ウォーザード

【2Dの頂点、私は今も】ファンタジー対戦格闘RPG「ウォーザード」の美学―ようこそ、アーケード史上最も美しい2Dグラフィックの宝庫へ

【2Dの頂点、私は今も】ファンタジー対戦格闘RPG「ウォーザード」の美学―ようこそ、アーケード史上最も美しい2Dグラフィックの宝庫へ

アーケード

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カプコンの名作の一つ、アーケード向け2D対戦格闘ゲーム「ウォーザード(WAR-ZARD)」の素晴らしく尖ったゲームデザインとビジュアルには、もはやオーラのような気品が纏わりついている。今回は年明け早々、そんな本作の魅力をフィーチャーしていく。

カプコンが1996年11月末または12月頃に稼働を開始したアーケードゲーム「ウォーザード(WAR-ZARD)」は、リリース当時においてはユニークなシステムが「これでもかっ!」というほど盛り込まれた2D対戦格闘ゲーム。格ゲージャンルにRPGならではの成長要素を混ぜてしまったその意欲的なスタイルは、筆者の胸に今でも深く突き刺さっている。

その魅力は、一目見るだけで異質だと分かる超高品質グラフィック、立ちはだかる大型ボスの奇抜でいて迫力あるデザイン、ド派手でありつつもストイックなバトルの立ち回り、アーケードでありながらパスワードで成長要素を記録など、新進気鋭の気骨が伺える。特にパスワードを各々がプレイ後に控えるのなんて、本作と「ガントレット・レジェンド」でしか覚えがない。

というわけで今回は年明け早々、筆者の物書きアンテナが感じ取った“今年のトレンドは「ウォーザード」!!”というインスピレーションを信じ、このゲームの魅力をどこよりも早くお届けしていこうと思う。家庭用版への移植は一切なしの、アーケードの中だけで輝きを放っていたこの作品の素晴らしさ、その一端でも伝えていけたのなら嬉しく思う。

気になる「ウォーザード」とは一体何者なのだ…?

本作は、当時のカプコンがアーケードゲーム用のシステム基板として開発していた「CPシステム」の第3世代、「CPシステムIII(CPS 3)」と共に出荷されたアーケードタイトルの第1弾。同基板は後に「ストリートファイターIII」「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズで使用されている。既プレイヤーであれば分かるだろうが、その特徴は“アニメーションの滑らかさ”にあるといっていい。

それでは「ウォーザード」について説明していくが、本作は面白いことにCOM戦は「1vs1でボスとストーリー対戦」、対人戦は「各々の操作キャラクターで対戦」となり、その趣きはアーケードスタイルの対戦アクション+対戦格闘となる。操作は対戦格闘側を踏襲しているので、ゲーム内容を知らない人は“マヴカプシリーズ恒例のボス戦”を戦い抜くゲームだと思っていただきたい。

 
そんな混ぜっこシステムには、さらなる味付けとして「RPG的なレベル・装備」の概念が導入されている。ゲームで選択できるプレイアブルキャラクターは全部で4人(後述)。そこから1キャラクターを選んだ後、ボスとの戦闘後のリザルト、もしくはバトル中に相手が落とすスコアアイテムで経験値(スコア)が加算され、一定値を超えるとレベルアップという仕組みだ。

レベルが上がると【新技の解放】【ステータスの強化】【武具の追加】が受けられる。中には特殊条件をこなさないと入手できない装備も存在するなど、成長に伴うやり込み心をくすぐってくるのは、まんまRPGである。現在でもまともに開拓されていないアーケード+対戦格闘+RPGというこの闇鍋は、当時小学生であった筆者には、時代の先端で光輝く超新星のように見えていた。

 
各々がレベルを控えるパスワードは、ゲームクリアもしくはステージで敗れた際にゲームオーバー画面にて表示される。気分的には「ロックマン」を思い浮かべよう。そして、このパスワードを再びプレイする時に入力すると、以前のレベル・装備を保ったまま、ストーリーの最初からプレイすることが可能となるのだ。なので、継続的にプレイしたい人はメモ書きが必須であった。

