2017年4月15日(土)より、「ロマンシング サガ THE STAGE ~ロアーヌが燃える日~」の公演が、東京都の池袋サンシャイン劇場を皮切りに全国四都市で行われる。それに先立ち、4月15日に行われた公開ゲネプロの模様をお届けしよう。
目次
ストーリー
黒き星が太陽を蝕む-死食-。その年に生まれた命は、人も獣も魔物でさえも死に絶える。三度目の死食に襲われてから十余年。すでに世界は魔界の王侯-四魔貴族-の侵入を許し、動乱の時を迎えていた。
そして今、救世の使命を負う者たちがロアーヌの地に結集する。ひとりは領主としての責務を果たすため、ひとりは愛する妹を守るため……。だが彼らの前に立ち塞がるは最強の魔貴族、天空の支配者ビューネイであった。
※公式サイトより
ロマサガを知っている人にも知らない人にも優しい作りに
この作品では舞台の本編が開始する前に、ストーリーの大まかな説明をしてくれる。
今作は「ロマンシング サガ(以下、ロマサガ)3」がベースとなっている。”死食”について、その死食を生き延びたたった一人の”宿命の子”と呼ばれるものがいること、600年前の死食の時の宿命の子が魔王となり、”アビス”から四魔貴族を呼び出したこと、しかしその魔王は消息不明となり、四魔貴族が新たな支配者となったこと。
それから300年後、次の死食でも”宿命の子”が現れ、その宿命の子は聖王となりアビスへの入り口の”アビスゲート”を封印したこと。さらに300年が経った三度目の死食から十余年が経過したのが、この舞台のストーリーであること。
……といった、舞台上では説明しきれない「ロマサガ3」のストーリーを、詩人と雪だるまのコンビが楽しく解説してくれる。企画・製作を行った劇団「30-DELUX」の公演は、シリアスの中にコメディが混ざった舞台となっているので、笑うところは周りを気にせず思い切り笑ってほしいとのことだ。
ファンも高まるBGM「オープニングタイトル」からのスタート!
舞台の幕開けは「ロマサガ」シリーズのBGM「オープニングタイトル」だ。第一幕は主に主役キャラクター8人のそれぞれの物語をたどるようになっており、さまざまな宿命を背負った主人公8人たちが、何故ロアーヌへ集うことになったのかをまとめている。
ユリアン、トーマス、ミカエル、ハリード、サラ、エレン、モニカ、カタリナの8人は全員登場するが、今作はその中でも特にハリードに焦点をあてた作りになっている。生き別れたファティーマ姫に関わるストーリーや、親友のシャールとの熱い友情などが詳細に描かれているのがポイントだ。
今作のキーパーソンともなっているハリードは、「30-DELUX」製作総指揮で俳優の清水順二さんが演じる。シャールを演じるのは、光GENJIの元メンバーで俳優の佐藤アツヒロさん。また物語で重要な位置付けにいるサラは、モーニング娘。の元メンバーで女優の新垣里沙さんが演じ、舞台上で美しい歌声も披露してくれる。
8人全員のストーリーを3時間程度でたどると解りにくくなるのではないかという筆者の懸念などすぐに吹き飛ぶくらいに、ストーリーは綺麗にまとめられている。ゲームの中の重要ポイントを上手く拾ったシナリオで、それでいて「ロマサガ」シリーズの特徴とも言える、考える余地のあるストーリーは舞台でも健在。だがこうして2.5次元という形になったことで、長い間疑問だったり、想像で補っていた部分にある種の解を得るものもあるだろう。
今回は「ハリード編」とも言える内容だったこともあり、このまま主人公8人全員のストーリーの舞台化を望まずにはいられない。特に今作では、この8人以外の仲間になる人物の中でも、シャールへの理解を随分と深めることができた。
それに加えて、詩人と雪だるま、ロビン(本物/偽物)の破壊力が凄まじく、これらのサブキャラクターについてももっともっと掘り下げてみてほしくなる。
ゲームの中のさまざまな要素が再現されているのがすばらしい!
