スクウェア・エニックスが2016年10月27日に発売するPS4/PS Vita用ソフト「ワールド オブ ファイナルファンタジー」のプレイインプレッションをお届けする。

目次
  1. 幻想的かつコミカルな世界で物語が展開
  2. 仲間にしたミラージュはあらゆる場面でパートナーに
  3. バトルでカギを握るのは崩すか、崩されるかの駆け引き
  4. 些細なところにも感じる「FF」への愛

まったく新たな「FF」として生まれた「ワールド オブ ファイナルファンタジー」は、ミニチュアジオラマのような世界の中で、これまでのシリーズに登場する個性豊かなモンスター「ミラージュ」を仲間にして戦うRPGだ。

かわいいキャラクターが動く世界観に目が行きがちだが、戦闘システムでは「FF」シリーズを代表するATB(アクティブタイムバトル)を採用。そこにミラージュとの連携なども加わり、今までの「FF」をプレイした人には分かりやすく、なおかつ新しい楽しみかたも備えたゲームになっている。ここでは本作がどんな魅力を持っているのか、プレイレポートとしてお伝えしていこう。

幻想的かつコミカルな世界で物語が展開

本作で主人公となるのはレェンとラァンという2人の姉弟。2人はある日突然現れた「エナ・クロ」という女性に誘われて異世界「グリモワル」を訪れることになる。レェンとラァンには過去の記憶がなく、「失った記憶を取り戻せるかもしれない…」という淡い期待を持ちながら、冒険を始めていくのだ。

レェン(左)とラァン(右)。中央にいるのは2人をナビゲートしてくれる存在のタマだ。

物語は基本的に、この「グリモワル」を中心に展開するが、レェンとラァンが元々住んでいた街「ナイン・ウッズヒル」にも自由に戻ってくることが可能だ。「ナイン・ウッズヒル」ではセーブはもちろん、アイテムを購入したり、ときにはミニゲームに興じたりといった拠点としての役割を持っている。セーブは「グリモワル」でももちろん可能だが、ゲームの進行に応じて「ナイン・ウッズヒル」できることも増えていくので、定期的に見て回ることをおすすめしたい。

「グリモワル」のほうは冒険の舞台とあって、森の中から始まり草原、薄暗い洞窟や雪原とさまざまなロケーションが登場する。浜渦正志氏が手がける音楽も相まって、幻想的な雰囲気を強く引き立てている。また「グリモワル」に登場するのは、ほとんどが2頭身にデフォルメされた「プリメロ」と呼ばれるキャラクターだ。その影響もあってかファミコン、スーパーファミコン時代の「FF」をそのまま3D化したような世界が広がっている。

仲間にしたミラージュはあらゆる場面でパートナーに

本作の要とも言えるのが、「ミラージュ」と呼ばれるモンスターや召喚獣を集めて育てることだ。このミラージュは最初こそバトルで敵として登場するものの、そのバトル中にさまざまなアクションを起こすことで仲間にする「ジェム化」が行える。

“さまざまなアクション”のバリエーションは多彩で、「攻撃を当てる」「ヒットポイントを減らす」など想像しやすいものから、「相手を回復させる」といった普通に戦うだけではなかなか見つからないものもある。敵の情報を確認できるアビリティ・ライブラを使用すればジェム化の条件も確認できるので、初めてのミラージュに遭遇したら、ひとまずライブラを使ってみるといいだろう。

仲間になるミラージュもチョコボやモーグリを始めとした、聞き馴染みのある種類が序盤から豊富に登場する。さらにこれらのミラージュは、マスを解放し育成する「ミラージュボード」から新たなアビリティを獲得したり、さらにはより強力なミラージュに姿を変えるヘンシンカもできる。このおかげで思い入れのあるミラージュを終盤まで使い続けることが可能になっている。

ただし、一度に引き連れるミラージュの数には限りがあり、同行していないミラージュには経験値が入らない。上述の「ナイン・ウッズヒル」では入れ替えも可能なので、それぞれの個性を見極めつつメンバーを決めていこう。

