【Gamer 夏の6本勝負】と題し、編集部メンバー4名が3週間にわたり、6ジャンルのゲーム大会を繰り広げる。後編となる今回は、Wii U「スプラトゥーン」、アナログゲーム「タイムライン」で雌雄を決する!
本企画は、6つのジャンルからゲームタイトルを選出し、編集部内のナンバー1を競いあう連載企画で、これまで前編(記事はコチラ!)と中編(記事はコチラ!)を通して、今回でいよいよ最終局面へと突入する。前回行われた「みんなのGOLF 6」が与えた影響はあまりに大きく、それぞれの勝ち点も格差社会な装いに。
勝ち点一覧
参加メンバー 勝ち点の集計 TOKEN 3ポイント ばかいぬ 3ポイント yama 2ポイント ささみ 0ポイント
このままでは、ささみには悲観すべき結末しか訪れない……と思っていてはナンセンス! そんな簡単に決まっては面白くない。というよりも、今回プレイするアクションジャンルの「スプラトゥーン」、アナログゲームジャンルの「タイムライン」は、元から一発逆転ルールと定めていたので、これよりメンバーたちは本格的な修羅の道へと分け入るのだ。血で血を洗う抗争に括目してほしい!!!
まあ皆、初心者どころか初体験なんですけどね。
第5種目「スプラトゥーン」
第5種目は、任天堂が発売中のWii U「スプラトゥーン」。3分間でどれだけ自分のチームのインクが塗れたかで勝敗を決するアクションシューティングゲームとしてリリースされ、新たな遊びのスタイルが多くのユーザーに受け入れられ、発売から約3ヶ月、勢い止まらぬままにロングセールスを記録している。
今回は撮影環境の問題から「ナワバリバトル(インターネット対戦)」は断念せざるを得なかったので、あまりフィーチャーされていないであろう「バトルドージョー」で決着をつけることに。ルールは1対1で、マップにリポップする風船を割ったスコアを競い合うというもの。今回はリーグ戦形式で進め、1マッチごとに勝者に“勝ち点1”、敗者に“マイナス1”が与えられる。
アクションが得意なメンバーには圧倒的有利なこのタイトル。参加者のうち、yama、ささみはアクション好きで、TOKEN、ばかいぬはプレイはするものの苦手という有様。操作スキルに関する戦力差は、ヤーナムの狩人vsカナブン(虫)といっても差し支えない。やれんのか?やれんのか?
試合の前、これだけ流行しているのに「スプラトゥーン」の対戦画面を見たことがないという不甲斐ないメンバーが挙手した。また操作自体はシンプルなゲームであるものの、チュートリアル無しのぶっつけ本番には難を感じたので、バトルドージョーを1人1分ずつ練習してもらうことに。筆者は今回、テストプレイでWii U GamePadのジャイロ操作に翻弄されっぱなしだったから優しいのだ(結局ジャイロ操作は切りました)。
何故1分なのかは、バトルドージョーの制限時間が5分なので、操作説明1分+4等分でキリが良いからである。まあ、そのかけがえのない1分間であっても、筆者がガチでスプラシューターでコロコロしにいってしまったので、満足に練習できた人はほぼいないのだが。可哀そうなスプラおじさんたち。本番頑張って。
ちなみに今回は特殊ルールとして、「使用ブキは完全ランダムで戦ってもらう」ことに。これはメンバー間の操作スキルの差の緩和はもとより、カメラ速度も調整していないのに初見でスプラチャージャーを引いてしまったエイム下手な人が、ギャーギャーいう様を見たかったためだ。
なお、ランダムに関しては、バトルドージョーの使用ブキ8種を8面ダイスに割り当てて決めることとし、ガジェットにはマッドネスラボが配信しているスマートフォンアプリ「ダイスふる」を利用させてもらった。端末上で手をかざすだけでサイコロを振れるのが面白いアプリだ。ちなみにマップも同様にランダムで選出している。
30秒で分かる「スプラトゥーン」
本作は三人称視点のシューティングゲームで、それぞれのプレイヤーはさまざまに用意された射撃武器・衣装などを装備して、最大4vs4のバトルに挑む。特徴的なのは武器(ブキ)から発射されるインク。「マップをインクで塗ると自陣の色に」「自陣のインク内にはイカになって潜れる(高速移動+残インク回復)」「相手のインク上にいるとダメージ+行動制限」と、単純に敵を撃って倒す以外の戦略が求められるタイトルなのだ。
