表者が突然失踪するという危機も経験。その後社名を「サイバーコネクトツー」へ変更し、松山氏が代表へ就任。体制を一新した新会社から誕生したのが、初代「.hack」シリーズだったという。

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2010年には東京スタジオを設立し、福岡・東京の2拠点体制へ移行。会社設立当時の新里氏は、福岡ではアニメ放送や雑誌の発売が遅れ、エンターテインメント企業として情報面で不利だったので東京に本社を置くことを希望していたが、いざ東京勤務を打診される頃にはAmazonなどの普及で環境が変化し福岡残留を希望。そのエピソードについて松山氏は「殺意の波動に目覚めそうになった」と笑い、創業メンバーならではの軽妙なやり取りで会場を沸かせた。

会社設立20周年を迎えた頃には、「もう明日会社が潰れることはない」と考えるようになった松山氏は、ゲーム以外の分野にも積極的に挑戦。自身が原作を務める漫画「チェイサーゲーム」を立ち上げ、当初は断られたドラマ化・映画化も2年以上営業を続けて実現させた。「クリエイティブは面白ければ売れるわけではない。売れる作品にするために行動し続けることが大事」という持論も披露。また「戦場のフーガ」シリーズではダウンロード販売の拡大を見据え、パッケージ販売中心のビジネスから転換を図ったことも明かされた。

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イベント終盤には、ファン注目の「.hack」シリーズ最新作「.hack//Z.E.R.O.」にも言及。新里氏は「懐かしいと思われるような『.hack』ではなく、今の時代に合った作品にしたい」と意気込みを語った。最後に松山氏は「30年間一緒に歩んできたメンバーと、今日来てくださった皆さんに感謝しています」と新里氏とともに来場者へ感謝を伝え、トークイベントは締めくくられた。

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RPGとADVが好きなフリーのゲームライター。同人ノベルゲームは昔から追っているのでそこそこ詳しい。面白ければジャンル問わずなんでもプレイするのが信条。 X:https://x.com/sigh_xyz Bluesky:https://bsky.app/profile/sigh-xyz.bsky.social note:https://note.com/sigh_xyz

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