なお、ゲームではこちらのキャラクターレベルが上昇することに伴い、相対するボスたちのライフも増加するなど、随時強化されていく。そのため、「レベルをめっちゃ上げたから楽々クリア!」といった事態は起こらず、むしろ“敵の強さが変動するの嫌=ノーパスワードでプレイ”が生まれていた。これは人それぞれだろうが、筆者は携帯もない時分だったので、メモ書き+パス入力が面倒でノーパスワードが主流であった。

 
また、パスワードは対人戦でも使用できる。筆者は正直、対戦を経験したことがないのだが、ネット上の意見いわく「レベル差が酷いと…」「パスの入力待ちが長い…」「4キャラしかいない…」「COM戦で頑張ってる人に乱入するのは…」などなど、さまざまな問題が浮上していたようだ。成長要素の捉え方も難しく、対戦格闘ジャンルが成熟していなかった当時であっても、プレイヤー間の根底には“格ゲーはフェアな競技”という意識があったことも起因していると思われる。

ちなみに筆者の地元の店舗では、4キャラクター×さまざまなバリエーションの最強キャラクターのパスワードが店側から堂々と貼られていたのが、今でも印象深い。

獅子、魔法使い、忍者、武闘家からお選びください

ゲームで使用可能なプレイアブルキャラクターは、魔獣化の呪いを受けたライオンヘッドの雄々しき国王「レオ」、魔学を探求するいかにも魔女といった風体の「タバサ」、刀・分身・手裏剣とどこからどうみても忍者な「ムクロ」、武術の国から出てきた元気一杯の格闘娘「タオ」の4人。

レオは剣のリーチ+火力に優れたパワーキャラ、タバサはリーチと飛び道具に優れた中・遠距離キャラ、ムクロは特殊攻撃多目のテクニカルキャラ、タオは使い易くバランス良好の打撃キャラと、それぞれ特色が異なる。全体的なビジュアルも「ヴァンパイア」シリーズとは異なり、いわゆるハイファンタジー寄りである。なお、ゲームに登場するボスたちはユーザーが操作することは叶わない。

本作の登場キャラクターたちは、カプコンのオールスターゲームをはじめ、古今問わずの多彩なタイトルでセルフパロディとして登場している。時にはプレイアブルとして、時には背景の一員として、時には装備武具として、色々な場所で愛されていることがよく分かる。「モンスターハンター」シリーズをプレイしたことがある人は、タバサの姿やブレイドの武器に、既視感を感じるかも?

ちなみに、この辺であらかじめ宣言しておこう。筆者はタバサ以外、ほぼ使ったことがない。タバサが好みだとか、ライオン頭はちょっと…だとか、鬱蒼ENDはちょっと…だとか、まあ少しは関係あるが、結論としては“タバサ以外でクリアできる自信が一切ない”からである。

この辺りについては、筆者のプレイヤーとしての限界値に関わっている問題なので、頭からキャラ差があるものだとは考えないでほしい。詳しくは、後述するゲームの流れやバトルシステムとあわせて紹介していきたい。

それで、どんな流れでゲームが進むの?

COM戦はコインを入れ、キャラクターを選び(パスワードはここで入力可能)、各々の導入シナリオを観賞後、「NO MERCY(慈悲はない)」の掛け声とともにステージ1が幕を切る。このNO MERCYという一言が、圧倒的な力の差を見せつける怪物たちへの絶望か、力に溺れて狩られることを想像しない怪物たちへの警鐘か、壮大で残酷なファンタジーを広く演出していると感じられて、とても好き。

双方の体力は対戦格闘らしく、ゲージ制が採用されている。しかし、ダメージの与え方/受け方は「ストリートファイター」のような格ゲーらしい値の応酬ではなく、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のようなベルトスクロールアクションのボスと対峙している構図に近しい。つまり、こちらは敵の膨大な体力をチクチクと削っていくが、こちらが敵の大技を食らおうものなら形勢を一気に持っていかれる、文字通りのボス戦だ。

しかも、COM戦では負けたら即刻ゲームオーバーとなる1ラウンド限りの勝負のうえ、体力はステージクリア時に少量回復するものの、基本的には持ち越し。そのため、一戦毎に体力をふんだんに消費していてはどうにもならないので、シューティングゲームの自機ように繊細に立ち回らねば、次戦がゲーム終了までのカウントダウンとなり果ててしまう。

