3月9日、東京・デジタルハリウッド大学大学院 駿河台キャンパスにて、メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏が主催するトークイベント「黒川塾」の第24回が開催された。
今回のテーマは「2014年度 エンタテインメントの未来を考える会 大賞決定」ということで、ゲストスピーカーとして林克彦氏(KADOKAWA エンターブレイン ブランドカンパニー 週刊ファミ通 編集長)、西岡美道氏(KADOKAWA アスキー・メディアワークス ブランドカンパニー 電撃プレイステーション 編集長)、佐藤和也氏(朝日インタラクティブ CNET Japan 編集記者)が登壇。黒川氏による進行のもと、それぞれの媒体の目線から2014年のエンタテインメントコンテンツを紐解いていった。
まずは先日、アメリカ・サンフランシスコで行われたばかりのGDC2015(Game Developers Conference 2015)のトークが展開したが、そこでは新たな試作機の公開とともに、商品化の目標を2016年上半期としていることも明かされた「Project Morpheus」に代表されるVR(ヴァーチャルリアリティ)の話題が主体に。実際、林氏は専門学校で講演を行った際に学生から質問され、エンドユーザーまで浸透していることを感じたという。
VRに対する取り組みはゲームの枠組みにとどまらないが、「鉄拳」シリーズで知られる原田勝弘氏(バンダイナムコゲームス)が中心となり、デモとして女の子とのコミュニケーションが取れる「サマーレッスン」を制作したことは、業界に与える影響が大きかったのではないかと西岡氏が話す。佐藤氏からもVRをエンドユーザーに浸透させるためにはアニメ・ゲームといったものより、「サマーレッスン」のようなイメージできる身近なもののほうが良いのではという意見が。
同様にコアからエンドユーザーに広げるための施策が重要になってくると話した林氏は、テレビのモニターのような枠を取っ払った、VR技術のような360度の視野で遊べることへの没入感について言及。“帰ってこれないぐらいの没入感”という表現に期待感をにじませた。
ゲームコンテンツに関する議論に及ぶと、各氏がそれぞれの目線から、印象に残っていった今年のコンテンツを振り返っていく流れに。
林氏が挙げたのは、ドイツで行われたGamescom2014で話題をかっさらった「P.T.」。ゲームデザイナーの小島秀夫氏が率いる小島プロダクションがKONAMIの名前を使わずにPS4で突如配信。そのクリアによって「サイレントヒル」最新作のプレイアブルティザー(その短縮表記がP.T.)であることを明かすという、斬新な手法が用いられたタイトルだ。
少人数で開発したという本作だが、林氏自身が夜中に遊んで後悔したというほどの恐怖表現、演出としてあえて解像度を落としてインディーに見えるようにしたという手の入れようなど、全世界に鮮烈な印象を残した。ちなみにフラグ管理が異様に難しく、クリアしたという林氏自身も解き方がわからないという本作だが、最近は5分でクリアした人が出てくるなど、その解明も進んでいるようだ。
2015年の話になってしまうが、アーケード誌の編集長も務める西岡氏、自身が古くからのアーケードゲーマーであるという佐藤氏が触れたのが、先日行われたばかりのJAEPO2015について。新規のタイトルも多数発表された同展示会を通して、西岡氏は「ディズニー ツムツム」、「ウィズローグ」といったスマートフォンアプリのアーケード化に、佐藤氏は電子マネー決済の導入を通したマネタイズに関する新たな施策にそれぞれ注目したという。
また、ITニュースサイトの編集者という側面から佐藤氏は、Googleのビッグデータを通して、位置ゲーをゲーミフィケーションしたという点で「Ingress」は革新的だったと話す。
そのほかにも、岡本吉起氏の「モンスターストライク」、坂口博信氏の「TERRA BATTLE」など、往年のゲームクリエイターがスマートフォンアプリのヒットタイトルを生み出したこともトピックとして挙げられていた。
来場者からも質問が多く飛び出すなど活発な議論がなされたイベントだが、各氏に共通していた見解は、突出したものがなかったということ。結果的に大賞はハードとして「Oculus Rift」「Project Morpheus」、コンテンツとして「P.T.」「Ingress」「TERRA BATTLE」の計5つが選ばれることとなった。
※画面は開発中のものです。
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