セガは、本日6月18日、東京ジョイポリスにて、「『ソニック・ザ・ヘッジホッグ 20周年記念展』バースデーパーティー」を開催した。
目次
当日は、ゲストとして「ソニック」シリーズの生みの親であるプロペ 代表取締役社長の中裕司氏とアーゼスト 取締役副社長でキャラクターデザインを手がけた大島直人氏、最新作「ソニック ジェネレーションズ」をはじめ「ソニック」シリーズのプロデューサーを務める飯塚隆氏ら「ソニック」のクリエイターが登壇し、さまざまなトークを展開した。
豪華クリエイターによる「ソニック」開発秘話
最初に、中氏、大島氏、飯塚氏が登壇し、「ソニック」誕生や初期シリーズの秘話について語っていった。
ここでは、開発の苦労話やシリーズを通したゲームシステムへのこだわり、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」でDREAMS COME TRUEの中村正人氏が音楽を担当することとなった経緯などが語られたが、そのなかで、「ソニック」のモチーフがハリネズミとなった経緯についても触れられ、開発段階ではウサギやクマという案もあったという衝撃の事実が明かされた。
続いて、「ソニック」シリーズのデザイナー・上川祐司氏とサウンドディレクター・瀬上純氏も加わり、1998年にドリームキャストで発売された「ソニックアドベンチャー」に関するトークへと移った。
「ソニック・ザ・ヘッジホッグ3」から長い期間を経て開発されることになった同作は、大規模な人員と予算を割き、上川氏によるキャラクターデザインの変更、瀬上氏によるサウンドの大胆な変更や全キャラクター分のテーマソングの製作など、さまざまな面で新しい「ソニック」を目指して作り上げられたという。その分、大変なことも多かったようで口々に当時の苦労話が語られていた。
最新作「ソニック ジェネレーションズ」
次に、シリーズ最新作「ソニック ジェネレーションズ」について、実際のプレイの様子を通した紹介が行われた。ここでは、飯塚氏のほか、PS3/Xbox 360版「ソニック ジェネレーションズ 白の時空」ディレクター・宮本裕司氏、ニンテンドー3DS版「ソニック ジェネレーションズ 青の冒険」ディレクター・片野徹氏が登壇し、それぞれのタイトルについて紹介していった。
3DS版とPS3/Xbox 360版で発売される本作は、最初のステージである「グリーンヒル」以降は、全て違うステージで構成されているとのことで、両方ともに楽しむことができるそうだ。
まず、片野氏が実際にプレイして紹介した3DS版では、シンプルな操作で楽しめるクラシックスタイルと、奥と手前のルート移動や状況によってカメラが移動するモダンスタイルを、実際のプレイ画面で確認することができ、携帯機とは思えないほどの、なめらかな動きが特徴的だった。
続いて、宮本氏がPS3版の、さらに現在東京ジョイポリスで展開中の体験版ではプレイできない、モダンスタイルのステージ「シティエスケープ」を紹介。ここでは、きれいなグラフィックと疾走感のあるバリエーション豊かなアクションを楽しめた。
さらに、最新情報として本作の体験版の配信ならびに6月23日より期間限定のiPhone/iPod touch向け無料アプリ「Sonic20thAnniversary」の配信決定が発表された。
大抽選会&ソニックの誕生日を全員でお祝い!
紹介が終わったところで、本日の登壇者のサイン色紙やサウンドトラックなど、豪華賞品の当たる大抽選会が実施された。わずか5名という狭き門の中、当選者は一様に喜びをかみしめていた。
さらに、エンターブレイン 代表取締役社長・浜村弘一氏とDREAMS COME TRUEの中村正人氏からのビデオメッセージと、デンゲキニンテンドーDSでコミック版「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を連載中の広のまこと氏よりメッセージが寄せられた。
また、ここでは、中村氏の手がけた音源を収録した「ソニック・ザ・ヘッジホッグ1&2 サウンドトラック」が2011年夏に発売されることも明らかになった。
続いて、登壇者全員が勢ぞろいし、さらに、バースデーパーティーの主役である「ソニック」も登場。全員でソニックの誕生日を祝い、また、「ソニック ジェネレーションズ」で使用される「ハッピーバースデーソニック」という音声を収録。収録のタイミングで飯塚氏が声を入れてしまい、もう一度収録するというご愛嬌もあったが、会場全体が一体となり、音声収録は無事に終了した。
最後に、飯塚氏より今後の抱負が述べられ、本イベントは幕を閉じた。
中氏、大島氏、飯塚氏へのミニインタビューの模様をお届け!
