ガストより本日7月17日に発売されるPS3用ソフト「シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~」。本作の序盤を発売前にプレイしてみて感じたポイントを紹介する。

目次
  1. 主人公を選択するための導入を用意
  2. 時間を気にせず黄昏の世界を堪能
  3. 戦闘はよりテンポ感を増しつつも奥深く進化
  4. 物語の切り口が2人の主人公によって豊かに

いよいよ発売を迎えたアトリエシリーズ最新作「シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~(以下、シャリーのアトリエ)」は、「アーシャのアトリエ ~黄昏の大地の錬金術士~(以下、アーシャのアトリエ)」、「エスカ&ロジーのアトリエ ~黄昏の空の錬金術士~(以下、エスカ&ロジーのアトリエ)」に続く、黄昏シリーズの3作目だ。これまでのアトリエシリーズと同様、ベースとなるゲームシステムは踏襲しつつも独自の進化を遂げてきた黄昏シリーズだが、今作でもさまざまな挑戦をしている。

これまで発売に向けてさまざまな情報が明かされてきた本作だが、今回は筆者がゲームの導入部分を実際にプレイしてみて感じた、いくつかのポイントを紹介しよう。

主人公を選択するための導入を用意

「エスカ&ロジーのアトリエ」で導入された主人公選択制は今作でも採用されているが、前作ではエスカとロジーがともに行動する上での視点の違いを楽しむための作りとなっていたため、ゲーム進行に大きな影響はなく、ゲームスタート時に選択する形式となっていた。

一方の「シャリーのアトリエ」では、2人のシャリー(シャリステラ、シャルロッテ)がそれぞれの目的を達成するため、ゲームスタート時から別々に行動を起こすこととなる。その流れの中では目的を果たすための手段も変わってくるし、パーティに加わるキャラクターも当然異なる。

プレイヤーにとっては最初にどちらのキャラクターを遊ぶかは悩ましいところではあると思うが、今作では主人公を選択する前に、シャリステラとシャルロッテ、それぞれを実際に操作できるプロローグが用意されている。これによって、調合、採取、戦闘、依頼といった基本的な要素を確認しつつ、シャリステラであればコルテスやユリエ、シャルロッテであればミルカやナディといった周囲の人々たちとの触れ合いを通じての魅力を少なからず感じることができるはずだ。

プロローグを経て主人公を選択すると、続けて難易度を設定することができる。今作ではゲームの要素をバランスよく楽しめる「ファンゲーム」をベースに、敵のHPとパラメータを低下させてよりストーリーに没頭できる「ストーリーウォッチ」、敵を強化する一方でボーナス要素も用意したシリーズ経験者向けの「ハードコア」の3段階の難易度が設定されている。

筆者はシャリステラを選択。使命を持ちながらも歳相応の幼さがあるギャップが魅力だ。
難易度はオプションからいつでも変更できるため、難しいor簡単に感じた場合はその都度調整してみるといいだろう。

時間を気にせず黄昏の世界を堪能

難易度の選択が終わると章仕立てのストーリーがスタート。ストーリーに絡んだイベントシナリオが要所要所で入りつつ、その章での目的を達成すると新たなストーリーが展開するという仕組みとなっている。

随所に挿入されるアニメーションも注目。

アトリエシリーズを初めてPS3で展開した「ロロナのアトリエ」以降、ゲームのシナリオを進行するために制限時間内に特定の目標を達成させるというゲームサイクルで展開されてきたが、調合や探索・戦闘を行うことで時間が経過する、戦闘不能になったり、調合中にMPが0になるとペナルティが課せられることもあった。もちろんそれを踏まえてのゲームサイクルではあったのだが、一方で時間的な制約の中で障害が発生することにストレスを感じる場面があったことも否めない。

今作では、達成すべき目標はあっても、その過程でより柔軟なゲームプレイを可能にする仕組みとして「ライフタスク」が導入されている。「エスカ&ロジーのアトリエ」でのビンゴ形式による課題システムがより昇華されたかたちとなるが、このシステムを実現させているのが“主人公の欲求がそのまま目標になる”という発想にある。

ライフタスクはストーリー進行に関わる部分が軸にはあるものの、それ以外にもふとしたきっかけでシャリー自身が疑問に感じたり、キャラクターとの会話の中で話題に上ったことなどがそのまま目標に設定される。それこそ、ゲームをとにかく先に進めたいという人はストーリーに直結する部分だけ達成することを目指せばいいし、いろいろ寄り道したいという人はシャリーの頭に浮かぶことを片っ端からチャレンジしてみるとより楽しめるだろう。

ストーリー進行に関係のない目標でも、達成することによって戦闘・調合の経験値などのメリットが用意されている。

次の章に進むために必要な目標を達成してアトリエに戻ると、現在の章を終わらせて、次の章に進むかの確認が表示される。前作では目標を達成しても時間の制約があったために、空白の時間が発生してしまう場面もあったが、今作ではとにかく効率的に進めることでストーリーをどんどん進めることができる。

