2018年2月21日にコナミデジタルエンタテインメントから発売予定のPS4/Xbox One/PC用ソフト「METAL GEAR SURVIVE」。その発売も間近へと迫る中、シングルプレイモードを一足先に体験することができた。そのインプレッションをお届けする。
「グランウド・ゼロズ」の後、ワームホールに飲み込まれた兵士たちの物語
ステルスアクションの金字塔として、全世界で圧倒的な人気を誇る「METAL GEAR」シリーズ。「METAL GEAR SURVIVE」は、「METAL GEAR SOLID V グラウンド・ゼロズ」のエンディングにて発生したワームホールに飲み込まれ、異形のクリーチャーが跋扈する世界へと転移した兵士たちの視点が描かれる、「METAL GEAR SOLID V」から派生したスピンオフ作品となっている。
本作には主にCO-OPプレイとシングルプレイの二つのゲームモードがあり、CO-OPプレイのインプレッションは前回掲載した(https://www.gamer.ne.jp/news/201708220002/)。今回は、いままで全貌が隠されていたシングルプレイモードを初めてプレイすることができた。
シングルプレイはワームホールにのみ込まれた仲間達を救い出すため、プレイヤーは異世界に単身乗り込む形で物語がスタート。そこでプレイヤーが遭遇したのは、異形の怪物「ワンダラー」と化した人間達と、プレイヤーが所属する「国家にも帰属しない軍隊」と対立していた「XOF」の兵士である「Reeve」。プレイヤーは、先に異世界に到着していた先遣隊が音通不信となっていることを知り、その謎を先遣隊の残したAI・「バージルAT-9」らと共に探っていくことになる。
しかし、世界を調査しようにも、当初のプレイヤーは異世界に到着したばかりで、何も装備を所持していない状態だ。この状態で歩き回ったところで、ワンダラーはおろか、群生してる野生動物達の相手すらおぼつかない。そこで本作では、拠点となるベースキャンプの施設を使って、様々な装備や道具、施設をクラフトすることで、少しずつ行動範囲を拡大していくのが主な流れとなる。
システム面や操作系統は、「METAL GEAR SOLID V」をベースとなっているが、もっとも大きな違いとなっているのが、空腹と水分ゲージが存在していること。これらのゲージが減少すると体力とスタミナの最大値も削られるなど、行動に大きく制限がかかり、0になると死亡してしまう。
シリーズ経験者なら「METAL GEAR SOLID III」を想像してもらえば分かりやすいかと思うが、本作では水の調達も必要となっているのに加えて、減少速度もなかなか早い。序盤の内は食料と水をいかに確保するかが重要になってくる。
食料はフィールドの各所にいる動物の肉や、植物を採取することでも確保できるのだが、水事情はなかなかにシビア。空き瓶さえあれば、水たまりから「汚れた水」を採取することができるが、汚い水は一定確率で下痢になってしまうなどのデメリットがある。フィールドを探索していると、希に瓶にはいった「綺麗な水」を入手することがあり、できるだけ「綺麗な水」だけを飲んで凌ぎたいところなのだが、今回のプレイではそれだけではどうしても賄い切れず、「汚れた水」を何度も飲まざるを得なくなっていた。
空腹と水分ゲージに関してはなかなかシビアなので、テンポよく探索がしたい人にはやや煩わしく感じるかもしれない。その分、遠出する際にはきちんとした準備を行っておかなければ、餓死するかもしれないというリアルなサバイバル感は、従来のメタルギアシリーズにはあまり味わえなかった要素だ。筆者はこつこつと素材や食料を集めたりする作業が好きなタイプだったのもあり、非常に新鮮に楽しむことができた。
水源や動物が出現しやすい場所は概ね決まっているので、場所を記憶しておくことが重要。端末のマップ画面では、素材が出現する場所にスタンプを配置し、使い勝手のいい形に地図をカスタマイズしていくこともできる。 |
動物から入手できる肉類も、ベースキャンプで調理することで安全に食べられるようになる。できるだけベースキャンプで十分な準備を整えてから探索に向かうのをオススメしたい。 |
ゲートの起動を巡って、大量のワンダラー達との激しい戦いに
