すべては「三国志」の魅力をしっかり伝えるため――「真・三國無双 ORIGINS」庄知彦氏インタビュー【TGS2024】

東京ゲームショウ2024
0コメント 仁志睦

9月26日~29日にかけて千葉・幕張メッセで開催されている「東京ゲームショウ2024」。本稿では「真・三國無双 ORIGINS」のプロデューサーを務める庄知彦氏へのインタビューをお届けする。

「三国志」の世界を舞台に一騎当千の爽快アクションを楽しめる「真・三國無双」シリーズの最新作となる「真・三國無双 ORIGINS」。26日に配信されたTGS公式番組において、黄巾の乱から赤壁の戦いまでが描かれることや、操作可能な随行武将が9人になることなど、さまざまな新情報が一挙に公開され、さらなるファンの注目を集めた。

そこで、本作のプロデューサーである庄知彦氏にインタビューを実施。今回発表された新情報を中心に、さまざまなお話しをうかがった。

真・三國無双 ORIGINS」プロデューサーを務めるコーエーテクモゲームスの庄知彦氏。
真・三國無双 ORIGINS」プロデューサーを務めるコーエーテクモゲームスの庄知彦氏。

ファンの反発を覚悟で、あえて新機軸の数々を導入

――26日の生放送は新情報がてんこ盛りでした。黄巾の戦いから赤壁の戦いまでを描くというのは特に驚きでしたが、赤壁をクライマックスにした理由を改めて聞かせてもらえますか。

「三国志」のドラマや映画はいっぱいありますけど、最初からきっちり描いていったら、それこそ何十時間、何百時間もかかるような、すごいボリュームのお話じゃないですか。横山光輝さんのマンガ「三国志」だって60巻ですからね。なので、1本のゲームで「三国志」のすべてを描こうとすると、どうしても本来描きたいところが描けなかったりするので、今回はそこをちょっとどうにかしたいなというのがありました。

もちろん、いろいろなご意見が出るのは想像してはいましたが、やっぱり三国志の魅力をしっかり伝えていくということを考えると、従来のように五丈原の戦いや、その先まで1本のゲームで作るのは現実的ではないなと。さらに言うと、赤壁まででもボリュームが多すぎるくらいなんです。でも、やっぱり三国が鼎立してぶつかるところまでは、ひとつの物語としてお見せしたいですから、頑張って赤壁までにしたというのが正直なところです。

すべては「三国志」の魅力をしっかり伝えるため――「真・三國無双 ORIGINS」庄知彦氏インタビュー【TGS2024】の画像
すべては「三国志」の魅力をしっかり伝えるため――「真・三國無双 ORIGINS」庄知彦氏インタビュー【TGS2024】の画像

特に、今回はシリーズのファンはもちろんですが、「真・三國無双」を遊んだことない方々……特に欧米では「三国志」をあまりご存知ない方も多くいらっしゃるので、そういった方々に「三国志」の魅力を正しく、丁寧にお伝えするためにも、今回は濃いものにしたいというのがありました。

――それでも、やはり「赤壁の戦い」は外せないと。

曹操陣営、孫堅陣営、劉備陣営という、のちに三国を形成する勢力が集結して戦うっていうのは赤壁以前にはないわけで、最初の大きなクライマックスですからね。そこを描かないで「三国」という名を冠するわけにはいかないだろうと。もっとも、ご存知のとおり三国が形成されるのは赤壁のあとで、「赤壁までだったら三国じゃないじゃん」という、お叱りの言葉もいろいろいただいてしまいました(笑)。とはいえ、その三勢力がしっかり揃い踏みするところまで最低限描くべきだなというのはありました。

――今回出展されている試遊版が汜水関の戦い、昨日の生放送では官渡の戦いのプレイが披露されましたが、どれくらいの戦いが収録される予定ですか。

具体的な数は言えませんが、従来のシリーズと比べてもまったく引けを取らないボリュームになっています。「三国志演義」や「正史三国志」に出てくる戦いで、今までの「真・三國無双」で描いていないものってまだまだいっぱいあるんです。

