グルーヴコースター

ZUNTATAの土屋昇平氏がソロアルバムを2月24日にリリース―収録楽曲のポイントや音作りのこだわりを聞いた

ZUNTATAの土屋昇平氏がソロアルバムを2月24日にリリース―収録楽曲のポイントや音作りのこだわりを聞いた

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タイトーは、ダライアスバーストシリーズのメインコンポーザーである土屋昇平氏(ZUNTATA)のソロアルバムCD「ZUNTATA RARE SELECTION “SHOHEI TSUCHIYA” WORKS」を2016年2月24日にリリースする。それに先駆け、同氏に収録楽曲のこだわりを聞いた。

「ZUNTATA RARE SELECTION」は、タイトーのサウンドチーム「ZUNTATA」のコンポーザーひとりにスポットを当て、そのコンポーザー自らプロデュースを行うソロアルバムシリーズ。今回のリリースは、2000年以来16年ぶりとなる。

「ZUNTATA RARE SELECTION “SHOHEI TSUCHIYA” WORKS」には土屋氏が音楽を手掛けた、「Wizrogue - Labyrinth of Wizardry -(以下、Wizrogue)」(タイトー)、「ゴシップライター ~消えたアイドルを救え!~(以下、ゴシップライター)」(ボルテージ)、「ELEVATOR ACTION DELUXE」(スクウェア・エニックス)の楽曲を収録。

また、2016年春に稼働開始予定のアーケード向け音楽ゲーム「グルーヴコースター3 リンクフィーバー(以下、グルーヴコースター3)」とiOS/Andoroid向け音楽ゲーム「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」用に土屋氏が書き下ろした新曲を先行収録、そして本アルバムのために描き下ろしたオリジナル楽曲も加えた、全46曲が収録される。

今回は土屋氏にアルバムリリースの心境を伺うとともに、タイトルごとに特に印象的な楽曲の制作エピソードや土屋氏のルーツにも繋がるそのこだわり、そして新曲に込められたメッセージなど、土屋氏がどのように楽曲を生み出してきたかをたっぷりと聞くことができた。

土屋昇平氏
土屋氏の音楽性を伝える一枚に

――ソロアルバムCDを発売することになった経緯をお聞かせください。

土屋氏:僕自身も寝耳に水状態の企画でした(笑)。ただ、アルバム化されてない曲も増えていましたし、今年は特に僕の代表作の一つであるダライアスバーストシリーズ最新作「ダライアスバースト クロニクルセイバーズ」が発売されたこともあって、ZUNTATAを統括する石川(勝久氏、本インタビューにも同席)から企画を提案されたのかなと思いますが、その時には不安しかありませんでした。でもせっかくのチャンスなのでやってみようかなというところでスタートしました。

――石川さんにお聞きしたいのですが、今回「ZUNTATA RARE SELECTION」を16年ぶりに復活させた理由はなんでしょうか?

石川氏:土屋も「ダライアスバースト」を中心として、ZUNTATAの中で曲を書いてきて、ZUNTATAファンを中心にゲーム音楽のコンポーザーとして注目が集まってきたと感じていたので、「ZUNTATA RARE SELECTION」という、ソロアルバムシリーズを復活させるのはこのタイミングしかないと思い、企画しました。

――ご自身で楽曲をセレクトしてのリリースということで、サントラCDなどとの心境の違いはありますか?

土屋氏:ゲームのサントラは、ゲームの世界から音の部分を切り取ってみなさんにお届けするという気持ちでいるのですが、今回はどちらかというと、僕の音楽性はこういうかたちです、という側面もかなり入っているのかなと思います。いろいろなゲームの音楽を創ってきましたが、あまりみなさんに知られていない部分や、お届けできていない部分を届けてみたいな、という思いがあります。そういった意味では、サントラとは少し違うのかなと思います。

「Wizrogue」では日常曲の面白さを聴いてほしい

――ここからはタイトルごとの収録楽曲について、お聞きしていきたいと思います。まずは自社でサービスを行っていたスマートフォン向けアプリ「Wizrogue」について、楽曲を作ることが決まった際のタイトルに対する印象をお聞かせいただけますでしょうか?

