スクウェア・エニックスから発売中のPS4/Nintendo Switch/Xbox One/Steam用ソフト「ワールド オブ ファイナルファンタジー マキシマ」のプレイインプレッションをお届けする。
本作は、2016年10月に“新しいファイナルファンタジー”として発売された「ワールド オブ ファイナルファンタジー」に追加要素を加えたタイトル。デフォルメされたかわいいモンスター・ミラージュを仲間にしたり、そのミラージュと主人公を乗り合わせるノセノセシステムなど、独創的な要素をいくつも採用しているRPGだ。
今回「マキシマ」となってパワーアップした部分は、歴代の「FF」シリーズのキャラクターになれるアバターチェンジ機能や新ミラージュ、「FFXV」のノクティスと釣りができるミニゲームなどが追加されているところ。「FF」シリーズのファンに向けたオマケ要素の充実といった印象があるかもしれないが、アバターチェンジ機能はバトルシステムにも結びついており、純粋にRPGとしてパワーアップしている面もある。
また、ソフトは前作単体が3,400円(税抜)、前作を持っている人が追加要素を楽しむためのデジタルアップグレードは2,400円(税抜)と、価格の面で手を出しやすくなっているのも嬉しいところ。前作を購入したままプレイしていなかった人や、今回の「マキシマ」からプレイを始めようと思っている人に向けて、プレイレポートをお届けしよう。
登場キャラクターたちの軽快なやり取りが楽しい
物語は、記憶を失った姉弟のラァンとレェンを中心に展開していく。過去の記憶がない2人は、突如出会った不思議な女性、エナ・クロに誘われ、グリモワルと呼ばれる不思議な世界を訪れる。
このグリモワルに住む人々は、多くが“プリメロ”と呼ばれる小さな人たちで、2頭身の姿にデフォルメされた状態なのが特徴となっている。当然、街中もプリメロたちに合わせて作られているため、住人と比べるとラァンとレェンの2人はまるで巨人だ。最初に訪れた街で、屋根の上にある宝箱を地面にいながら開けるというのは、なんとも面白い体験だろう。
ちなみにラァンとレェンは大人(オオビト)とプリメロの姿を自由に切り替えられるため、グリモワルでは建物に入れないのでは……なんて心配は無用だ。なお、すべての場所がプリメロのサイズ感に合わせてミニチュアのような作りをしているわけではなく、草原や雪原、それに炎や氷の洞窟などさまざまなダンジョンも登場する。
ミニチュアのような街並みとは一転、ダンジョンは非常に凝った作りをしているところが多い。特に開けた場所の景色や、光と水の表現は作中を通して非常に美しい。思わずスクリーンショットを撮りためていたほど、個人的な注目ポイントだ。
また、コミカルな世界観なだけあって、失われた記憶の手掛かりを求めてグリモワルにやってきたはずが、ラァンとレェン、そして旅のお供になってくれるタマたちのノリは結構軽い。ちょっとオバカなラァンに呆れつつツッコミを入れるレェンたちの姿は、ほのぼのとさせてくれる。ストーリーを進めていくと意味深なシーンだったりシリアスな展開もあるが、軽いノリのシーンとの切り替わりがちょうどいい具合で、テンポよく進む印象がある。
これまでの記憶がないラァンとレェン。家族のことも覚えていないため、二人が抱える背景は重いものがあるが……。 | |
ちょっとしたオフザケやそれに突っ込むレェンの姿で思わず笑ってしまう場面も多い。キャラによってはメタっぽい発言もあったりと、いろんなネタが仕込まれている印象だ。 |
見た目からは想像できないガッツリ遊べるRPGとしての奥深さ
ストーリーを進めていくうえで重要なのが、ミラージュ(モンスター)集めだ。ラァンとレェンは出会ったミラージュたちを「ジェム化」することで仲間にすることが可能。ジェム化するには、ミラージュごとに設定されたさまざまな条件を戦闘中に満たす必要がある。たとえば「HPを減らす」「炎属性で攻撃する」といった狙ってできるものもあれば、「クリティカル攻撃をする」といった運が絡むもの、「回復する」といった普通は敵相手にはやらないことをするなど、多彩な内容がある。
ジェム化できるミラージュは「ライブラ」を使うことで条件が確認できるため、初めて見たミラージュにはまず「ライブラ」を使うようにするといいだろう。
また、仲間にしたミラージュは“ノセノセ”によって頭の上に乗せたり、乗ったりすることができる。ラァンとレェン、そしてミラージュたちにはS/M/Lのサイズが設定されており、Lの上にM、その上にSといった形で、最大3体が一緒になった状態で戦える。
なお、ラァンとレェンはオオビトとプリメロ状態を切り替えられ、それがバトルにも反映される。オオビトならLサイズなので上にMとSサイズのミラージュを乗せられ、プリメロだとMサイズのためLサイズのミラージュに乗りつつ、Sサイズのミラージュを乗せられるというわけだ。