※以下、()内はランダムで選択した使用ブキ。
リーグ初戦は、ジャンケン勝ちからのTOKEN(プロモデラーMG) vs ささみ(ホットブラスター)が、ハコフグ倉庫で勝負。ブキは連射性の高いシューターであるプロモデラーMGと、近距離寄りの範囲攻撃に富んだホットブラスターとなった。
マップの塗りをそれほど考慮しないルールということもあり、同時に参加者には最低限のブキ知識しか解説していないので、ひと口に有利不利を語るのは難しい。というより、この試合はブキよりも、人間性能で勝ち負けが決まってしまうんじゃないかなあと。
試合序盤、「おっ、意外といけるのでは?」と思わせたTOKENであったが…あ、やっぱりダメだ。FPS/TPSに習熟している人、習熟していない人の間に横たわる一番の大きな壁、それはやはり右指で行う視点操作であった。
アクション苦手が人、そもそもあまりプレイしない人には、アクション/シューティング系統の基本操作たる右アナログスティックの視点変更およびエイム操作が激しく難しいようで、画面下向きっぱなしからの風船めがけて上向きっぱなしと、観戦者を酔わせる作戦としては上出来だ。が、試合結果は2対26と難なくささみが1勝。
「負けた人が対戦相手&コントローラーを指定」のルールに則り、TOKENはアクション下手のよしみ、ばかいぬを指名する。ダイスの導きによって選ばれたブキは、TOKENが爆風系ブキのラピッドブラスター、ばかいぬがマシンガン系ブキのプロモデラーMGとなった。
筆者はコソコソと「スプラトゥーン」をプレイしていたので、簡単な操作説明をはじめ、ブキ性能・マップ構造などは逐一アドバイスしていた。しかし、横で急に「サブ!サブ使お!」「風船割るか、相手倒すか考えて!」などなど口出しされて、その場で反応し、試せるゲームプレイヤーというのはそんなにいない。特にジャンルに精通していない場合はもっと難しい。
視点操作に四苦八苦しているTOKEN&ばかいぬに届く言葉は少なかったが、TOKENは皆が口出しできるモニターを陣取ったことの利点として、怪しげな箱を察知。その後、お助けアイテム「カンヅメ」を利用していき、操作面とは違うアプローチで有利を作る。そして、スプリンクラーなどの凶悪な牙が、ばかいぬのもとへ襲いかかった。
視点を平行に保てない同士の対戦では、シューター系よりもブラスター系に分があったか、ばかいぬが風船スコアでは勝っていたものの、TOKENがキル/デスで優勢(倒すと相手の風船スコアがマイナス)。時間制限いっぱいの激戦であったが、最後に一歩届かずの22対21。不得手同士の対決はTOKENに軍配が上がった。
天王山を落としたために、このままいったら波乱もなく、ばかいぬのライフポイントが0になることは明らかであった。そこで急遽、「yama&ささみにジャイロ操作を適用」という制限を課すことに。ジャイロ操作はWii U GamePad本体の傾きがカメラ操作に適用されるもので、体感ゲームとしては優れた機能である。
しかし、「Destiny」でタイタンを使ってタックルばかりをやっているようなささみをはじめ、体感機器に慣れていない人、既存のFPS/TPS型シューティングジャンルで操作性を画一しているようなプレイヤーにとっては、これが恐ろしい“ズレ”を生むこととなる。
筆者は最初のチュートリアルをジャイロ操作でプレイしていた時、「むりむり、ありえん」状態であった。慣れてくると意外と適応するものだが、今回は操作方法もおぼつかない、限られた時間でのぶっつけ本番勝負。これが影響すれば戦力比も多少なりとも傾いてくれることだろう。
……だが、培ってきたプレイングというものはそんな簡単には崩れないようだ。動きとしては恐ろしく稚拙で、まともな戦闘を望むべくもない状態であったが、ささみなりにWii U GamePadを持った腕を一切動かさずに操作するという、菩薩の掌のような手段を編み出してこれに対処。それ以前にCPU LV1相当の敵を相手取っているのが大きかったか、ばかいぬはここでも大敗を喫した。
