11月4日、「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~つはものどもがゆめのあと~」がTOKYO DOME CITY HALLにて上演開始。ここでは同日に行われた公開ゲネプロについてお届けする。
名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”を収集・育成する シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」のメディアミックス作品である「ミュージカル『刀剣乱舞』」。第1部がミュージカル、第2部がライブの2部構成となっており、2016年5月にはトライアル公演をパワーアップさせた「阿津賀志山異聞」、同9月には「幕末天狼傳」、2017年春には3作目となる「三百年(みほとせ)の子守唄」を上演し、海外公演でも大盛況を収めている。
2017年11月から2018年1月まで東京・京都・大阪の3都市で行われる新作「つはものどもがゆめのあと」には「阿津賀志山異聞」で出陣した刀剣男士のうち、三日月宗近、小狐丸、岩融、今剣の4振りが再登場。源氏の重宝といわれる髭切、膝丸の二振りも加わり、平安末期~鎌倉初期を舞台に刀剣男士の活躍や葛藤を描く。
まずはゲネプロを控え、三日月宗近役・黒羽麻璃央さん、小狐丸役・北園涼さん、岩融役・佐伯大地さん、今剣役・大平峻也さん、髭切役・三浦宏規さん、膝丸役・高野洸さん、演出・茅野イサムさんが本作への意気込みを語ってくれた。
黒羽さん:刀剣男士は歴史を“守る”ものだと思ったのですが、今回の内容は1部・2部共に“攻め”の姿勢を持っているので、今までの3タイトルとはまた違ったいい味を出せているのではないかと思います。これからゲネがありますけど最後ぴしっと決めて、きっと審神者の皆さんは良い物を作ってくると思っているでしょうが、その遙か上をいく作品を届けたいと思っていますのでよろしくお願いします。頑張ります。
北園さん:シンプルに緊張しています(笑)。ただ、本当に新作は楽しみにしていましたし、阿津賀志山異聞を経て僕たちが刀剣男士としてどれだけ成長してきたのかがこの作品に込められていますし、幕末天狼傳や三百年の子守唄に負けない作品になっていると思います。初日のお客様の反応が楽しみです。応援のほどよろしくお願いします。
佐伯さん:僕ら三条派の皆は刀剣男士歴が長いので、刀剣男士としても人としても役者としても、苦楽を共にしてきた仲間を心強く思っています。舞台上では冷静に精一杯演じて、新たな自分、新たな刀剣男士に出会えるような、そんな舞台にして、最高傑作と言われるような刀剣乱舞ミュージカルにしたいと思っています。よろしくお願いします。
大平さん:僕は「今剣」という義経公の守り刀ということで義経の歴史を調べたりしたんですけど、今回の台本や稽古を通して「もしかしたら歴史って、こういうこともあったんじゃないかな」というのを感じました。実際に見た人がいるわけではないので誰も証明できませんが、色々な伝説、(義経が)チンギス・ハーンだったんじゃないかという説もあって、そんな中でこの公演が100年後、200年後に義経の新たな歴史として残ったらいいなと思います。皆さんぜひ応援のほどよろしくお願いします。
三浦さん:今ここにこうして刀剣男士として立てているのは、刀剣乱舞という作品にすごく憧れていたので夢のような感じがしています。客席で見ていた憧れの先輩方と共に、そして新しく弟と僕の二振りが入るので、胸を借りながらも一生懸命食らいついて最高の初日にしたいと思います。よろしくお願いします。
高野さん:見所の多い作品で、その分課題がすごく多くて、苦戦したりもしたんですけど、刀剣男士として歴史の長い4人にすごく優しくしてもらって今日までこれました。初日で緊張していますが精一杯頑張りますので、千秋楽までしっかり頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
茅野さん:トライアル公演から丸二年が経ちまして、一番驚いたのは三条のメンバーの二年間の成長ですね。僕が驚いたくらいなのでお客様はびっくりしてくださると思います。彼らの役者としての個人の成長が、この本丸の刀剣男士たちの成長と重なっているなと思いながら稽古してきました。
それから我らの本丸に新たにお迎えした髭切・膝丸の二振りなんですが、彼らはゴールデンルーキーで物凄く図太くて(笑)、良い意味で物怖じせず稽古場で躍動しておりました。新人を先輩が見守ったりリードしたりしていて、そういう意味でも良い稽古場だなと思いました。ただ彼らはお芝居についてはまだまだキャリアは短いのですが、歌やダンスは先輩たちを凌駕するくらいのスキルを持っていて。佐伯は教わったりしてたんだよね?