先遣隊が消息を絶った真相に迫るには、失われたバージルのメモリーデータが必要になる。プレイヤーはメモリーデータを求めて各地を探索することになるが、途中で遭遇するワンダラーとの交戦は避けられない。
従来のメタルギアシリーズのように、ワンダラーの視界外から近づき、気づかれる前に攻撃することで即死させる、ステルスプレイも可能となっている。ただし、メモリーデータが存在している場所の近くには、凄まじい数のワンダラーが群れで徘徊していることが多く、一度も発見されずに進むのはかなり難しい。
特に今回プレイした範囲では銃などの遠距離武器が一切手に入らず、装備も貧弱なため、動きの遅いノーマルのワンダラー相手でも、複数に囲まれてしまうと非常に危険。まともに戦ってはまず勝てないのだが、そんな時に役立つのが、フェンスや土嚢といったフィールドに直接配置できるガジェットの数々だ。
ワンダラーは知能があまり高くないらしく、進行方向に対してフェンスを配置すれば、しばらくの間フェンスに引っかかって動きが止まるため、その間は近接武器でも一方的な攻撃が可能となる。
当然、時間が経つとフェンスが壊されたり周りこまれたりしてしまうのだが、1つのフェンスで道をほぼ塞いでしまえるような狭い場所に誘い込むようにすればより足止めしやすくなる。特に装備の充実していない序盤は、地形とガジェットをいかに使いこなすかが生き残るためのカギとなってくる。
今回のプレイで入手できたのは、槍とマチェットの2種類の近接武器。槍はリーチが長く、フェンスの間に挟んで攻撃するのに最適なのに対し、マチェットはリーチは短いが攻撃範囲が横に広くモーションも素早くなっており、しっかりと性能の差別化が図られていた。 |
またワンダラー達を倒したり、フィールドの各地に配置されている結晶を壊すと、「クバンエナジー」を入手できる。このクバンエナジーには様々な使い道があるが、もっともわかりやすいのがベースキャンプで行える「スキルトレーナー」によってプレイヤーのスキルを成長させることだ。
スキルにはパラメーターなどを強化するだけではなく、攻撃のモーションを変化させたり、まったく新しいアクションを追加するなど多彩。今回のプレイでは、近接武器を構えた時にステップが可能となる「コンバットステップ」を習得していたのだが、これが大正解。今回遭遇したワンダラー達は動きが遅めのものばかりだったので、攻撃の後ステップで距離を取り直す、ヒット&アウェイ的な動きでかなり安全に立ち回れるようになった。
「塵の海」と呼ばれる、エアタンクなしには活動ができないエリアも存在。塵の海内では、視界が悪化してスタミナを消費しやすくなるのに加え、装備からの酸素供給が必要。酸素が切れそうになった場合は、クバンエナジーを消費することで補給することが可能だ。 |
ミッションを進めていくと、クラフトのレシピなどの貴重なアイテムが入ったコンテナを発見することも。コンテナにはカギが仕掛けられており、コンテナそのものを破壊するか開錠を行うことで中身を取り出せるようになるのだが、強引に開けようとすると周囲のワンダラー達に自身の位置を察知されてしまう。
開錠をゆっくりと行うことで、見つからないようにも開けられるのだが、この力加減がかなり難しく、筆者は何度やっても途中でワンダラーに見つかってしまっていた。
最終的には、あらかじめ周囲にフェンスなどを設置し、ワンダラーの足止めをしたうえで、コンテナそのものを攻撃して破壊するという力技で強引に中身を取り出すことに成功。ただし最終的にワンダラーに包囲され、無理矢理強行突破せざるを得ない状況まで追い込まれてしまっていたので、やはり可能な限り、見つからないように開錠するのが理想だろう。
ワームホールを利用したゲートも存在しており、各地にある装置を再起動することで、ゲートが存在している地点間を瞬時に移動できるようになる。今回体験した中でも、ゲートの再起動が目的となるミッションが発生。装置を再起動している最中は、大量のワンダラーが押し寄せてくるため、一定時間の間装置を守りきる必要がある。
これは前回のレポートでも掲載したCO-OPプレイとほぼ同じ流れだが、手数が圧倒的に不足するシングルプレイでは、その分をガジェットで補う必要が出て来る。そうとは知らず、最初に何の準備もなしに装置を起動してしまった際には、あっという間にワンダラーに包囲され、瞬く間に装置を破壊されてしまった。
