ユービーアイソフトが本日11月3日に開催中の単独イベント「UBIDAY 2015」。本稿では、PS4/Xbox One/PC用ソフト「ディビジョン」の開発者を招いて行われたスペシャルプレゼンテーションステージの模様を紹介していく。
本イベントは、2016年発売予定の「ディビジョン」をはじめ、「アサシン クリード シンジケート」「レインボーシックス シージ」「ザ クルー ワイルドラン」「FOR HONOR」「トラックマニア ターボ」などの試遊台が出展された、同社恒例の単独イベント。
ここではステージイベントの内、「ディビジョン」の開発を担当するマッシブスタジオより、アソシエイト・クリエイティブ・ディレクターを務めるジュリアン・ギャリティ氏と、ユービーアイソフトのローカライズディレクター・岩本けい氏を招いて行われた、スペシャルステージの様子をレポートしていく。
「ディビジョン」の開発についてジュリアン氏が語る
ステージに姿を見せたジュリアン氏は、「コンニチワ!」と日本のユーザーへのファンサービスを見せつつ、まだ大々的には公開していないという秘蔵のトレーラーをお披露目してくれた。
「ディビジョン」は、小説家のトム・クランシー氏が主導している「トム・クランシー」シリーズの最新作となるオープンワールド型アクションRPG。発表から長らく詳細が明かされていなかった本作は、今年開催のE3 2015を皮切りにゲームの概要などが発表され、今では多くのユーザーの期待を高めている。
本作の大きな魅力は「オンライン」「オープンワールド」「RPG」という要素。そしてプレイヤーはこれらを体験するために、謎のウィルス(病原菌)が広まり、壊滅的な打撃をこうむったアメリカ・ニューヨークの街で、“この危機を如何にして乗り越えていくか”を考えていく。
武器やスキルやアビリティを組み合わせて各々が望むプレイスタイルを追求し、ストーリープレイも最大4人で遊ぶことができる本作。シューターRPGとしての骨格はバッチリだ。
ゲームに登場するニューヨークは、綿密な取材から生み出された写実的な作りで、時間や天候はインタラクティブに変化し、街の趣きを変化させていく。映画や写真でよく見るアメリカの象徴的なランドマークも、プレイヤーの視界にできるだけ入れられるよう工夫されているほか、ゲームの世界観に合った“姿”に落とし込まれている。
また、「生活感」といったテーマを重要視していることから、「ライトが付けっぱなし、荷台が空きっぱなしの車」「雪解けの道に残されたタイヤ痕」などの生活臭を残し、クリスマスの時期に何が起こったのかを想起させる、“プレイヤーの想像できる余地”を生み出しているのだとか。
オブジェクトやライティングが刻々と変化するこの街並みは、最新のゲームエンジン「スノードロップ」を採用した賜物。数多ものツールを生み出し、それらを効果的に使ったからこそ今の美麗さに繋がっている。なお、ライティングの作業に関しては、ジュリアン氏が最も「素晴らしい!」と思ってやまないクリエイターに頼んだとしていた。
続いてランドマークの一つとして、アメリカのスポーツの殿堂として名高い「マディソン・スクエア・ガーデン」の様子が映された。「ディビジョン」の世界に取り込まれたマディソン・スクエア・ガーデンはかつての栄華が剥ぎ取られ、物資の配給所として運用されている。
数々の名試合を生み出していったリンクも今では物資置き場とされ、残された人々の命を繋ぐ施設として、その任を負っているのだ。
しかし、この世界の危機はなにもウィルスだけではない。ジュリアン氏は目に見える危機には、残された人々が形成したコミュニティーにあるとし、壇上で2つの敵対グループの存在を明かしていった。
まずは、街からウィルスを消し去りたいとする「クリーナーズ(CLEANERS)」。ビジュアルは分厚い防寒服とマスク、そして暴力的な気配をまとわせている火炎放射器の存在が印象的だ。彼らは“ウィルスを消し去りたい”という一心があるが、その対象である人々を区別することはない。つまり、“病気に罹っていようとも、いまいとも”関係なく焼却を実行するのだとか。
このクリーナーズがどれほど厄介な存在として立ち塞がるのかは、今の時点から伝わってきそうだ。
そして今回紹介されたもう一方のグループは、事変を読んでライカーズ刑務所から脱獄してきた無法者の集団「ライカーズ」。彼らは見境なく“暴れまわること”を至上としているため、力と欲と復讐のままに存在するのだ。
