コーエーテクモゲームスより2017年12月21日に発売されるPS4/PS Vita/Nintendo Switch用ソフト「リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~」のプレイレポートをお届けする。

目次
  1. 過去2作を経て洗練されたゲームサイクル
  2. やりこみ要素も含めてシンプルに整理された調合
  3. 日常と非日常を表現する世界観、そして子供らしいリディーとスーの姿に注目

ガストブランドを代表する「アトリエ」シリーズの20周年記念タイトルとして制作が進められてきた「リディー&スールのアトリエ」。「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~」「フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~」と続く、「不思議」シリーズの最新作にして、集大成と位置づけられている本作は、さまざまな要素からシリーズを通じてのブラッシュアップを感じられる内容となっている。

発売に先立ち、製品版を一足先にプレイ。序盤のゲーム内容から感じることのできた確かな進化の手応えと、その中で絵画をテーマとした「リディー&スールのアトリエ」が持ち得る魅力について紹介していきたいと思う。

過去2作を経て洗練されたゲームサイクル

これまでの「不思議」シリーズ2タイトルを振り返ると、キルヘン・ベルにアトリエを構えて活動した「ソフィーのアトリエ」テント型のアトリエを携えて各地を旅していった「フィリスのアトリエ」と、まったく異なるゲームサイクルを楽しむ内容となっていた。

そして今作「リディー&スールのアトリエ」は、「ソフィーのアトリエ」のプレイフィールを踏襲しつつも、「フィリスのアトリエ」で新たに追加された要素をミックスすることで、さらにゲームとしての遊びを広げている。各要素を整理して紹介していこう。

エピソード単位で楽しめる、“国一番のアトリエ”を目指す物語

リディーとスー(スールの愛称)は、アダレット王国の首都メルヴェイユにアトリエを構える錬金術士のロジェを父に持つ双子の少女。二人が持つ夢は、“国一番のアトリエになる”ということ。

そこで2人が目をつけたのが、王国が新たに創設した「アトリエランク制度」。アトリエの実力に応じてランクを定めるというこの制度で最高ランクになることを目指すというのが、本作における明確な目標となっている。

当然ストーリーを進めるためにはアトリエランクを上げることが必須となるが、そのためには王国から出される試験に合格する必要がある。また試験を受けるために王城前広場の掲示板から依頼を受けるなどして、アトリエの評判を上げることが不可欠だ。

そこでスーが用意したのが、アトリエの評判を上げるための秘策をまとめた“野望ノート”。これがゲームを進める上での指標となっていく。採取にバトル、調合とやることは多いが、ストーリー進行に応じて行動の方針はおおよそ定まっており、時間制限も用意されていないので、時折寄り道を楽しみながら自分のペースで進められるはずだ。

ちなみに、本作は「不思議」シリーズでは初となる、エピソード毎に話数が区切られた進行になっている。各話の長さは実際のゲーム進行にもよってくるため一定ではないが、プレイを進める中での目安になってくるのではないだろうか。

「ソフィーのアトリエ」にあった移動マップも復活。イベントの発生などもこれで一目瞭然だ。

マップ表現の広がりと採取のバリエーション

広大なフィールドを探索するという性質上、「フィリスのアトリエ」ではマップ表現の進化を感じることが多かったが、そのフィードバックが今作にも息づいている。

結果的に今作では「ソフィーのアトリエ」のように各マップ単位で探索するという形式に戻ったが、探索でできることの幅はそのまま残っており、目的に応じた採取が楽しめるようになっている。

また、岩や木からの採取ではボタンを連打することで連続して行動してくれるなど、細かな配慮が嬉しいところ。何度も繰り返し足を運ぶ場所だからこそ、ゲームのスピードアップという点でも重宝しそうだ。

本作では、ゲーム全体としての大きな流れは用意されているものの、そのチェックポイントに至るまでは、比較的自由な探索や調合を楽しめる設計となっている。プレイヤーごとのスタイルが表れてくる部分だと思うが、その特色が顕著に見えてくるのが次に紹介する調合だ。