この舞台は全体的に殺陣のシーンが多く、殺陣のシーンではもちろん「バトル1」や「バトル2」などお馴染みの曲が使われている。スピード感のあるバトル曲と殺陣の動きが見事にマッチしていて、ゲームの中のバトルシーンを見ているような気持ちにさせられる。
「ロマサガ」シリーズは初めてという人は、ぜひ舞台で流れるBGMにも注目してほしい。何故「ロマサガ」の楽曲が長い間に渡って愛されているのか、その片鱗を感じ取ることができるだろう。
また、「ロマサガ3」のバトルにとって技の「閃き」は切っても切り離せない要素だが、これもしっかり再現している。この場面についてはとにかく「ぜひ見てほしい」としか言いようがないので、実際に劇場に足を運んで自分の目で「閃き」の演出を確かめてほしい。
ゲームの中では簡単に表現できる「なりかわり」のシーンも、ステージの効果を使って非常にうまく演出されている。カタリナがマスカレイドを盗まれるシーンや、フォルネウスを倒したあとのブラックの姿が変わるシーンなども、まるでゲーム画面を見ているかのように鮮やかだ。もちろんカタリナは、マスカレイドを盗まれる前と後とで髪型が変わる。小さな変化だが、ファンにはうれしいポイントだ。
他のキャラクターたちの魅力も写真でチェック
ゲームの中でも妖艶な美しさを持つ美女として描かれている四魔貴族の一人であるビューネイだが、舞台でもその再現度はクオリティが高い。 | |
エレンへの恋心を抱くユリアンは舞台でも健在。ユリアンがモニカのプリンセスガードになるシーンも。 | |
各キャラクターがロアーヌへ集う経緯を経て、主人公たちはロアーヌ侯爵ミカエルの元へと集うことになる。 | |
敵キャラたちも個性派揃い! |
ゲネプロ終了後に行われたインタビューの模様をお届け!
――まずは公演を見られての感想をお願いします。
河津氏:ゲームというのはデジタルですが、それを人間が演じるとすごい迫力だなと思いました。舞台で見ると、共感する部分がゲームとは違うなと感じて楽しめましたね。
――ゲームファンの人がこの舞台を見て、どのような感想を抱くと思われますか?
とちぼり氏:僕は結構稽古場に足を運んでいたんですが、実際に映像が入って色々なものが足された形を今日初めて見て、ゲームの世界が本当に三次元になったらこうだろうというのを目の当たりにして、常にドキドキしながら見ていました。
――舞台化するにあたって特にこだわった部分はどこでしょう?
とちぼり氏:「ロマンシング サガ」シリーズにはかなり熱いファンが多いので、今回の舞台では演じる人も熱い人に演じてもらいたいと思っていました。実際に見ていて、それがひしひしと感じられたのでうれしかったです。
清水さん:そうですね、僕は熱いだけが取り柄なので(笑)。ゲストのアツヒロさん(シャール役)や里沙さんを始め、皆さんにとても助けていただいて、舞台のスタッフたちもスクウェア・エニックスのスタッフさんも含めてみんなで一丸となって作ってきました。
僕は他のゲーム原作の舞台にも殺陣指導や役者として関わったりするんですが、なかなかここまでみんながひとつになって熱を持てることはないと思っています。新しいジャンルのエンターテイメントが作れたんじゃないかと思います。
――ゲームの中の世界を舞台化するにあたって、佐藤さんはいかがでしたか?
佐藤さん:初めてのことで、自分の役も本当に難しかったんですが、清水さんのおっしゃっている通りみんなで作り上げることができたので、今回の経験を自信に変えてがんばっていきたいと思います。
どうしてもバトルシーンが多くなりますが、それも30-DELUXなので、うまく表現できているなと思いますし、かっこいい仕上がりになっていると思います。
――清水さんとは「こうしよう」という激論を交わされたりしたのですか?
清水さん:そうですね、毎日稽古場でああでもないこうでもないと、いろんな方と意見を出し合いました。特に「ロマサガ」はファンの中でもバトルシーンの印象が強いので、バトルシーンをどうするかについてはたくさん議論しました。
――新垣さんは一緒に演じられてみていかがでしたか?
新垣さん:映像とあわせてお稽古した日にみんなのテンションがすごく上がりました。それまでは頭の中で「こんな風になるんじゃないか」とぼんやりしたイメージの中でやってきたのが、実際に映像と一緒に演じたらさらに熱が入りましたね。ゲームが好きな方にも、ゲームを知らずに来た方にも、すごくわかりやすく伝えられる物語になっているので、みんなに楽しんでいただけると思います。
――新垣さんは歌のシーンもありましたね。
新垣さん:素敵な音楽と歌詞をいただきました。宿命の子として、歌というよりも語り掛けるように、お芝居として歌もやらせていただいています。本番でその歌をみなさんの心にしっかり届けられるようにしたいです。
――佐藤さんはゲームをプレイされるんですか?
