日本一ソフトウェアより2016年7月7日に発売となるPS4/PS3/PS Vita用ホラーアドベンチャー「真 流行り神2」。同作のプレイレポートをお届けする。

目次
  1. 前作の悲劇を乗り越え、事件に立ち向かう紗希の成長物語
  2. 科学かオカルトか、操作方法によって異なる結末を見せるシナリオ

前作「真 流行り神」から2年の時を経て発売された本作は、都市伝説と密接に絡むストーリーやオムニバス形式の復活を始め、シリーズの特徴であるセルフクエスチョン、推理ロジック、前作「真 流行り神」から登場したライアーズアートなど、シリーズの特徴的なシステムを盛り込んだ充実の内容となっている。では実際のところ、「真 流行り神2」はどんな作品になっているのだろう。

本稿では、前作から進化/変化した部分や、プレイしてみての率直な感想を綴ってみたい。

ストーリー概要はぜひ公式サイトや過去の記事をチェックしてもらいたいのだが、筆者が「真 流行り神2」をプレイして最初に感じたのは、本作のテーマにもなっている「都市伝説と密接に絡むストーリー」の部分。

前作「真 流行り神」が賛否両論だった理由の1つとして、「都市伝説」の要素が希薄ぎみだったことが挙げられる。筆者は前作もプレイしているのだが、確かに都市伝説要素が薄いかなと感じた。ゲーム全体の満足度は決して低くないのだが、どこか物足りなさを覚えたのも事実なのである。

今回は、旧「流行り神」シリーズを担当してきた新川宗平氏(日本一ソフトウェア代表取締役社長)がシナリオ・プロットを担当しており、旧作の持つ都市伝説の生々しい不気味さや恐怖を蘇らせることに成功している。ゲームのオープニングで女子高生が「友達の友達から聞いた話なんだけどぉ」と噂話をしている、シリーズの象徴とも言えるシーンを目撃した瞬間、筆者は思わずニヤついた。「これは期待できる!」と即座に感じたのが、率直なファーストインプレッションである。

「都市伝説」を強く感じさせる要素は、第一話「◯◯女」の序盤からもはっきり感じ取れた。そもそも「◯◯女」というシナリオ名自体、カシマレイコ、ヒキコさんといった、女性にまつわる都市伝説を強く連想させるもの。加えて、劇中の事件は都市伝説を絡めた内容になっており、ヒキコさん、ベンチの下の女、カオルさんといった、有名な都市伝説の話題がこれでもかというほど登場する。これだけで、都市伝説ファンには堪らないものがあるはずだ。

加えて、曇りがかった空のような、ドヨっとした雰囲気を常に感じるのも「流行り神」シリーズの魅力。正体不明の恐怖や不安が、まとわりつく汗のように身体から離れない。静かだが、得体のしれないものが裏に潜んでいる感覚を、「真 流行り神2」からヒシヒシと感じるのだ。

前作の悲劇を乗り越え、事件に立ち向かう紗希の成長物語

主人公は、前作に引き続いての登場となる北條紗希。「真 流行り神」のメインストーリーである「ブラインドマン編」から2年後が舞台となっている。「ブラインドマン編」で大切な仲間を失い、絶望と喪失を味わった紗希だが、「2」では、過去の過ちと真正面から向き合い、乗り越えていく様が描かれている。序盤こそ、過去のトラウマに押しつぶされそうになる弱い面も見せるが、中盤~終盤にかけては、メインビジュアルにもあるような、前を見据えた凛々しい彼女の勇姿を見ることができるだろう。事件を通して成長を重ねていく紗希の姿も、本作のテーマであり見どころでもあるのだ。

かくゆう筆者も「うわあ、(前作を)引きずってるな……。大丈夫かな」と感じて最初は不安だったが、ゲームを進めていくうえで、徐々に彼女の芯の強さを知る。汚名返上と言ったら大げさかもしれないが、それくらい今回の紗希は見ていて頼もしい。ゲームとは直接関係はないが、今作で紗希のファンが一気に増えるのではないか、そんな余計なことまで考えてしまった。

前作に引き続き、主人公は北條紗希。名前と苗字を変更することも可能だ

加えて、紗希の相棒となる愛染刹那の存在も見逃せない。一昔前のヤンキーを思わせる出で立ちや乱暴な言葉使いなど、およそ警察官とは程遠いイメージの刹那。しかし、意外にも都市伝説に詳しい一面があったり、何よりもまず被害者を第一に考える人情味など、ストーリーが進むにつれ少しづつそのイメージが変わってくる。紗希も最初は、怪訝な心境で刹那と接していたが、事件を通して刹那の純真さや行動力の高さから人間的な魅力を感じ、相棒として認めるようになる。