続いては、膨大な情報量が詰め込まれたこの世界で、ユーザーが不便なくプレイできるよう追求されてきた機能やユーザーインターフェースについて。本作ではオープンワールドRPGという性質上、プレイヤー情報、広大なマップ、無数のクエストなどが、プレイ方針の先に四方八方へと広がってしまう。
そこでジュリアン氏は、トム・クランシーのRPGの醍醐味を体験してもらいつつ、プレイヤーの負担にならないよう、より多くの情報を伝えるための機能に着目した。ゲームではマップが表示可能で、プレイヤーキャラクターの足元を中心に、サイバネティックな空気の3Dマップとして展開する。
また、さまざまな情報には優先順位がつけられており、プレイヤーにとって重要なことほど点滅するなどのギミックを凝らし、優先的でないものは視界の外に置くようにするなど、シンプルなインターフェースが練られている。
そのほか、向かう先が武器やレベルに対して適正なのかを「汚染レベル」で視覚的に表示、その場所で起きたこと(ストーリーなど)を知ることができる「エコー」なども搭載し、プレイヤーは遊びやすく、かつ世界観に没頭できるようになるという。
なお、奇しくもゲームの発売日が2016年へと延期されてしまった本作だが、2016年初頭にはPS4/Xbox One/PCでのβテストが予定されている。また、発売後もダウンロードコンテンツやさまざまな施策を用意して、ユーザーに遊び続けてもらえる環境を提供していくとジュリアン氏は語ってくれた。
なお、イベントの最後には観覧者とのQ&Aも実施。以下ではその様子を記録しているので、気になる人は続けて目を通しておこう。
ユーザーからの質問にジュリアン氏が回答!
――キャラクターの姿勢(しゃがむなど)を変更したいのですが。
ジュリアン氏:(スニークなどの)戦略的に使う動作は、4人プレイの時に皆が同調しづらいと思ったので難しいですね。ただ、物陰に隠れるカバーアクションを使って、遠近の戦術を使い分けることはできます。
――瀕死状態になった時の回復方法はありますか?
ジュリアン氏:攻撃を受けて瀕死状態になると四つん這いで倒れてしまいますが、味方に回復してもらうことができます。また、回復用アイテムは投げるものも用意してます。
――相手の態勢を崩した時に、一撃必殺のアクションが欲しいです。
ジュリアン氏:固有アクションとはいきませんが、スキルやアビリティの組み合わせ、もしくはショットガンのような武器を選ぶことで敵を一撃で倒すことは可能です。
――今回の美麗な映像を作る上で苦労した点はありますか?
ジュリアン氏:全て難しかったです(笑)。ゲームエンジン「スノードロップ」を有効活用するためには、たくさんのツールを作り出さなければいけませんでした。オブジェクトもライティングも、それぞれのツールでチューニングしたことで生み出せたのです。
なお、マルチプレイ用には4人で同期するための最適化処理が施されている場所もありますが、ソロプレイ時にはさらに作り込みの素晴らしい場所に出会えると思います。
――キャラクタークリエイトはどれくらい作り込めますか?
ジュリアン氏:性別、出身、顔、髪などはもちろん、傷跡を付けたりするペイント、髭や眉毛などの毛髪類などもあります。プレイ面で言えば、“その人がどのようにプレイしたいのか”に対応するために、個々のスタイルに合った形にビルドしていけるよう設計しています。
――武器のアンロックはどうなっていますか?
ジュリアン氏:基本的に本作では、敵を倒して奪い取ることが主流です。ただし、お金を貯めて入手することもできますので、ゲームを進めて戦いのバリエーションを増やしていってください。
――ゲーム中に拠点になるようなところはありますか?
ジュリアン氏:マディソン・スクエア・ガーデンの前に郵便局があり、そこが作戦基地となっています。
――HUD(ヘッドアップディスプレイ)を作るに当たってこだわった部分を教えてください。
ジュリアン氏:膨大な情報量をそのまま伝えるのは難しいので、できる限りシンプルにしながら、たくさんの情報を伝えられるようチューニングしました。特に情報の優先順位は気を配っています。
――「ディビジョン」を制作するきっかけや、参考にしたものはなんですか?
ジュリアン氏:本作ではパンデミックであったり、石油の供給が止まったりと、人間がいかに危機的な状況に対応していくのかを、プレイヤーの皆さんに体験してもらいと考えています。その中で特に重要視しているのは、災害支援者へのリサーチです。これまでの大きな災害でどの様に対応したのか、どんな風に街が崩れてしまったのかなど、実際に直面した人々の意見を最も大事にしています。
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