ばかいぬの最後の相手は、実はこれまで完全放置されていたうえに、まともなプレイを迎える前にジャイロ操作を適用されてしまったyama。ここまでの試合観戦で知識を十分貯めさせたものの、実際にプレイはしていないので、それが響けば、あるいは。
……と思ったが、やってくれたのは貫録のばかいぬ。彼がダイスで選んだブキは、溜め撃ちが特徴的なスナイパーライフル「スプラチャージャー」。このブキは弱くもなく、“点ではなく線”という運用方法さえ知っておけば、強烈な塗り方で戦線を開ける一本だ。しかし、初見プレイ+エイム下手+タイマン勝負ともなれば話は別。
本来はyama&ささみのどちらかに当たっていれば、それなりにギャーギャーいう様が拝めたのだろうが、ばかいぬ、違うお前じゃない。「溜めるんだぞ!?絶対だぞ!?」「サブ!サブならいけるから!」と、思わず審判が肩入れしてしまうほどに不憫な子であった。
そんな試合ではもちろん大物食いが成立することもなく、圧倒的不利なまま展開する……かと思いきや、yamaの様子がおかしい。彼はジャイロ操作の理屈と体感に大きなズレを感じたようで、ギャーギャーわめき始めた。戦況は終盤までyama有利で進んだものの、徐々にばかいぬが追い付いてきて……制限時間残り0秒で14対14に!
一同が「すげー!けど、どうなんの?」と一瞬困惑していると、間髪おかずに表示された「延長線」の文字。目の前に風船があったものの、溜め撃ちしないスプラチャージャーではギリギリ射程が足りず、yamaが一足早く風船をシュート。哀れなばかいぬ、全敗に沈む。
続く試合は消去法でyama(スクイックリンα)VS TOKEN(スプラチャージャー)。奇しくもスナイパー対決となったが、マップは本日初の「Bバスパーク」と、凸凹が厳しい場所に。とはいうものの、この試合に関しては殆どコメントすることがない。
何せ、TOKENがステージの高低差に戸惑っている内に30対2のスコアでyamaが勝利と、気付いたら終わってしまっていたからだ。しかし、ばかいぬにどうにか勝ち越したからか、あるいは最初から負けると踏まえていたからか、TOKENは負けず嫌いの片鱗をみせない余裕の表情。実にちょろい。いや、もしや、ばかいぬの処世術であった可能性が?
最後の試合は図ったかのようにyama(スプラチャージャー)vs ささみ(ラピッドブラスター)。頂上決戦というには2人とも初心者なのでアレだが、参加メンバーの総合力のほうがもっとアレなので、何故かスタープレイヤーが出てきたかのような熱気に包まれる。「オタサーの姫」効果というのはこういうものなのだろうか? 違う気がするけど。
今回はまともなアクションゲーマー同士なので、ジャイロ操作も無しの真っ向勝負。しかし、yamaはここでスプラチャージャーと若干キツイ。彼は芋スナの適性があるらしいが、どちらかといえば「スプラトゥーン」におけるチャージャーの役割は凸スナなので、動きは全くの別物。
また、これまでの相手は所詮置物だったのでチャージャーを引いても何とかなったが、普通のFPSプレイヤー+初心者同士の対戦ではそうはいかない。コントローラーも全員が公平を期すための初期設定で進めているので、感度を調整させることは認めずー。
まあ、最初の最初の最初から「スプラチャージャー取ったら、負けだと思って」と言い続けていたので、ここにきてヘラヘラしながら「僕なら大丈夫ですよ~」みたいな顔しているのだから、仕方ない。ひたすら「サブです!サブ使って!サブならいけますから!」と無責任に念を押しておく。
もうこの時点で、試合終了後に「チャージャーだったからうんたら」「まともなブキだったらうんたら」と、ぶつくさ不平不満を漏らすであろうyamaの姿が目に見えるんだけどね。
マップは初遭遇、中央の高台部分が特徴的なアロワナモールに。高台の左右にある水場に落ちるとリスポーンなので注意……している傍から落下する両名。それでも普通にプレイできる人同士だと、画面上で戦いが成立しているから新鮮。TOKENがしきりに「これができる人同士の戦いかあ」とプロゲーマーの動画を見ているかのような感想を漏らしている。もうちょっと色々養おう?