要約すると、本作のCOM戦は格ゲーによくあるサバイバルモード、もしくは対戦格闘のガワを被ったベルトスクロールアクションと捉えておくのがいい。当然、昨今見られる「コンボ練習のためのCOM戦」「ストーリーのためのCOM戦」ではなく、クリアをゴールとした往年のアーケードゲームらしい難易度なことに注意したい。

プレイヤーの前に立ち塞がるボスは、恐竜チックな姿が印象的なアースドラゴン「ハウザー」、赤銅色で筋骨隆々な体躯の鬼「金剛」、三叉槍を手に襲い掛かってくる巨大イカ「ヌール」、奇襲が超怖い半人半鳥の魔物「ルアン」、ファンタジーでお馴染みのキメラを模した「セクメト」、刀持ちの4本腕が強烈なロボット番人「ギギ」の計6体。

このハウザー、ヌール、セクメト、ルアン、金剛、ギギは、キャラクター毎のストーリーに則って順に出現する(ただし、セクメトは3番目、ギギは6番目で固定)。この6体に勝利できれば、ストーリーバトルの番人を務める巨大な甲冑騎士・ブレイドと相対でき、それを超えると最後のボス・ヴァルドール(“真の姿”的なやつも存在する)と戦える。

各ボスの動きはバリエーション豊かで、各々の特性を知って・覚えて・対応せねば、勝機は訪れない。このように、各々に対応するために戦術を培うことをふまえると、モンハンのプレイスタイルというのは本作と案外近しいのかもしれない。

未来のトレンドを取り入れすぎたバトルシステム

当時、カプコン製の格闘ゲームには大きく3つの分類があった(個人的にです)。1つ目は「ストリートファイター」、2つ目は「ヴァンパイア」、3つ目は「マヴカプ」だ。中には「スーパーマッスルボマー」「ジャスティス学園」「超鋼戦紀キカイオー」らへんが主流だと声を上げる人もいるかもしれないが、とりあえずは納得してほしい。

そして「ウォーザード」だが、本作はそれぞれのシリーズから各要素を抽出した“ハイブリッドな操作体系”に仕上げられていた。攻撃はP+K×弱中強=全6ボタン。必殺技コマンドは波動・昇龍・レバー半回転・波動×2など、カプコンらしい操作方法が採用されている。

バトルの基本は単発攻撃の差し合いだが、レバー入れの特殊攻撃が豊富だったり、特定ルートのみのチェーンコンボも存在する(ストリートファイター4のターゲットコンボに近似)。ジャンプ攻撃→地上攻撃→必殺技といったシンプルな3段コンボも可能ではあるが、反撃やノックバックなどの関係により、なるべく2段で止めておくのがベスト。

また、キャラクターの動きは重いとまではいかないが、かといって軽快ではなく、一つ一つの動作に独特な“タメ”が発生する。そのほか、ハイジャンプや空中ガード、移動起き上がりやダウン追い打ち、ボタン入力の特殊防御「アルティメットガード」、AG成立後のガードキャンセル攻撃「アルティメットカウンター」があったりと、「ヴァンパイア」「マヴカプ」からの流れも強く出ている。

 
ただし、当時の対戦格闘界で主流に躍り出ていた「スーパーコンボゲージ」は存在せず、代わりのリソースとしてプレイヤーキャラクター or ボスのダウン時に出現する「ミスティックオーブ」と、そのオーブを拾って使う魔法「ミスティックマジック」、超必殺技「ミスティックブレイク」が搭載されていた。

オーブには「火」「氷」「風」「雷」「毒」「星」の6種類の属性が存在し、バトル中にスタートボタンを押すことで属性が変更可能。コマンド入力を成立させると、各属性に応じたミスティックマジック(固有の魔法攻撃)が発動できる。なお、オーブはバトル中に計3個までストックでき、4個目以降は経験値に還元されるスコアアイテムとしての役割も担っている。

