怖くて自分では遊べないホラー好きが息子と見届けた「夜勤事件」――「結局なんだったん!?」の先に残る恐怖親目線ならではの怪奇現象以上に気になるポイントや映画版と合わせた楽しみ方も

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0コメント 水無瀬あずさ

チラズアートより、配信中の短編ホラーゲーム「夜勤事件」。ここではホラーゲームは好きだけど、怖くて自分では遊べないライターが、息子のプレイを見届けたうえで感じた身近なコンビニに潜む恐怖とその余韻を紹介する。

※今回プレイしたNintendo Switch版はレジスタがパブリッシングを担当。

ホラーゲームが好きだ。けれど極度のビビりなので、自分ではなかなか先に進めない。そんな筆者が、ホラーゲームを得意とする息子と一緒に見届けたのが、チラズアートの「夜勤事件」だ。

怖くて自分では遊べないホラー好きが息子と見届けた「夜勤事件」――「結局なんだったん!?」の先に残る恐怖の画像

舞台は、深夜のコンビニ。見慣れた店内で仕事をこなしているだけのはずが、少しずつ、そこにいること自体が落ち着かなくなる。画面の向こうで何が起きているのか分からないまま、隣で見ている筆者まで身構えてしまった。

本稿では、息子のプレイを横で見守った体験から、Nintendo Switch版「夜勤事件」の魅力を紹介する。追加要素や映画版との違いにも触れながら、誰かと一緒に味わう恐怖と、結末を見届けてもなお残る気味の悪さを振り返る。

ホラーゲームは好きだけど、怖くて自分では遊べない

極度のビビりな筆者にとって、ゲーム実況は気になる作品に触れられるありがたい存在だ。「夜勤事件」も実況動画で知り、身近なコンビニを舞台にした不気味な雰囲気が印象に残っていた。

その「夜勤事件」が、2026年7月にNintendo Switch、9月にはNintendo Switch 2に移植された。公式サイトによると、収集要素や新規エンディングも実装されているという。せっかくなら、今度は手元で結末まで見届けたい……!

そこで頼ったのが、ホラーゲームを得意とする息子である。「プレイするところを見たい! 見せて!」とお願いし、筆者は隣で見守ることにした。これなら気になる場面をじっくり見られるし、怖いシーンでは目を覆えばいい。なんという一石二鳥!

実際に息子の隣で「夜勤事件」を体験してみると、実況動画を観るのとは違った面白さがあった。動画では気になるものを見つけても、実況者がそこを調べてくれるとは限らない。しかし、隣に操作してくれる人がいれば、「今の何? 戻って!」と確かめてもらえる。コントローラーを握っていなくても、探索に参加しているワクワク感があるのだ。

自分で先に進む勇気はないのに、隣からは口を出したくなる。操作を任せる息子には少々申し訳ないが、目の前のホラーゲーム実況に参加するような距離感が楽しかった。怖さを誰かと共有できる心強さもある。

……もっとも、操作していないからといって、画面の中で起こる出来事が怖くなくなるわけではないのだが。

深夜のコンビニが、じわじわ“知らない場所”になる。「夜勤事件」の魅力

「夜勤事件」は、コンビニで夜勤のアルバイトをする女子大生が主人公の短編ホラーゲームだ。一人称視点で店内や周辺を移動し、賞味期限切れの商品の廃棄や品出し、レジでの会計などをこなしていく。ごく普通の夜勤業務のはずが、働くうちにさまざまな怪奇現象に遭遇する。

舞台は、いかにも何かが出そうな洋館や廃病院ではない。多くの人が慣れ親しんだ、ありふれたコンビニである。人の気配もまばらな深夜の街と、明るい店内。その対照的な光景には、暗い道を歩いてきて、ようやくほっとできる場所にたどり着いたような安心感がある。

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しかし、時給の高さに惹かれて働き始めた主人公を待っていたのは、単調な夜勤の日々ではなかった。仕事を続けるうちに、受け流せない不思議な出来事が少しずつ増えてくる。何かがおかしい。けれど、その正体はつかめない。店の様子を見ても、もう最初のようには安心できなくなっていく。

隣で見ている筆者も、この不安にはハラハラした。何も起きていないように見えて、どこかに異変があるのではないか。自分たちが気づかないうちに、背後に“何か”がいるのではないか……。突然驚かされるだけでなく、何もない場面でも想像が膨らみ、身構えてしまうのだ。

