7月28日に東京・渋谷ヒカリエにて行われたセミナー「世界基準 ~世界・日本でゲームを配信するということ~」について、4人のキーマンが登壇した各セッションをレポートする。

目次
  1. 日本・グローバルのアプリストアトレンド
  2. 1年で54ヶ国にて配信!ブレイブ フロンティアの世界展開の仕方
  3. キャンディークラッシュにおける日本のマーケティングについて
  4. 世界で戦うためのMetrics ~グローバルサービス展開で見えてきたこと~

本セミナーは「世界基準 ~世界・日本でゲームを配信するということ~」をテーマに、世界で活躍する各社のキーマンが登壇し、自社のサービスを事例に解説した。ここでは、各セッションのポイントをレポートしたい。

日本・グローバルのアプリストアトレンド

桑水悠治氏
桑水悠治氏

最初に登壇したのは、アプリの分析や競合アプリのモニタリングなどが行えるサービス「AppAnnie」を提供するAppAnnie Japan GM,Japan 桑水悠治氏。

同社のサービスでは、自社のアプリのダウンロード数や売上、広告収益の分析などを簡単に行うことができ、Top100のパブリッシャーの90%以上で利用されているそうだ。自社アプリの分析以外にも、プラットフォーム別やデバイス別、国別といった条件で他社アプリのランキングを確認する機能も備えている。同社のサービスのデータを使って、2013年と2014年のデータを比較する形式で最近のトレンドが紹介された。

ダウンロード数では市場全体の40%、売上は80%程度がゲームとなっており、アプリ市場の大部分をゲームが占めている。昨年と比較してあまり変化のなかったiOSに対しGoogle Playが大きく成長。しかし、インドやブラジルといった新興国での増加が大きかったことから売上の大幅な増加にはつながっておらず、引き続きiOSでの売上規模が大きい状態が維持されている。また、直近1年間でアプリ内課金のビジネスモデルもゲーム分野で大きく成長している。

ダウンロード数の国別比較では、どちらのプラットフォームもバランス良くダウンロードされている国として日本、アメリカ、イギリスが挙げられ、その他の国ではGoogle Playが多くなっている。特にロシア、ブラジル、メキシコといった新興国での多さが目立っている。また、Google Playの売上の70%を日本、アメリカ、韓国で占めているそうだ。

デバイス別のダウンロード数の比較では、日本ではiPadの比率が極端に低く、ロシアではiPadの比率が高いといった特徴が説明された。売上比較では、iPadの売上の40%をアメリカが占めており、iPad向けに展開する上で重要な市場となっている。

1年で54ヶ国にて配信!ブレイブ フロンティアの世界展開の仕方

高橋英士氏
高橋英士氏

エイリム 代表取締役COO兼ブレイブ フロンティア プロデューサー 高橋英士氏より、1年間で54ヶ国で配信された「ブレイブ フロンティア」の海外展開について、プレゼンテーションが行われた。すでに54ヶ国でサービス中の本作だが、今夏に中南米12ヶ国での展開が予定されているという。本作は世界でも高い評価を受けており、世界各国のセールスランキングでも上位に位置しているそうだ。

本作の世界展開当初は現地の市場についての知識が無かったため、現地でゲーマーやゲームクリエイターとして育った人を雇用し、現地のスタッフに任せたことでスピード感をもって配信することができたという。

また、同社の親会社であるgumiがすでに海外展開を行なっており法務・開発・運用・プロモーションといったチームあったこともスムーズな世界展開が行えた要因だったそうだ。

現地に運用スタッフがいることで、海外でもファンとの交流やイベント、各種メディアでの展開などを積極的に行うことができたという。さらに、60以上ものモバイル広告会社と連携した広告展開を行っているほか、海外でのカスタマーサポートについても成功のポイントのようだ。

キャンディークラッシュにおける日本のマーケティングについて

枝廣憲氏
枝廣憲氏

King Japan 代表取締役 枝廣憲氏からは、同社のタイトルを事例に日本での展開について解説が行われた。

同社では、一口大の輝きを意味するスローガン「Bitesize Brilliance」を掲げ、180以上のコンテンツを世界各国各地域で展開。時間や場所、お金、電波など、ユーザーへの過剰な負荷をかけないユーザーフレンドリーを心がけて運営しているそうだ。1日あたりのプレイ人数が9600万人を記録した「キャンディークラッシュ」が同社の代表作だ。

枝廣氏は、スマートフォン端末といった各種製品が国境を越えて普及しているのと同じく、コンテンツも世界規模で拡大していくと考えており、日本と世界の市場の差がなくなっていきていると分析。同社が5月に日本でリリースした「ファームヒーロー」も好調に推移していることからも、日本でもカジュアルコンテンツへのニーズが高まっていることを実感していると語っていた。

世界で戦うためのMetrics ~グローバルサービス展開で見えてきたこと~

佐藤康雄氏
佐藤康雄氏

5Rocks, Inc. Japan Country Manager/執行役員 佐藤康雄氏が登壇し、同社のツールで分析した事例を使い、問題点の発見プロセスなどを説明した。

同社のサービスでは、ゲームアプリ向けのグロースハックサービスとして、強力な分析機能や運営ソリューションを5ヶ国語で提供している。ユーザーの動向や属性などさまざまな視点で分析し、改善ポイントを発見することができる。

7日間のうち何日間ゲームを楽しんだのかを表したグラフ。左の良い事例に対して、ブーストを掛けた右の事例では多くのユーザーが遊ばなくなってしまっていることがわかる。

良い事例 悪い事例

ARPUについても、単純な増減だけではなく、各レベル帯のARPUを分析することで改善すべきポイントを発見でき、次の施策につなげることが可能となる。

ログイン頻度と最終ログインからの経過時間によって求められるExit Riskを用いて、離脱のトレンドを分析する事例も紹介。各ユーザーの状況にあわせてグルーピングを行い、各グループに適した施策を行うことで改善が可能になるという。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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