ゲーム業界で自分が何をしたいかという目的が重要―「“ゲーム業界”で“働く”ということ」 in 東京工芸大学 オープンキャンパスが開催

ゲーム業界動向
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サイバーコネクトツー、日本一ソフトウェア、フロム・ソフトウェアの三社合同セミナー「ゲーム業界セミナー ~ゲーム業界で働くということ~」が、東京工芸大学 厚木キャンパスで開催された。

当日は、サイバーコネクトツー ゼネラルマネージャーの渡辺雅央氏、日本一ソフトウェア 管理部総務課の本間翼氏、フロム・ソフトウェア 管理部人事課の立野怜子氏が登壇し、ゲーム業界におけるさまざまな仕事と、ゲーム業界で仕事を続けるために必要な事柄について講演した。

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(画面左から)立野怜子氏、本間翼氏、渡辺雅央氏

まずは立野氏が、ゲーム業界について紹介。ここでは、ソーシャルゲームが大幅な躍進を遂げる一方、2011年末にPlayStation Vitaが、2012年にWii Uの発売が予定されており、現在は転換期を迎えていること、また、一般のユーザーにはわかりづらい業態や職種に関して説明した。

また、今回登壇した3人が、それぞれの企業についても紹介。

パブリッシャーやディベロッパーとして「アーマード・コア」「デモンズソウル」などのタイトルを生み出している一方、PCオンラインコミュニティ「meet-me」を展開するなど確実なゲーム作りを軸としつつも新たなチャレンジにも取り組むフロム・ソフトウェア、同じくパブリッシャー、ディベロッパーとして「魔界戦記ディスガイア」をはじめとしたゲームを制作しつつも、アミューズメントやカフェ経営、無料英会話学習サイトの運営など、“Entertainment for All”という精神のもと、多様なエンターテイメントを提供する日本一ソフトウェア、ディベロッパーとしてのゲーム制作に特化し、「.hack」シリーズ、「NARUTO-ナルト- ナルティメット」シリーズなど多数の人気タイトルを生み出しているサイバーコネクトツー、とそれぞれの特長がよく表れた企業紹介となっていた。

フロム・ソフトウェア

日本一ソフトウェア

サイバーコネクトツー

そして、いよいよ本講演のメインであるパネルディスカッションへ。ここでは、3つのテーマにのっとって登壇者が自由に話題を膨らませていった。

ゲーム業界に入るためには

この話題については、登壇者3名がそれぞれのゲーム業界に入った経緯を語った。

立野氏は、元々ゲームが好きだったものの、ゲームと犯罪が結びついて考えられてしまう風潮が残念で、ゲームのいい影響を示そうと大学時代に心理学を専攻、そこで勉強しているうちにゲームがただ遊ぶだけでなく、メディアとしても面白いものだと思ったという。

そして仕事をするのなら興味のあるところということでゲーム業界で働こうと思い、フロム・ソフトウェアの採用を突破し、見事同社へ入社したという。また、ゲーム業界に入りたいということについては、すでに高校時代からイメージを持っていたとも語った。

本間氏は、おととしまで公務員、それも脱税を取り締まるなどといった厳しい業務を担当していたという。あるとき、人を育てる仕事をしたいと思っていたところ、転職サイトで日本一ソフトウェアの総務の求人を見つけ、そのまま応募したら「明後日から来てくれ」ということであっさりと入社が決まったとのエピソードを披露し、仕事探しにおけるタイミングの重要性を説いた。

また、受講者に対しては、今のうちから業界を絞らずに自分の可能性を探してほしいとも述べた。

そして渡辺氏は、現在ではゼネラルマネージャーという立ち位置だが、元々はプログラマーとして活躍していた。

学生時代からプログラムの勉強をしており、すでにゲームを自作していたという。それから、故郷である福岡で小さい会社が求人していたので就職し、その後、同じ福岡のサイバーコネクトツーという会社が面白いと感じ転職、ずっとプログラマーとしてやってきたが最近管理系の仕事に移ったと、今に至るまでのエピソードを語った。

同じゲーム業界の同様の職種であってもその経緯は千差万別、きっかけは人それぞれということで、まさにゲーム業界に入るためというテーマにぴったりのエピソードが語られていた。

続いて、採用側として印象に残った人について話題が展開。その中では、内定後にも気持ちを切らさず新しいことにチャレンジした人のエピソードや、採用を判断する際に一番大事なのは社会人としてのマナーや意気込みだという話が語られたが、特に興味深かったのは渡辺氏が話したエピソードだ。

絵が好きな人を面接した際に、その気持ちは十分伝わってきたものの、ゲーム業界における絵はゲームを作るための手段であるため、本人に「絵を描きたいの?」と確認したという。

そこで答えとして返ってきたのが、「苦しい時や辛い時にゲームがあったからこそ、今こうしていられる」「クリエイターになって悩んでいる人たちに自分と同じような感情を呼び起こしたい」ということ。こういったクリエイターになって、自分が何をしたいかという目的が重要だと渡辺氏は述べた。

仕事を続けていくためには

続いてのテーマは、「仕事を続けていくためには」。ここでは、ゲーム業界で働き続けていく上での悩みや喜び、実際に働いている人たちの状況など、さまざまな意見が飛び交った。

元々プログラマーとして活躍していた渡辺氏は、製作中にアイデアが出なかったとき、また、一生懸命作ったものが面白くなかったときは落ち込んでいたという。しかし、それらはある瞬間に解決策がひらめいてクリアできるときが来るそうで、そのときには今までの苦労がプラスに転じると語った。