もう一方のミスティックブレイクは各キャラクターの特性を生かした超必殺技で、強烈なラッシュ技、ド派手な飛び道具、圧倒的な一撃技などが、大ダメージとともに演出される。これらシステム周りだけでいえば、現今稼働している格ゲータイトルたちとさして違いのない充実っぷりである。

そんなシステムで練られたバトルの掟とは……

このように、ユニークなシステムで構築された本作のバトルスタイルはいくつかある。バリバリのバトルを体験したい人は地に足を付けて殴り合い、ステージ2くらいでそのライフを散らせばいい。キャラクターのレベルを上げたいという人は、セクメトの顔殴りなど経験値稼ぎの方法を探ってみるのがいい。

しかし、ゲームクリアを目的にすると話は別だ。まずこのゲーム、対戦格闘ジャンルが上手いだけではクリアすることはできない。理由としては、攻撃の差し合いやガードといった格ゲーらしい基本戦略だけでは、ボスの地位を得たモンスターどもの理不尽な攻撃スタイルに太刀打ちできないからだ。

巨体なくせにガードが意外と小まめ、かつスーパーアーマーで攻撃もろともなぎ倒してくるその姿は、正にファンタジーの暴力である。また、敵のコンボ・必殺技には連続ヒットも存在し、それらを受けると“最低でも体力の4~5分の1”はもっていかれる。格ゲー慣れしている人は思わず「安い」と感じただろうが、プレイすれば分かる…この重さ。

プレイの傾向としては前述したとおり、「マヴカプシリーズの巨大ボス」「(ファイナルファイトなど)ベルトスクロールアクションのボス」と思って、細心の注意で立ち回るのが賢明である。となると、プレイ上の立ち回りはどうなるのか?

それはハイジャンプ(操作:レバー↓↑)だ。何も考えずハイジャンプだ。どんな時でもハイジャンプなのだ。むしろハイジャンプしかない。

 
地上に張り付いているとボス側有利の打ち合いにもつれこむ。飛び道具によるシューティングはダメージが結構足りない。リターンのために体力を支払う突撃はナンセンス。だって彼我の差があり過ぎるし、こちらは体力ゲージ一本で最後まで行かなければならないのだから(LVアップに伴う強化によっては、上記の限りではない)。

つまり、リスクを最小限に減らすためには、敵の攻撃のほとんどが対応していない高空にいるのがベスト。ハイジャンプをすれば、敵の攻撃を避けつつ、相手の上を取ったり、そのまま裏回りしたりと、回避&攻撃をいっぺんに行える。そのため、適当にハイジャンプして空中攻撃をチクチク刺す or 裏から通常投げを入れるのが安全策となっている。

しかし、これにもいくつか罠がある。本作は1ラウンド限定のうえ、タイムアップ=ゲームオーバーのため(稼働初期設定200秒だが、それでも)、チクチクしているだけで火力を出していない時は、逆に危険信号。ハイジャンプは安全な行動であるものの、勝利の安心までは保障されないので、どこかで攻撃に集中できるインファイトの殴り合いへと持ち込みたくなってしまう。

 
かといって、火力重視の飛び込みコンボのために密着降りをしていては、ボスのボスたる真骨頂が炸裂。(飛び込み)攻撃時に初段をガードされると、ボスが割り込み攻撃を仕掛けてくるケースが多々なため、入れ込まず、しっかりと見ていなければ小技で追い返されてしまう。何故か、敵のガードは近接戦になるほど異様に硬くなるのだ(しかもCOMらしく“奇妙な場面”で攻撃が通るので読み辛い)。

ついでに、相手によっては恐ろしい精度で対空技をねじ込んでくるケースもあるので、ハイジャンプ前は「相手が動作したか or していないか」、ハイジャンプ後は「その場 or 接近 or 裏回り」の選択肢を常に働かせておかなければ、「ハイジャンプばっかりしてたのに、全然勝てないじゃん!」という愚痴をいう羽目になる。ドヤ顔でプレイしたい人は“ハイジャンプからの選択肢”を構想しておこう。

なお、敵の攻撃モーションは大技を除き、全体的に察知するのが難しめなので、大胆かつ繊細なその挙動に注目しておくか、こちらの手数をフル回転してリターンを求めていくかで、プレイスタイルが左右される。ちなみに、全く触れていなかった通常ジャンプだが、攻撃読み以外の用途で飛び込もうものなら、その“モッサリとした挙動”が哀しみを生むので注意しよう。

ネガティブばっかりしてないで攻略!攻略!

