カプコンは6月25日、「モンスターハンター頂上大会2017」の決勝大会を東京ビッグサイトにて開催した。ここでは、ニンテンドー3DS用ソフト「モンスターハンター ダブルクロス」の全国大会である「親子ハンター・女子ハンター日本一決定戦」と、「狩王決定戦」の決勝大会の模様をレポートしていく。
「親子ハンター・女子ハンター日本一決定戦」では、共に優勝チームが圧倒的な速さを見せつける
全国の6都市で行われた大会を勝ち抜いてきたチームに加え、当日開催された予選で好タイムを記録した、凄腕のハンター達が集結した本大会。「親子ハンター・女子ハンター日本一決定戦」では、各地区の代表する6チームに、当日予選を勝ち抜いた2チームを加えた、全8チームが出場。4チームごとに一斉にクエストに挑戦し、もっとも早いタイムを記録したチームが優勝者となるというルールだ。
先に行われた「親子ハンター日本一決定戦」は、ハンターの頼れる相棒・アイルーを操作するニャンターモードで、「ドスマッカォ」「ホロロホルル」「ディノバルド」の討伐に挑むことになる。
東京代表「ビリビリ」、名古屋代表「燼滅刃ディノり隊」、福岡代表「ニャンニャンジャー」、大阪代表「明朝体」の4チームによって行われた1戦目は、「ビリビリ」が回復・ガード、「燼滅刃ディノり隊」が回復・回復、「ニャンニャンジャー」がファイト・回復、「明朝体」が回復・ビーストという、回復を中心とした構成に。
最初にドスマッカォを討伐して頭一つ抜けでたのは「ビリビリ」で、今回のチャレンジはモンスターを討伐すると一定時間後に次のモンスターが出現する大連続狩猟クエストとなっていたのだが、モンスターが現れるまでの時間にカードでポージングを取り、客席を楽しませる余裕も見せていたほどだ。
しかしその後には2人のブーメランで麻痺をさせた後、シビレ罠を設置して一気にホロロホルルを倒した「燼滅刃ディノり隊」が猛烈な追い上げを見せる。しかも「燼滅刃ディノり隊」は、ホロロホルル戦でしっかりとSP状態となるためのゲージを温存しており、最後のディノバルド戦では開幕して早々に猛攻をかけることで、ステージ上での最速のクリアに成功する。
仙台代表「剣盾」、札幌代表「激撃ち君」、当日予選を勝ち抜いたチームとして「まつもの父娘」、「Sol Naciente」が競い合う2戦目では、「激撃ち君」チームが会場の視線を釘付けに。ジャストカードで咆哮をガードしながら頭部を狙った攻撃で気絶を与えたり、攻撃の結果行われる移動によって位置調整をしたところにシビレ罠を設置するという、細かい一つ一つの動作にもやりこみを感じさせるプレイで、ディノバルドを完全に封殺。
あまりの一方的な展開に、思わず解説を担当していた小島プロデューサーから、「もうやめてやれよ~」という、ディノバルドに同情するコメントが漏れていたほどだった。
一方の女子ハンター決定戦は、ホロロホルルとブラキディオスと連続狩猟に挑戦するクエストがお題となっており、東京代表「俺の先輩ティガレックス」名古屋代表「サティスファクション」福岡代表「*Carry tail*」、大阪代表「T・B・H」の4チームが挑戦。
ほんとどのチームが攻撃力に優れた大剣を含めた構成を選択する中、一際会場を沸かせていたのがライトボウガン・大剣のコンビである「俺の先輩ティガレックス」チーム。最初に登場するホロロホルルを眠らせている間にライトボウガンが段差のある位置へと移動すると、反動を利用して同じ位置取りを維持したまま、何度もジャンプ撃ちを連続で命中させ、ダメージを与えていく。さらにホロロホルルが位置を変えようとするのと同時に自分から近づき、貯めていた乗り値を利用して乗り状態に移行するという効率的なプレイには、客席から一際大きな歓声が上がっていた。