また、イベント終了後、中氏、大島氏、飯塚氏の3人にお話を伺う機会が得られたので、その内容をお届けしよう。
――改めて思うソニックの好きなところをひとつずつ教えてください。
大島氏:ソニックの、失敗を恐れずに何でも思い立ったら行動するというところですね。自分自身もそういう生き方をしたいと思いますし、みなさんも失敗を恐れずに頑張ってもらいたいなと思います。
中氏:すごく速くて、すごくいろいろなことができたりするのに、実はカナヅチだったりするところが、親しみがあってすごく好きなところかなと思います。何でもかんでもできるスーパーマンではなく、こんなに速いのになんで泳げないんだろうと(笑)。そこがいいかなと思います。
飯塚氏:一方でカッコよくて一方で可愛いところです。アニメとかコミックになると可愛くなったり、カッコいいときはぐっとカッコよくなったり、等身の低いキャラクターでありながら、カッコよさと可愛さの2面性があるところが好きですね。
――若い方も結構いらっしゃいましたが、本日のイベントはいかがでしたか?
中氏:20周年ということで、20年前からのファンの方々がいっぱいいらしていると思っていたので、「もっと濃い話をしようよ」と話していたんですが、舞台に立ってみるとすごく若くて、これはマズいなと(笑)。
飯塚氏:出てきた瞬間から話す内容が打ち合わせと違うんですよね(笑)。
中氏:そういう意味では「ソニック」の世代も変わってきていて、また、LA(E3 2011にて開催された「Sonic Boom 2011」)でもそうだったのですが、「ソニック」の輪がどんどん広がっていくというのは、僕らとしてもすごく嬉しいことだなと思いました。
飯塚氏:日本のファンの方となかなか触れ合う機会がなくて、本当に私としては「ソニックアドベンチャー2」で10周年の時に、弾丸ツアーで日本を縦断して以来でした。そういう機会が今回作れたのですごく嬉しいですね。
中氏:そういう意味では、今回大島直人が出ているというのはすごいことなんですよね(笑)。「ソニックアドベンチャー」以来なので。
大島氏:人前に出るのが得意なほうじゃなくてあまり表には出ないようにしていたのですが、今回は20周年ということで出させていただきました(笑)。
――これから先、30周年の「ソニック」はどんなものになっていると思いますか?
飯塚氏:30周年となると、願望というか勝手な予想でしかないので実現できるかはわからないですが、ゲームを超えて、映画とかテレビとかいろんなメディアから入ってきて「ソニック」ファンになってくれる人ができればいいなと思います。
中氏:僕がソニックチームという会社を立ち上げたときにみんなに言っていたのは、「“ソニックランド”というテーマパークを建設して、そこをソニックたちが歩いているというのをやろう」というのを掲げていたのですが、僕はもう(セガを)出てしまったので、あとは飯塚くんに任せようと。
飯塚氏:まずはこの東京ジョイポリスをソニック一色にしました(笑)。
中氏:さっきも展示されているのを見ていて、すごく懐かしかったし、実はもっといっぱいあるので、そういう場を作れるようになると僕はすごく嬉しいなと思います。
――ソニックシリーズの中で一番お気に入りの作品はなんですか?