しかし冷静に考えてみれば、冷静な紗希と猪突猛進な刹那。微妙に噛み合わない2人のコミュニケーションや、年上の紗希が女性に免疫のない刹那をおちょくるシーンなどは見てて単純に面白かった。「恐怖」を全面に押し出している「流行り神」シリーズだが、さし色のように程よいバランスで盛り込まれるユーモアもまた、旧作から続く魅力なのである。

もちろん、特筆すべきキャラクターは他にもいる。刹那と反りが合わず、まるで水と油のような関係の、G県警きっての敏腕刑事・新美心太朗や、検挙率NO1の一翼を担うベテラン刑事・纐纈将臣、科学捜査のエキスパートだが、フワッとした言動でどこかつかみどころのない才媛・如月蜜子など、どのキャラクターも他にはない独特の個性を放っている。

テキストの読みやすさもあってか、彼らの掛け合いを見ているだけでもニヤっとしてしまうし、各分野において深い知識を持つ彼らの話を聞いていると、掛け値無しに「勉強になるな」と思うことが普通にある。本作は1つのシナリオがだいたい3時間~4時間くらいのボリュームだが、冗長な感じはまったくなく、シナリオクリアまで没入感を保ったまま一気にクリアしてしまった。テキストアドベンチャーをあまりプレイしないという方にもぜひ遊んでほしいと思っている次第である。

科学かオカルトか、操作方法によって異なる結末を見せるシナリオ

本作の見どころとして、旧シリーズのように、シナリオがオムニバス形式に戻ったことや、科学ルート・オカルトルートへの分岐が復活したことが挙げられる。

オムニバス形式に戻ったことで、前作にあった、シナリオによってキャラクターの性格が変化するという特徴はなくなり、一貫したキャラクター性が描かれる。ストーリー分岐を採用していた前作に不満を感じていたファンにとっては嬉しい変更と言えるだろう。1つのシナリオをクリアしてシナリオ選択画面に戻ると、新たなシナリオが姿を現している。あのワクワクとドキドキは旧作ならではの魅力であることは間違いないし、「真 流行り神2」でも同じ感覚が味わえるのは素直に嬉しい。

科学ルート・オカルトルートへの分岐が復活したことも特筆すべきポイントだ。現実と虚構の境界線があいまいで、いま自分が置かれている状況すらも把握できない。その不気味さは「流行り神」独特の感覚と言っていいだろう。

そんな時、これまた今作から蘇ったセルフ・クエスチョンを使って捜査ルートを決定する。選択肢によって科学かオカルトか、進むべき道を決定するわけだが、この2つのルートは、同じシナリオを共有していながらも、まったく違う結末を見せるから面白い。

もちろん、どちらのルートもきちんと結末が描かれているため、どちらか1つのルートをクリアしただけでも問題はない。しかし「もしあの時、科学ルートを選んでいたら?」「オカルトルートを選んでいたら?」と進まなかったほうのルートが気になってしかたがなくなるのが「流行り神」のニクイところ。

筆者の場合は、一度全てのシナリオをクリアしてから、未選択のルートをプレイするため1話からプレイし直すというスタイルを取っていた。今回も同じやり方でプレイしようと思っているのだが、1話ずつ科学・オカルトルート両方のエンディングを見てから次のシナリオに進むのもアリだと思う。

このほか今作では、推理ロジックやライアーズアートなど、「流行り神」シリーズならではの独特なシステムが多数登場する。どれ1つとして無駄な要素がなく、贅肉を削ぎ落としたスリムさを保ちつつも、内容は非常に充実している。

そこに加え、「流行り神」シリーズの伝統とも言える都市伝説を全面に押し出したシナリオ。発売前に少しだけプレイしたが、1話を終えた段階でお世辞抜きに傑作だと感じた。時間の都合で2話はまだプレイしていないのだが、早く製品版を購入して、どっぷりと「真 流行り神2」の世界に浸かっていたいものだ。

真 流行り神2

日本一ソフトウェア

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  • 発売日:2016年7月7日
  • 18歳以上のみ対象
真 流行り神2

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※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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