最後の挑戦となったのが、仙台代表「gralis」、札幌代表「狩猟笛と結婚することが弓」、当日の予選を勝ち抜いた「ガーグァフェイス」と「狩鳥風月」の4チーム。
序盤から大きく他チームをリードしたのは、ハンマー・ガンランスという組み合わせで挑む「gralis」で、ホホロホルルの頭部だけを的確にハンマーで狙い続け、あっという間に気絶へと追い込んだかと思えば、ほぼ行動を許す間もなく倒しきるテクニックはまさに圧巻。その後にも、相方が乗り状態となることが分かっていたかのように、相方の攻撃が当たる瞬間にピタリと攻撃を止めるなど、乗り値すらも完全に計算され尽くしたプレイで、圧倒的なスピードでのホホロホルルとブラキディオスの討伐に成功し、客席からもどよめきが沸き起こることに。
辻本プロデューサーも「すごすぎて言葉が見つからない」と驚愕していたほど、完璧としか言えないプレイは「gralis」の二人にとっても会心の出来だったようで、討伐の瞬間には熱い抱擁を交わすという光景も繰り広げられていた。
なお全試合が終了した後に行われたタイムの集計の結果、それぞれの部門で1位に輝いたのは、共にステージ上でも最速クリアで会場を沸かせていた札幌地区代表「激撃ち君」と、仙台地区代表「gralis」の2チーム。
そのタイムは「激撃ち君」チームが7分16秒08、「gralis」が4分24秒31と、それぞれの部門で2位につけた「燼滅刃ディノり隊」の8分51秒50、「俺の先輩ティガレックス」チームの6分31秒38 をどちらも2分近くも上回るという圧倒的な記録。特にgralisが記録した4分24秒31というタイムは、これまでの自己ベストを上回る記録でもあったそうで、大舞台での強さを見せつけていた。
狩王決定戦は、数秒の差が命運を分ける激戦の連続に
続いて行われた狩王決定戦では、全国各地から集まった17チームに、当日予選を勝ち抜いた3チームを加えた全20ものチームが集結。1回戦では、その中からたった4組だけが準決勝に進出できるという厳しいルールの中、激戦が繰り広げられた。
今回のクエストの討伐対象となるガムートは、かなりの耐久力をもつモンスター……のはずだったが、それぞれのチームが細かいテクニックを確認する暇もなく、凄腕のハンターたちによって瞬く間にガムートが討伐されていく。使用武器としてもっとも人気が高かったのはチャージアックスで、Wチャージアックスの他、狩猟笛を交えた編成も多く選ばれていた。
なお、1回戦を通過した上位4チームとそのタイムは以下の通りだ。
準決勝進出チーム
1位:1:54:46 ミツネ系男子
2位:1:55:95 chubby boys
3位:1:56:41 Unshakable
4位:1:57:56 狩*狩
続く「ライゼクス」と「タマミツネ」の連続狩猟が目的となる準決勝では、4チーム中クリアタイム上位の2チームが決勝に駒を進めることができる。
実は4位通過の「狩*狩」と2位通過の「chubby boys」の2チームのメンバーは、「モンスターハンター3G」のモンハン部カップの時、チームメイトとして優勝したことがあったという間柄らしく、対戦前には「チームは別々になっても、こうして同じ舞台に立てることが嬉しい」とその喜びも明かしていた。
大剣・ライトボウガンを選択した「chubby boys」以外、全て大剣・大剣という武器構成の中でスタートしたクエストは、ライゼクスの強力な攻撃によって「狩*狩」と「chubby boys」が互いに1落ちずつしてしまうという波乱の幕開け。その中一際順調なペースで狩りを進めていたのが「Unshakable」で、左右にステップしながら的確に頭部に溜め斬りを繰り返し当てていくという連携を完璧に決めていく。ライゼクスの攻撃を受け、ひやりとしてしまう場面もあるも、ギリギリの体力で踏みとどまり、時間短縮のため回復を行わずに戦うという紙一重のスタイルも功を奏し、4分29秒76という好タイムを記録。他チームを大きく上回る、1位での決勝進出に成功していた。