佐藤さん:そうですね、ゲーム自体は大好きです。「ロマサガ」はこのお話をいただいてからプレイし始めたんですが、技を言うのがすごくワクワクして楽しいです。
――清水さんはいかがですか?
清水さん:はい、今回も稽古中にもゲームをプレイしたりして、稽古とゲームとあわせて自分の中で色々想像を膨らませてやりました。「ロマサガ」はとても深い作品で、今回の「ロマサガ3」に限らず他のサガシリーズももっとやりこみたいですね。「ロマサガ3」はリマスター版も発表になったので、PS Vitaでもやりたいなと思っています。
――殺陣が多いので、体力作りとかも大変そうですね。
佐藤さん:稽古が始まると一緒に体力作りができちゃいます。
清水さん:午前中に基礎訓練があって、殺陣やダンスをやって、午後から台本をやっていくので、体力はつきますね。
佐藤さん:僕の剣は結構重くて、右手と左手の太さが変わりました。
――今回ゲームが原作ということで、普段舞台を見ない方もたくさんいらっしゃると思いますが、どんなところをお勧めしたいですか?
佐藤さん:30-DELUXの舞台は前情報もなく見られるようになっていますので、初めての人でも楽しめると思います。
新垣さん:自分が出ていないシーンを見ていても、とても楽しいです。早く本番をやりたいです。そしてお客様の感想を聞いてみたいです。
清水さん:今回の一番の狙いはまさにそこで、河津さんやとちぼりさん、市川さんともお話をしていました。ぜひ舞台は初めてという方に、観劇しにきていただきたいですね。
――他のゲームの作品もどんどん舞台化していきたいと思いますか?
清水さん:それはもちろん、スクウェア・エニックスさんさえ気に入っていただければ、どんな作品でもやらせていただきます。今回、30-DELUX SQUARE ENIX Special Theaterという名前をたちあげたので、ひとつのブランドとして続けられたらいいですね。
――稽古以外の時はどのようなお話をされるんですか?
清水さん:稽古以外でもみんなゲームをプレイしているので、どんどんみんなゲームオタクっぽくなってきて、だいぶコアな話をしたりしていましたね。
――これから全国をまわりますが、ファンの皆様に一言お願いします。
清水さん:サガという長く続くシリーズにこうして携われて本当に光栄です。
河津さん:すごく楽しい舞台になっていますので、ぜひ皆さんに足をお運びいただければと思います。
――ありがとうございました!
公演概要
タイトル
30-DELUX SQUARE ENIX Special Theater「ロマンシング サガ THE STAGE ~ロアーヌが燃える日~」
チケット価格(税込)
S席:8,800円(特典付き10,800円)
A席:7,800円
※S席特典付きの当日販売はありません
※特典は観劇当日会場で引換いたします
※特典内容:ゲームオリジナルイラストレーションパンフレット(上演台本付き/出演者のイラストではありません。会場でも販売予定です。会場販売価格3500円・予価)
※全席指定 未就学児入場不可
企画
スクウェア・エニックス/30-DELUX
製作
30-DELUX/ジェイズプロデュース
製作協力
キョードーファクトリー
公式サイト
公演お問い合わせ先
ジェイズプロデュース 03-3980-2415
平日10:00~18:00
公演スケジュール
東京公演
日時
2017年4月15日(土)~4月23日(日)13公演
場所
サンシャイン劇場
主催
「ロマンシング サガ THE STAGE」製作委員会(ジェイズプロデュース、BSフジ、東映ビデオ、キョードーファクトリー)
協力
サンシャイン劇場、サンシャインシティ
大阪公演
日時
2017年4月28日(金)~4月30日(日)5公演
場所
サンケイホールブリーゼ
主催
「ロマンシング サガ THE STAGE」製作委員会
協力
サンケイホールブリーゼ、キョードー大阪
愛知公演
日時
2017年5月3日(水・祝)~5月4日(木・祝)2公演
場所
愛知県芸術劇場 大ホール(愛知文化芸術文化センター内)
主催
「ロマンシング サガ THE STAGE」製作委員会/CBCテレビ/キョードー東海
福岡公演
日時
2017年5月6日(土)~5月7日(日)2公演
場所
久留米シティプラザ ザ・グランドホール
主催
久留米シティプラザ(久留米市)/「ロマンシング サガ THE STAGE」製作委員会/ピクニック