これが本作の要ともなるシステムで、ノセノセすると各キャラクターのパラメータが合算された状態となる。単純にHPやちから(攻撃力)が高くなるだけでなく、ノセノセしたミラージュのアビリティが使えたり、同じアビリティを持ったミラージュ同士だと「ファイア」が「ファイラ」や「ファイガ」にパワーアップするといった相乗効果も狙えるようになっている。
本作では属性もかなり重要な要素となっているため、炎属性の攻撃をしてくる敵が多い場合は、炎に耐性のあるミラージュたちをノセノセするといった工夫が重要だ。その場合も、炎が弱点だが有用なアビリティを持つミラージュと炎に完全耐性のあるミラージュを組み合わせれば、炎が弱点にならずに目当てのアビリティが使える状態にできるし、炎に25%の耐性を持つミラージュを2体ノセノセすれば50%の耐性に強化される。使いたいアビリティを重視するか、属性耐性を重視するかなど、状況によって組み合わせのパターンはいくつも考えられる。
基本的には「ノセノセすれば強くなる」と言えるが、メリットだけではない。戦闘中に敵から攻撃を受け続けたりすると、バランスを崩して“バラバラ”になってしまい、一定時間動けないといったデメリットが発生する。ここでも、バランスが崩れてきたらアイテムを使って安定を取り戻すのか、いったん自分からバラバラになって再度ノセノセするのかなど、取れる選択肢は多い。常に最善の手を打たなければ勝てないほどの難しさではないが、突き詰めていくと奥が深い作りは魅力的だ。
バトルで気になる点を挙げるとすれば、敵・味方ともに行動が終わったあと、次の行動ができるまでの間が若干長めな点だろうか。デフォルトの操作だと「R1」ボタンを押しっぱなしでバトルの時間経過を早くできるため、操作に慣れてしまえばそれほど気にならないが、この機能を使わないとバトルのテンポが遅く感じるかもしれない。
ミラージュたちのレベルが上がるとSPと呼ばれるポイントを消費してアビリティを修得させることが可能だが、なかには戦闘ではなく、ダンジョン攻略で役立つものも存在する。「トコトコ」アビリティを覚えるとあとをついてきてくれるようになり、通常では見えないダンジョン内の掘り出し物を見つけてくれることがあるのだ。
ほかにも、「もえもえ」によって道をふさぐ氷を溶かしてくれたり、「バサバサ」で少し離れた場所まで連れて行ってくれることも。ダンジョン内のスイッチを押すために、特定の属性耐性と“おもさ”を持ったミラージュが必要な場面もあるため、バトルに限らずミラージュ集めが攻略のカギとなってくる。
ゲームが中盤あたりまで進むと、セイヴァー召喚やアバターチェンジシステム、メガミラージュ召喚といったシステムも解放されていく。セイヴァー召喚は、ストーリー上で出会った歴代の「FF」キャラクターたちを召喚できるというもの。召喚には、随所で手に入るアルマジェムを集め、ナイン・ウッズヒルから行ける“少女の部屋”でセイヴァーメダルと交換する必要がある。
手に入れたセイヴァーメダルは、メニュー画面からセットすることで、戦闘中に使用できるようになる。ただし、セイヴァー召喚にはバトル中に溜まるゲージが必要になる。いつでも使えるわけではないため、いざというときの切り札として使うことが多いだろう。
セイヴァーメダルと同様、アルマジェムで交換できるセヴァストーンを手にれると、ラァンとレェンを歴代「FF」キャラクターの姿にすることも可能だ。これはメニューのミラストーンからセットすることで、見た目の変化以外に特殊なアビリティが使える効果がある。ただし、こちらも効果が強力な代わりに、セイヴァー召喚や後述のメガミラージュ召喚が使用できないといった制限がある。歴代「FF」キャラクターになりきって楽しむことはできるが、強敵とのバトルでは各種召喚とアビリティどちらを取るか選択する必要が出てきそうだ。
メガミラージュ召喚は、Lサイズを超える特大サイズのミラージュを仲間にしたうえで、ラァンとレェン2人分のAPがたまっているときに限って実行できる。同じメガミラージュは1戦闘につき1回だけ召喚でき、メガミラージュ自身のHPかラァン、レェンのAPが尽きるまでバトルに参加してくれる。ただし、召喚終了後は2人のAPが切れた状態になるため、発動タイミングが重要となってくるだろう。
バトルに関わるところ以外では、エンディング後に楽しめる要素としてノクティスと一緒に釣りをするミニゲームもある。スコアが記録されるためハイスコアを目指してみたり、ミニゲーム解放ではノクトとどのような出会いをするのかといった点にも注目してほしい。
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