特に、今回は武将の人数をギュッと絞ったので、この武将がどういった戦いを経て劉備陣営や孫堅陣営にたどり着いたのかっていうところも体験できたりする機会が多いです。そういう戦いって、今まで一切描いていなかったですからね。多分、シリーズのファンや「三国志演義」を読んだことがあるという方でも、「そうなんだ」ってなることがいっぱいあると思います。

この作品を遊んでいただくことで、もっと「三国志」について詳しくなれるんじゃないでしょうか。

すべては「三国志」の魅力をしっかり伝えるため――「真・三國無双 ORIGINS」庄知彦氏インタビュー【TGS2024】の画像

――随行部将が9人というのも、すごくインパクトがありました。

シリーズのファンの方々が反発するのは覚悟をしていました。私はあまりエゴサーチとかしないんですけど、多分罵詈雑言がいっぱいだったと思います(笑)。

(随行武将を9人にしたのは)先ほどお話しした理由と一緒で三国志の魅力をいかに知らない方にも正しく届けるかということを考えたからです。小説などで群像劇として読んでいけば頭に入りやすいでしょうが、いろんな勢力の何十人というキャラクターで遊ぶという形では、「三国志」の話の流れとか、「なんでこの人はこう考えて、こういう行動を取ったんだろう」とかっていうのは、やっぱり表現しきれていないと思うんです。

ですが、今回はオリジナルの主人公をひとり立てることで……しかも、記憶喪失ですからね。この主人公とともにニュートラルな視点で三国志の世界のこととか、ひとりひとりの武将のこととかを知っていくことができるんじゃないかと。それこそ「三国志」を全然知らない人でも、主人公と一緒にゲームをプレイしながら自然と物語のことが理解できるようになっています。

もちろん、関羽や趙雲や周瑜を操作したいというのは理解できますが、たくさんの武将でプレイできるようにすると、主人公視点で物語を濃く描くということができなくなってしまうんです。本当にもうギリギリのところでバランスを取っていて、曹操・孫堅・劉備陣営でそれぞれ3人ずつぐらいまでなら、物語としてもキャラクターとしてもアクションとしても魅力的に描けるんじゃないかなと考えました。

ここで、40人とか操作できますってやると、ひとりひとりのアクションの深掘りもできなくなってしまいます。主人公以外の武将も深く丁寧に描き、アクションゲームとしても、その武将の魅力を最大限に出すということを考えたとき、やはり9人くらいが適切だなと判断しました。

すべては「三国志」の魅力をしっかり伝えるため――「真・三國無双 ORIGINS」庄知彦氏インタビュー【TGS2024】の画像
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――今回の試遊版では随行武将でチェンジしても、しばらくすると主人公に操作が戻るという限定的なものになっていました。このような形にした狙いを教えてもらえますか。

一騎当千の武将でずっと遊べるようにしてしまうと、その部将の感覚や感情になってしまって、まったく別のゲームになってしまいますからね。今回、主人公は最初から一騎当千の部将というわけではありません。ですから、随行武将は限られた時間で最大火力を発揮できるというほうが、いかにすごい武将なのかというのを主人公との対比で表現できると考えました。

――戦いによって交代の条件が変わったりするのでしょうか。

ベースは全バトル共通で、時間経過で交代できるようになっていますが、バトルによっては状況次第で最初からいきなり交代可能になるものもあります。具体名は明かせませんが、とある有名な戦いとかはそうなっています。このバトルは他のバトルよりちょっと早く交代できるようにしようとかいう調整も一部入れていますが、ベースは基本的には一緒です。

オリジナル主人公だからこそできたストーリーや人物の深掘り

――マルチエンディング導入の理由を聞かせて下さい。

名もなき主人公で三国志をニュートラルな視点で遊んでいったとき、クライマックスの赤壁の戦いで主人公は誰と一緒に戦うのか決めないとおかしいですよね。ですから、途中で曹操、孫堅、劉備のいずれかの道を選ぶようにしたんですが、手前味噌ですけど、これはいいなと思っているんです。

