田舎町で農業&恋愛スローライフ!そして連続殺人鬼―Perfect Garbage「Grave Seasons」インタビュー【TGS2026】

東京ゲームショウ2026
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千葉・幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2026」。インディーゲームスタジオ・Perfect Garbageが開発する農場シミュレーションゲーム「Grave Seasons」について、同社のスタジオディレクター/共同創業者Son M.氏にインタビューした。

Grave Seasons公式サイト
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「Grave Seasons」は、Perfect Garbageが開発し、Blumhouse GamesとSolo Gameが共同でパブリッシングを担当する農場シミュレーションゲームだ。プレイヤーは脱獄した凄腕の盗賊となり、山あいの町・Ashridge(アッシュリッジ)へとたどり着く。そこで穏やかな農業生活を始めるはずが、町には超自然的な連続殺人鬼が潜んでいることが判明し……。

斜め上からの俯瞰視点で描かれたピクセルアートの世界が、のどかなスローライフを楽しむ農場シミュレーションゲームを思わせるが、30人以上の住民の中に潜む連続殺人鬼の存在が激辛スパイスとして効いている。プレイヤーは1年間の間に農業、恋愛、調査を進め、殺される可能性のある住民を救わなければならない。しかも殺人鬼はプレイごとに変化するとのことだ。

対応プラットフォームはPC(Steam)、PS5、Xbox Series X|S、Nintendo Switchを予定しており、Xbox Game Passにも対応する。

Perfect Garbageは2018年にシカゴで設立されたインディースタジオで、これまでにビジュアルノベル「Love Shore」を開発している。「東京ゲームショウ2026」の会場でスタジオディレクター、クリエイティブディレクター、共同創業者を務めているSon M.氏に話を伺った。

「農場シミュレーション+殺人事件」というアイデアの出発点から、個人的にお気に入りのキャラクター、さらには彼女が“とある日本メーカー”の大ファンであることまで、さまざまな話を聞くことができた。

Perfect Garbage スタジオディレクター/共同創業者 Son M.氏
Perfect Garbage スタジオディレクター/共同創業者 Son M.氏

――「Grave Seasons」を簡単に紹介していただけますか?

Son M.:「Grave Seasons」は、殺人ミステリーを題材にした農場シミュレーションです。プレイヤーは自分の持っているさまざまな能力を使って、逃亡生活をしながら町を救います。そして殺人鬼は周回ごとに変わります。

私たちは農場シミュレーションというジャンルを本当に愛していて、そこに少し特別な形で物語を持ち込みたいと思っています。物語はどんどん枝分かれしていき、その分岐によって世界全体が生きているように感じられる――そこを楽しんでもらいたいです。

――「Grave Seasons」の珍しいコンセプトはどのように生まれたのでしょうか?

Son M.:最初のきっかけは、2021年に私が投稿したあるツイートでした。私は子どもの頃から「牧場物語」シリーズをたくさん遊んでいて、中でも一番好きなのが「牧場物語3 ハートに火をつけて」なんです。あの作品では、町を救うために与えられる時間が1年間しかありません。たぶん私はもともと“明確な終わりがあるゲーム”が好きなんだと思います。

一方で、スタジオのもう半分のメンバーはホラーにものすごく夢中でした。そこで私たちにとって大きなテーマになったのが「インパクトが強いホラー要素を、穏やかさや規則正しい日常を大切にする農場シミュレーションの中に、どうやって入れるか」ということでした。

でも私から見ると、農場シミュレーションって、もともとかなり強い感情を引き起こすゲームなんです。ただ、私たちはそういう感情への対処に慣れすぎていて、それに気づいていないだけ。季節が変わって、育てていた作物が全部枯れたら怖くないですか? 制限時間内に何かを終わらせなければならないとき、緊張しませんか? 私たちはそこを掘り下げていって、その延長線上にホラーの感覚を引き出していきました。

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――田舎暮らしと殺人ミステリー、どうやってひとつのゲームの中で自然に融合させたのでしょうか?

Son M.:まさにそこが重要なんです。私は、農場シミュレーションというジャンルには、ホラーを受け入れられる余地がものすごくたくさんあると思っています。そこで私たちは、このジャンルではおなじみの要素をいくつか取り出して、そこに少し不気味なフィルターをかけてみました。

たとえば普通の農場シミュレーションなら、人の家にそのまま入って、いろいろなものを調べられますよね。ときにはゴミ箱を漁って怒られることだってある。「Grave Seasons」では、「だったら、いっそ泥棒にしよう」と考えました。そうしてステルス要素が入り、緊張感も生まれました。

もうひとつ、農場シミュレーションでは、町の全員と知り合い、相手のことを理解し、その人の物語を掘り下げていくことが求められます。では、もし全員が“よくない秘密”を隠していたら? どうすればそこに緊張感を持たせて、プレイヤーの好奇心を刺激できるか?