また、発売されたゲームが店頭で並んでいるときは、何事にも代えがたい喜びを感じるそうで、手にとった人を見ると握手したくなるぐらいだと表現した。

採用の担当である立野氏によると、数字が出るものと違い、採用は成功がわかりづらいという。ただ、日々人と接するなかで、働いている人たちが満足してくれていたら嬉しいと述べた。

そして、仕事をする上でどのような感情を得るかも重要であると語り、ゲーム業界がつらければもっと自分に合うものを探せばよいと柔軟に考える必要があるとも語っていた。

本間氏は、仕事を辞める人とそうでない人の違いについて言及。新しいものをつくるというやりがいと、自分が楽しいと同時にお客さんをよろこばせるという2点を挙げ、日本一ソフトウェアの社長である新川宗平氏が社員に話す「業界を目指す人は芸人であれ」という言葉を例に挙げ、エンターテイナーとしての心意気を持てるかどうかが重要だと語った。

そして、辛くてもゲーム業界で働いていくために、自分にとって何が大事か、何のために頑張れるかは常に持っていてほしいとも語っていた。

また、ゲーム作りは個人作業ではなく、一緒に作り上げていくものであるという話題も。報告・連絡・相談が普段からしっかりとできること、そして自分の任されている仕事をきちんとやり遂げること、そしてそういった日々の中で、毎日何かを積み重ねていくことが大事だという。

続いて、学生生活の過ごし方について話題が展開すると、本間氏は、時間があるときに可能性を伸ばせるような引き出しを作ってほしいと述べた。というのも、クリエイターには、自身で考えたものを理論立てて説明できる能力は必要であり、そのためにはさまざまな引き出しが必要になってくるそう。

それに関連して、渡辺氏からは学校の勉強はすごく大事だという意見も。やる前から必要ないと決めつけるのではなく、必要かは習得した上で判断すべきで、その結果思わぬ引き出しを形成できることもあると語った。

また、立野氏からは自身の学生時代の出来事を例に挙げ、学んだ知識はそれを通してものの考え方を学んでいるのだと述べた。

信頼を得るために

立野氏は、学生と社会人の違いとして、社会人にはこうすべきという道筋はなく、新しい仕事をする際に声をかけてもらえるかが信頼であり、社会の評価だという意見を展開。

そして、そのために心がけることとして、立野氏と本間氏が挙げたのは、しっかりと報告・連絡・相談をすること。ギリギリで相談すると、その分迷惑をかけて相談に乗ってもらいづらくなるため、困ったことがあったら早く相談するべきだと述べた。

また、渡辺氏は自分のできる範囲からまず結果を出していくことが必要であり、そこで苦労を重ね、結果を出して、その上で信頼を勝ち得ることができるのだと述べた。そして、人からの信頼はわかりづらく、それが本当に目に見えるのはピンチのときであるとも語った。

これからをどう考えているか

立野氏は、ゲーム業界は多様化し、また、世の中の変化も早いので、それに合わせていくのは難しいと述べた上で、それでもユーザーが楽しめるものを作り続けていくという思いが強く、そのための環境づくりをしていきたいと語った。

本間氏は、東日本大震災によって社会的な状況は激変しているなかで、ゲーム作りは不謹慎だという声も聞かれたとのことだが、被災地の人からのアンケートで活力になるような面白いものを作り続けてほしいという意見があり、日本一ソフトウェアは、明るく、楽しめるものを作りたいという理念を持ち続けていると言い、人を喜ばせたいという気持ちを大事にする人たちが集まれば業界は面白くなると思うと述べた。

渡辺氏はまず、歴史の浅いゲーム業界の中で、これから高年齢のクリエイターが増えていくが、どの年齢でもゲームを作れる環境を用意したいという。その上で多様化するゲーム業界の中で、今までとは違う感覚でゲームを見ている若い受講者がこれからどんなものを生み出していくのかが楽しみだと語っていた。

質疑応答

パネルディスカッションのあと、受講者による質疑応答が行われた。ここでは、その中から一部抜粋して紹介しよう。

デザイン系の仕事をする上で、専門的な学科に行くべきか、美大に行って絵の勉強をすべきか

この質問については、まず採用の可否については、どこだから有利ということはないという意見で全員が一致。その上で本間氏からは、採用の基準としてデッサン力を挙げ、とにかく描き続けてほしいという意見が、また、渡辺氏からは学校はあくまでも学ぶための場所のひとつであるため、それ以外の場所でどれだけ努力するかにかかっているという意見がそれぞれ述べられた。

プログラマーのために必要な資格はあるのか

渡辺氏によると、ゲーム業界では採用の際に資格は重視されておらず、例えば、学生の期間内でゲームを作り、それを見て判断するなどの形をとっているという。ただし、資格の勉強をすることで知識がプラスになるのでやって損はないと述べた。

将来のために今から勉強すればいいこと

まず今は自分の適性を見極める時期であるとし、興味のあることを失敗を恐れずにやってみて、そのことについて後でしっかり考えることが、人生経験となり社会人における財産になるという。

ポートフォリオ(自分の絵の作品集)で惹かれる内容は?

この質問については各登壇者から以下の意見が寄せられた。

渡辺氏

その人が何をやりたいのか、その人が何が好きなのかがわかりやすいもの
(キャラクターデザイン、背景、ユーザーインターフェースなど)

本間氏

自分が自信を持って出せるもの、自分の強みや関心をアピールしているもの

立野氏

きれいな、リアルなものよりは作り手の意図がわかるもの

約2時間にも及ぶ長い講演にも関わらず受講者は最後まで話に聴き入り、講演終了後も登壇者へ向けて質問をしようと列を作っていた。ゲーム業界を志す人にとってはためになる話が多く聞けたのではないだろうか。

※画面は開発中のものです。

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