土屋氏:「Wizrogue」は「Wizardry」の流れをくむ作品となっていますが、「Wizardry」といえばいろいろな方が影響を受けた素晴らしいタイトルです。かつ羽田健太郎さんという素晴らしい作曲家が名曲をたくさん作られていました。

ほとんどの方のイメージが“Wizardry=羽田さん”だと思っていたので、なかなかに難しいタイトルが来たな、と。羽田さん以降の作品でも、Kevin Mantheiさんや日本では例えば伊藤賢治さんが参加していたりして、すごい作曲家が関わってきたゲームに自分も仲間入りすることになるのか、と結構なプレッシャーがありました。

ただそれはそれとして、せっかくいただいたチャンスですし、僕自身もこういうダークファンタジーの世界観の作品に携わるのはほぼ初めてでしたし、今まで出会いがなかった僕の音楽性が発揮できそうだなと思う部分もあったので、モチベーションとしては高く、すごくやりたいなという気持ちで楽曲は制作させていただきました。

――こうしたタイトルの音楽を手がける中で、意識的に取り入れられた音などはありましたか?

土屋氏:今回は「Wizardry」の派生作品ですので、大体の居場所が洞窟の中になっています。その上で、僕の中で最初にインスピレーションを感じたのは、音の響きです。綺麗な響き、反響をしっかりと取り入れた曲にしたいなと考えていました。音の中でよく使っているのが、氷の輪っかを棒で叩いたり、擦ったりした時に出る音ですね。綺麗な音が出るので、かなり使っていました。

――スマートフォン向けのタイトルですと音を聴かずにプレイする方もいらっしゃると思うのですが、どのように音楽に対する魅力をアピールしていきたいと思っていましたでしょうか?

土屋氏:もうすでに、スマートフォンのゲーム制作は、国内ではほぼ中心になっていると思います。お客様の中にはもしかしたら「短期間でぱぱっと作ってるんじゃないか?」といった先入観を持たれている方もいるかもしれませんが、実はもう結構前から制作者としてはプラットフォームの違いに囚われずに全力で作っている状態です。

しかし、まだまだそういった先入観はあると感じていましたので、スマートフォンでゲームをやって音を出してみたら、「えっ、こんなすごい音するの?」と思わせてみたいという気持ちはありました。ただもう、実は結構前からどのゲームをプレイされても、音を聴いてみたら今こんな音がなるんだと感じてもらえると思います。音楽プレイヤー代わりにスマートフォンを使っている方は、ぜひイヤホンを着けて、今プレイされているゲームを楽しんでもらいたいですね。

――イヤホンやヘッドホンを使う際、やはりスマートフォンのスピーカーとは音の聴こえ方も変わってくるのでしょうか。

土屋氏:例えば家で寝っ転がって遊ぶという時にイヤホンは邪魔だと思うので、スピーカーで遊ばれる方も多いのかなと思いますが、大体のスマートフォンは現状だとモノラルであったり、スピーカー自体も低い音は出づらかったりということはあります。ただ、我々も絶対にイヤホンやヘッドホンで遊んでほしいとは思っていなくて、スピーカーでも十分に楽しめるように作っています。

――「Wizrogue」の楽曲の中で、特に聴いてほしい曲はありますでしょうか?

土屋氏:ゲームではアッパーな音楽が多すぎると思うところがあって、かといってゆったりとした音楽のゲームはあまり主張しないところで上手くゲームと調和させようという試みに落ち着いてしまうと感じていました。僕としてはゆったりとした音楽は大好きではあるのですが、「Wizrogue」ではそうした音楽でも印象にしっかりと残る、かつゲームの雰囲気に合うというところを目指したいと思っていました。

「街」や「酒場」といった、いわゆるゲームにおける日常曲を聴いてほしいですね。僕はゲームの日常曲やメニューの曲がすごく好きなんですよ。

――確かにメニューの曲は一番聴く機会の多い曲ですよね。

土屋氏:作曲家サイドからしても、メニューの曲ってあまりこだわった注文がない場合が多いのでその作家の個性が出やすくて、実はメニュー曲って名曲が多いんですよ。良い意味で肩の力の抜けた曲をお届けしたいなと。「Wizrogue」の街のシーンも、ゆったりとした曲は合うなと思っていました。