準決勝結果
1位:4:29:76 Unshakable
2位:5:45:01 狩*狩
3位:5:47:00 ミツネ系男子
4位:7:13:08 chubby boys
奇しくも、共に東京地区を勝ち抜いてきたチーム同士である「Unshakable」と「狩*狩」による対決となった決勝戦。ここでのクエストは、「ディノバルド」、狂暴走状態の「ディアブロス」、「バルファルク」3体を連続狩猟するという、並のハンターではクリアするだけでも非常に困難な内容になっている。
両チームともに、「落とし穴」などの多くのアイテムを所持し、レンキンスタイルによるサポートが可能な狩猟笛と、「大タル爆弾」などのアイテムから気絶を狙った攻撃面まで汎用性の高いランスという組み合わせをチョイス。
先にリードを作ったのは「狩*狩」チームで、乗り攻撃で早々にダウンを奪うと、アイテムを惜しみなく使って動きを封じつつ、頭部へと攻撃を集中させ、あっという間にディノバルドを討伐。合間の時間には、レンキン気合玉などのアイテムを作成して準備を進めるなど、抜け目ないプレイを見せる。
対する「Unshakable」もすぐにそれに追いつくも、続くディアブロス戦では両チーム共に2落ちを喫するなど苦戦してしまう。それでもディノバルドでのリードを生かした「狩*狩」は冷静に状況を立て直し、最後に出現するバルファルク相手に、ジャストガードで大タル爆弾の爆風を防ぎつつ、ガードレイジを発動させるという鮮やかなテクニックも披露。客席からはどよめきに近い歓声が沸き起こる中、颯爽とダウンを奪うと、瞬く間に頭部に攻撃を集中させ、ほぼ攻撃の隙を与えないままバルファルクを討伐することに成功する。
最終的なクリアタイムでは、「狩*狩」が11分5秒66、「Unshakable」が15分23秒61と、「狩*狩」が圧倒的な強さを見せつける結果となり、「狩王」の称号と優勝賞品となっていた「特製剥ぎ取りナイフスペシャルトロフィー」を、見事手にすることとなった。
実は「狩*狩」は、それぞれの地区で行われていた「モンスターハンター ストーリーズ」絆王決定戦の名古屋地区大会でも絆王となっており、「ストーリーズ」と「ダブルクロス」という異なるタイトルでの2冠という偉業を達成することに。決勝戦では、ディアブロス戦で練習ではありえなかったミスをしてしまっていたそうだが、相方がすぐに的確なフォローをしてくれたおかげで優勝することができたという、まさにチームの「絆」を感じさせるコメントも飛び出していた。
ステージのラストには、シリーズプロデューサーの辻本良三氏をはじめ、プロデューサーの小嶋慎太郎氏、ディレクターの市原大輔氏、メインプランナーの平岡拓朗氏、プランナーの土谷昇氏と、大会の解説を努めた開発スタッフの面々が全員登壇。
その中で辻本氏は「『モンスターハンター』シリーズとしては、もう10年くらい大会をやっていますが、その度に主役であるプレイヤーの方々に、素晴らしいプレイを見せていただけていることに本当に感謝していますし、今回の大会を開けてよかったとも思っています。この後はNintendo Switch版も発売されますので、まだまだ『ダブルクロス』を遊び尽くしてもらえれば」と挨拶し、数々の熱戦が繰り広げられた大会を締めくくっていた。
なお、イベント終了後「モンスターハンターダブルクロス」プロデューサー・小嶋慎太郎氏と、ディレクター・市原大輔氏に、本大会を終えてのコメントを頂くことができたので、そちらも合わせて掲載する。
小嶋慎太郎氏・市原大輔氏コメント
――今、大会を終えてのご感想は?