佐伯さん:僕は振りを教わってましたね(笑)。
茅野さん:そんな感じで、この二年間の刀剣乱舞の充実度をすごく感じながら稽古をしていました。内容は詳しいことは言えませんが、一言で言うなら「衝撃作」です。今まで踏み込んでいかなかった刀剣乱舞の深い世界に今回は踏み込んでいきます。見に来てくださった方も驚かれるんじゃないかなと。でも、これも刀剣乱舞だと胸を張ってお見せできる作品になっていると思います。幕が開けるのをワクワクしていますし、皆さんに早く見ていただきたいですね。よろしくお願いします。
今剣を隊長に、時間遡行軍との戦いへ
小狐丸の華麗な舞や、源義経一行が関所を抜ける様を歌舞伎にした「勧進帳」を今剣・岩融が練習する光景から幕開けした第一部。時折、髭切に名前を忘れられても甲斐甲斐しく兄に寄り添う膝丸や、あまり細かな事を気に留めない部分がどことなく似ている髭切と三日月宗近がさっそく意気投合する様子が描かれ、和やかな雰囲気が続く。
そんな空気を断ち切ったのは髭切と膝丸による「双つの軌跡~となり~」で、呼吸のぴったり合った対のパフォーマンスをしっかりと会場中に見せつける。そんな中、髭切と膝丸へ三日月宗近・今剣に対する密命を下す審神者。一方、三日月宗近は今剣へ義経の最期について尋ね、密命を知った小狐丸は三日月宗近へわずかに疑念を抱き、岩融は髭切・膝丸と今剣の出会いにどこか難色を示していた。少しずつ物語の歯車が動き出したところで、審神者が部隊を招集。時間遡行軍が鎌倉幕府の成立に狙いをつけたため、自ら志願した今剣を隊長に据えて平安末期~鎌倉初期へ向かうこととなる。
全キャストによるメインテーマ曲「刀剣乱舞」で一気に熱気を帯び、刀剣男士は源頼朝が挙兵した1180年(治承4年)の伊豆へ。襲い来る時間遡行軍をなぎ倒しながら、敵が狙うであろう頼朝と義経を守るために刀剣男士も二手に分かれる。
頼朝の挙兵を知り、加勢を願い出る藤原泰衡を宥めて平泉から兄の元へと向かおうとする義経を見守る今剣と膝丸。しかし三日月宗近は一人部隊を離れ、密かに泰衡と接触していた。美しい舞と合わせて披露した「この花のように」には誰もが見惚れてしまうだろうが、三日月宗近の行動には疑問が残る。
頼朝の元へ向かった岩融は小狐丸に今剣を案じる胸の内を明かし、そんな様子を前にした小狐丸もまた主たる審神者に思いを馳せていた。さまざまな想いを抱えながらも刀剣男士たちは時間遡行軍を退け、ついに頼朝と義経は合流を果たす。殺陣シーンではキャラクターによっては舞のように優雅であったり、足技が冴えたりと個性が現れるのでこうした点にも注目だ。
義経の運命と共に紐解かれる“刀剣男士”という存在
時代は流れ、源平合戦へ。ここでは刀剣男士が歌う「散るは火の花」の歌詞と共に、戦いの歴史を辿っていく光景が見もの。「平家物語」の語りから始まり、義経が崖を駆け下りたという「一の谷の戦い」、那須与一が彼方の扇を射抜いたという「屋島の戦い」、平家が滅んだ「壇ノ浦の戦い」を映像と合わせてアンサンブルがしっかりと再現。かくして源氏は勝利するが、物語はついに義経と頼朝の争いへと移っていく。
源平合戦が終結する間際に単身、頼朝へ会いに行く三日月宗近。小狐丸はこれまでの三日月宗近の行動から不満を露わにし、審神者の意思に反するのであれば斬るという決意を固める。一方、頼朝から鎌倉に入る許しを得られなかった義経は、山伏に扮して弁慶と逃亡。やがて岩融と今剣が本丸で演じた「勧進帳」と同じ場面が、今度は義経と弁慶によって再現されてしまう。義経を思うがゆえに無体を働く弁慶、受け入れる義経、すべてを分かっていながらも見逃す富樫左衛門による迫真の演技は、分かっていても思わず手に汗握ってしまうだろう。
正しい歴史であれば、この先に待っているのは義経の死だ。刀剣男士たちが時間遡行軍と戦うのも、その結末を迎えるため。しかし、つい「本当にこのままでいいのだろうか?」と思わずにいられないのが本作の見どころ。審神者の思惑、三日月宗近の行動の真意、岩融の抱える複雑な想い、死にゆく義経を前にした今剣は一体どのような行動を取るのか……あわや仲間割れかという雰囲気も拭えず最後まで目が離せない。すべてを見終わった後、きっと会場を訪れた審神者は“刀剣男士”という存在について改めて考えたくなるはずだ。
ミュージカルらしい歌やダンスは勿論、迫力の殺陣まで堪能できる本作。刀剣男士と史実の絡みも見逃せないポイントで、歴史上での有名なエピソードが次々と披露されるため知っておけばより深く楽しめるだろう。とくに中心となる義経はシーンによって衣装がこれでもかというほど変わる徹底ぶりで、こうした細やかな演出が見る者をその時代へと誘ってくれる。そしてこれまで色々な作品を観劇した人であれば、本作のアンサンブルのクオリティの高さにも驚くのではないだろうか。刀剣男士たちへの注目は言うまでもないが、それ以外に目を向けても十分面白いだろう。
第二部のライブも単純に歌を披露するだけでなく、宝塚歌劇団のレビューのようなイメージでさまざまな演出が用意されている。第一部のシリアスな空気を良い意味で綺麗さっぱり壊してくれるのは勿論だが、なかでも見どころは本作初登場となる髭切・膝丸の両名だ。茅野氏のコメント通り他の刀剣男士に負けないくらいのキレを見せつけてくれるので、これまでのミュージカルを観劇したファンも大いに期待してほしい。
(C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
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