それと洞窟の中の曲というのはゲームのキモですので、怖さだけではない神秘な感じと、洞窟に入っていく主人公たちは崇高な思いで入っていくので、そういう思いをきちんと表現できればと思って作っていきました。

あとタイトル曲(「我戦うなり」)は一番気合が入るところなので、ぜひ一番最初にまるまる聴いてほしいなと思います。曲を作る際は末弥純さんのイラストを先に見せていただいて、それを見ながらインスピレーションを得て、壮大かつ崇高な思いで戦いに赴くというところをきちんと表現したいと思い、無理を言ってボーカル曲にさせていただきました。

――テーマ曲に対して、ゲームの制作サイドからのオーダーはあったのでしょうか?

土屋氏:今回はすごくありがたいことに、最初にテーマ曲の音源を提案したところ気に入ってもらえて、楽曲に対する注文は一切というほどありませんでした。逆に、こちらからここにこういう曲を入れたらどうか、という提案も聞いてもらえて、音に関しては信用していただけたと思います。

アドベンチャーゲームならではの“理由の存在する音楽”を目指した「ゴシップライター」

――続いて、「ゴシップライター」についてお聞かせください。こちらは外部のパブリッシャーであるボルテージさんのタイトルとなりますが、お話が来た時点での印象はいかがでしたか?

土屋氏:これはもう、自分が一番力を発揮できるところだと、すごく嬉しい気持ちになりました。都会の喧騒など、僕の好きなシチュエーションや雰囲気を備えたゲームだったので、これはぜひやらせていただきたいなと思い、良いタイミングで呼んでいただけたなと。

――その後、ボルテージの担当者と実際にお話された際、楽曲に対するオーダーはあったのでしょうか?

土屋氏:ボルテージさんとは受託業務という関係を超えて、開発初期の、企画がまだ固まっていない状況から制作に参加させていただきました。スタッフの方々がこのゲームをどういう風にしようとしているのかというのがすごく明確で、本当にチームの一員みたいな感じで参加させていただきました。打ち合わせも制作をスタートする前に何度も行いましたね。

――やはり、そういった制作スタイルは珍しいのでしょうか?

土屋氏:珍しいと思いますね。自社内でゲームを作っているのか、というぐらいにたくさん打ち合わせをさせていただきました。まだプリプロにも至っていない状態から一緒にお話をして、その後も音に関係のないことも含めて、少しでも進捗があればすぐにお知らせいただいていたので、チームの熱意や進捗度はもちろんのこと、どういう曲を欲しがっているのか、というのがすごくわかりやすかったです。

もちろん発注リストはきちんといただいているのですが、「リストには載っていないけれども多分ここは欲しいだろうな」と提案できるくらい、ものすごく密な連携がとれました。特にサウンドは制作過程の後ろで参加することが多いので、今回のようにプリプロ以前の状況から参加させていただけるのは稀なので、すごく良い制作経験をさせていただいたと思います。

――先ほど「Wizrogue」でテーマ曲のお話があったのですが、「ゴシップライター」に関してもテーマ曲から制作されたのでしょうか?

土屋氏:僕は、初めてお仕事をご一緒させていただく時などは、テーマ曲や、ゲーム内で一番流れるであろう、そのゲームを印象づける音楽というのをできるだけ早くご提示して、そこで方向性を決るやり方が多いです。「ゴシップライター」に関しても、タイトル曲とマイページの音楽をかなり早く、ゲームがプリプロとして出来上がってくる前にラフをお渡しして、曲の雰囲気はこれでどうでしょうか、という感じで進めていきました。

――最初に作られた段階で、そのまま楽曲が採用されることもあるのでしょうか?

