日本一ソフトウェアは3月25日、東京・府中の森芸術劇場 ウィーンホールにて、「魔女と百騎兵コンサート 魔女たちの幻奏夜会」を開催した。
数多くの日本一ソフトウェア作品で楽曲を手がけてきた佐藤天平氏の人気曲を、全曲書きおろしの新アレンジで披露するという、これまでにない試みで行われた「魔女と百騎兵コンサート 魔女たちの幻奏夜会」。現在放送中のドラマ「カルテット」の演奏でも注目を集めるQUARTET PAPAS(1st Violin:粟津惇さん、2nd Violin:青山英里香さん、Viola:武田麻耶さん、Cello:奥村景さん)、Guitar:太田光宏さん、Piano:鶴田もこさん、Accordion:大塚雄一さん、Percussion:渡辺庸介さんの計8名による演奏で、会場を作品の世界観へと惹き込んだ。
冒頭で披露された「魔女と百騎兵」シリーズの「Chelka」「Magical House~ウィッチカクテル」では、オリジナル曲の持つ民族音楽の雰囲気を、カルテット(弦楽四重奏)の力強い演奏がさらに際立たせ、会場を「魔女と百騎兵」の世界へと誘う。
演奏後には新川氏がステージ上に登場。こうした厳粛な雰囲気でのコンサートイベントは初めてということもあってか緊張しているとしつつも、観客と一緒に楽しみたいと話すと、続いてダークファンタジー作品ならではの重厚な音色が印象的な「Moon Wars」「Regret」の2曲が演奏された。
次に壇上へと上がったのは、作曲を手がける佐藤氏。今回のコンサートに合わせて音合わせにも参加したりと協力する中で、濃密なサウンドになったとそのアレンジと演奏に感激の様子。一方、アレンジを手掛けた太田さんは、タイトルごとに異なる佐藤氏の楽曲の魅力を表現する上で、クラシカルな美しさと民族音楽の両方ができる演奏家を探した結果、QUARTET PAPASにお願いすることになったというエピソードを語った。
続いては「ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」のパートへと移り、おどろおどろしい雰囲気の中にどこか軽快さを覚える「Draw Near」、弦楽の強い旋律に惹き込まれる「Green Blood」、やさしく穏やかな音色にスケールの大きさも感じさせる「A the ha lluri da」と、それぞれに魅力的な3曲が続けて披露される。
休憩を挟んだ後半は、演奏の前に新川氏、佐藤氏がこれまで日本一ソフトウェアで2人が一緒に取り組んできたこれまでの仕事の数々が語られる。気がつけば18年ほどの付き合いだという2人だが、最初に佐藤氏に作曲を依頼したのは「マール王国の人形姫」だったという。
当時は会社自体が傾いていた時期だったこともあって、過去に例のないミュージカルRPGというジャンルにチャレンジ、一方依頼を受けた佐藤氏は、元々ミュージカルでの作曲をしていた中で目を向けてくれたことが嬉しかったと、当時を振り返っていた。
現在同社の看板タイトルである「魔界戦記ディスガイア」の第1作についても、魔界を舞台にするという部分のみを決めて、新川氏を含む数人のスタッフが自由に考えていった結果の産物だったのだとか。そうした自由なゲーム作りに応えるように、佐藤氏がゲームの作風ごとに音楽へのアプローチを変えてくれることにも感謝を示していた。
そうした話に花を咲かせつつ、「魔界戦記ディスガイア」より、人気曲の数々が披露されることに。記念すべき1作目のテーマ曲で、まさにタイトルの持つ自由さを表現した「ラハール様の賛美歌」から始まり、しっとりと聴かせる「5」のエンディングテーマ「Lieze Lullaby」、「4」の次回予告でおなじみの「Sparkling」、同じく「4」のエンディングテーマである「カナリア航海」と、4曲だけではあるものの、濃密で多彩なラインナップでの演奏を聴くことができた。
ここで再び「魔女と百騎兵」シリーズへと戻り、ボス戦を盛り上げてくれる「百輪の薔薇」、そして2月に発売を迎えたばかりの「魔女と百騎兵2」より、「Romantica」「Say Good-by」の3曲を続けて披露。目にも耳にも印象的な、激しい演奏でコンサートのクライマックスを盛り上げると、会場からは鳴り止まない拍手がこぼれた。
ここで再び新川氏、佐藤氏が壇上に登場すると、今回のようなアコースティックな編成でのコンサートをまたやりたいと、今後の実施に向けた含みを持たせると、会場からは次の機会を希望する拍手が鳴り響く。そのままアンコールとして「魔女と百騎兵」のエンディングテーマである「マギアージュ」が演奏されると、その軽妙なメロディーにちらほらと手拍子が聴こえてくるなど演奏者と会場との一体感も生まれていただけに、次回の開催にもぜひ期待したいところだ。