そう考えていくと、ごく普通の農場シミュレーションの中には、実は拡大してホラーに変えられる要素がたくさん埋まっているんです。

――プレイヤーは犯人を突き止めるだけでなく、次の被害者を推測して救うことになります。この仕組みを入れた理由を教えてください。

Son M.:農場シミュレーションがなぜ私たちにとって魅力的なのかを考えたとき、このジャンルは“人とのふれあいや助け合い”を教えてくれるんだと気づきました。

もし農場の片隅にこもって、ひたすら作物だけ育てていたら、農場経営そのものはうまくいくかもしれません。でも、その町や、そこに暮らす人々から愛情や信頼を得ることはできません。

だから「Grave Seasons」では、まずプレイヤーに住民たちを大切に思ってもらいます。そして――残酷ですが、その人たちが殺されます。

本当にその人を大事に思っているなら、自分から動いて、調べて、関わろうとするはずです。一方で、もし気にかけなかったとしても、私たちは別の形で物語を変えていきます。

私たちはなるべくプレイヤーを罰しないようにしています。代わりに、少し奇妙だったり、違ったものを返すようにしているんです。

――殺人鬼、そして住民たちの運命は、周回ごとに変化します。毎回新鮮さを保ちながら、手がかりや謎解きの論理を破綻させないために、どのような設計をしているのでしょうか?

Son M.:そこは私たちがとても誇りに思っている部分です。答えは――全部、手作りです。

私たちはそれぞれの殺人鬼のストーリーラインを“キャンペーン”と呼んでいます。この呼び方だけでも、一人ひとりの殺人鬼にどれだけの量のコンテンツを用意しているか、想像してもらえると思います。殺人鬼ごとに独自のストーリーラインがあり、恋愛ルートにも変化が起き、被害者も異なります。

ランダムで決まるのは、ゲーム開始時にどの“キャンペーン”になるか、そしてゲーム中盤のごく限られたポイントだけです。詳しくはネタバレになるので言えませんが、きっと驚くと思います。

物語、手がかり、調査のプロセス自体は、すべて手作業で書いています。プレイヤーが“いつ、どのように、何を発見するのか”まで意図的に設計しているので、プレイを進めたときにすべてがきれいにつながるようになっています。

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――30人以上のキャラクターをデザインするとき、最も重視したことは何ですか?

Son M.:キャラクターを見た瞬間に、その人がどんな人物なのか伝わるようにしたいと強く考えていました。だから全員にはっきりした特徴があります。いわば“職業をそのまま身につけている”ようなデザインです。

雑貨店の店主ならエプロンを着て、いかにも機嫌が悪そうな顔をしている。鍛冶屋なら全身が煤で汚れている。同時に、各キャラクターには必ずひとつ、その人が“なぜこうなったのか”を示す細かい特徴を入れています。あとになって家に侵入したり、もっと深くその人のことを知ったときに、「だからこの人はこういう姿なんだ」と理解できるようにしています。

キャラクターの幅も広くしたかったですし、いろいろなタイプの人物像を入れたいと思っていました。私たちにとって大切なのは、誰もが「毎日、話しかけに行きたい」と思えるキャラクターをひとり見つけられることです。

――Sonさんが一番好きなキャラクターは誰ですか?

Son M.:Yutoです。私もみんなと同じで、ちょっと性格が悪くて、人生がうまくいっていない男が好きなんですよ。「私なら彼を救える」って思うタイプです。あるいは、もっと悪くしてしまうか(笑)。分かりますよね、あの感じ。

でもチームメンバーで好みはかなり違います。それぞれお気に入りのキャラクターがいて、中にはまだ公開していない、私たちが隠しているキャラクターもいます。

私が特に好きなのは、“少し意地悪だけど、少し優しい”タイプ。Maggie、Yuto、Sameeraですね。その境界線にいるようなキャラクターは、だいたい好きです。

――一番大きな課題は何でしたか?

Son M.:大きな課題のひとつは、癒やしやリラックスを求めて遊ぶプレイヤーに、どうやってホラー寄りの作品へ飛び込んでもらうか、ということでした。「Grave Seasons」はESRB(北米のゲームレーティング基準)でM(17歳以上対象)ですし、かなり怖い暴力表現もあります。

では、ホラーゲームは遊ばないけれど農場シミュレーションは大好き、という人にどうすれば遊んでもらえるか。

そのために私たちは、アートスタイル、脚本、作品全体のトーン、カットシーンの演出にかなり力を入れています。「この世界はどこまで不穏になっていくんだろう」と、少しずつ気持ちを引っ張っていく。たとえ本来なら好きなジャンルではなかったとしても、その不気味さに興味を持ってもらえるようにしています。これは私たちにとって最大の課題でした。

もうひとつは、「毎回すべてをやり切ることはできない」とプレイヤーに受け入れてもらうことです。自分の目標に優先順位をつけなければならない。時には、その優先順位が“誰かを救うこと”と衝突することすらあります。

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――「Grave Seasons」で開発中に最も大きく変わった部分は?