時間の制約がないということは、ゲームの進行が難しくなってきてからも、攻略のために必要な要素を立ち止まって考えることができるということだ。やり直しが利かない印象が強かったこれまでと比べても、何度も挑戦できるという点でプレイヤーの裾野は確実に広がることだろう。

戦闘はよりテンポ感を増しつつも奥深く進化

本作の最大の魅力として、筆者が推したいのが戦闘システムだ。前作を踏襲した前衛3人、後衛3人による最大6人がアシストなどで入れ替わって参加するかたちとなっているのだが、今作では黄昏シリーズ過去2作で採用されていた位置の要素を廃止し、よりシンプルなかたちでの入り乱れバトルとなっている。

その最大の特徴といえるのが、戦闘中にバーストゲージを溜めることで発動可能な「バーストモード」だ。この間は攻撃力がアップするほか、仲間のアシストが発生しやすくなり、連続でアシストを繋ぐことで発動できる「ヴァリアブルストライク」などさまざまな恩恵を受けることができる。

ただ、2人のシャリーが行動をともにするのが途中からということもあり、序盤だと6人が揃っての戦闘を体験する機会が少なく、当然ながらバーストモードを体験する機会が少ない。これまで公開されてきた映像などからバースト状態のテンポの良さは感じてもらえるかと思うので、ここではあえてゲームに奥深さを与えているキャラクターの特性と「Break」について紹介したい。

まずはっきりさせておきたいのが、本作のバトルシステムが「エスカ&ロジーのアトリエ」の初回封入特典にも収録された「マナケミア2~おちた学園と錬金術士たち~」を想起させるものであり、その特徴が最もよく現れているのがタイムカードの管理が勝敗に影響する点だ。簡単なところでいえば、相手が次の行動を起こす前に畳み掛け、ダメージをなるべく受けないかたちで撃破することなどが該当するだろう。

それを受けてか、例えばミルカだったらタイムカードを複数発行して継続的にダメージを与えるスキルがあったり、ユリエだったら隠密性の高いステルスのスキルで攻撃を繰り出したりと、キャラクターごとに特徴のあるスキルが用意されている。それを理解しておけばダメージを受けず、効率よく敵を倒すことができるはずなので、キャラ特性は常に把握しておく必要があるだろう。

そしてもう1つ、本作のバトルにほどよい緊張感を生み出しているのが、今作で導入された「Break」だ。Breakは右側のキャラクターのカードに星型のゲージで状態が表示され、攻撃を加えるごとにゲージが増えていく。そして、星の形を満たした状態で攻撃を繰り出すことでBreak状態となり、その時に攻撃すると確実にクリティカルが発動する。

これだけ聞くとなんて便利なシステムだと思うが、これはプレイヤー側のキャラクターたちにも適用される。つまり、特定のキャラクターが攻撃を受け続けるとBreak状態となり、とたんにピンチを迎えることになるというわけだ。戦闘に参加するキャラクターが増えるとよりBreakの管理もできるようになるとは思うが、序盤は特に気をつけるべき要素と言えるだろう。

これらの要素が合わさることで、いかに敵からの攻撃を受けずに自キャラのターンを繰り返してバーストゲージを溜めてバーストモードを発動、一気に攻勢に転じるというゲームの大まかな流れができる。実際に上手く決まって最後に必殺技で締めた時には爽快感は抜群なので、ぜひ体験してほしい。

物語の切り口が2人の主人公によって豊かに

最後に、2人の主人公だからこそのストーリー展開にも触れておきたい。シャリステラは故郷の村を救うため、シャルロッテはビッグになるため、という異なる理由から出会い、そしてともに行動していくようになる。

もちろん作品としての大枠の流れはあるものの、章ごとの行動は別々で、その最中にお互いの存在を認識していくという、“ガール・ミーツ・ガール”のストーリーをゲーム中、2人それぞれの視点でしっかりと描いていく。過去2作もそうだが、“黄昏の世界”という世界観あってのストーリーにはぜひ注目してもらいたい。

ここでは触れなかったものの、前作から導入された探索装備、フィールド上のイベントやアクションについてはよりゲームプレイがスムーズに楽しめるように、そして調合システムについては前作をベースとしつつも、Chainの要素を加えることで遊びごたえが増しているなど見どころはたっぷり。プレイヤー自身のペースで自由に楽しんだ先に、本作の面白さが見えてくるはずだ。

個人的にはレベルアップ時の演出も楽しみなポイントのひとつ。

シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~

ガスト

PS3ダウンロード

  • 発売日:2014年7月17日
  • 12歳以上対象
  • PS Storeダウンロード版

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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