エアスイッチやモーションヒストリーなど使用する人の障害にあわせた利用が可能「Kinect for Windowsを応用した重度障害児支援への取り組み」に関する記者説明会レポート

発表会・イベント取材
0コメント 細山田 亮太

東京大学先端科学技術研究センターと日本マイクロソフトは共同で、入力デバイス「Kinect for Windows」を応用し、重度の障害がある児童生活を支援する取り組みについて記者発表会を実施した。

記者説明会では、東京大学先端科学技術研究センターの「中邑 賢龍」教授より、取り組みの概要が説明、日本マイクロソフト 最高技術責任者「加治佐 俊一」氏より、これらの課題に対する日本マイクロソフトの技術支援について紹介がなされた。

2012年10月5日には、“こどもの職業・社会体験型施設”「キッザニア東京(KidZania Tokyo)」にて開催される「サイエンスフェア」内にて、実際に今回の取り組みを体験できる場も設けることになっている。その模様は後日レポートする予定だ。

出席者

日本マイクロソフト株式会社 最高技術責任者「加治佐 俊一」氏
東京大学先端科学技術研究センター教授「中邑 賢龍」氏

Kinect for Windowsについて

マイクロソフトが開発した、人の動きや声などの自然なしぐさをとらえるシステム。Kinectは当初、「コントローラーを必要としない、まったく新しいゲームシステム」として家庭用ゲーム機Xbox 360用に発売されたが、その後、Windows PCで動作する「Kinect for Windows」も登場。

身振り手振りや音声などで直感的にコンピューターを操作することが可能なことから、エンターテイメント、製造業、医療やヘルスケア、教育、教材関連、広告、小売など、多くの産業での活用が期待されている。

Natural User Interface(NUI)とアクセシビリティ

登壇した加治佐氏は、現在のテクノロジーについて、複数のデバイスがそれぞれクラウドに接続されている面白い時代に突入しており、その中で切磋琢磨しながらイノベーションを続けていると話し、進化を遂げる中でそれぞれが連携していることも興味深いと明かした。

インターフェースについては、キーボードからマウスに変革を遂げ、さらにペンなどでより直感的に操作したり、現在ではマルチタッチが普及するなど、複数の「点」を自在に操作しながら便利にコンピュータを使えるように進化してきたと話す。

今回紹介するKinectを利用したソリューションについて、コンピュータと人が実際に触れないで操作することを目的とし、点から面、さらに深度情報も含め、コンピュータと「対話」することができると加治佐氏は語る。

マイクロソフトのテクノロジービジョンに関しては「人間中心のコンピューティング」「Natural User Interface(NUI)」「端末+クラウド」の3つを挙げている。Kinectでは、膨大な人の動きなどから導かれるデータを処理しているとのこと。

もともとはXbox 360用周辺機器として開発・発売されたデバイスであり、「Kinect for Windows」としてアメリカで2012年2月、日本国内では2012年3月から販売を開始、Kinect for Windows SDKに関しても近日中にアップデートを予定しているとのことだ。それによりWindows8のサポート、Visual Studio 2012にKinectが対応する。「グッドデザイン賞 2012」は2年連続で受賞している。

アクセシビリティへの継続的な注力としては、障害のある人も含め、誰もがICTを活用できるためのテクノロジー、活動を1988年より続けており、Windowsなどの自社製品のアクセシビリティ機能を拡充を目的とし、ミッションを「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること」としている。

「DO-IT Japan(障害のある学生のための大学・社会体験プログラム)」の取り組みについては、今回の「重度肢体不自由・重複障害のある子どものためのICT活動体験プログラム」 も「DO-IT Japan」の一環として行われることが明かされた。

2012年2月には、障害のある児童・生徒の入学試験を支援するソフトウェア「LIME」を共同開発するなど、両者は引き続きICTを活用した障害者支援、および教育におけるICTの利活用に取り組んでいくとのことだ。

「OAK -Observation and Access with Kinect-」

東京大学先端科学技術研究センターと日本マイクロソフトは、入力デバイス「Kinect for Windows」を応用し、重度の障害がある方の活動を支援するソリューション「OAK -Observation and Access with Kinect-」を共同開発。今後両者は、「OAK」を利用した「重度肢体不自由・重複障害のある子どものためのICT活動体験プログラム」を全国で実施していく。

今回両者で開発した「OAK」は、脳性まひや脊髄性筋萎縮症などにより重度の障害がある人の任意の動き(例:口の開閉や、手の動きなど)をKinect for Windowsセンサーで検出し、その方が意思を表したり、能動的に活動したりすることを支援するソリューションとなっている。

また、10月5日~7日に開催される“こどもの職業・社会体験型施設”「キッザニア東京(KidZania Tokyo)」での体験会を皮切りに、「OAK」を利用した「重度肢体不自由・重複障害のある子どものためのICT活動体験プログラム」を全国の主要都市などで実施し、知見を集める。

「OAK」は今後、障害者支援技術製品販売会社より、Kinect for Windowsセンサー、フィッティングやサポートをセットにしたパッケージとしての販売も検討されているとのことだ。

記者発表会に登壇した中邑教授は、2007年から実施している「DO-IT Japan」のプロセスの中で、家族から「うちの子は大学に行けないけれど何もできないのか?」という問い合わせが多く、医療技術の進歩とともに、障害の重い人が延命できるようになっている現実、彼らの動きの研究は続けてきているが、従来の体に設置するようなタイプのスイッチでコンピュータを操作する機器では、どうしても患者の継続的な使用が難しかったと話す。

そこで注目したのが、Windowsに接続できるKinectセンサーだったとのこと。すぐに使える判断し、研究チームで検討をはじめて感触も上々だったとのことだ。また、高価な機材を使わなくても簡単に手に入る一般技術(アルテク)を活用することが重要だと中邑教授は語った。

実際のソフトを使っての実機デモを披露

Kinect for Windowsセンサー、操作の反応を確認できるランプが接続された、Windows7搭載のノート型PCを使って実際に使用者やその家族が使うような状態での実機デモを披露した。画面に向かって左が3D深度センサー、右がRGBカメラの映像となる。

エアスイッチ

その人の可動域に合わせて空中に仮想ボタンを作成、動きを検出するスイッチを複数作り、YES/NO以外の反応も取得する。使用を想定する障害の状態は「首から上を自由に動かせる」こと。PCのマウスでスイッチを描いてスイッチを設置。簡単に描いたり消したりも可能のようだ。車椅子に乗ったまま少しだけ手を動かせる程度の障害の人も深度センサーのおかげで「手前から奥へ」のような3次元の動きも認識できる。

また、ソフトウェアを起動している際には、常に録画がされており、画面下のバーで「さっきどんな動きをしたのか?」というのを簡単に動画で確認することも可能。

フェイススイッチ

口の開閉など顔のわずかな動きを検出し、顔が移動してしまっても検出が可能。認識できるのは口・口+舌、目(片目・両目)、顔(部位の指定も可)など。今まで設置型のスイッチなどで体勢が変わると作動させることが大変だった人も問題なく使える。

モーションヒストリー

動いたログを記録することで、気付きにくかった行動を明確に確認する機能。RGBカメラの映像にフレームの変化をグラフ化して表示、アメダスのような描画方法を用いて、大きい動きが赤く表示される。使用者が発する微妙なシグナルや変化を、ログを確認することで簡単に確認することができる。

※画面は開発中のものです。

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