先程からネガティブな方向にばかり進み過ぎてしまったが、いうても「ウォーザード」は人知の及ばぬゲームではない。今のところ本作を知らない人は「プレイヤーがひたすら理不尽に蹂躙されるゲーム」くらい極端に思ってしまっているかもしれないが、決してそんなことはない。適当に遊んでいてもそれなりに進める……と思う。

そんな本作の攻略の糸口となるのは「ダウン状態」。バトルでは敵味方ともに相手をダウン状態にさせる技が大変多く、ちょっとした小技だったり、飛び道具だったり、あらゆる行動でバッタバッタと倒れる。これはオーブやスコアアイテムを落とすシステムとの咬み合いだけでなく、プレイヤー側にとって最も心強い要素となるのだ。

さて、巡り巡ったが筆者の愛用キャラ「タバサ」について解説しよう。紫色のトンガリ帽子&外套が魔女魔女しいタバサは、低火力+長リーチ+飛び道具が豊富+カプコン史上で3指に入れたいフェイバリット昇龍を持っているのが特徴のキャラクター。まあ、初期レベルプレイが主だった筆者は、稼ぎを入れても10レベル前後で終わることがほとんどで、高レベルで覚える必殺技はそれほど使用したことはないが。

“動物を変化させた衣装”で全身を固めている彼女の攻撃モーションは、4人の中でも特質してコミカルで、手の先からノコギリみたいなものを出したり、氷のツララを生み出したり、両足から猫を出して攻撃したり、マルッとした大砲を召喚したり、変な幽霊を飛ばしたり、よく分からない物体でガードしたりと、さながら一人サーカスである。構えだけ見ると、「ストリートファイター」の元みたいなのに。

 
タバサの勝利の方程式は「Kボタン&昇龍拳」。ジャンプ中K・強Kは足先で猫じゃらしを振るい、靴に変化した2匹の猫(右足:灰色猫のイブン、左足:黒猫のアル)を反応させて攻撃する“猫キック”。中・強ともにリーチに優れた同モーションで、ハイジャンプ中はこれらの先端を当てるように立ち回るのが非常にローリスク。タバサを操作していると「アル」「イブン」と頻繁にボイスで呼ばれるので、タバサ使いなら自然と覚えているだろう。

また、しゃがみ中K・強Kも負けず劣らずのリーチを誇り、屈強Kであればダウン属性をもつ。全体モーションが少し重いこと、地上で差し合うリスクを背負うことから、J中K・強Kよりも安全ではないが、COM相手には妙な刺さり方をしやすいので、使用を控えるのはもったいない。ジャンプ攻撃ヒット後の連携にも簡単でオススメである。

このほかの通常攻撃は“用途を絞ればJ/屈中K・強Kよりも強い”といういぶし銀だが。いずれもリーチに乏しく、適当に振っておけるものはない。ハイジャンプ中に↓+弱Kで出せるミュースウィープ(いわゆる雷撃蹴)が斜め下方向へのアプローチになるが、ガードされるとめり込んで密着。確定反撃にはなり辛いもののとても気まずい。

 
そして何より、“タバサといえば?”の代名詞である昇龍系の必殺技「レヴェリー・ソード」がバトルの要を担う。このレヴェリー・ソードは623+Pコマンドで発動する上昇系の必殺技。対空技といったほうが伝わりやすいだろうが、COM戦においては対空という概念が希薄なので、まあ、そういう技だ。名前もすっごいカッコいい。

さて、レヴェリー・ソードの素晴らしいポイントだが、これにはヒット時ダウン、判定/威力の強さ、コンボパーツ、ガードされても何故か反撃が飛んでこないCOMルーチンなどが挙げられる。ヒット時ダウンは昇龍系であれば当然の属性なので省き、まずは判定/威力の強さからいこう。