やりこみ要素も含めてシンプルに整理された調合

「不思議」シリーズを通じて継承されてきた“パネル調合”。そのベースが作られた「ソフィーのアトリエ」、“触媒”により選択できる効果の幅が広がった「フィリスのアトリエ」を経て、「リディー&スールのアトリエ」では入り口はよりシンプルに、その上で調合の幅を広げるかたちに再構築されている。

最初に作りたいアイテムのレシピを選んで、その後に材料を選択という一連の流れはそのままだが、今回はパネル調合そのもののシステムがより明瞭になっている。プレイヤーが意識するのは、材料毎の成分ピースを用意されたパネルに置いていくことだけ。ピースと同じ色の効果ゲージが増えていき、効果ゲージが一定の長さまで達すると新たな効果が発現する。色の付いた枠に同じ色のピースをはめるとボーナスが発生するので、材料選びの際はピースの形状も意識したいところだ。

また、今回はプレイ冒頭からピースの回転も可能となっており、パネルを埋める上でのハードルも下がっている。これまでも直感的に遊びやすいシステムではあったが、さらに構造的にも理解しやすくなっており、調合が苦手という人もすぐに楽しめるはずだ。

もちろん、調合をやり込みたいユーザーが楽しめる要素として、前作にも登場した触媒、そして今作で新たに用意されている活性化アイテムがあるが、それらはゲーム進行に応じて開放されていく。今回は触媒を使うことができたので簡単に紹介しておこう。

触媒は材料を選ぶ前に錬金釜に投入することで、パネルの大きさが変動するほか、条件を満たすことで効果が得られるボーナスマークの発生などの恩恵が得られる。ボーナスマークとして出現する絵柄は、効果ゲージ側にもあらかじめ設定されているので、より効果をアップさせたい時などに活用してみるといいだろう。

ちなみに、触媒が材料の投入前にその効果を引き上げるものであれば、活性化アイテムは調合中の状況を一気に変化させる、まさに一発逆転の要素になっている。このように調合の結果に影響を与える要素がそれぞれに分離されることで、使用するかどうかの選択の有無も含めて、判断しやすくなっているのが今作での大きな特徴と言えそうだ。

レシピはさまざまな条件下で発想する。レシピノートをチェックしながら、どんどん修得していこう。

バトルシステムについても触れたいところではあったが、今回のプレイでは基本的な戦闘の流れ程度に留まった。リディーは杖を武器としており通常攻撃で与えられるダメージは少ないが、その分戦闘中に使える調合アイテムの幅が広い。一方のスールは銃を武器に連撃でダメージを与えることができ、スキルの使い勝手も良い。

そこにほかのキャラクターが加わっていくと、前衛と後衛に分かれて戦う「コンビネーションバトル」やバトル中に調合できる「バトルミックス」といった、本作独自の要素が活かされることだろう。

最初にパーティに加わるマティアスは、防御力がアップするとともに攻撃を引き付けるスキル
「アクセルガード」を持っており、盾役として活躍してくれる。

日常と非日常を表現する世界観、そして子供らしいリディーとスーの姿に注目

これまでは主にゲームのプレイ部分に触れてきたが、筆者が思う本作を最も表している要素は、「アトリエ」シリーズおなじみの日常と、絵画の世界を冒険する非日常が混ざりあった世界観だ。

日々の営みを感じさせるイベントの数々、その中でリディーとスーが仲間たちとともに入ることになる絵画の世界は、そのグラフィック表現の幅も含めて、これまでの「アトリエ」シリーズとは一味違ったプレイフィールを我々にもたらしてくれる。特に序盤では郊外のマップでの採取やバトルが主体となるため、絵画の世界に飛び込んだ時はその違いをより一層感じられるはずだ。

そして今作の主人公であるリディーとスーは、これまでのソフィーやフィリスとはまた違った、双子ならではの距離感の近いやり取り、そして年相応の幼さを感じさせる。また、「フィリスのアトリエ」から登場しているイルメリアが今作で2人の師匠となるが、言葉の節々に見えるその優しさを2人が素直に受け止める姿が印象的だ。

こうした出会いや経験を経て、彼女たちが“国一番のアトリエ”を目指す先にどのような展開が待っているのか、一人のファンとしてプレイを楽しみにせずにはいられない。

リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~

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  • 発売日:2017年12月21日
  • 12歳以上対象
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  • 12歳以上対象
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