試合では中央高台をささみが制圧したために、yamaは引き気味で風船をスナイプしていく。が、思っていた以上にスプラチャージャーの射程が乏しかったらしく、風船を割るにも、相手を倒すにも四苦八苦。風船のリスポン地点もかみ合って、ささみのスコアだけがグングン伸びる。
業を煮やしたyamaは塗りも疎かに、ささみ色に染まった高台から中央突破を試みる。すると、ささみがサブ「トラップ」を設置しており、死角からyamaの命を一撃で刈り取ってしまった。「スプラトゥーン」のプレイヤーには普通のことでも、この面子においては恐ろしくテクニカルな上級プレイに見えるから不思議だ。
事実、ささみはこの対戦のため、決戦の会議室に入る前まで「スプラトゥーン」のwikiを読み込んでいた(仕事しよ?)。彼はここまでのジャンルでパッとした活躍ができなかったため、この日にマジで賭けていたのだ。しっかりとできること、やれること、みつけたことを短い中で実践し、6対30と大差をつけて勝利。矜持を保ちつつ、見事「スプラトゥーン」にて全勝を果たした。
「スプラトゥーン」リーグ表
勝ち点一覧
※「スプラトゥーン」一戦ごとに勝ち/+1、負け/-1
参加メンバー 勝ち点の集計 ささみ 3ポイント TOKEN 2ポイント yama 2ポイント ばかいぬ 0ポイント
第6種目「タイムライン」
最後の種目は、ホビージャパンが販売中のアナログカードゲーム「タイムライン」。本作は多人数でプレイ可能な“遊びながら歴史雑学に詳しくなれるカードゲーム”で、全220枚のカードにはそれぞれ世界中の歴史上の事件、発見、発明などが記されている。
ルールは簡単。参加プレイヤーは最初に配られた4枚のカードから1枚を選び、共通の場の“正しいと思う年代の場所に置いていくだけ”。正解ならそこに配置、不正解なら新たなカードを1枚引く。これを繰り返して、手札を最初に0にした人が勝利だ。日本史/世界史/地理/歴史/政治/倫理などなど、社会科科目の知識がモノをいう知的なゲームでもある。
知識武装がしっかりしていれば、順番だけで勝敗が決まってしまいそうだが、生憎うちの編集部にはそこまで知識に秀でた人はいない。かといって、仮にも知的作業に従事する人たちなのだから、そう易々と不正解ばかりをかますことはないはずだ。堂々と間違いでもしたら、一般の読者はおろか、意外に見ているらしい業界関係者にも生き恥を晒してしまうんだよ? ふぁいとっ。
急転直下で勝ち点がひっくり返った今、各々が華々しく勝利するためにジャックポットが要求されることは分かっている。皆までいうな。今回は“最初に上がった人が、場に残っている手札の数だけ勝ち点をもらえる”という試合を計2セットやることに。勝ち点の意味合いについては後述だ。
まずは、下記の画像を見てほしい。これが本作のゲームフィールドの全体像となる。
スタートカード | |
それぞれのプレイヤーの手札。表に出来事が記載されており、裏に年代が追記されている。 手札は全てオープンとなり、全プレイヤーにハンドの情報が共有される仕組みだ。 |
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これがゲームフィールドの全体像。 |
ルールブック記載の“若い人からスタート”を曲解していなければいいが、ここでは年齢順と捉えて一番年齢の若いささみから、時計回りでゲームを進行することに。
まずは、共通の場にスタートカード「有刺鉄線の発明(1867年)」が置かれる。各々は手番がきたら手札の中からカードを1枚を選び、「有刺鉄線の発明」よりも「黒鉛筆の発明」は前の時代か? 「トロイ遺跡の発見」は後の時代か? などを見極め、カードを左(前の時代)・右(後の時代)のどちらかに置いていく。
配置後は皆の前でカードを裏返し、年号が合っていたらその場にカードを置き、間違っていたらカードをゲームから除外し、山札から新たなカードを1枚引く。ここまでが1プレイヤーの手番で、終えたら次の人に手番が移り、全員1周するまでが1ラウンド。最初の人はスタートカード以外に何もないので、気分的には「Red&Black」か「High&low」だが、確率的にはもっと高くいけそう。