レヴェリー・ソードは、タバサが手のひらに小柄な直剣を出し、それを時計の針のように回転させながら、(角度浅めの)斜め前方向に飛んでいくというモーションだ。直剣の判定は手のひらを中心として半径0.5キャラ分ほどあり、敵の図体の大きさ+前進機動も含めて、前方1.5~2キャラ分はカバーできる。上昇速度は速いが、判定を持続したまま空中に移動・滞空するため、上にも横にも迎撃にも心強い。

加えて、根元から当てると2段ヒットとなりダメージもお高め。下手な遠距離戦でバトルを引き延ばすよりも、ガンガン突っ込んでレヴェリー・ソードをぶん回すくらいの気概が大切だ。想像でしかないが、対人戦でこのレヴェリー・ソード、もしくはレベルアップ後の強化レヴェリー・ソードをぶん回されたらと考えると恐ろしい。ガード時の確反は当然あるのだろうが、迎撃技として優秀過ぎる気がする。

 
続いてコンボパーツとしてだが、本作では特定のチェーンコンボ以外でのコンボ攻撃が少なく、必殺技を絡めるときは発生の早い昇龍系がベストとされる。しかし、飛び込み3段だとノックバックの関係で不安を抱えやすいので、ジャンプ攻撃→通常攻撃 or 昇龍系の2段で手早く終わらせるのがマスト。そのため、横判定に優れたレヴェリー・ソードは連携にも組み込みやすく、結果的に敵のダウンもとりやすい、基本にして最高の連携といえる。

しかも、やらかした確反を見逃してくれる優しい奴らがいる。そう、何故かボスたちはレヴェリー・ソード(昇龍系)をガードした後、反撃してこないのだ。もちろん、攻撃されるのも半々なので過信はいけないが、対人戦のように致命傷に繋がらないケースが度々訪れる。通常攻撃はガチガチにガードするくせに、必殺技となると何故か当たってくれるので、【空中攻撃をガード後、入れ込みの昇龍がヒット】といったケースが見受けられる始末だ。格ゲーに慣れている人ほど度胸が試される戦術であろう。

とはいっても、これは筆者の体感でしかないので仕様でも何でもない。だが、個人的には全キャラ共通で必殺技はなるべく使っていきたく思ってしまう。とはいっても、ほかのキャラはタバサのレヴェリー・ソードほど多面的に強力な昇龍を持っておらず、さらに一応用途が見い出せる飛び道具ばかりのタバサと違って、“カッコいいだけの死に技”も散見されるので、それほど甘えは通じない。

 
個人的に、レオは(機動力が低いので)リーチを生かしてベタ足で差し合うTHE・ファイター、ムクロは猪口才なクナイを投げつつ近距離コンボを叩きこむヒット&アウェイ、タオはハイジャンプでひたすら裏回りをするコンボキャラ、みたいな戦い方を想定している。もちろん、プレイヤーによってはシンプルな火力・コンボで戦える上記3キャラが向いているケースもあるので、“タバサ強キャラ説”を頭ごなしに信じてはいけない。

なお、タバサは手から弾を出すシンプルな飛び道具「チャクラ・ウェーブ」が最初から使えて、レベルアップに伴い覚えていく「カノン」系なら単発ダウンが取れてと、飛び道具は強め。カノンは適当にばら撒いても案外当たってくれるので、悪い選択肢ではない。ただし、ボスたちは大半が突進技・飛び道具を持っており、飛び道具の安いダメージと引き換えに事故ったプレイヤーは、そのまま乱用を控えると思う。

キャラクターの全てを引き出すことが勝つための強さではない。強みだけを磨くからこそ勝てるのだと、「ウォーザード」は筆者に教えてくれた。つまり、【タバサで】【J/屈中K・強K】【レヴェリー・ソード】【ちょっとの飛び道具】以外のことをしてクリアできる気がしない。そういうことなのだ。

美し過ぎる「ウォーザード」

「おまえが紹介したかったのって『ウォーザード』じゃなくて『タバサ』じゃね?」という疑問が湧いてきた人もいるのかもしれないが、不思議なことに、時にはそういうこともあるのかもしれないね――。

