千葉・幕張メッセにて9月17日から4日間にわたって開催された東京ゲームショウ2015。プレイステーションブースにて、PS4/PS3/Xbox One用ソフト「コール オブ デューティ ブラックオプスIII」を試遊する機会を得たので、プレイインプレッションをお届けする。
新アクションに加え、9人のスペシャリストによりマルチプレイが大きく変化
「コール オブ デューティ ブラックオプスIII」は、世界中で絶大な支持を受けるFPS「コール オブ デューティ」(以下、CoD)シリーズの最新作。前作「ブラックオプスII」の2025年から更に時間が経過した、2065年という未来の戦争が描かれる。本作のプレイヤーキャラとなるのは「Direct Neural Interface」と呼ばれる技術によってサイボーグ化された兵士達で、従来のシリーズでは不可能だった超人的なアクションや強力な武器が使用可能となっていることが特徴だ。
今回試遊することができたのは、「CoD」シリーズの肝とも言える、6対6の2チームに分かれて多人数対戦を行うマルチプレイモード。本作におけるマルチプレイモードは従来と大きく異なり、スペシャリストと呼ばれる9人のキャラクターの中から1人を選択し、プレイヤーキャラとして操作する形式。スペシャリストはそれぞれ強力な固有のアビリティとユニークウェポンが設定されており、マッチング前にそのどちらかを選択することになる。例えばスペシャリストの1人である「Ruin」は、移動速度を大幅に高めて高速移動を可能とするアビリティと、地面に突き刺して広範囲に効果を及ぼす武器「グラビティスパイク」を所持しており、その選択した側を使用できるというわけだ。
今回のバージョンでは9人全てのスペシャリストが選択可能となっており、そのバリエーションは非常に幅広い。防御力を大幅に高めたり、キルストリークにボーナスを与えるといったわかりやすいものから、いわゆるナイフプレイに特化した隠密スタイルや、自身を瞬間移動させるトリッキーなものまで、自分好みの戦い方に合うものを選べるようになっている。同じスペシャリストは1チームに何人も存在できるため、他のプレイヤーに気兼ねをする必要もない。
また、それぞれのスペシャリストには適した性能の武器がデフォルトで設定されているが、従来のシリーズと同様に自分好みの武器もカスタマイズで持ち替えられるので安心だ。スペシャリストからある程度敵の持ち武器の予想をつけられるため、敢えて相手の意表をつくレンジの武器を装備してみるのも面白いかもしれない。
操作面での大きな変化としては、パワースライドとウォールランニングといった新アクションの存在が挙げられる。
パワースライドはいわゆるスライディング的な動作で、態勢を低くした状態で滑り込むように高速移動を行う。ダッシュよりも素早く動ける上、移動しながら発砲も可能となっており、何かと使い勝手がいいアクションだ。
一方のウォールランニングはその名前の通り、ステージ中の壁を自由に走ることができる。一見難しそうだが操作自体は非常に簡単で、壁に向かってダッシュを行うだけ。どこの壁でも走れるというわけではないが、相手の意表をつく形で頭上から奇襲をかけることができる。戦場となるマップを把握すればするほど、効果を発揮しそうなアクションだ。
また、「アドバンスド・ウォーフェア」から導入されている、地形を蹴って大きくジャンプしたり、空中で滞空しながら攻撃を行えるアクションも、スラストジャンプと名前を変えて今回も健在で、自由自在な位置取りを行うことができる。こちらはほぼ「アドバンスド・ウォーフェア」と同じ感覚で操作できるので、今の内から練習しておくのもいいかもしれない。
その他にも変更点として、これまでは柵などの障害物を乗り越えるのには1度ボタンを押す必要があったが、それらの動作は全て自動化され、ダッシュ中に障害物に引っかかってやられてしまう……とうようなことがなくなった。先のパワースライドやウォールダッシュといったアクションも含め、戦闘が全体的にスピーディに進化したと言えるだろう。
操作方法の複雑化の心配は杞憂!シンプルな楽しさはそのままに
と、ここまではマルチプレイを行う前にプレイヤー全員で見たチュートリアルの映像で確認したもの。既に公開されている情報も多いのでご存じの方も多いと思うが、ここから先がマルチプレイを実際に体験しての感想になる。
今回対戦を行ったルールは相手プレイヤーを倒した時に落ちるドッグタグを奪い合う「Kill Confirmed」一定時間目標地点一帯を奪い合う「HARDPOINT」の2つ。「CoD」シリーズのマルチプレイは概ね遊んできた筆者としては非常に馴染み深いルールであるため、俄然プレイにも力が入る。