その勢力にどれだけ貢献しているかなど条件はいくつかありますが、中盤に入るぐらいで、どの勢力に入るか選ぶことになります。ただ、今回は黄巾の乱とか反董卓連合とかの時点ではみんな仲間じゃないですか。董卓だって黄巾の乱の時点では、ある意味では味方ですよね。仲間としてのコミュニケーションなどを経ていると、誰に味方して誰を敵するかってなったときにけっこう迷うんですよ。

プレイ開始の時点で「どの勢力がいいか」と聞かれたら、「曹操が好きだから魏がいい」みたいな感じであまり迷わないと思うんですけど、仲間として過ごした時間があって、たとえば孫堅陣営から「お前のことが好きだから、ぜひ来いよ」とか声をかけられていたら、やっぱり情が移っちゃうんです。で、劉備や曹操からも「一緒に行こうぜ!」とかいろいろ言われていると、さあ誰を選ぶってなったときにけっこう迷うと思います。そこもオリジナルの主人公だからこそできる体験ですよね。

すべては「三国志」の魅力をしっかり伝えるため――「真・三國無双 ORIGINS」庄知彦氏インタビュー【TGS2024】の画像
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――史実自体は変わったりしないのでしょうか。

これはよく言われるんですけど、そもそも「真・三國無双」は1作目から「IF」しかやっていないんです。三国って結局どこも統一できないまま滅んでいますからね。ゲームだからこそ魏や呉や蜀が最後に統一して終わるような、IFの物語を「真・三國無双」はずっと描いてきたんです。ある意味、IF以外は何もやっていないんです。

そもそも赤壁の戦いで史実通りの終わりにしたら、曹操陣営はボロ負けのエンディングしかないわけで、さすがにそれはちょっとってなるじゃないですか。そういうところでIFはあるんですけど、基本的な流れは「三国志演義」をベースにしていますね。それは最初にお話しした「三国志の魅力をいかに丁寧にお伝えしていくか」っていうところに通じていて。今までそれはやりきれてなかったと思うので、今回はそのためにも「三国志演義」をしっかり踏襲したいと考えています。

とはいえ、「演義」そのままだったら、それこそ「真・三國無双」シリーズでも今までいっぱいやってきていて、「もう知ってるよ」ってなっちゃうじゃないですか。なので、IFはあるとして、それ以外にも主人公がオリジナルである本作ならではの物語や設定が「三国志演義」の物語とクロスする形で展開していきます。「演義」の物語を壊さない。むしろしっかりと活きる本作ならではの設定があるので、「三国志」に詳しい方でも新しい気持ちでお楽しみいただけるんじゃないかと思っています。

――ここまでストーリーが重視されているのは、シリーズの中でも極めて珍しいと思います。

そこはプレイされた方によって印象はいろいろ違うと思います。たとえば、「真・三國無双4」ではあくまで戦いと戦いの間を補足する形ですけど、武将全員のストーリーをやっていて、ある意味ではストーリーをしっかりやったと言えるんですよ。「真・三國無双6」は各勢力で一本道の物語をしっかり作るというのをやっていて、しかも「演義」にかなり忠実に作っているんです。そういう意味では「6」も物語をしっかり描くということをやっています。

ただ、そういう過去シリーズと比べても、ここまでの密度のものはないですね。「6」は黄巾の乱から五丈原のあとの晋まで描いていますが、長い分だけどうしても薄くならざるを得ないところがあったと思うんです。たとえば、今までのシリーズの黄巾の乱って基本的に張角をやっつけて終わりって感じだったじゃないですか。でも、今回は黄巾の乱だけでまるまる一章を使っています。張角もこれまでのままだと、今回の物語にはちょっと無理があるということで、キャラクターの見た目や性格に調整を入れています。

すべては「三国志」の魅力をしっかり伝えるため――「真・三國無双 ORIGINS」庄知彦氏インタビュー【TGS2024】の画像
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「戦場の臨場感」をコンセプトに続けてきた挑戦が結実

――今回の試遊版で汜水関の戦いをプレイした際、あまりの大軍勢に自分がその中の一兵士にすぎないという意識を持ってしまいました。主人公が軍勢に埋没してしまう危うさもあるように思えて、かなりのチャレンジをしているんだなと改めて感じさせられました、やはりここは特に力を入れた部分でしょうか。