Son M.:最終的に入れないと決めた機能はいくつかあります。よく覚えています。もともとゲームには追跡される“チェイス”の場面があったんですが、途中で私が「いや、これは操作していて気持ちよくない」と言ってやめました。

それから、最初はスリをする仕組みも作っていました。でも、あとから“ドアをこじ開けて侵入する”形に変えました。そっちのほうがずっと面白かったんです(笑)。開発では、そういうことを受け入れる必要がありますね。

一方で、残ったものも本当にたくさんあります。釣り、四季、物語、アートスタイル、キャラクター――私たちがやりたかったものは、かなりそのまま残りました。

Yuto、Hari、Altheaは、最も早い段階でコンセプトを作ったキャラクターです。2023年くらいかな? いや、もっと前ですね。2022年です。その頃はまだパブリッシャーすら決まっていませんでした。それでも彼らは最後まで生き残りました。

私たちは細かいところまでこだわるタイプなので、その美学を形にできたことは、本当にうれしく思っています。

――今回のTGSは、「Grave Seasons」が日本、そしてより広いアジアのプレイヤーと出会う機会でもあります。会場では、どんな反応を見るのを一番楽しみにしていますか?

Son M.:みんながずっと遊びたがってくれていたことは知っているので、一番願っているのは、実際に遊んで楽しんでもらうこと、そして私たちが作ってきたものを見てもらうことです。

特に楽しみなのが、「誰に話しかけに行くのか」「誰を優先するのか」を見ることです。プレイヤーそれぞれの好みって、すぐ分かるんですよ。いつも同じキャラクターのところへ行ったり、いつも同じことをしていたりするので。

それから、誰が農業に集中するのか、逆に「ドアをこじ開けて侵入できる」と気づいた瞬間、片っ端から家に入っていくのは誰なのかを見るのも面白いです。見ていると、「ああ、あなたは泥棒なの? それとも農家なの? どっちが好きなの?」って思います(笑)。

私は大量のJRPGや農場シミュレーションを遊んで育ちました。自分がこのジャンルに抱いてきた愛情を、こうしてみなさんに見せられることが本当にうれしいです。

一人ひとりが楽しんで、「Grave Seasons」の中に“自分の好きな部分”を見つけてくれたらと思っています。

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――少し余談ですが、事前のお話では「カプコンの大ファン」と伺いました。好きな作品は?

Son M.:うーん……もう「デビル メイ クライ」を全部挙げちゃおうかな(笑)。「デビル メイ クライ 5」、「3」、それから「1」、「4」、そして「2」。

「デビル メイ クライ」は私の中で本当に上位にあります。「バイオハザード」も大好きです。私が最初に遊んだシリーズ作品は「3」だったので、「バイオハザード RE:3」もずっと楽しく遊びました。リメイクが出れば毎回遊びますし、「バイオハザード7 レジデント イービル」と「バイオハザード ヴィレッジ」もプレイしました。特に「ヴィレッジ」が大好きです。

イーサン・ウィンターズのことをちょっとダサいと思う人がいるのは知っています。でも私は好きなんです。腕を切り落とされた男が、まるで何でもないみたいにその腕を拾って、そのまま走っていく。あれ自体がもう面白いじゃないですか(笑)。

「デビル メイ クライ」のパチスロまで遊んだことがあります。それくらいこのシリーズが好きなんです。本当に、本当に「デビル メイ クライ」が大好きで。すみません、ちょっと話がそれました(笑)。

――「Grave Seasons」に「デビル メイ クライ」のキャラクターから影響を受けて生まれた人物はいますか?

Son M.:うーん……誰か「デビル メイ クライ」から影響を受けていたかな……。

たぶんYutoですね。そもそも私がこういうタイプのキャラクターを好きだから、彼には少しそういう空気があります。ほら、灰色の髪で、ちょっと陰気なところがあって。そういう意味では、ダンテよりバージルに近いと思います。ほかに誰かいたかな……。

実際、私たちが本当に好きなゲームから影響を受けているキャラクターはかなりいます。……今の質問は、私がこれまで考えたことのなかった視点をくれました。「あ、確かに。私って本当に“好きなタイプ”がはっきりしてるんだな」って今思いました(笑)。

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――最後に「Grave Seasons」を待っているプレイヤーにメッセージをお願いします。

Son M.:まず、本当にたくさんの応援と励ましをありがとうございます。これだけ多くの人にこのゲームを受け入れてもらえたことは、チーム全員にとって、とても大きな意味があります。

私たちは本当に小さなチームで、長い間この作品だけに向き合いながら、まるで真空の中にいるような状態で作り続けてきました。だから、こういう反応をもらえること自体が、私たちにとってすべてなんです。

みなさんが、私たちが丁寧に作ってきた物語やキャラクター、そしてこの殺人事件を楽しんでくれることを心から願っています。ぜひ、私たちが仕込んだ奇妙な分岐を全部掘り起こしてみてください。

そして、誰を救って、誰を見捨てたのか――それを見るのを楽しみにしています。

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文:稀飯

※画面は開発中のものです。

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