目の前にあるのは普通のコンビニなのに、もう自分の知っている場所とは思えない。身近な場所への信頼がじわじわと揺らいでいくところに、「夜勤事件」ならではの怖さがある。

なお、バイト先の“船橋先輩”の異様なほどに平面的な姿も、怪奇現象とは別の意味で恐怖だったわけだが……。

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さらに余談だが、団地を抜けた先にポツンとある店で、若い女の子がワンオペで夜勤をするという状況は、親目線では怪奇現象以上に心配で仕方なかった。高時給は確かに魅力的だけど、もっと自分を大事にして!! と、つい画面の向こうに小言を言いたくなった。

Switch版の新要素・“チラ丸”集めが楽しい。でも住宅地で迷子になる

Switch版で新たに追加されたのが、マップに点在するマスコット“チラ丸”を集める収集要素だ。チラズアート作品ではしばしば見かけるキャラクターで、不気味な世界の中で出会うと、そのかわいらしさにほっこりする。

怖くて自分では遊べないホラー好きが息子と見届けた「夜勤事件」――「結局なんだったん!?」の先に残る恐怖の画像
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ただ、拾うたびに「ボーン!」と鐘が鳴るような音がするので、いちいちビックリした。かわいいものを見つけて喜んだ直後に、不穏な響きで気分を引き戻される。収集したことは分かるが、本当にその音でよかったのか……?

チラ丸を集めると、コンビニ店内にも少しずつ変化が起こる。収集したあとに店内を見直せば、「こんなところも変わっている!」という発見も味わえるのが楽しい。……と言ってはみたものの、筆者は最初、その違いにまったく気づけなかったのだが……。

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そんな収集に挑戦するうちに、別の問題にも直面した。住宅地で道が分からなくなるのである。

コンビニ内なら棚やレジが目印になるが、外に出ると、今どこにいて、どちらを向いているのかが怪しくなる。息子のプレイを隣で見ている筆者も、あっという間に道順を把握できなくなってしまった。……まあ、地図アプリを見ても目的地と逆方向に進む筆者なので、ゲームの中だけ迷わず歩けるはずもない。

さらに、息子がチラ丸を探したり、道を確かめたりする画面を見ているうちに、筆者は3D酔いまで起こしてしまう始末。怖い場面では目を覆えばいいと思っていたが、まさか探索中にこんな落とし穴が待っていようとは……!

チラ丸は集めたい。けれど、画面を見続けるのはつらい。収集欲だけで突き進まず、休憩を挟みながら楽しみたいところだ。

衝撃のエンディング。「結局なんだったん!?」と呆然

「夜勤事件」は、主人公の選択によって結末が変わるマルチエンディングの作品だ。Switch版では、追加要素として新規エンディングも収録されている。Steam版を遊んだ人にとっても、もう一度あのコンビニを訪れるきっかけになりそうだ。

ただ、筆者はSteam版を実況動画でちらっと見た程度なので、正直なところ、細かな違いまでは分からなかった。

実際に結末まで見届けたとき、筆者と息子は思わず顔を見合わせた。「……で、結局なんだったん!?」。実況動画で見たエンディングをおぼろげに覚えていたものの、自らの目で見届けてみても、やはり頭の中にはさまざまな疑問が残った。

具体的な結末は伏せるが、「夜勤事件」は、起きたことのすべてを丁寧に説明してくれる作品ではない。あの出来事にはどんな意味があったのか。どこからおかしくなっていたのか。見てきた場面を細かく振り返っても、筆者にはすっきりと納得できる答えが見つからなかった。その分からなさが、ゲームを終えたあとまで尾を引く。

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また、誰かと一緒に見届ける楽しさは、ここでも感じられた。同じ画面を見ていた息子と、気になった出来事について話せるのだ。「あれって実はここの伏線だったんじゃない?」などと、自分が見落としていたものや、違う受け取り方のできる場面を確かめながら、あれこれ考える時間も面白かった。

筆者にとって「夜勤事件」は、気味の悪さをプレイ後にも持ち帰るタイプのホラーだった。ゲームは終わったのに、あのコンビニで起きたことがまだ気になる。「結局なんだったん!?」と口にしながら、クリア後も考え続けてしまうところまで含めて、この作品の恐怖体験ということなのかもしれない。

映画版を観て分かった、ゲームと実写で異なる怖がらせ方

なお、「夜勤事件」は、2026年2月に実写映画にもなっている。インディーホラーゲーム界で知られるチラズアートの作品が映画化されるとあって、ファンの期待の声も多く見かけた。