いや、当然のことながら本作の美しいビジュアルをもっと紹介したいのは山々だが、実機で録画でもしなければ画像素材が足りないので仕方なし。それに、これまで実機稼働していた店舗からも姿を消してしまい、筆者は現行で「ウォーザード」の稼働店舗を知らないありさまだ。昨年紹介したカプコンのアーケードゲーム「パワードギア」と同様、同社に保存されているフィルム素材しかもはや手立てがないので、お借りしてきたわけだ。
 
さて、ここで一つだけ注意しておきたいことがある。現在、ネット上ではファンがアップロードしている「ウォーザード」の動画から、今回紹介したようなゲーム性を実際にチェックすることが可能だ。しかし、だがしかし、よっぽどの高画質環境で視聴できるわけでないのならば、タイトルで謳う“アーケード史上最も美しい2Dグラフィック(2Dドット)”は体感できないものだと思ってほしい。

「ウォーザード」のグラフィックは、現在のアーケードゲームの画面と見比べれば古めかしい。それは一目でオールドタイプのゲームだと判別できてしまうほどに。しかし、フルスペックのビデオ筐体で実際に動いている様子を目にしたものならば、その“過去にして最高”、オールドタイプの頂点に位置する描画にすぐさま気が付くことだろう。「ウォーザード」の重厚かつ美麗、立体的にヌルヌルとアニメーションするそれが、現代技術とは違う次元で高みに至っていることを。

そのため、ゲームを知るため or 懐かしむために動画を目にするのはとてもオススメだが、“「ウォーザード」のグラフィックの凄さ”をそれと思ってしまうことだけは絶対に避けてほしい。「おまえ、カプコンの手先か?」と疑われるほどの念押しとなっているが、アレはそこまでのものなのだ。あのビデオ筐体に押し込められていたグラフィックは、現代でもいまだ出逢えぬ一級の宝石のようなのだから。

いつか来るだろう、邂逅の日よ

「ウォーザード」は本当に罪なタイトルだ。筆者は「ウォーザードっぽいゲーム」は見たことがあっても、「ウォーザードに類するゲーム」に出会ったことはない。同年代であれば、STGが新たな開拓先としてRPG的な成長要素を取り入れ、新機軸のシステムを追求していったが、対戦格闘と成長要素の融合はいまだ局部に留まっている。

それも純粋に取り入れられているかというと別で、「3Dアクション」などの別ジャンルで希釈しつつ、ビデオゲームとは別の大型アーケードゲームに仕立てられているのがオチである。もちろん、格ゲーファンとしては「家庭用版」「ウルコン選択」「キャラタイプ変更」などの言い訳がついていないのに、そのままRPG的な成長要素を投入されてしまった作品に相対すれば、“クソゲー”と口ずさむ自分が想像に難くない。

本作も、成功と失敗だけで語るのであれば、傍目から見ても後者といえる。しかし、私はあの頃、「ウォーザード」に未来の格ゲーが辿り着くであろう一つの夢を見せられた。それなのに、こと現在に至っても、ゲーム性もビジュアルもシステムも……全ての要素が“次代のウォーザード”であると納得できたタイトルには、会社や世界の垣根を越えても、一つとして出会えていない。

 
なんと罪深きタイトルか「ウォーザード」。好きなモノ(対戦格闘)と好きなモノ(RPG)を一つの鍋で煮込んで“異色すぎる大好きなモノ”を生み出したかと思えば、後に続くタイトルたちに可能性を託して、その身は礎として捧げてしまいやがった。これがNO MERCYと言わずしてなんなのだ。

別に筆者だってこれが人生で一番好きなタイトルというわけではない。しかし、比類すべきライバルが約20年に渡って存在せず、「ウォーザード」としか言いようのないジャンルで1人高みに至っているのだから、「ウォーザード」の「ウォーザード」による「ウォーザード」のための番付で、「ウォーザード」が頂点になってしまうのは当然のことではないか。

「ウォーザード」が見せた夢はいまだに醒めることがない。後に続くものが現れることにも全然期待できない。しかし、2016年になっても唯一無二でキラキラと輝いているのだから、まあいっか。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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