土屋氏:そういう場合もあります。あとは、お渡しするときはラフではなく、ほぼFIXに近い状態で提出しています。例えば、ピアノだけで曲調をお渡しして、本当はオーケストラなんですけれどもと伝えたり、これはロックの曲です、といってもこれはラフなので今はピアノなんですけど、というのもすごく想像するのが難しいと思います。多少手間にはなるのですが、なるべく完成品に近い状態でお渡ししたほうが、リテイクになる際もどこがどうイメージに合わないのかが明確に出てきて、修正がきちんとできるので。

――楽曲を制作される際は、どういったコンセプトで進められたのでしょうか?

土屋氏:主人公をはじめ、出てくる人たちや世界観に対して、等身大の音楽を作りたかったという感じですね。渋い音楽を今回の「ゴシップライター」では提供させていただいているのですが、お客様の年齢層というところでこういう曲が好まれるだろうというのではなく、ゲームの中の登場人物、大人の人間たちの葛藤なので、大人の音楽を入れたほうが絶対にこのゲームに合うだろうと思い、そういう音楽にしようと意識しました。それがありがたいことにボルテージさんにもご理解いただきまして、その方針で行きましょうということで、決まってからはすんなりと進めることができました。

あとボルテージさんから意識してほしいと言われたのが、サスペンスゲームという今までのタイトルとは違う方向性を打ち出していくタイトルだということです。今までは女性の方にプレイしていただくというゲームが多かった中で、このサスペンスシリーズに関しては男性にもプレイしてほしいという狙いがあったので、男らしい曲を入れるようには意識しました。

――ゲーム内でゆるやかに過ぎる時間もあれば、サスペンスということで緊迫するシーンもあり、楽曲にも緩急がありそうだなと思うのですが。

土屋氏:本当に楽曲のテンションの幅は広かったですね。そもそも、僕自身はこれまでアドベンチャーゲームの音楽をあまり手がけてこなかったのですが、心情と音楽がここまで直結できるゲームというのはアドベンチャーゲームならではだなと思いました。

例えば、RPGではあくまで心情はユーザーに託されているので、例えば悲しいことがあったあとに街を歩いている時でも、主人公がどういう心境なのかはプレイヤーの想像に託されています。アドベンチャーゲームは主人公の意志があらかじめ存在していて、お店にどうして入ったのかといった理由など、全ての行動が明確だったので、なんとなくの音楽ではなく、理由の存在する音楽というものを意識しました。

――制作された中で、特にお気に入りの楽曲はありますか?

土屋氏:まず、だいぶ頑張って進めると聴くことのできる、ボーカル曲のエンディングテーマ(「Never gonna give up」)ですね。この手のゲームではなかなか聴けない音楽になっていると思いますので、ぜひ聴いてみてほしいと思います。これを好んでいただける方は、僕が普段作る楽曲と相性がいいです(笑)。

――先ほどもお話にありましたが、ゲーム音楽はテンポの早い曲か、バラードに寄る印象があるので、こういった曲は聴いていて珍しいなと思いますね。

土屋氏:あと僕は表現の仕方として、表に出ない秘めた感情を伝える音楽が好きなんです。音楽としては地味になってしまうかもしれないのですが、そこに篭っている秘めた思いを感じていただけるものを作ろうとしています。直接的なものよりは、表では普通の顔に見えても、心のなかでは少し思うところのあるシーンというのはある種日本的でもあるし、僕の日本人の血も十分に発揮できると思っています。

この楽曲は、事件は一段落したものの、まだ謎が残っていて、本当にこれで終わりにして良いのだろうか、という少しモヤモヤとした気持ちの中で流れる曲なんです。

――それは沁みますね。

土屋氏:渋いですよね。でもそういうシーンがゲームに存在することがすごく素敵で、そこに変にわかりやすい曲を入れたくはなかったですし、いろんな思いを秘めた中でも前に進まなければいけないというモヤッとした部分を表現した、そういう大人の曲を作りたいと思ったので、これはぜひ聴いていただきたいなと思います。

――今回のアルバムで聴くのも良さそうですが、実際にゲーム内で聴きたくなりますね。

土屋氏:自分で言うのもなんですが、ゲームで聴くと結構グッとくると思いますよ。

「ELEVATOR ACTION DELUXE」は念願の収録に

――続いて「ELEVATOR ACTION DELUXE」の収録曲について、制作のコンセプトをお聞かせいただけますでしょうか?