そこはもう最初から狙っていました。このシリーズは、ずっと「戦場の臨場感」をコンセプトに作ってきたんですが、どうしてもうまく表現しきれなかったのが味方との共闘感なんです。

シリーズごとにいろいろなチャレンジしてきましたが、ただ兵士をたくさん出しただけでは戦場の臨場感はうまく表現できないんです。敵も味方もみんなで移動して、お互いにガッとぶつかり合って、しかもそれぞれがちゃんと戦うっていうのは、今まではハードスペックや技術面で限界があって難しかったんですが、今回はそういうところまでしっかりやりきると。結果、移動も全員が本当に息を合わせてというか、大きな戦いとしてみんなで臨むというのをできるようになりました。

実際、先ほど話された通り、(主人公が)埋もれちゃうようなことは普通にあるんですけど、作っているときは「もう埋もれちゃえ!」ぐらいの感覚でしたね。もちろん、プレイアビリティが落ちてしまうのは良くないので、できるだけ主人公の位置を見失わないようにはしていますが、とはいえ限界がありますから。周囲を半透明にするとか、いろいろアイディアはあったんですけど、それはそれで戦場の雰囲気が落ちてしまうんです。いろいろ試行錯誤して、ちょうどいいバランスを取った結果、みんなと一緒に移動して自分もその中にいるっていう感覚をうまく作れたかなと思っています。

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――味方の護衛兵にいろいろな指示を出す「戦法」も新要素のひとつでが、今回の試遊版と先日の生放送でのプレイで使えるものが少し違っていました。どのようなシステムなのか、もう少し詳しく教えてもらえますか?

「戦法」も成長要素のひとつで、使える種類が増えていくんですよ。最終的に10数種類まで増えますが、セットできるのは3つまでです。ちなみに、護衛兵の人数も増えていきます。やり込み要素になっていて、護衛兵が増えていくのと同時に戦法も増えていきますが、そこは自分のプレイスタイルに合わせてもらえればいいと思います。

たとえば、特定の3つを常にセットしてもいいですし、バトルやステージごとにセットをいろいろ変えるという遊び方もできます。配信での「官渡の戦い」でもお見せしましたが、「斉射」という矢を射かける戦法がありますよね。あれは高低差のある場所で高いところから打つと、特別効果が発動してそこにいる敵武将たちの戦意が落ちます。いずれの戦法も特定の状況下でこうした特効が働くようになっています。

たとえば、このステージは高低差があるから「斉射」は絶対に入れておこうとか、けっこう開けたところで、しかも武将が結構多く出てくるところでは「騎馬突撃」を使うとか。また、アクションが苦手な方であれば、自分の周りを守ってくれるような陣形を取らせるといったこともできます。プレイヤーの戦術の幅を広げるものになっているので、「戦法」もぜひ楽しんでいただきたいですね。

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――ちなみに、体験版を出される予定などはありますでしょうか。

現時点ではそういった予定はないんですけど、そういうご意見はいろいろいただいているので、検討していきたいなとは思っています。

――では、最後にファンへのメッセージをお願いします。

今回は従来のシリーズから大きく変えているところが多いんですが、とはいえシリーズのファン、今まで応援して遊んでくださってきた方々にしっかり楽しんでいただけるものをということで開発一丸となって作っています。操作できる武将が減っている、たくさんの武将で遊びたいという声が出てくることは承知していましたが、この後の「無双」のため、今回のゲーム性を実現するためであり、もっとも「無双」として面白い形になっています。ですから、まずは手に取って遊んでいただけたら、すごくうれしいですね。

また、先ほどお話しした通り、「三国志」や「真・三國無双」を一切知らない方にもお楽しみいただけるように、ものすごく丁寧に作ってきました。なので、なんとなくゲームの画面を見て興味を持ったという方も、「三国志」に興味はあったけど、分かっていないと面白くないよねと思って敬遠していたような方も、ぜひ今回遊んでいただけたらうれしいです。主人公とともに「三国志」を知ることもできるし、「真・三國無双」のコアの面白さを体験できるようになっているので、全ての方にお楽しみいただけたらと思っています。

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※画面は開発中のものです。

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