ゲームのキモは、消費/保存をどこで見切るかのプレイング、あるいは年代の幅をどこで区切るか。誰でも分かりそうな「鎌倉幕府の成立」「アメリカ大陸の発見」といったカードを真っ先に消費してしまい、「プルタブ缶の発明」「DNA構造の解析」といった誰が分かるんだこんなもん!というカードを残してしまうと、残りは「当て勘」と「デスティニードロー」しかできなくなる。
また、上記ではありそうなカードを例に出したが、「チューイングガムの発明(1872年)」「T型フォードの発明(1908年)」など、雑学に富んでてもフォローしきれないほどにカードのお題は幅広い。今回は1800年~1950年くらいの年代で山札を用意したが、それでも知識とは別の面で勝負性を見出さなければいけないのは確かだ。
3枚ほどカードが場に配置されただけで、早くも不穏な空気に。分からない、みんな分からないのだ。プレイする前は、皆の手札がオープン、配置する場がパブリックということで、「700~900年代くらいだと思うカード」を置かれる前に、750年/800年/850年のカードを仕掛けるゲームかと思ったが、ほぼ全ての事例が“なんとなくココ”としか分からないプレイヤー同士だと、駆け引きどころか、自分のカードを切るだけで精一杯。
トランプの「7並べ」のように、相手の思惑通りに手札を消費させないゲームになるのは、蓄えのある人間がプレイするからこそだろう。単純に歴史や雑学を知らなければ、もはやなんもかんも分からんのだ。“名称と年号”だけというシンプルな事実のみのお題に、プレイヤーの逃げ道はない。
結果、手番を待つ人たちは「えぇ!マジでそこだと思うの?」「本当に?えっ、本当に?」「ぶふっ!ぶふっー!」といった野次やブラフを吹っ掛け、手番の人は「絶対ココだし…!」と自身の心を強く保つゲームと化した。
各自がどうにか単語やイラストから、自身の経験してきたさまざまな物毎を連想をしつつ、ゲームを進めていく。すると意外にも、一番バカそうなささみが周囲よりも一手早い。映画好きならではの知識を思い出しつつ、「High&lowは得意なんです」と別の観点で勝負に出ていることが分かる。それを追うのはTOKENとyamaで……あれれ? ばかいぬ氏? もしかして馬鹿犬氏?
ばかいぬの持っている手札は「サクソフォーンの発明」「最初の摩天楼」など、場の年代が6~8枚で区切られている状況だと、サッパリ見当もつかないカードばかり。変なものをコレクションしてしまう趣味なのかな? また、今日は勝負勘が冴えないのか、当て勘もことごとくハズしてしまう。
ばかいぬ「僕、日本史専攻なんですよ!」
この言葉は、このゲームをプレイした日本人の何割が口にするのだろう?
上の画像「光合成の発見」が、ささみの最後の手札。これを場に置ければささみが勝利となる。しかし、同じラウンド内で2人以上が手札0枚になると、全員がカードを1枚引いた後、「誰か1人だけ手札0枚のラウンド」が訪れるまでサドンデスに突入する。
この最後の駆け引きが成立するとひたすらグダグダして面白そうなのだが、まあ、こちらは誰も上がれていないのに想定プレイ時間15分超と、上がることができれば勝ち状態なのに1プレイが長かった。何も言わないであげて。
しかし、yamaが色々な“化石の発見”シリーズに手間取っている最中、ささみが手札に「アフリカの独立記念日」を引く。場には「Dデイ(第二次世界大戦中のアメリカの軍事用語)」が出ている。そこからささみは「戦時のDデイがある」→「独立記念日だから戦争後、多分」→「戦争後だからDデイよりも右」と計算し、そこにカードを配置すると――
いけないポーズと共に高らかと勝利。前述した勝ち点を、場に残された全員の手札から計算すると、
TOKEN 残り手札:1枚
yama 残り手札:1枚
ばかいぬ 残り手札:2枚
計4枚、すなわち“勝ち点4”がささみに計上される。ささみすごい! 一見バカなのに勝負強い!