土屋氏:「ELEVATOR ACTION DELUXE」のプロデューサーである津田洋介さんは、過去にも「SHOGUN DEFENSE」(タイトー)などでご一緒させていただいていたのですが、音楽のツボがすごく合う方で。そんなこともあって、作っていてすごく楽しかったです。

津田さんとの打ち合わせで、「ELEVATOR ACTION DELUXE」の音楽は3ピースのような音の少ないバンドでのギターロックというかたちになりました。多分それはゲームに合うとかいう話ではなくて、お互いそれが好きだったというのが一番だったのかなと思います(笑)。

――音楽的な面で制作サイドとそこまで考えが一致するというのは、なかなかないですよね。今回は3曲のみの収録となりますが、その全てが本当に聴いてほしい曲なんですね。

土屋氏:本当は全曲聴いていただきたいのですが、アルバム全体の容量だったりといった理由で今回は3曲となっています。今回のアルバムでは「ELEVATOR ACTION DELUXE」だけ発売されたのが大分前になりますが、その当時からずっとサントラにしたいと思っていました。中々タイミングが合わずに叶わなかったのですが、今回入れることができて、本当に嬉しく思っています。

「Wizrogue」や「ゴシップライター」と色は全然違うのですが、これも僕の主要な音楽の軸のひとつです。元々少ない楽器の編成、音と音の間に隙間がある音楽が好きなんですよ。私が関わったゲームではそんなに披露してこなかった曲調かもしれないので、聴かれる方は「土屋はこんな曲も書くのか」と思っていただけるかもしれませんね。

――昨今だと、ゲームの中でも音の厚い音楽が多いなという印象があるので、ゲーム音楽としてこうした曲調のものを聴ける機会はなかなかないかなと思いますね。

土屋氏:劇伴でこうした音楽を流すのも珍しいかなと思います。ゲームを選ぶ曲なのでなかなか採用されないのですが、ぜひちょっと楽しんでいただければと思います。

オリジナルの新曲はゲームクリエイターへの挑戦状!?

――「グルーヴコースター3」への提供楽曲が本アルバムに先行収録されますが、「グルーヴコースター」との関わりについてお聞かせください。

土屋氏:「グルーヴコースター」は初代から楽曲提供で関わらせていただいていますが、僕が「グルーヴコースター」に曲を提供する時に考えているのは、ゲームデザイナーの石田(礼輔氏)が一番最初のスマートフォン版をリリースした際に言った、「そのアプリを持っていることがオシャレでスタイリッシュで、他の人に自慢したくなるゲームにしたい」ということです。その言葉が僕は好きで、実際にスマートフォンに入っていてカッコいい音楽になるように、とにかく洒落ていて粋でカッコいい曲を作ろうと挑んでいます。

――極端な言い方をすると、ゲームに合わせて馴染みやすい曲というよりは、純粋にカッコいいものを目指しているということでしょうか。

土屋氏:僕は制作メンバーではないのですが、外から見ていて「グルーヴコースター」のような見た目であればテクノに特化したり、エレクトロに攻めたりしたほうがゲームとしては合うのではないかと思っていました。ただ、石田としてはそうではないということで、僕もジャンルに関係なくやろうと思って取り組んでいます。

あとは、僕自身も今までの音楽ゲームとは違うというところを見せたかったので、あまり今までの音楽ゲームでは流れなかった、表現されなかったことにチャレンジしていきたいと思っています。

――そういった取り組みの中で、今回収録される「Smash a mirror」はどのような楽曲になっているのでしょうか?

土屋氏:今回はトライバル・ハウスがジャンルとしては正しいのかなと思います。スカッとするのだけれど、知的な感じのする音楽にしたいと思っていて、本当に譜面がどうなるのかも考えずにカッコいい曲を作ろうと思いました。

これまで「グルーヴコースター」で制作したほかの楽曲でも、スカをやってみたり、ドラムベースの曲を作ってみたり、すごく遅いヒップホップを入れてみたりと、できるだけいろんなジャンルの曲を作ってきました。そしてお客様が気に入る曲がひとつでも出てきて、そのジャンルに興味を持って掘り下げてもらい、音楽ライフが楽しくなればなと考えています。

――今回の楽曲について、制作の中でチャレンジされていることはあるのでしょうか?

