ブシロードより2012年8月23日に発売されたPSP用ソフト「探偵オペラ ミルキィホームズ2」は、さまざまなメディアで展開する「探偵オペラ ミルキィホームズ」の中でも正道をゆく探偵アドベンチャーゲームだ。そのゲームの魅力を伝えるべく、本作のプレイインプレッションをお届けしよう。
「探偵オペラ ミルキィホームズ」といえば、ゲームプロジェクトとして始動して以降、アニメ、コミック、出演声優陣によるユニットなどさまざまなメディアミックス展開が行われている。
2010年に発売された「探偵オペラ ミルキィホームズ」、そしてストーリーを掘り下げるなどさらに内容を進化させたダウンロード専用タイトルとして2011年9月より展開している「探偵オペラ ミルキィホームズ1.5」に引き続き、今回満を持して登場するのが「探偵オペラ ミルキィホームズ2」だ。
今作では、前作の主人公・小林オペラがイギリスに旅立った後の物語が語られ、警察官志望ではあったものの、トイズを発動させたことでホームズ探偵学院に転入することとなったエラリー姫百合が新たな主人公として登場する。
また、アルセーヌに変わり新たな怪盗・カリオストロが登場。怪盗Lの遺産を手に入れようとする新怪盗帝国を捕らえるため、エラリーを指揮官に据えたミルキィホームズたちは、またしても捜査に乗り出すこととなる。
ストーリー
時は、大探偵時代。
「フォーチュンリーフ事件」で見事ヨコハマを救った、探偵の養成機関「ホームズ探偵学院」の見習い4人組「ミルキィホームズ」。その指揮官、小林オペラがイギリスに旅立って後、平穏な時が過ぎていた。
そんな折、1人の少女がホームズ探偵学院を訪れた。エラリー姫百合、15歳。
警察学校に通い、将来を嘱望されていたが、ある事件をきっかけに彼女の生活は一変してしまう。怪盗を追っていた際、彼女の中のトイズが目覚めてしまったのだ。そして「トイズを所有していること」を契機に、エラリーは警察とは反目しあっている、ホームズ探偵学院に転入することになる。
さらに彼女は生徒会長代理として現れたジョセフィーヌ・ミステールによってミルキィホームズの指揮官に任命されてしまう。
望まぬ転向、突然の指揮官襲名、自分では御しきれないトイズ。運命に翻弄されるエラリー姫百合は、ミルキィホームズとともにさらに苛烈な事件の渦に巻き込まれていく。
最初に白状してしまうと、筆者はアニメは拝見していたものの、ゲームについては今回がシリーズ初プレイとなる。ゲームをプレイする前はアニメのイメージに引きずられていたものの、いざプレイしてみるとそのイメージは180度変わった。
ストーリーは、基本的に主人公・エラリーの視点で語られる。警察官の夢が頓挫するかたちでの探偵学院への転入に、当初気落ちした様子を見せるエラリーだったが、ミルキィホームズの4人の互いを補い合うチームワークに影響され、徐々に自分のやるべきことを見出していく。
話の展開を引き締めているのが、会話の中で生まれる「疑問点」だ。これにより、ストーリーをただ追うだけでなく、プレイヤー自身が主人公となって、事件の鍵を握る発言を取捨選択することとなり、これがクリアの条件にもつながってくる。
さらに、事件現場を捜査することで証拠となる「ファクト」を引き出す「捜査パート」、「ファクト」と「疑問点」を用いて事件の謎を暴く「証明ショー」、仕掛けられた罠やピンチをミルキィホームズの4人に指示を出すことで切り抜け、怪盗を追い詰める「QCA(クイック・コマンド・アニメーション)」など息をもつかせぬ展開で、謎解きを楽しむと同時にストーリーを引き立たせる。
それだけではなく、魅力的なキャラクターたちとのコミュニケーションが楽しめるのも嬉しいところ。捜査パートでは、「ファクト」発見後のミルキィホームズの4人とそれぞれ会話でき、その際にはイベントCGが挿入される。状況によってはG4(警察による対怪盗事件捜査チーム「Genius 4」)との会話も楽しめるのだが、筆者個人としては平乃さん推しになったことを余談混じりに記しておこう。
このように、キャラクターの魅力を感じつつゲームを進めていくことで、後半の怒涛の展開に向けて、主人公の視点から(女の子ではるが)物語に没入できるようになっていく。単なるキャラクター押しだけではこうはいかないし、システムに寄ってしまっても作業感が漂ってしまうことから、このバランスは絶妙だと感じられた。
推理モノとしても簡単すぎず、難しすぎずと遊びやすいのでぜひ幅広い人にオススメしたい。もちろん「2」からでも十分に遊べるが、ストーリーの流れを考えると前作(「1.5」)を遊ぶとより楽しめると思うので、「1.5」を全話分収録したUMDを同梱した限定版(1.5有)か、PlayStation Storeでの配信(第1話無料体験版、第2~6話各話1,000円(税込))にて楽しんでみてはいかがだろうか。