勝ち点一覧
参加メンバー 勝ち点の集計 ささみ 7ポイント TOKEN 2ポイント yama 2ポイント ばかいぬ 0ポイント
これにてささみが圧勝! と終わらせたかったのだが、欲張ってゲームを2セットにしたので、まだ終わらないんだな、これが。記事の文章量的にももうお腹いっぱいなのだが、自身の勝ちを逃した落ち武者どもがそれを許さず。ああ無情。でもって本当の最終決戦に突入!
第2セットは1600年~1800年+αの山札。さらに“最初に上がった人が、場に残っている手札の数×2だけ勝ち点をもらえる”というバラエティ的な欲張り設定に。実質このセットを取ったメンバーが勝利の栄光を授かるだろう。意地汚い人にも幸あれ。
今回のスタートカードとなったのは、「英軍艦パール、海賊黒髭を攻撃(1718年)」。デスクに座りっぱなしから解放されたメンバーたちは変なタガがハズれたのか、キャラクター性が強い海賊黒髭の姿に、アイドル的な何かを感じ取ってしまう。
今回は負け始めということで、ばかいぬからのゲームスタート。しかし、幸運なはずの最初の2択を、自信満々にパパッと間違えてしまう。つくづく運と知識がない。今日はお家に帰る?
場の年代が揃い始めてくると、途端にカードが通り辛くなった。何故かは知らないが、皆やたらと海賊黒髭の左右のポジションを狙っている。しかも、年代でいうとそれが結構なニアミスで、海賊黒髭よりも一つ前・後というケースが頻発し、雪崩式に“お願い海賊黒髭!”が横行するようになった。彼に偶像的な何かを想ってしまっているのだろうか? ちょっと怖い。
そんな状況下で一番早く手札を1枚にしたのは、またしてもささみ。同様に一番手札が多いのはばかいぬ。これは…えっと…つまり、もうそういう風に見てもいいのかな?
しかし、ささみは残った1枚「最初のミステリー・サークル」に嫌われて以降、最後の1枚が中々切れない。さらに場の雰囲気も夜が進むにつれて悪化し、もはや鳥貴族にいる大学生の団体のような喧騒となり、他人の選択に対する当たりがとにかく強くなっている。
当たっていた時は何も言わないのに、ハズれていると鬼の首を取ったかのように「だから言ったじゃん!」「それくらいも知らないの?」「さっきのカードがあれくらいだったんだから、もっと後に決まってんじゃん!」と、無責任な非難を浴びせかけられる。
筆者「負の連鎖というものは、こういうちょっとした回転から始まり、やがて大きな渦になるんだろうな」。台風が近づく今日この頃、思い立っていた。
そして、カードが無駄に消費されていく中、筆者がソレに気付いた。プレイ中は筆者がディーラー(と言うのだろうか?)としてカードの回収、山札からの配布を担っていたのだが、カードを配る際はイラストや年号をシークレットにしたかったので、山の下からカードを配っていた。
そんな時、ずっと見ていたはずだけれど、それほど意識はしていなかった山札の上のカードが気になった。ふと視線を傾けてみると、残り少ない山札の一番上に、どんなに知識がなかろうとも“明らかに安牌だろう”といわんばかりの+α、つまり時代を先取りしたオーパーツなカードが陣取っていたのだ。
ささみ、TOKEN、yamaが残り1枚、ばかいぬが残り2枚。そして山札が順当に消費されていくとそのカードはTOKENに当たる。ばかいぬ! 絶対に勝ちカードであった「ピタゴラスの定理(-548年)」を「海賊黒髭(1718年)」よりも未来に置いてる場合じゃない!