映画「夜勤事件」公式サイト
https://yakinjiken.com/

かくいう筆者も、映画化を楽しみにしていたひとりだ。こうしてインディーゲームがより多くの人に知られる機会が増え、クリエイターにとっても励みになってくれたらうれしい。

……ただ、ここまでお伝えしているように、筆者は極度のビビりである。映画館の大きなスクリーンと音響で、この恐怖に耐える自信はなかった。そこで、動画配信で自宅でも観られるようになったのを機に、ゲームとの違いも確かめようと鑑賞した。

映画でも、高時給に惹かれてコンビニの夜勤を始めた女子大生が、不可解な出来事に遭遇していく。ゲームと異なるのは、事件を捜査する刑事の視点も加わることだ。主人公が体験する怪異だけでなく、その周囲で何が起きているのかも描かれていく。

ゲームで見た場面を実写の中に見つけるのは楽しかった。タイムカードを切り、弁当を廃棄し、ネズミを駆除し、監視カメラを確認する。「あ、この仕事もやった!」と、実際に操作していた息子でもないのに、妙な親近感が湧いてくる。

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登場人物との再会もおもしろい。バイトの先輩・船橋は、筆者がゲームから抱いていたイメージとは少し違ったが、例の「バア!」は健在。知っているはずなのに、ものすごくイラッとした。こんなバイト先の先輩、絶対に嫌だ……!

ただ、同じ場面でも、ゲームと映画ではこちらの関わり方が違う。ゲームでは自分で視点を動かし、気になる場所を調べられるが、映画ではカメラが見せる光景を追うほかない。「そこは見たくない!」と思っても、画面は容赦なく先へ進む。その逃げ場のなさも怖かった。

人物の表情や会話、刑事の視点から描かれる出来事は、ゲームで残った疑問を考える手がかりにもなった。どう解釈すればよいか分からなかった場面について、映画を観ながら「あ、そういうことだったんだ」と腑に落ちる瞬間があったのだ。

もちろん、映画の描写がそのままゲームの答えとは限らない。それでも、ゲームで見た出来事を別の角度から捉え直せたのはおもしろかった。映画の途中で妙に引っかかった人物の振る舞いも、最後まで観ると違って見える。まあ、疑問が少し解けたからといって、気持ちまで晴れるわけではなかったが……。

ゲームを先に知っていれば、場面の再現を楽しむだけでなく、自分なりの解釈と映画の描写を照らし合わせられる。映画から入れば、気になった場所や出来事を、今度はゲームで確かめる楽しみもありそうだ。

そして、筆者のように怖くてゲームを操作できない人には、映画を通して作品の世界に触れる入口もある。同じ深夜のコンビニでも、どちらを先に体験するかで、目に留まるものや怖さの受け止め方は変わるだろう。

ホラーゲームが怖くて遊べない人も。ゲーム・映画どちらからでも結末を見届けよう

「夜勤事件」を息子と見届けて感じたのは、自分で操作できなくても、ホラーゲームを楽しむ方法はあるということだ。隣から探索に口を出し、一緒に怖がり、結末について話し合う。体験を共有する楽しさを、ビビりの筆者でも存分に味わえた。

怖くて自分では遊べない人にも、実況動画や実写映画を通して作品の世界に触れる入口がある。気になっているなら、自分に合う方法で、あのコンビニで何が起きるのかを見届けてみてほしい。

Switch版でも手に取りやすい価格帯なのは変わらないため、チラズアート作品を初めて遊ぶ人の選択肢にもなりそうだ。チラ丸を探す楽しみもあるが、3D酔いしやすい人は、休憩を挟みながら無理のないペースで楽しむとよいだろう。

怖くて自分では遊べないホラー好きが息子と見届けた「夜勤事件」――「結局なんだったん!?」の先に残る恐怖の画像

深夜のコンビニには、“何か”がある。「夜勤事件」に触れたあとでは、いつもの店の自動ドアや、窓の向こうの暗闇まで気になってしまうかもしれない。そんな余韻を秋の夜長にゲームと現実それぞれで味わってみてはいかがだろうか。

もっとも、深夜にコンビニへ行く勇気があれば、の話だが……。

教育・IT分野を中心に執筆する、現役エンジニア兼ライター。2人の息子とゲームを楽しむ母でもある。物語や世界観をじっくり味わえる作品、独自の発想が光るインディーゲームが好き。ホラー好きなのに極度のビビりで、怖いゲームは息子のプレイを隣から見守ることも。ゲームを通して生まれる発見や、技術・教育とのつながりに関心がある。

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