市原氏:いろいろなドラマが今年も生まれて良かったなと。僕にとっては本作が初めてディレクターをさせていただいた作品ということもあり、感無量な部分も多かったです。これからも自分の作るものをいろいろなユーザーの人に楽しんでいただけるよう、努力をしていかなければならないなと感じました。
小嶋氏:ステージ上でも言いましたが、とにかく「感謝」という気持ちが強いですね。狩王になった人たち以外も、それぞれに忙しい中、たくさんの時間を費やして「モンスターハンター」をプレイしてくれているのはすごく感謝していますし、嬉しいことだと思っています。
今回は「ダブルクロス」だけでしたが、各地方会場では「ストーリーズ」の絆王決定戦などもやっていて、「モンスターハンター」シリーズとしての広がりも見せることができたかなと。8月のNintendo Switch版を始め、まだまだシリーズとして色々な展開をしていきますし、ユーザーの方々からも色々な可能性を見せていただいた、いい大会だったと思います。
――会場で多くのユーザーさんが体験されていた、Nintendo Switch版の感想を聞かれたりもしましたか?
小嶋氏:そういう時間がなかったので、逆にこっちが訊きたいくらいです(笑)。家ならTV、外なら携帯モードといったように、いろいろなシーンに合わせて遊べるのはSwitch版の魅力ですし、たくさんの皆さんに触っていただくのは初めてだったので、後で感想を見るのが楽しみですね。
市原氏:3DS版の「ダブルクロス」からセーブデータを引き継いでプレイしてもらうと印象がガラリと変わると思うので、既に3DSでプレイされている方々からの感想も気になっていますね。
――色々と記憶に残るプレイが盛りだくさんとなっていましたが、その中でも一番印象に残ったシーンはどれでしょうか?
小嶋氏:いろいろありますが、一つを挙げるなら狩王決定戦ラストで、バルファルクの首の骨が折れるんじゃないかと思ったくらい殴られていたシーンですかね。でも他のシーンもすごくて、女子ハンターでブラキやホロロの頭が延々と狙われるところなども舞台裏で見ていたのですが、「誰か頭痛薬を買ってきて!」と話していました(笑)。皆本当に上手でしたね。
市原氏:今回はどの部門も決勝まで上がってきたプレイヤーの方々でしたから、魅せ方も心得てくれていますし、「おっ」と思うプレイは非常に多かったですね。中でも印象に残ったのは狩王の決勝戦で、作戦もしっかり立てて、何百、千回と繰り返したにも関わらず、練習通りにいかなかったというコメントを聞いて、あらためて大会って面白いなと思いました。
小嶋氏:逆に女子ハンターの方は自己ベストを更新していたりね。何より僕たち自身も楽しませてもらったので、改めてそれぞれの視点をゆっくり見たいですね。お酒でも飲みながら、土谷くんに解説をしてもらって(笑)。
――優勝した「狩*狩」は、絆王に続いての2冠となりましたが、2冠を達成するチームが出ることは予想していましたか?
小嶋氏:いや、まったく予想していなかったですね。どのチームが上がってきてもおかしくない強豪揃いだと思っていたので。実は彼らは、以前にモンハン部カップで優勝した頃から、狩王の称号をずっと欲しがっていたんです。そこから絆王と狩王の両方をとるくらい、「モンスターハンター」に対する熱い想いを持っていただけているというのは、本当にありがたいですね。
――決勝大会には、各地区の大会に出場されたチームが見に来られたりもしていましたね。
市原氏:当日の予選枠から上がってきたチームが、地方で惜しくも出場を逃していたチームだったりすることに気づくと、熱い想いを感じて見ている側も応援したくなります。
小嶋氏:皆にどうだったか感想を聞きたいですね。できれば一緒に打ち上げに参加して一人一人に一杯ずつ奢ってあげたいくらいだけど、人数がすごいからあくまで気持ちとして(笑)。とにかく今は参加してくれた人たち全員に「お疲れ様」と言ってあげたいです。
――ありがとうございました。