土屋氏:普段あまり作る機会のない曲にチャレンジするのはテーマとしてあるかもしれません。トライバル・ハウスとか普段は全く作らないのですが、聴くのは好きで、特に90年代00年代のおしゃれなダンスミュージックは僕にとって青春だったりするので、作ってみたいとは常々思っていたものの、なかなか作るチャンスのなかったジャンルのひとつでした。「グルーヴコースター」を見渡しても、こういう曲はあまりなかったので、やってみようと思いチャレンジしました。

――加えて、今回は完全オリジナルの新曲「Bass on Bass」を収録していますが、ゲーム作品の枠組みのない中で楽曲を作られたことは過去にもあったのでしょうか?

土屋氏:ゲームの仕事を始める前も結構な数の楽曲を作っていましたが、その際にも想定したシーンを音楽にするという、テーマを持って作るという点で、ゲーム音楽と同様のかたちでは作っていました。

ただ、ゲーム業界に入って音楽を作るようになってからはオリジナルの曲を作る機会は少なくなってしまっていて、しかも完全にゲームから解き放たれて音楽を作ったのは結構久々だったかもしれません。

――オリジナルの楽曲を入れるというのはアルバムを作る時点で決められていたのですか?

土屋氏:はい。オリジナルを1曲は入れたいと思っていました。

――その段階から、どういった楽曲にするかというテーマは持たれていたのでしょうか?

土屋氏:変に狭いテーマにしてもアルバムの中にポツンと浮いてしまうなとは思っていたので、正直なところ、かなり悩みましたね。その上で辿り着いたのが、「今の僕の音楽をきちんと表現するとこうなります」ということと、「こういう曲を今後ゲームに入れていきたい」という宣言をしようということでした。

世のゲームクリエイターに向けて、僕はこういう曲をゲームに入れてもいいと思います、というひとつの挑戦状かもしれません。僕がゲームの音楽で今後やっていきたいなと思っていることのひとつが、この曲に込められているという感じです。

――楽曲制作に関する部分もお聞きできますでしょうか?

土屋氏:この曲はドラムを打ち込みで入れていて、残りの音は全てエレキベースだけでできています。最初はドラムもベースを叩いてやろうかと思っていたのですが、あまりにも音が低くなりすぎたので、ドラムだけは別にしました。そのほかの音に関しては自分でベースを弾いて、3つのベースを重ねているので「Bass on Bass」というタイトルになっています。

元々楽器を始めたきっかけがベースなので、初心に帰るという意味も込めて、ベースだけで作ろうというのは最初に決めたことですね。

――ベースだけで楽曲を構成するというのは、ゲーム音楽ではあまり聴かないように感じますね。

土屋氏:例えば、出来上がった曲の上の音を抜いて、ベースとドラムだけになっているというのはあるのでしょうが、意図的にベースとドラムだけで全てが完結しているという曲は滅多にないと思います。

映画にしてもドラマにしても、ドラムだけのシーンは結構あって、それがすごくカッコいいし、そのシーンをすごく表していると思うんですが、ゲームではフルバンドというか大編成というか、リズム、メロディ、ハーモニーが全て入っている一般的な楽器編成の曲を求められることが多いので、そうではない表現の仕方もあると僕は思っています。

あとハッタリがきいているリッチな音に安心感を得る傾向もあって。アコギ1本だけの曲とかもカッコいいと思うのですが、そういう曲を提出すると「これで終わり?ドラムは?ベースは?ストリングスは?」みたいになってしまうこともあります。

それはむしろ表現の幅を狭めてしまうと思いますし、エレキギターの単音だけでもそのシーンを表現できることもあると思います。無理にそこにさまざまな楽器を加えてバンドの音を作るのではなく、そこはコンガだけのほうが表現できる、といった各楽器の持つ魅力を感じれるような音楽ももっと増やしたいと思っています。