皆のアイドル・海賊黒髭に翻弄されている中、自信満々で「飛行機でしょ?ライト兄弟でしょ?そんなん知ってるに決まってんじゃん!」と言い放ち、アホ面さげて間違えたTOKENのもとに、最も未来の出来事が「バウンティ号の叛乱(1789年)」の場に、約束された勝利の手札が舞い降りた。
「PPC複写機の発明」
いや、実際は何なのかよく知らなかったのだが、明らかに時代の最先端を先取りしてしまっているプラスチック的な何か。このカードが配られる直前まで「これ手に入れた人、絶対勝つから!はよ!はよ!」と急かした声も、彼らの煮詰まった脳には届かなかった。そしてTOKENは当のカードを見るや、一直線にその場所へと置く――
「PPC複写機の発明(1938年)」。最後のカギはドロー運といわんばかりにTOKENが勝利。
それなりの知識を糧に答えを探り当てたTOKEN、難しいカードを当て勘交じりで消費していったyamaとささみ、「テディベアの発明(1903年)」などのオーパーツや、海賊キャラコを手札に残し、最後に黒髭周辺に置くことで一発上がりを高める「キャラコ残し」なる技を披露しようと画策したばかいぬ。しかし、彼は誤り、間違え、騙され、ものの見事に活かすことができなかった。
とはいっても、知識なんて大体は誤差の範囲。本作はカードゲームとしての心理的な駆け引きがないわけではないが、そこまで知っている人たちがいない状況だからこそ盛り上がれる、コミュニケーションゲームとしての面が強いのだ。ルールもゲーム進行も手軽でいて、プレイヤーに“知らないことへの理不尽さ”を強く与えないのは、これはもうゲームデザイナーの妙だろう。
夏の嵐が過ぎた後は…
3週にわたってお送りした今回の企画【Gamer 夏の6本勝負】。仕事柄ゲームをプレイしまくりに見えるかもしれないが、「仕事でやりたいゲーム」と、「プライベートでやりたいゲーム」を踏まえると、人によっては全然プレイしていないタイミングもままあるものなのだ。
また、仲の良し悪しは別として……いや本当に。本当です本当。うちの編集部内はメンバー同士が一緒にゲームで遊ぶ機会が殆どない。一緒のゲームを遊んでいることは多々あるが、一緒に遊ぶことはなく、仮に遊ぼうとしてもゲーム進行やタイミングが合わずだったり、各々のコミュニティがあったり、「鯖、違うんで」とあしらわれてしまう。一番は何より、こんな6本勝負が成立するくらいに好きなジャンルが違うということだが。
それなので、こういった機会を持ちつつ、企画に仕上げられたというのは、中々どうして新鮮であった。ゲームを通して仕事をしているメンバーたちが、ゲームを通すとどのような姿を見せるのか? 予想通りに醜い人もいれば、予想外に涼しげな人もいた。
次の企画では「ぐっすんおよよ早解き勝負」「バウンサーでバトルロイヤル」「旋光の輪舞 頂上決戦」で対決するのもいい。それとも夏は対戦だったから、冬は協力プレイにフォーカスしてみるのもいいか。とにかくこれを切っ掛けに、アットホームな雰囲気を伝えていけたらと思う所存だ。
ちなみに最終結果はこちら!
勝ち点一覧
参加メンバー 勝ち点の集計 TOKEN 10ポイント ささみ 7ポイント yama 2ポイント ばかいぬ 0ポイント
「タイムライン」2セット目は場の残り手札が4枚。×2倍で8ポイントとなり、TOKENが断トツ1位に返り咲いた。なお、彼には賞品の「肉の万世のステーキ」が奢られるが、それはまた別のお日柄にレポートしていこう。
なお、その日が訪れた際はこちらの「編集部通信」でその模様をレポートしていくつもりなので、ふと思い出した際にチェックして頂ければと思う。それでは、残り少ない、少ない、少ない夏休みをぜひとも満喫してください!