こんな具合で仲間にしたミラージュだが、活躍の場はバトルだけではない。特定のアビリティを取得することで、レェンたちと一緒にフィールドを歩いたり、ミラージュに乗って移動できたりと行動の幅がさらに広がるのだ。一緒に歩くことでフィールド上からアイテムを見つけ出してくれるなど、プレイヤーにとって役立つアクションも起こしてくれる。見た目のかわいさはもちろんだが、あらゆる場面でプレイヤーを助けてくれる存在だ。

ときにはダンジョンの仕掛けを解いてくれることも。

バトルでカギを握るのは崩すか、崩されるかの駆け引き

ミラージュを仲間に加えてのバトルは、レェンとラァンがそれぞれ最大2体のミラージュを従えて繰り広げる。ここでポイントになるのが、ミラージュを頭に乗せたり、あるいは巨大なミラージュに乗ることでひとつの大きなユニットになれる点だ。

ユニットになった状態を本作では「ノセノセ」と呼ぶのだが、こうすることでパラメータは合計され強力なキャラクターに変貌する。例えば単体では心許ないミラージュがいても、ノセノセをうまく使えば気兼ねなく起用できるというわけだ。アビリティは各々が取得したものを自由に扱えるうえ、全員が力を合わせて放つ特殊なアビリティも存在する。

どんな組み合わせをするのも自由だが、注意してほしいのが各キャラクターのサイズだ。サイズはS・M・Lの3種類があり、下から大きい順に乗っていく。ここではレェンとラァンの存在が重要になり、小さな体のプリメロ状態か、普段の姿であるオオビト状態かのどちらかを自由に選択できる。プリメロがMサイズ、オオビトがLサイズなので、Lサイズのミラージュを使いたい場合は自然とプリメロにすることになる。

レェンとラァン、それぞれを違うサイズでバトルすることも可能。切り替えはゲーム内で自由に行える。
プリメロとオオビトの組み合わせをストックしておくこともできる。
これを利用すれば「切り替えだけしてミラージュを付け替えてなかった」という失敗もなくなるだろう。

とはいえノセノセが良いことばかりともいかず、相手の攻撃を受けることによってバランスを崩してしまい、最終的にはバラバラになってしまう。相手の攻撃でバラバラになってしまうと、一定時間行動ができなくなり、一方的にさらなる攻撃に晒されるので注意が必要だ。

対抗策としては、バラバラになってしまう危険を感じたら、プレイヤー自身の選択で自らバラバラ状態にできる。自分で選んだ場合はすぐに行動へ移せるので、再度ノセノセ状態になったり、それぞれが別々の行動をとることも可能だ。

また特定のアビリティを駆使することで、相手のノセノセを崩せることもバトルを有利に進めるために覚えておいてほしい。ノセノセ状態になっている相手は高い攻撃力と固い防御力を併せ持っているので、闇雲に攻撃を繰り返すよりもバランスを崩したほうが遥かに効率的。加えてミラージュをジェム化する際も一度バラバラにすることは必須。ノセノセを崩すか、崩されるかの攻防はバトルの豆知識というより、攻略にはほぼ必須のスキルと言っていいだろう。

些細なところにも感じる「FF」への愛

ATBで進行するバトルは緊張感があり、それだけでも「FF」としての面白さを充分に感じ取れる。しかしこれ以外にも「FF」の名を冠するだけのことはあり、随所にシリーズ全体への愛がある作りになっている。例えば物語上で最初に訪れる街がシリーズ1作目の始まりの場所と同じ「コーネリア」だし、その街中にも「オカルトファン」なんていう本があったり、ブリ虫対策の薬があったり。「FF」シリーズを知っていればいるほど楽しめるのは間違いない。

そして物語の要所では歴代の「FF」キャラクターが登場するのも見逃せない。ただゲストとして登場するだけでなく、時には助けてもらい、時には戦いながらプレイヤーを導いてくれる。さらには彼ら独自の物語をサイドストーリーとして楽しめる「ココロクエスト」というものも。もちろんメインはレェンとラァンの物語だが、間に「ココロクエスト」を楽しむのも本作ならではの楽しみ方になるだろう。

※画面は開発中のものです。

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