そこで2回目の挑戦では、ワンダラーの侵入経路にあらかじめ大量のフェンスやバリケードを設置しておくことで、時間を稼ぐ作戦に。途中で攻撃を受けて瀕死になってしまうも、装置の耐久値が一定数削られる度に発生する爆発がワンダラーを倒してくれたおかげで、なんとかギリギリでクリアすることに成功。
実は今回はフェンスで足止めした敵にまとめてダメージを与えることができる装備「火炎瓶」を素材不足からクラフトすることができず、近接武器のみでの挑戦する羽目になったのだが、それでもきちんとクリアできるようになっていた。フェンスやバリケードなどの設置物は本当に重要なので、行き詰まった場合はワンダラーの動きから罠の配置を練り直してみるといいだろう。
現在の進行状況で、CO-OPプレイに挑戦するも……
前回の記事で紹介したCO-OPプレイはシングルプレイの進行状況とほぼ完全に同期しており、装備やスキルはもちろん、所持品に空腹や喉の渇きといったパラメーターも全て引き継いだ状態でCO-OPプレイへと移行する。CO-OPプレイへの移行は非常にスムーズで、フレンドから招待が来た場合はすぐにロビーへと移動できる。ゲームを終了させることなく、いつでもCO-OPプレイに移れるというのはなかなか快適だ。
せっかくなので、いくつかの近接武器と火炎瓶しかない現在の状態で、前回体験したマルチプレイのミッションに再び挑戦してみたのだが、やはり前回とは比べ物にならないほど難しい。持てる限りのガジェットをフル動員しつつ、最終WAVEまでの残り30秒までは善戦するも、最後は採掘器を破壊され、ミッション失敗に。
ただ、まともに装備が揃っていないからこそ、CO-OPプレイ内のフィールドで獲得できる素材も活用してのクラフト、ボマーを爆発させることで同士討ちを図るなど、戦い方をかなり工夫する必要があり、これはこれでワイワイと盛り上がって楽しい。
1Waveだけでもクリアしていればある程度の報酬を獲得できるうえ、普通にシングルプレイを進めていると、入手が大分先になるレアアイテムを獲得できることもある。シングルプレイの進行度が反映されるだけに、どのタイミングでマルチプレイに挑戦するかは難しいところだが、少し無理をしても挑戦してみる価値はあるといえるだろう。
ただ、注意しなければいけないのは、CO-OPの途中に入手したフィールド中の素材やクラフトしたアイテムはそのチームの共有物となるため、そのままシングルプレイに持ち越すことはできない。持ち帰れるのはCO-OPプレイ終了時に獲得できる報酬のみとなっている。
今回プレイして感じたのは、本作では地形の把握・装備やガジェットの選択など、ミッションに至るまでの準備が重要となっているのが特徴で、その創意工夫がとにかく楽しいということ。
筆者がまだ操作に慣れていないのもあり、今回のプレイできた範囲の中でも何度もゲームオーバーになってしまっていたのだが、同じ装備でもガジェットを配置する場所、陣取る位置取りを変えるだけでも難易度ががらりと変化するので、「これがだめなら、次はこっちで行ってみよう」と、前回とは違った方法を試してみたくなるモチベーションがすぐに湧いてくる。
本作では全体的なプレイ感覚は従来と作品とまったく異なる部分が多いのだが、この「初見は難しいが、何度もプレイして配置や地形を把握していく内に攻略が楽になっていく」というのは、「メタルギア」シリーズおなじみの楽しみでもあり、従来のファンにとっては安心してプレイできる要素は健在だと言えるだろう。
これまでのプロモーションでは、CO-OPプレイ中心となっており、シングルプレイはあまりボリュームがないのではと心配したファンもいるかもしれない。しかい筆者が今回体験した限りでは、続きの気になるストーリー、探索可能な広大なフィールド、クラフトに施設の拡張とやりこみ要素も豊富なため、シングルプレイだけでも十分に1つのゲームとして楽しめるボリュームがありそうだと感じられた。
従来のシリーズ作品とは一味も二味も異なる、新しい「メタルギア」の可能性を垣間見ることができた「METAL GEAR SURVIVE」。体験版も配信されるので、まずは実際にプレイし、その楽しさを味わってみて欲しい。