中氏:僕はやっぱり最初の「ソニック1」ですね。「ソニック1」が無ければここまで続かなかったと思いますし、やっぱり自らプログラムをずっと組んでいたというのもすごく大きいなと。「ソニックアドベンチャー」などはプロデューサーみたいな立ち位置になってしまったので。
「1」「2」「3」「ソニック&ナックルズ」くらいまでは細かいところまで自分でいろいろやっていましたね。さっき裏で大島と話していたら、「中さん、勝手に作って勝手にやってたじゃない」って言われたんですが(笑)。
大島氏:やはり「1」になりますね。ただ、欲張りなんですけど「ソニックアドベンチャー」は、辛くて楽しくてという思い出が強く残ってますね。
中氏:あんなにマスターアップ緊張したことなかったよね(笑)。
大島氏:飯塚とすごく喧嘩しましたね。「こんなのできるわけ無いじゃん」と(笑)。
中氏:ドリームキャストというハードに向けて動いていたのですが、もう間に合わないとなって製作発表会のあたりで人を50人ぐらい入れて最大120人ぐらいで動いていましたね。僕らソニックチームの部署だけじゃなく、サクラ大戦とかサッカーゲームのチームにも手伝ってもらって、セガの総力をあげて作ったのが「ソニックアドベンチャー」でした。
飯塚氏:いつもメディアの方に聞かれるんですが、毎回本当にどれか一個とは言えないんですよね。やっぱり自分の子どもみたいな存在で、一個一個すごく苦労してるんですよ。なのでどれか一個と言われると、「自分の子どものどれが一番好きか」と言われているみたいで選べないですね。
苦労話で言うと「アドベンチャー」は苦労しましたし、「アドベンチャー2」は十数人でスタートしているので、語り尽くせないほどの苦労がありましたね。なのでそれぞれが苦労と達成感があるので、勘弁してくださいという感じです(笑)。
――飯塚氏に「ソニック」を託されたときにこれだけは守ってほしいなというポイントなどはありましたか?
中氏:僕がセガを出るときに、いろいろ心配じゃないですか。僕の影響力も発言力も大きかったので、飯塚一人だけだと厳しいなと思い、飯塚と西山(セガ・西山彰則氏)と上川の3人で「ソニックコミッティー」を結成させて、これからのことを3人でやって頑張っていきなよと。
「ソニック」って得意な分野がいろいろあって、いろんなことを15年のうちにやっていたので、それを受け継いでいくことが大切だと思っていたので、「誰がやるの?」ってことをしっかりと決めた上でできているので今でも「ソニック」をみなさんの前に出せているのかなと思いました。
――最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。
大島氏:新しくファンになってくれた方もありがたいんですが、ずっとソニックを好きでいてくれた人には本当にありがたいと思っています。私もまた何か手伝えることがあれば、手伝いたいと思っています。
中氏:ソニックはたくさんのファンに支えられてここまで来ていると思いますが、今まで僕たちが長い間作っていて、たくさんの人からお手紙だったり描いた絵を送っていただいたりしていて、それがすごく励みになっています。それが日本に留まらず、世界中から今でも僕のところに手紙が届いたりするんですね。
何がよかったとかアイデアを頂いたり、そういうのが盛り上がっていくというのが僕は好きなので、これからもソニックチーム宛に応援のメッセージや絵を送っていただけるとチームの励みになって嬉しいんじゃないかと思いますので、これからも支えていただければと思います。
飯塚氏:今回ロスでイベントをやりまして、今回が日本、そして今度はイギリスであるんですが、本当にファンの方の声というのが、うちのスタッフみんなの励みになるんですよね。表に私も立っていますが、開発スタッフ一人一人の努力と才能で作られているのが「ソニック」ですので、みなさんの声援を受けてそれに応えられるよう、また30年、40年と続けていければと思いますので、これからもよろしくお願いします。
――ありがとうございました。
「ソニック・ザ・ヘッジホッグ 20周年記念展」はまだまだ開催中!
なお、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ 20周年記念展」は7月10日まで開催されている。常設展や記念ラリーの実施、記念グッズの販売など多数の催しが用意されているのでぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
「ソニック・ザ・ヘッジホッグ 20周年記念展」開催概要
イベント名称
ソニック・ザ・ヘッジホッグ 20周年記念展
会場
東京ジョイポリス(東京都港区台場1-6-1 DECKS Tokyo Beach 3F~5F)
開催期間
2011年6月11日(土) ~ 7月10日(日)
特設サイト
http://tokyo-joypolis.com/event/2011_sonic20th/
※東京ジョイポリスへの入場には入場券が必要になります。東京ジョイポリスのチケット料金・営業日時については、東京ジョイポリス公式サイト(http://tokyo-joypolis.com/)をご覧ください。