津田さんと「SHOGUN DEFENSE」を制作しているときによく話していたのですが、音の厚みやリッチさだけで感情表現するのに飽きたので、もっとシンプルな編成がいいという話がありました。それは映画やドラマ、アニメ、舞台などで普通に利用されている音楽の使い方だと思いますし、楽曲として完成させるということは、いろんな楽器を平均的に使って楽曲を表現することではないと。今後もゲームを通して、理解者を増やしたいなと思っています。

――アルバムを楽しみにしているユーザーへのメッセージをお願いします。

土屋氏:普段僕の音楽を聴いてくださっている方でも、まだ出会っていない音楽性の部分がたくさん込められているアルバムで、すごく新鮮な気持ちで楽しんでもらえると思います。僕としてはこちらが本流だったりはするのですが(笑)。

僕のことを知らない、もしくは何かのきっかけでお聴きいただけるのであれば、ゲームでもこういう曲が流れているというのをぜひ楽しんでいただけたらと思います。

一つだけ注意があって、CDと配信で少しだけ収録曲が変わっていいます。配信のほうは「ELEVATOR ACTION DELUXE」の3曲が入りませんので、お聴きになりたい方はぜひCDを購入していただければと思います。

――ありがとうございました。

商品概要
タイトル

「ZUNTATA RARE SELECTION”SHOHEI TSUCHIYA”WORKS」

企画・制作

タイトー ZUNTATA

発売元

ソニー・ミュージック マーケティング

発売日

2016年2月24日(水)

価格

2,400円(税抜)

型番

ZTTL-0077

JANコード

4988611100776

プロデューサー/ディレクター

土屋昇平(ZUNTATA)

作曲

土屋昇平(ZUNTATA)

ディスク仕様

オーディオCD1枚組

※同時に各種音楽配信サービス(iTunes Store、mora、Amazon)でも展開予定

収録曲
ゴシップライター ~消えたアイドルを探せ~

1. ゴシップライターのテーマ
2. 意志
3. 街
4. 女性
5. 日常
6. 遣る瀬無さ
7. おどける感じで
8. 調査
9. 匆々
10. 寒々しい
11. 安心
12. 夕方の空気
13. 走れ
14. 謎
15. 無念
16. まだ続く
17. 何ということだ
18. 失敗
19. 息抜き
20. 展開
21. 近い
22. Never gonna give up

Wizrogue - Labyrinth of Wizardry -

23. 我戦うなり
24. 村落
25. 酒場
26. 休息
27. 商店
28. 寺院
29. 倉庫
30. 訓練場
31. 資料室
32. 準備
33. 出口
34. 洞窟
35. 特殊な洞窟
36. 奇妙な洞窟
37. 募兵
38. 戦闘
39. 親玉
40. 終焉
41. 物語

ELEVATOR ACTION DELUXE

42. sound3
43. sound4
44. sound101

Groove Coaster 3 Link Fever

45. Smash a mirror

ORIGINAL

46. Bass on Bass

CDをGamer読者にプレゼント!

今回、タイトーより音楽CD「ZUNTATA RARE SELECTION “SHOHEI TSUCHIYA” WORKS」を2枚ご提供いただいたので、Gamer読者にプレゼント! 下記の専用フォームからドシドシご応募ください!

賞品名

音楽CD「ZUNTATA RARE SELECTION “SHOHEI TSUCHIYA” WORKS」

提供

株式会社タイトー

当選数

2名(抽選)

応募期間

2016年2月18日~2016年2月28日

「ZUNTATA RARE SELECTION “SHOHEI TSUCHIYA” WORKS」プレゼントに応募する

(C) TAITO CORP. 2016 All rights reserved.
(C)ボルテージ
”Wizardry(R)”of GMO Gamepot Inc. All rights reserved.
Licensed by GMO Gamepot Inc. to TAITO CORPORATION.
”Wizardry Renaissance TM”(C)2009 GMO Gamepot Inc. All rights reserved.
(C)2011 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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