しかし正直なところ、スペシャルリストに数々の新アクションと、「CoD」シリーズのシンプルでスポーツ的なマルチプレイが好みであった筆者としては、複雑化する操作についていけるだろうかという不安もあったのだが、いざゲームを開始してみるとそれはほぼ杞憂だった。
ウォールランニングにしろスラストジャンプしろ、一歩間違えば敵の注目を集めてしまう動きでもあり、体力が少なめで死にやすい本作ではやみくもに行えばいいというものでもない。まだプレイヤー全員が操作に慣れていないこともあるだろうが、地面を走り、身を潜めつつ相手の視界外から撃つということが戦闘の基本なのは変わっていないため、古くからのシリーズファンは安心してプレイできる。新たに追加されたアクションは、その基本を踏まえた上で、プレイを重ねていく内に使い所を見極めていくのが良いように感じられた。
なお、その中で筆者が特に使えると感じたのがパワースライド。特に最初のルールである「Kill Confirmed」では、味方や敵のドッグタグを回収するのに大活躍してくれた。従来でいうダイビングを同じ操作で行える上、ある程度使用するタイミングも似通っている。一見すると制御が難しそうな、スライディングを行いつつ相手の懐に飛び込んで撃つというの動作も、いざやってみると想像以上に簡単に行える。こうしたスタイリッシュな動きで相手を倒した時の快感は、従来のシリーズで得られた以上のものがある。
逆に使い方が難しいと感じたのは、スペシャリストのアビリティだ。今回筆者は一定時間銃弾などへの耐久力を上昇させるアビリティを選択したが、1度発動すると一定時間経過後に効力を失ってしまう。(全てのスペシャリストがそうなのかは確認できなかったが)
適当なタイミングで使うと完全な無駄使いで終わってしまううえ、アビリティやユニークウェポンは再使用まで時間経過が必要になる。今回のルールでは概ね1試合に4回前後使えたかなといった程度で、頻繁に使えるものでは決してないため、なるべく無駄使いは避けたいところ。残念ながら今回はうまく使いこなすことができなかったが、例えば筆者が選んだタイプであれば、味方がUAVを出現させて敵の位置を割り出したところで戦闘になる前に使用する、といった工夫が必要になってきそうだ。一方のユニークウェポンは弾切れになるまで使用できるので、慣れない内はそちらを選択するのが無難かもしれない。
マップの中のバリエーションも増えており、2戦目の「HARDPOINT」のマップには川も存在し、水中を自由に移動できるようになっていた。相手の視界から逃れて背後をついたりするのは勿論、水の中でも銃が使用可能なので、プレイヤー同士の水中戦や、水の中から陸の敵を狙撃するといった、従来はなかった戦闘は非常に新鮮で面白い。
なお対戦の結果は、「Kill Confirmed」が23キル25デスで勝利、「HARDPOINT」が27キル24デスで敗北という、なんともコメントしがたい普通すぎる成績に。「HARDPOINT」で成績が少し上がったのは、周囲にナノマシンを散布して近づいた敵の足止めを行うという「HARDPOINT」に適したユニークウェポンの効果が上手くハマってくれたのが要因となった。プレイヤーキャラクターの能力が増え、武器のカスタマイズやキルストリークだけではなくなったことで、マップやルールに適した試合前の選択や戦術がさらに重要になるのは間違いない。
最後に、全体の対戦を通して何より感じたのは、「CoD」シリーズお馴染みの、レスポンスに優れた操作性がより向上しているということだ。60fpsで安定したなめらかな動きに、こちらの意図した通りのキビキビとしたアクションが、パワースライドや動作の自動化によりさらに快適になり、誰でも動かしているだけで気持ちよくなることができる。新たなアクションや要素は大幅に増えようと、その根幹は紛れもなく「CoD」であり、シリーズファンであればすんなりと遊べる仕上がりになっているのは間違いない。操作方法も見た目以上に簡単で、FPSとしてのハードルは決して高くないので、これまでシリーズ遊んだことがないというプレイヤーにもオススメできる。
大幅に向上したグラフィックも含め、新たな「CoD」を是非とも体験してみて欲しい。
コール オブ デューティ ブラックオプスIII 特別版
ソニー・コンピュータエンタテインメント- 発売日:2015年11月6日
- 18歳以上のみ対象
- 同日販売予定のシーズンパス(販売価格4,900円+税)と複数のDLCを含む